2010年1月4日 (月) 掲載

◎今春にもアイヌ協会函館支部誕生へ

 北海道に居住するアイヌ民族の組織、社団法人「北海道アイヌ協会」の函館支部が今春にも設立される見通しとなった。発起人である函館市湯川町の加藤敬人さん(55)は「函館在住のアイヌの人たちが一人でも多く名乗りを上げ、活動に協力してほしい」と賛同を呼びかけている。

 北海道アイヌ協会には現在、道内各地に48支部があり、会員総数は約3500人。しかし函館にはこれまで支部がなく、アイヌ文化を伝承する活動も活発に行われてこなかったという。

 今回、函館支部の設立に立ち上がった加藤さんは、アイヌ民族であることが発覚したため離婚された母親の下で育ち、さまざまな差別と闘ってきた。昨年9月に居酒屋を経営するために小樽から函館に移住。道内でももっとも早くからアイヌと和人との交流が行われてきたはずの函館で、アイヌの文化がほとんど伝承されていないことに驚き、有志とともにアイヌ協会函館支部を立ち上げることを決意したという。

 加藤さんは「アイヌの地位向上のためには、アイヌの人たちが自らが行動しなければいけない。差別や偏見を恐れてカミングアウトをためらっている人も多いと思うが、ぜひこの機会に名乗りを上げてほしい」と訴える。

 支部ができることで、アイヌ独自の伝統文化の周知活動にも力を入れることができ、刺しゅうや彫刻、歌や踊りなどを道南観光にも活用していけないかと考える。「例えば夏の港まつりで、アイヌ刺しゅうの法被を着てアイヌの音楽に合わせてパレードすれば、市民や観光客にもアイヌ文化の素晴らしさをアピールできる。このようにアイヌの人たちとアイヌ以外の人たちが一体になってできる活動を展開していきたい」と夢は広がる。

 3月に行われる北海道アイヌ協会の総会で承認されれば函館支部が正式に発足するが、現在参加を表明している人はまだ数人しかいないという。加藤さんは「これまで自分がアイヌであることを明らかにしていなかった人も、この機会に勇気を持って手を上げてほしい。アイヌ以外の人も支部の活動を支援してほしい」と協力を呼びかけている。

 北海道アイヌ協会函館支部への問い合わせは、加藤さんまでTEL090・1389・8455。(小川俊之)



◎Uターンラッシュピーク

 年末年始を古里や行楽地で過ごした人たちのUターンラッシュが函館市内でも始まった。ピークを迎えた3日は、道内・本州方面の列車は終日満席で、駅や空港はたくさんのお土産や荷物を抱えた家族連れなどで混雑した。

 JR函館駅の改札口では「おじいちゃん、またねー」と泣きながら手を振る子どもや「元気でね」と声を掛け合い別れを惜しむ人たちの姿が多く見られた。函館市内の実家に帰省し、東京に戻るという家族連れは「年末年始は天気が悪かったが、おいしいものをいっぱい食べてゆっくり過ごすことができた」と笑顔だった。

 JR北海道によると、3日は函館―札幌間の北斗は上下線で終日満席。特にスーパー北斗3号・7号は乗車率100%を超し、通路開放などで対応した。函館―青森間の白鳥も午後から満席が続いた。本州方面、札幌方面ともに4日以降も混雑は続く。両方面とも4日はほぼ満席だという。

 函館空港のピークは2日だったというが、3日も本州方面への早朝便や夕方から夜にかけての便が満席となった。東京から帰省していた男性(28)は「お正月はゆっくり過ごせた。明日から仕事なので頑張りたい」と話し、帰路へ就いた。(小杉貴洋)



◎「口腔ケアで健康に」高齢者対象に講座開講

 市立函館保健所は、高齢者の口腔(こうくう)ケア事業に力を入れる。あまり重要視されなかったり見過ごされがちだが、健康や介護度に密接にかかわる口内環境を整えることで、介護予防につなげる。1月から初回の講座を開催し、内容を検討して4月以降に本格実施する。

