2010年1月6日 (水) 掲載

◎心の電話 子を支え…チャイルドラインはこだて5年

 18歳以下の子ども専用電話「チャイルドラインはこだて」(小林恵美子代表)が2004年12月に常設されてから、丸5年の節目を迎えた。現在15人の大人が電話の「受け手」となり、受話器の向こう側にいる子どもの声を受け止めている。直接子どもと関わる受け手の思いをその場で聞き、心の負担を減らす役割を担うのが「支え手」と呼ばれるスタッフだ。5年間、主に「支え手」として運営に携わった小林代表は「函館で子どもの声に耳を傾けてくれる大人が増えれば」と話している。

 「友達とうまく話せない」「お母さんに優しくしてほしい」―。チャイルドラインはこだてに掛かる電話の内容はさまざま。悩みを打ち明けなくても構わないので、「何か話してみたかった」「九九が言えるようになった」などの場合も。名乗らず、切りたい時に切って良いのも特徴で、多くの子どもの心の拠り所となってきた。

 時には「妊娠したかも」「死にたい」といった深刻な相談が寄せられることもある。こうした緊急対応が必要な場合に受け手がパニックになるのを防ぐため、支え手のスタッフも常に事務所で待機している。受け手から「ヘルプ」の合図を受けると「丁寧に聞いてあげて」など適切なアドバイスを送るほか、電話を終えた受け手の話し相手となることで思いをため込ませず、子どもの秘密を外部に絶対漏らさない状況を作っている。

 小林代表は「最前線で子どもと接する受け手が安心して活動できる環境を作るのが目的」と話し、「うれしい反応もあれば、子どもの大変な思いを聞くこともある。子どもたちが身近な大人に話せないのが寂しく感じることもあるが、電話で自分を維持してくれれば」と語る。

 活動を振り返り、「常設当初は秘密厳守が本当か疑心暗鬼の子もいたが、今では浸透し、友達の紹介で掛けてくる場合もある」といい、「子どもが自信を持ち、自分を受けとめられるようになってほしい」と話している。

 チャイルドラインはこだてはフリーダイヤル0120・99・7777(月―土の午後4時から同9時まで)。木曜日は函館で対応する。現在、運営委員や会員を募集中。一般会員1口2000円、学生同1000円など。問い合わせは泉澤光子さんTEL・ファクス0138・54・7037。(新目七恵)



◎よさこい参加減少傾向の中、新チーム立ち上げへ

 よさこいソーラン踊りの新チームが、この春、函館で結成される可能性が高まっている。ジュニアチーム「夢限舞童(むげんぶどう)」が、新たに一般チームの募集を始めたもので、道内全体でチーム数が減っている状況の中、外崎仁代表は「北海道に根付いた文化を、今後も多くの住民が身近で見られるようにしていきたい」と意気込んでいる。

 よさこいソーランは、高知のよさこい祭りをモチーフに、北海道伝統のソーラン節の旋律に合わせた演舞。今では北海道のまつりを盛り上げる存在として老若男女に親しまれている。毎年、初夏に札幌で大会が開かれ、全道各地の精鋭チームが集う。また、運動会などの地域イベントでもプログラム種目として取り上げられることも少なくない。

 しかし、道南では2000年前後を境に、踊り子の減少が加速傾向に。関係者によると01、02年には20チーム近くが活動していたが、現在は7、8チームに。道南に限らず、道内全体でもチームの解散が相次いでいるという。「一時的に注目を浴びて競技人口も爆発的に増えたが、その分、活動が下火になるのもあっという間だった」と関係者は振り返る。

 この状況を打開しようと動いたのが、道南の強豪ジュニアチーム「夢限舞童」。ジュニアチームの卒業生(高校生以上の活動の場づくりも狙って、子どもと大人が混合する新一般チームを立ち上げようと、昨年12月27日に市内で説明会を開いた。

