2010年1月31日 (日) 掲載

◎チョコ 誰にあげる? バレンタイン商戦本格化

 2月14日のバレンタインデーを前に函館市内のデパート各店では、有名ブランドのチョコレートなどを多数そろえた特設売り場を開設し、商戦を本格化させている。近年「友チョコ」や「ご褒美チョコ」の人気や、男性用小物を贈る人が増えていることもあり、店内全体でイベントを盛り上げている。

 丸井今井函館店(本町32)では1月下旬から地下食品売り場で、国内外約20社、35ブランドのチョコレートの販売を開始した。最近は自分用に3000円―5000円の高級チョコレートを買い求める人が多いという。女性同士で贈りあう「友チョコ」ブームを反映して、以前は少なかった「ピンクなどかわいいパッケージを多用したものが売れ筋」と同店菓子担当の松代由紀子さん。通常のチョコは1000円前後が人気という。

 同店4階の紳士服売り場でも有名ブランドのトランクスや男性用の小物をバレンタインギフトとして提案し、人気を集めている。同階の山口恵セールスディレクターは「ニット素材のトランクスなどが充実しているので、チョコと一緒にぜひ」と勧めている。

 一方、棒二森屋(若松町17)でもギフトフェアを開催し、2月5日からは連絡通路にも会場を設け、チョコレートを使用したスイーツやビールなども販売するほか、テーオーデパート(梁川町10)でも随時30―40種類の商品を取りそろえているという。

 3店ともに14日が日曜日のため、早めに渡す人たちが多いとみており、祝日の11日前後が販売のピークと推測している。(小杉貴洋)



◎刑法犯 統計史上最少に…09年道警函本

 道警函館方面本部は2009年の刑法犯発生状況をまとめた。昨年は全道的に犯罪発生が減少傾向にあったが、管内では前年比1019件減の3845件、減少率は道内5方面で最大の20・9%となった。ピーク時の04年の7920件と比べると、減少率は51・9%で、統計のある1950年以降で最少値だった。函本生活安全課は「各種対策が浸透し、市民に防犯意識が根付いてきているためではないか」と分析している。

 道内全体の刑法犯認知件数は5万2149件(前年比7584件減)。摘発件数は1万7404件(同4235件減)で、摘発率は33・4%(2・8ポイント減)だった。函館方面では、1519件を摘発し、摘発数は35件増、摘発率は9ポイント増の39・5%で、ともに増加。管内の大半を占める函館中央署管内では、認知件数は2596件(同826件減)、摘発数は991件(同150件増)だった。

 刑法犯のうち、車上狙いや建造物侵入窃盗など14罪種をまとめた「道民が身近に不安を感じる犯罪」をみると、2075件(同682件減)。特に自転車盗が253件減の842件、車上狙いが193件減の431件、タイヤ盗が185件減の17件など、生活に身近な犯罪が減少していることがうかがえる。

 同課は、道警が03年から展開する街頭犯罪抑止対策が市民の間に定着し、防犯意識が高まっていることに加え、管内で活発な自主防犯ボランティア団体、各町会の活動、青色回転灯装着車によるパトロールなどで、犯罪の未然防止につながっているとする。近江清課長は「市民の防犯意識の高まりが犯罪抑止につながった。引き続き各団体と連携を図り、各対策を推進し、安全、安心確保のため、体感治安の向上に努めたい」と話している。(今井正一)



◎【企画・生活保護の現状と課題C】 後ろめたさ、自立 思い交錯

 受給者が安穏と生きているわけではない。函館市美原の女性(33)は離婚時、小学生の子ども2人を引き取った。ところがパートの給料は多い月でも8万円。周囲から勧められるまま生活保護の窓口を訪れ、受給が決まった。

 昨年1月までの約1年間、保護基準額と給料との差額を埋める月額約10万円を受け取った。「ずっと『普通の人とは違う』という後ろめたい気持ちだった」。もらわない生活に戻りたいと仕事を増やしたが、親が居ない時間の長さを小さな子どもたちは受け入れられず、家庭が荒れた。

 保護費は「こんなにもらって良いのかと思ったけれど、手を付けなければ暮らせない」。だが降ってわいたような金の存在を、子どもたちは敏感に察知する。簡単に欲しい物をねだるようになり、「このまま成長させてはいけない」と思うように。自分で解決できず元夫に助けを求め、子どもは女性の元を離れた。今は生保を抜けだし、2つのパートを掛け持ちしながら精いっぱい生きている。

 母子世帯の自立を阻む社会の構図は保育園にもある。同市松陰町の女性(30)は、生まれたばかりの長男を抱えて離婚。生保を受給できたが、小さな子どもを抱えながら仕事を求める難しさを痛感した。「面接を受けに行くのも大変だった」。仕事が見つからなければ保育園は3カ月で退園となる。入・退園を繰り返した長男は、せっかくできた友だちと離れなければならなかった。

 行政も手をこまねいているわけではない。厚生労働省は2005年、保護世帯の自立支援を目指して「自立支援プログラム」の導入を自治体に通知。函館市も就労者や高齢者、母子世帯、精神障害者ら向けに、7種類のメニューを用意した。

