2010年1月27日 (水) 掲載

◎乙部町の出荷額 初の1億突破 ブロッコリーなど契約栽培

 【乙部】乙部町で行われている、ブロッコリーを主力とした野菜類の契約栽培は本年度、契約先の大手農産物卸商社に対する販売総額が1億876万円に達し、2005年度の出荷開始以来、初めて1億円の大台を突破したことが町農林課のまとめで分かった。

 販売総額は対前年比9・4%の増加。作物別では、ブロッコリーが9249万円(前年比8・1%増)。サニーショコラ、ピュアホワイト、ミルフィーユの3品種を栽培したスイートコーンは927万円(同13・5%増)。4品種を生産したカボチャは552万円(同35・9%増)。町内では春以降、多雨や日照不足などの天候不順に見舞われたものの、3品目ともに販売額は前年度を上回った。本年度はカリフラワーや観賞用カボチャ(ハロウイン用)の試験栽培も行われた。

 主力のブロッコリーの栽培面積は、生産をスタートした2005年度には12・5ヘクタールだった。この5年間で面積を順調に伸ばして本年度は27・5ヘクタールに上る。出荷額も05年度と比べて3倍に迫る伸び。販売額から運賃や資材費を差し引いた農家の手取額の割合は、ブロッコリー50・8%、スイートコーン35・3%の高い割合を示した。

 町は05年度、後継者難や経営規模の縮小で、生産額の低迷が続いていた町内農業の再生に向けて、契約栽培と新規作物の導入を柱とする農業再生プランを策定。町内の農家を中心に乙部町契約野菜生産出荷組合(佐藤光男組合長)を結成。農産物卸商社・ベジテック(東京)と連携して、首都圏向け野菜類の契約栽培を始めた。

 町農林課は「天候に左右されながらも初めて1億円を超える販売額になった。契約栽培は商社との直接取引になり、中間手数料などが削減でき、農家の手取り増加にもつながる。収穫に携わるパートなど雇用開拓にもつながる」とし、今後も多様な新規作物の導入を検討し、安定した生産体制の確立を目指す方針だ。(松浦 純)



◎函館市の昨年1年間 人口減少数大幅縮小/七飯からの転入増

 函館市の住民基本台帳に基づく、昨年1年間の人口減少数は2549人で、08年(3326人)から大幅に縮小された。転出が転入を上回る社会減が1000人台に抑えられた点に加え、周辺の北斗市・七飯町との人口移動がプラスに転じ、統計の残る1981年以降、初めての転入超過となった。市は08年から続く全国的な景気・雇用情勢の悪化が影響し、本州方面への流出が抑えられたとの見方を示している。

 市の人口減少数は年間1000―2000人台で推移してきたが、06年に3559人、07年3339人、08年3326人と3年連続で3000人を上回る状況が続いていた。09年12月末の人口は28万4265人で、1年間で2549人(0・9%)の減少となった。

 内訳をみると、社会減は1340人で、05年以来の1000人台にとどまった。死亡数が出生数を上回る自然減は1434人で、08年(1420人)とほぼ同数。出生数は1894人で08年からは7人増えている。このほか、削除された住民票の回復などによる増加が225人。

 また、周辺2市町との人口移動は北斗市が差し引き28人減だった一方、七飯町からは同97人増え、計69人増加。流出は96年の1740人をピークに減少傾向が続いていたが、増加に転じている。

 市企画部は現段階で流出先の詳細は把握していないとするが、「首都圏や東海地方に仕事を求める人が多かった以前と比較すると、国全体で景気が冷え込んでおり、留まっている面がある」と分析する。

 市全体の65人以上が占める高齢化率は09年12月末で26・7%と、前年比0・7%の増加。地区別では椴法華地区が35・7%と最も高く、港、桔梗などが該当する北部地区が20・2%と最も低い。また北部地区は市内で唯一人口が増えた。

 同部は「今後の景気動向によっては転出がさらに増える可能性も十分にある。下げ止まり傾向にある今のうちに、雇用環境の改善や就業機会の拡大に向けた施策が必要」と話している。(千葉卓陽)



◎市消防本部業務概況まとめ 救急の搬送人数、出動件数増加

 函館市消防本部は、昨年1年間の「119番」受理状況や出動状況をまとめた。全通報件数は前年比605件増の2万4733件。大半を占める救急要請は、新型インフルエンザの影響もあり、搬送人員数、出動件数ともに増加した。また、火災総件数は減少したが、住宅火災による死者は前年と同数の6人だった。

 ■緊急性低い通報多く、適正利用を

 通報受理状況をみると、救急、救助の要請が同610件増の1万2529件、火災が同24件減の326件。電話での119番通報計2万2910件のうち、固定、公衆電話が計1万5694件、携帯電話は5434件だった。

 このうち、緊急性がない病院の照会が2122件、いたずらや間違い電話が1568件と全体の約15%を占める。同本部通信指令室は「病院照会は『救急医療情報案内センター』の利用を案内しているが浸透していない。消防車のサイレン音を聞き、119番で問い合わせる人もいる」とする。

