2010年1月26日 (火) 掲載

◎道南の医療関係者ら、乳がん研究会設立へ

 道南の乳腺疾患治療にかかわる医療関係者や保健師などでつくる「道南乳腺疾患研究会」が28日に設立される。検診受診率が低い住民への啓発と、地域連携クリティカルパス(治療計画)の統一を目指す。同日に函館五稜郭病院で設立総会と記念講演会を予定。木村純代表世話人(市立函館病院副院長)は「病院と職種の違いを超えたがん診療の組織としては、道内で初めて」として今後に期待する。

 乳がん検診の受診率は、ほかのがんと比較すると全国的にも低く、07年度では全国が14・2%。函館市が行う検診では40歳以上の隔年に検診料を助成するが、9・2%にとどまっている。

 このため医師らは啓発の必要性を痛感。さらに病院間で異なる治療計画を統一し、将来的には道内共通の治療計画にすることを目指して立ち上げる。前段として、道のがん拠点病院に指定され、それぞれの治療計画を持つ市立函館病院と函館五稜郭病院は、昨年冬にこれを統一した。

 木村代表は「道南地域で乳がんを早く見付け、治すことが目標」と話す。医師や放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、看護師、保健師など、乳がんの発見や治療に携わる多くの職種が会員となる予定。現在函館市内の11医療機関と市立函館保健所、渡島保健所から約90人が参加する見込みだ。

 設立後は、道南全域の乳がん治療に携わる関係者に参加を呼び掛け、市民向けフォーラム(初回は4月に予定)や、医療職向けフォーラム、研修会などを定期的に行う計画。木村代表は「人や知識の交流を活発にすることで、乳がん診療全体のレベルアップにもつながる」と話している。(小泉まや)



◎税務署で還付申告本格化

 所得税の還付申告が本格化し、函館税務署(中島町37)では、納税者自身がパソコンで申告書を作成する専用コーナーを拡張した。2月16日からは確定申告の受け付けも始まるため、同税務署は「混雑が予想されるので、申告手続きはお早めに」と呼び掛けている。(宮木佳奈美)

 中途退職した場合や、高額医療費、住宅ローンなどの控除の適用を受ける場合の還付申告は、毎年、前年の源泉徴収票が手元に届くこの時期に集中する。現時点で1日200―300人程度が来署しているが、申告期限の間際になると1日600―700人にまで増えるという。

 税務署では、納税者自身による申告書の作成、提出を推進していて、今回、同税務署は手続きに使うパソコンを昨年の約1・6倍の78台に増設。国税電子申告納税サービス「e―Tax(イータックス)」の普及を目的に、インターネット上での申告書の作成、送信を体験しながら、手続きしてもらう。利用者には職員が付き添い、手順などを説明しながら対応に当たっている。

 27、28日に市民会館小ホール(湯川町1)、2月3、4日は市亀田福祉センター(美原1)にそれぞれ臨時の還付申告会場を開設。受け付けは両会場とも午前10時―正午、午後1時―同4時。申告に関する電話相談も受け付ける。問い合わせは同税務署TEL0138・31・3171。



◎旭友江差店閉店…用地確保条件に新店舗も

 【江差】濱谷一治江差町長は25日、旭友ストアー江差店(茂尻町172の2)の閉店問題をめぐり、木古内・福島店など道内8店舗を継承する、生活協同組合・コープさっぽろ(札幌)が、7000平方メートル前後の用地確保を前提に、新規店舗の出店や同店の営業継続も検討する方針を示していることを明らかにした。

 町議会全員協議会で報告した。濱谷町長と江差商工会長の飯田隆一町議は21日、札幌のコープさっぽろ本部を訪れ、山口敏文専務理事と会談。江差店の営業継続を打診した。濱谷町長の説明によるとコープ側は、同店の店舗や駐車場の面積が不足しており、現店舗での営業継続は困難との認識を示した。その上で、同店の周辺市街地に用地が確保できる場合、コープとして新規店舗の出店のほか、開店準備が整うまでの間は、同店の営業継続も検討する考えを示したという。また、新規開店に当たっては、地元小売店の出店や農水産物など地場産品の直売といった対応も視野に入れるという。

 全員協議会で濱谷町長は「可能性はゼロではないと感じたが、町にとっては大きな決断になる。閉店で不便を強いられる高齢者を守る必要があるが、大規模店舗の出店に伴う地元商店街への影響も考慮しなければならない。町で内部調整を進めて早急に結論を出したい」と述べた。

 ただ、周辺市街地では、公有地・民有地ともに、コープ側の条件に見合った敷地の確保は難しい状況にあるほか、新規出店に伴う地元商店街への影響などを懸念する声もある。旭友ストアーとコープさっぽろは、同店を2月21日に閉店する方針。町と町議会では新店舗誘致の可能性について早急に対応を検討する考えだ。(松浦 純)


◎港町ふ頭への進出企業第1号が決まる

 函館市が分譲している港町ふ頭(港町2)の工業用地に、北斗市の食品加工会社「朝日食品」(大塚勝啓社長)が進出する意向であることが25日、分かった。同工業用地への進出企業は2005年12月の分譲開始以来初めて。同社は旧有川ふ頭側の約1万平方メートルを取得予定で、購入額は約9000万円。今後仮契約、議会の議決を経て、3月にも正式契約を結ぶ見通し。

 同社は全国的な食品流通企業「合食」(神戸市)のグループ企業で、1961年6月に函館市末広町に設立。さきいかやサケフレークなど、さまざまな水産加工食品を製造している。現在工場は北斗市七重浜4に所在する。

 同社によると、同用地には広さ約5500平方メートル(一部2階建て)の工場を建設する予定で、原料から商品加工までの製造ラインを直線状に設置して効率化を図るという。今回進出する意向を示した背景には、同用地がコンテナヤードに直結している利便性の高さのほか、「用地の分譲価格が値下げされたことも大きかった」とし、「来年2月の工場稼働開始を目指す」と話している。

 同用地は国道や港、駅に近い利便性の高さを売りに分譲を開始。しかし長引く不況で企業の設備投資が低迷したほか、企業誘致に対する他都市間との競争の影響もあり、これまで進出企業はなかった。これを受け市は今月1日から、従来価格の1平方メートル当たり1万2900円から一律で同9000円に引き下げていた。

 市港湾空港部は「値下げが進出へのきっかけになったのでは。これに続いて今後も進出企業が決まれば」と期待を寄せている。26日には同社の大塚社長らが、同用地への進出に関して西尾正範市長を訪問する。(山田孝人)


◎元戸井町長・水戸忠一さん死去

 元戸井町長の水戸忠一(みと・ただかず)さんが23日午後8時45分、肝細胞がんのため函館市内の病院で死去した。82歳。自宅は函館市浜町403。通夜は26日午後6時から、告別式は27日午後1時から、いずれも戸井総合学習センター(浜町308)で開かれる。喪主は妻・千代子さん、葬儀委員長は元戸井町長、吉沢慶昭さん。

 水戸さんは1927年、旧戸井町(現・函館市)生まれ。55年戸井村(当時)に入り、議会事務局長、企画課長、町民福祉課長、総務課長などを歴任。90年戸井町長に初当選し、3期12年務めた。在職中は基幹産業の漁業振興をはじめ、94年にはデイサービスセンターを併設した温泉保養施設「ふれあい湯遊館」を整備するなど、福祉の充実に尽力した。

 2003年8月には旧戸井町名誉町民の称号を授与された。元町長の吉沢さんは「温厚で、実直な人だった」と話している。