 道歯科衛生士会の歯科衛生士、宮原千晶さんは、口中にで気付かないうちに食事のかすがたまったり、細菌が増殖することについて、「そのままにして歯周病や虫歯になると、かむことが苦手になって食事をきちんと取れないことにもつながる」と指摘。「栄養を取れないと運動できなくなり、介護が必要な状況につながる悪循環に陥ることから、重視してほしい」と強く訴える。

 特に高齢者に多い入れ歯については、「入れ歯にしたので清潔でなくてもいいと思っている人や、就寝時に付けたままにしている人もいるが、きちんときれいにし、寝るときは歯を休ませるために外してほしい」と語る。講座では、こうした基礎知識から伝え、ブラッシングの方法など、個人の口内環境に合った対応を指導する。

 初回の「シニアの元気歯つらつ教室」は、21、28日、2月4、18日に4回連続で実施する。歯科衛生士が中心になり、口の健康についての基礎的知識を学び、口の健康チェック、ブラッシング指導、健口(けんこう)体操などを実践し、口腔内を健康に保つ方法などを身に付ける。

 開催場所は市総合保健センター(函館市五稜郭町)で、時間はいずれも午前1時半から午後3時半。6日から20日まで、電話で受講の申し込みを受け付ける。要介護でない65歳以上の市民が対象で、定員は15人。申し込み、問い合わせは同保健所健康増進課TEL0138・32・1515。(小泉まや)


◎自覚と責任20の誓い…木古内町成人式

 【木古内】木古内町の成人式が3日、町中央公民館で開かれた。町民や家族らから祝福を受け、20歳の自覚と責任をかみしめながら、大人としての一歩を歩み出した。

 今年の新成人は、1989年4月2日から90年4月1日までに生まれた56人(男性38人、女性18人)。そのうち42人が出席し、男性はスーツや紋付きはかま、女性は振り袖姿で式典に臨んだ。

 式典では、新成人を代表して敦澤裕也さん(20)と山木真由子さん(19)が町民憲章を読み上げ、参加者全員で木古内賛歌を斉唱。大森伊佐緒町長は祝辞で「20歳という人生の大きな節目を迎えた。これからの長い人生を前向きに切り開いていってほしい」と祝辞を述べた。

 新成人が一人ずつ自己紹介をして、近況や将来の夢、目標を発表。「資格を取りたい」「社会の役に立ちたい」などと語ると、大きな拍手が送られた。新成人代表の中山花乃子さん(20)が「大人としての責任と自覚を持ち、郷土の発展に貢献することを誓います」と謝辞を述べ、参加者全員で祝杯を挙げた。

 式典の後、新成人らは互いに成長しあった姿をカメラに収めるなどして、旧友との再会を喜び合った。

 木古内町では、進学や就職で町外に出ている若者が多いため、正月休みで帰省しているこの時期に毎年、成人式を行っている。(松宮一郎)


◎JR函館駅コンコース道新幹線ブース設置

 JR函館駅コンコースの一角にこのほど、北海道新幹線の工事進ちょく状況や、本州方面のお得な旅行商品などを紹介する「新幹線ブース」が設置された。今年12月に迫った東北新幹線新青森駅開業を控え、函館でも5年後に迫る北海道新幹線開業の機運を盛り上げていく。

 ブースには福島町の鳴海健児さんがコンブで製作した新幹線模型「雲竜号」の実物を展示。このほか、北海道新幹線の工事状況を表した地図、函館、青森それぞれでのトンネル工事の進ちょく状況などを作業風景の写真も交えて紹介している。

 このほか、「2010年12月 東北新幹線新青森駅開業 これからは新幹線に乗り換えよう!!」と書かれたカラーパネルを掲示し、東北方面のお得な旅行商品など9種類のパンフレットをそろえている。

 JR北海道函館支社は「新青森駅開業で東京への移動時間も短縮されるので、JRを利用してもらえるよう今からアピールし、5年後の北海道新幹線開業につなげたい」としている。ブースは来年3月ごろまで設置する予定で、展示物の更新やスペースの拡大も検討している。(宮木佳奈美)