 ハローワークと共同で進める「生活保護受給者等就労支援事業」と、履歴書の書き方など就職活動のいろはを教える「市生活保護就労支援プログラム」が中心だ。08年度は同事業に参加した33人のうち15人が就職。同プログラムは43人中10人が就職を含む目標達成となった。市は「一定の効果がある」と受け止めるが、利用者からは疑問の声も挙がる。

 同事業を利用した松陰町の女性(30)は、「職員とハローワークで待ち合わせ、一緒に窓口に行くだけ」と振り返る。「とにかく面接を受けて」と担当者に言われるまま20社ほどを受けた。だが、小さな子持ちというだけで不採用となったこともある。履歴書に張る写真代と交通費ばかりがかさんだ。「どうせなら母子でも働ける職場を紹介してくれるとか、利用者に合った求人を紹介してほしかった」。

 女性は4月から看護学校に通う。知人の協力で毎日6時間以上の猛勉強を続け、現役高校生と競り入学を勝ち取った。「制度もいつまで今の形であり続けるかわからないでしょう。看護師は就職口が多く、大病院には保育所もある」。4月からは生保に代わり月額14万1000円の母子家庭自立支援給付金を受ける。

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 「生活保護のことを記事にしないでほしい」と、多くの関係者が口にした。ある関係者は「制度を知らなかった人が自分ももらえると感じる」と声を潜めた。受給者の向こう側では、保護基準を下回る所得で働き、納税し、歯を食いしばりながら生活している人がいる。

 北斗市久根別の男性タクシー運転手(56)は、毎月の手取りが約10万円。妻のパート収入は6万円だ。「この業界はみんな同じ。夜勤務で頑張ると20万円ぐらいにはなるけれど、もう若くないからね」。周囲では不正受給している人も目立つ。「こっちは朝から晩まで働いてかつかつの暮らし。車を買った…とか聞くと頭にくるよ」。

 函館市山の手の男性(27)は、昨年から同市の食品製造会社で契約社員として働いている。毎日10時間近くも働き、やっと手にする手取りは月額19万円ほど。多くの生保世帯が、月給とほぼ同額の保護費を受け取ることに驚く。

 昨年11月に妻(21)を迎えたが、一家の大黒柱であるはずの自分には心もとなさがつきまとう。会社からは当初「3カ月で正社員にする」と伝えられたが、いつしか話は立ち消えに。「契約社員の立場は非常に不安定。家族がいるから正社員を目指して働くしかないけれど、子作りはまだ考えられない」。小遣いは月額4000円。妻はこまめに記した家計簿を広げながら「食材は底値で買う。節約しなければやっていけない。外食はしません」。きっぱりとした表情で言った。(小泉まや)


◎愛と平和 音楽で訴え チャリティーイベント

 イラクの子どもたちの医療支援に向けたチャリティーイベント「ラブピース&チョコレート」が30日、函館市末広町の金森ホールで開かれた。入場料や物販収益の一部が募金される仕組みで、参加者はステージ演奏や飲食を楽しみながら命や平和に思いをはせた。

 同市内のミュージシャンや学生らでつくる実行委(大野友莉委員長)の主催で、昨年2月に続き2回目。非政府組織(NGO)日本イラク医療支援ネットワーク(JIM―NET)の「チョコ募金事業」に賛同して企画し、一口500円のチョコレートを購入すると、白血病の子どもの一日の薬代に当たる400円が寄付される。

 ステージでは7組の地元ミュージシャンらが愛や平和にちなんだ楽曲を披露。聴覚障害者向けに手話や手ぶりなどで音を表現する「ミュージックサイン」も織り交ぜた。会場には市内の飲食・雑貨店13店が並んだほか、イラクのキルトや子どもたちのポスター、愛と平和がテーマの公募アート作品なども展示された。

 この日は市民ら100人以上が来場。自身もステージでライブ演奏した大野実行委員長は「イベントに参加したり、行動したりすることで多くの子どもたちの救える命がある。自分たちに今、何ができるのかを考えるきっかけにしてほしい」と話していた。(森健太郎)


◎北斗市、あす合併4年

 【北斗】道南第二の市、北斗市が誕生し2月1日で丸4年を迎える。同日午前11時から、市総合文化センターで市功労者表彰式を行い、昨年8月、陸上女子800メートルで全国中学校新記録を樹立した岡田芽さん(上磯中3年)に市民栄誉賞を授与する。

 同市は函館市のベッドタウンとして栄えた旧上磯町、旧大野町が合併し、道内では35番目に市制に移行した。

 合併後の選挙で当選を果たし初代市長に就いた海老沢順三市長は、旧上磯町時代から連続9期の当選。今期限りでの引退を表明しているが、1期4年で子供医療費無料化を中学3年生まで拡充したほか、2008年には10カ年の市政の将来ビジョンを定めた第一次総合計画を策定、トマト共選施設の統合などを果たし、合併後の礎を築いた。

 今後の市政は15年度に開業される北海道新幹線を見据えた新たなまちづくりが課題となっており、新市長のもとで新たな指揮を執る。

 現在、2月28日に実施される市長選挙には前副市長の高谷寿峰氏(57)と市議の山本正宏氏(65)が立候補を表明している。

 市誕生4年を迎え海老沢市長は「この4年間で市の未来づくりの基盤はできたと思う。旧町の融和もいっそう深まった」と話してる。