2010年1月28日 (木) 掲載

◎タラの解体見学など漁業の面白さに触れる

 恵山地域の地元漁師らによる「漁業ふれあい体験学習」が27日、函館えさん小学校(後藤愼一校長)で行われた。4―6年生70人が参加し、タラの解体を見たり、漁具に触れたりして地場産業への理解を深めた。

 子どもたちに地域の主要産業である漁業の面白さを伝え、関心を高めようと渡島支庁南部地区漁業士会(成田力会長)などが実施した。道の「漁業担い手活動支援事業」を活用し、昨年11月の日新小に続いて2カ所目の開催となる。

 児童はまず、同会が作成したDVDを視聴してマダラの1本釣りやタラのはえ縄漁業の様子を学習。続いてタコ釣りやはえ縄の漁具の使い方を教えてもらったり、ロープワークを体験した。えさん漁協尻岸内地区女性部(若山末子部長)の部員らが約6キロのマダラを実際に解体してみせる場面もあり、子どもたちは「おいしそう」「すごい」などと夢中になって作業を見つめていた。

 6年生の六沢柊介君(12)は「はえ縄の映像が面白かった。漁師の仕事は大変そうだった」と話し、親がタラやソイ漁などを行う相馬亜弥さん(12)は「親の漁は手伝うけど実際に漁する様子を映像で見れて大漁ですごいなと思った」と感想を話していた。学習後、同女性部が作ったタラの三平汁も振る舞われた。

 成田会長(44)は「魚種で使う道具が違うことも知ってもらいたい。漁業のファンを増やしたい」と話していた。(新目七恵)



◎渡島全日制の平均倍率1・2倍…公立高出願状況

 道教委は27日、2010年度公立高入試の当初出願状況(25日現在)を発表した。渡島、桧山両管内の全日制の平均倍率はそれぞれ前年度と同じ1・2倍、0・7倍。函館商業の国際経済科が2・4倍と、道内の全日制職業学科で最も高い倍率となった。

 全日制の出願者は渡島管内が3136人、桧山管内が280人。定時制(函館市内のみ)は99人で、平均倍率は前年度比を0・1ポイント下回る0・4倍だった。

 渡島管内の全日制普通科では、市立函館が同0・1ポイント増の1・4倍、函館中部は同0・1ポイント減の1・2倍。市函の小松将人教頭は「昨年度は初めて学校裁量問題を導入して敬遠された面もあったが、2年目となり中学校側も対策しやすくなったのでは。部活動を含め学校の指導体制も認知されている」と話す。上磯は道南で唯一、倍率が1・5倍を超え、三塚弘教頭は「進学や就職に対応するコース制の来年度導入が広まったのと、北斗市内や近郊の中学校に学校だよりを配布して情報発信したのが効果的だった」と分析する。

 一方、職業学科では函館商業の情報処理と函館工業の環境土木がいずれも2・0倍と高倍率だったほか、函館水産も機関工学が1・9倍に。就職難の中、各校とも資格取得や進学も可能な教育環境が強みとなっている。道内の最高倍率も出た函商の吉本満教頭は「学校全体の募集人員は前年より40人減となり、1学科を増やしたが、既存の学科に例年通りの出願があった」と説明。函水の三ツ石茂之教頭は「教育活動が報道などで地域に周知されたのも大きな要素」と分析する。

 函館市中学校進路指導研究会の三島俊博会長(函館潮見中校長)は「普通科は昨年ほど大きな変動はないのが特徴では。今春からの公立高授業料無償化による影響もあまりなく、生徒が希望に沿って志望校を選んだようだ」と話す。

 道内では全日、定時制の合計募集人員4万1970人に対し、出願者は4万3901人。平均倍率は同0・02ポイント上回る1・05倍だった。出願変更の受け付けは28日から2月3日午後4時まで。学力検査は3月3日、合格発表は同16日。(新目七恵)



◎佐々木選手の応援 市がバックアップ

 【北斗】北斗市は、カナダ・バンクーバー冬期五輪の男子アルペンスキー日本代表に選ばれた地元出身の佐々木明選手(28)の後援会に補助金を出す方針を固めた。応援で現地に行く後援会幹部や家族の旅費の一部を支援するほか、横断幕、のぼりなどの製作費用を負担する考えで、市を挙げてメダル獲得の後押しをする。佐々木選手の応援に対し市が支援するのは、旧大野町時代も通じて初めて。

 補助金の総額は約261万円で、うち191万円は後援会幹部2人と家族6人でつくる応援団の旅費を一部助成。一行は2月26日に日本を出発する。

 残る70万円は横断幕やのぼりの製作、設置費や地元応援の会場設営のための費用に充てる考えだ。市は2月2日開会の市議会臨時会に今回の補助金を含む本年度一般会計予算案を提出する。

 27日までに市役所本庁舎や総合分庁舎に佐々木選手の五輪出場を祝う横断幕が掲げられた。のぼりは約150本を用意する予定で、準備が整い次第、JR上磯駅前や旧大野町地域の商店街などに立てる。

 佐々木選手は02年ソルトレークシティー、06年トリノに続き3度目の五輪代表。市総務課は「前回は旧町が合併したばかりで市として態勢を組めなかったが、今回は市を挙げて応援していきたい」と話している。(鈴木 潤)