 ■新型インフル影響、搬送者数増加

 救急出動件数は、同624件増の1万3057件、搬送人員数は同517人増の1万2141人といずれも増加。1日当たり35・8件の出動があり、約40分に1回出動している計算となる。件数、人員数ともに8月ごろから増加傾向にあり、特に10月が前年同月比233人増加した。新型インフルエンザの流行期と重なり、発熱を理由とする搬送要請が目立ったという。

 また、搬送者の半数以上に当たる6122人が入院を必要としない軽症者。同本部では救急車10台で対応しているが、救急要請が重なると遠方の救急隊が出動するため、到着が遅れる場合もあるという。同本部救急課は「救急車で搬送しても、診療の順番は重症度に応じて病院側の判断になる」として、適正利用を求める。

 ■住宅用火災警報器の早期設置を

 火災状況は、同19件減の122件。建物火災は同6件増の75件で、一般、共同住宅での火災50件が含まれる。死者は前年と同数だったが、負傷者は1月の連続放火事件の影響もあり、同17人増の48人だった。車両火災は、ガスボンベの分別回収の成果もあり、ごみ収集車からの出火が16件減少するなど、全体では同10件減の17件となった。

 一方で、1110平方メートルを焼いた湯川の温泉旅館火災など大規模火災の影響で、焼損床面積は同947平方メートル増の2976平方メートルと増加。損害額は約1645万円減の9694万円だった。

 同本部予防課は「出火原因は『たばこ』や『こんろ』などうっかり型が目立つ。死者の半数が高齢者で、逃げ遅れによるものとみられ、住宅用火災警報器を早期に設置し、家族や自分の命を守ってほしい」としている。(今井正一)


◎文化財防火デー、旧イギリス領事館などで消防訓練

 文化財防火デーの26日、道南各地の施設では消防訓練などが行われ、貴重な建造物への防火意識を高めた。

 函館市教育委員会、市消防本部は、市指定有形文化財「旧イギリス領事館」(元町33)で消防訓練を実施した。職員による初期消火や通報、来館者の避難誘導などの火災発生時の初動対応を確認した。

 文化財防火デーは1949年1月26日、奈良県で法隆寺金堂が炎上し、壁画が焼損したことを契機に、文化財保護の意識が高まり、55年に制定された。函館市では毎年、博物館や重要文化財に指定されている建造物などで訓練を実施している。

 館内の喫茶スペースの調理場から出火したと想定。館内放送で火災発生を知らせるとともに、職員が消防への通報や来館者誘導などを分担し、屋外に避難。現場に到着した消防隊が放水を実施した。屋内では消防隊員の指導で訓練用のエア消火器を使用した初期消火訓練も行われた。

 市教委文化財課の榎本伸一主査は「訓練を効果的に実施してもらえた。文化財の保存のためにも有効な取り組みであり、他の施設でも心掛けたい」と話していた。(今井正一)

 【北斗】北斗市郷土資料館(館長・渡辺秀美教育課長)では防火訓練が行われ、同館職員や市消防署員約20人が訓練に臨んだ。

 同市内では文化財施設で毎年防火訓練を行っており、同館では初めて。同館は文化財指定の建物ではないが、築45年以上の建物で、古い時代の農機具など約1500点の貴重な資料が展示、保管されていることから今回の訓練施設に選ばれた。

 館内の暖房施設から出火したと想定。消防車両4台が出動。119番通報後、車両が到着すると、消防職員が間もなく、放水した。

 終了後、南渡島消防事務組合の柳谷友明消防長が講評し、文化財防火デーの意義などを説明。同館や市教委の職員も火災予防の意識を新たにしていた。 (鈴木 潤)


◎「ミスはこだて」27日から受け付け開始

 函館国際観光コンベンション協会は、今年で31年目を迎える「ミスはこだてコンテスト」の応募受け付けを27日から開始する。入賞者には賞金のほか旅行券など副賞も盛りだくさんで、同協会は多数の応募を呼び掛けている。

 同コンテストは同協会と市の主催。入賞者3人は函館港まつりの各行事や全国各地で開かれる物産展、観光プロモーションなどに親善大使として参加する。

 応募資格は、市内・近郊に住む18歳以上の未婚女性で、職場の承諾を得ることが必要(他のミスに選ばれた人、高校生は除く)。任期は4月1日から3月31日までの1年間。審査は2月27日午前10時から函館国際ホテルで行い、選ばれた3人には賞金15万円のほか、副賞として旅行券13万円分、食事券、航空券各1万円分、電子辞書などが贈られる。

 近年は応募者不足に悩まされているが、同協会は「任期前にマナーなどの各種研修を行っており、さまざまな面でいい経験になるはず。奮って応募してほしい」とPRしている。

 申し込みは所定の応募用紙に必要事項を記入、写真1枚を添付の上、〒040―0054、函館市元町33の14、函館観光コンベンション協会まで申し込む。応募用紙は同協会、観光案内所、市役所などで配布しているほか、同協会ホームページからのダウンロードも可能。2月17日締め切り。問い合わせは同協会TEL0138・27・3535。(千葉卓陽)