◎企画・生活保護の現状と課題@】受給率過去最高…財政圧迫

 この負担は驚異的な数字だ―。函館市議の一人はうなった。2008年秋の世界金融危機などを背景に、道南の各自治体では軒並み生活保護受給者が急増。周辺地域から受給者が流れ込む道南最大の都市・函館市では、09年度の保護費は過去最高の191億円に膨らみ、一般会計総額の15%を占める。巨額の費用と、右肩上がりで上昇を続ける保護率の推移に、あらゆる関係者が危機感を募らせている。

 生活保護制度は、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に基づいている。生活が困窮する国民に最低限度の生活を保障し、自立を助ける目的がある。親族からの扶養を受けられず、十分な収入や貯蓄がないなど、一定の基準を満たす人に、行政が生活のための金を支払う。

 全国では、1986年から91年の「平成景気」に後押しされて保護率が減少したが、その後の不況で95年(7・0‰)から増加に転じた。景気低迷が続く道内の保護率は、09年9月現在で26・9‰に上る。47都道府県で最高の大阪府(29・2‰)に次ぎ、全国2位という高率だ。

 中でも函館市の保護率は突出している。同期の政令指定都市・中核市の中では、最も高い大阪市(49・9‰)に次いで2番目(41・5‰)の位置。都道府県で最も低い富山県(2・6‰)や、中核市で最低の富山市(3・4‰)と比べると、10倍以上もの開きがある現実を突きつけられる。

 函館市の保護率はなぜ高いのか。市福祉部は「最大の要因は高齢化」とし、保護世帯の約43%を占める高齢者世帯(65歳以上)の存在を示す。しかし、08年秋以降に保護率の増加が加速した要因としては16―64歳で働くことができる稼働世帯の増加を挙げ、「就労能力があるが職がなかったり、収入が少なく生活が苦しいなどのケースがある」と指摘。本州方面で働いていた人が職をなくして地元に帰ることもあるという。

 市は09年12月、保護世帯増加を受けて、市議会に保護費を約10億円増額する補正予算案を提案。一般会計予算総額の14・8%を占める191億円に膨らんだ。保護費は国が75%、市は25%を負担する。市負担の半分の財源は市税だ。

 保護費の支出が増えれば、市の財政需要の増大に伴い、国から入る地方交付税も増額される。だが、歳出に占める保護費の割合が高まることは「間違いなく市財政を圧迫している」(市財務部)。本年度は約23億円もの市税が投入される現状に、市議会の民生常任委員会では「ボディーブローのように効いてくる」(能登谷公氏)など際限ない保護費増額を見過ごせないとの意見も出てきた。

 対して岡田芳樹福祉部長は「最後のセーフティーネット」という制度の性格を強調。「経済状態によるもので致し方ない」とした。だが保護者増加の状況はとどまる気配がない。年度内のさらなる予算増額も避けられない現状に、同部は「減る要素は全くない」とさえ言い切る。

 28人に1人が生活保護を受給している函館市。なぜこうなったのか。各地の受給率や動向などから現状を見つめ、さまざまな立場にある関係者の気持ち、意見から、どのような改善の可能性があるかを探る。

 ◆保護率の単位‰=パーミル 生活保護の保護率は、扱う数字の大きさなどから千分率の「‰」で表され、1000人当たりに何人の保護者がいるかがわかる。対して、よく使われる%は百分率。(小泉まや)


◎地域の治安維持に貢献…「道民の警察職員」に函本管内から3人

 北海道警察官友の会連合会(高向巌会長)が地域の治安維持に貢献した優良警察官に感謝状を贈る「道民の警察職員」表彰がこのほど決定し、全道で10人が受賞した。道警函館方面本部管内からは、函館中央署の干場幸也警部補(56)、函館西署の門脇豪紀警部補(42)、木古内署の蝦名正美警部補(49)の3人が選ばれた。

 函館中央署警務課相談係長の干場警部補は、市民から年間約700件を超える相談を受理する。警察の本来業務でもある事件に関する話だけではなく、地域の経済事情もあり、多重債務問題や近隣トラブルなど、民事上の相談なども多数ある。「大事なことは相談者のために」をモットーに、問題解決への糸口を示すなど、親身になって応じる姿勢が評価された。

 干場警部補は「すべての問題に満足のいく回答ができるわけではない。数は少ないが相談者が安心して元気に帰る姿が励みになる。相談業務は警察官として取り組む基本でもあり、署を代表しての受賞だと思う」と話す。

 門脇警部補は函館西署生活安全第1係長として、振り込め詐欺被害防止対策に奔走。函館市や金融機関、事業者と連携した「被害防止ネットワーク」の構築や、詐欺防止のプロを養成する「マイスター制度」の創設など、自主的活動を促進する事業を展開した。管内の各町会などで行う防犯講話では地域住民と溶け込み、積極的な啓発活動を行っている。

 上司の浅野達也生活安全課長は「地域住民から『西警の門さん』として親しまれている。市民の困りごとに、我が身となって取り組む姿勢が受賞に結びついたと思う。今後も市民のために頑張ってほしい」と話している。

 木古内署で交通係長を務める蝦名警部補は、児童が巻き込まれた事故をきっかけに、管内の小学校の協力で、停止した車両に一礼する「止まってくれてありがとう運動」を推進。各期の交通安全運動に参加した住民の写真を使用してポスターを作製し、地域の意識高揚を図っている。署の玄関には、自動ドアと連動して交通安全の垂れ幕が動く仕掛けや、広報用のモニターを設置し、来庁者への情報周知にも努めている。

 蝦名警部補は「交通事故を1件でも減らすのがわたしの仕事。受賞は今後の自信にもなる。アイデアや企画を署内全体で盛り上げてやってくれるおかげ」としている。(今井正一)