 新聞などで説明会を周知したものの、「もしかしたら誰も来ないかも…」と外崎代表は不安のまま当日を迎えたが、20代の3人が来場。具体的な活動内容を1時間にわたり熱心に伝えるとともに、「大人が懸命に頑張る姿が子どもたちにいい刺激を与える。狙うは札幌大会大賞」とよさこい談義に花が咲いた。

 すでに新チームの演舞についての構想も固まっており、道内ですでに解散したチームから旗を譲ってもらい、振りかざす予定だ。「札幌大会のファイナル出場を夢見てやむを得ず解散したチームは多い。その関係者の思いを再び輝かせたい」と外崎代表。ジュニアチームとの両立にも「不安よりも楽しみで一杯」ときっぱり。

 説明会に来た市内の男性(23)と女性(27)は「小学生のときから活動していたので、よさこいは生活の一部。説明を聞いて本気で頑張りたいという気持ちになった」、七飯町の男性(23)も「人を喜ばせ、仲間と一体感を味わえるよさこいはなくてはならない存在。この話を口コミでもっと広げていきたい」と話していた。

 1月中旬にも新チームについて2回目の説明会を開催する予定。問い合わせは外崎代表TEL090・1302・6969。(田中陽介)



◎大間航路 8月末まで運航延長

 1月末を期限に函館―大間(青森県)航路を暫定運航する津軽海峡フェリー(函館市港町、関根二夫社長)は5日、8月末まで運航期間を延長すると発表した。青森県、大間町との3者で6月末までに、航路存続に必要な新造船導入などの具体策を詰める方針で、結論が出るまでの運航が確保されることになった。

 同航路の存続には、更新時期が迫る現行フェリーの代わりとなる船が不可欠で、新造船の導入が課題となる。昨年12月24日に開かれた同社、県、町の3者協議では航路や新造船の必要性で認識が一致。新造船導入には約30億円を要することから、費用負担なども含め具体的な方策を協議することになった。

 2月1日から8月末までの暫定運航に関する費用負担については、町が一部財政支援する意向を示しているが、町議会が難色を示したため、同社とはまだ調整がついていない。

 同航路の存続をめぐっては、県、町が赤字の場合、1億2000万円を上限に財政支援する形で同社が2009年末までの1年間、暫定運航。その後、新造船などの協議が先送りとなったため、同社が1月末まで自主的に運航すると発表していた。

 同社は、6月末までに出る協議の結果を待って、9月以降の運航を判断する。ただ、夏季繁忙期の利便性や、乗船予約を2カ月前から受け付けていることも踏まえ、運航期限を8月末とし、現行通り原則1日2往復する予定。(宮木佳奈美)


◎昨年の函館 気温高く…年間平均気温8年連続

 函館海洋気象台は5日までに、2009年の1年間と、同年12月の管内の気象状況をまとめた。函館の年間平均気温は9・5度で、平年の8・8度を0・7度上回り、2002年から8年連続の「高い」となった。降水量は1339・0ミリ(平年1160・3ミリ)で多くなり、日照時間は1677・8時間(同1782・0ミリ)で少なかった。12月の函館は、平均気温は0・1度(同氷点下0・1度)で平年並み。日照時間は86・5時間(同93・0時間)で少なく、降水量は119・5ミリ(同79・6ミリ)でかなり多かった。

 2009年の管内は、冬は冬型の気圧配置が長く続かず、高温多雨、春は天気に恵まれて高温多照、夏は前線を伴った低圧の通過で低温多雨、秋は台風の接近はあったものの平年並みの気温で少雨だった。

 管内で、年間平均気温の平年差が最も大きかったのは函館。函館は夏(6―8月)は平年並みだったが、以外はすべて高かった。江差は10・2度(平年9・8度)で0・4度高。年間気温が「高い」となったのは函館、江差と北斗で、以外は平年並みとなった。

 年間の降水量は各地で、7月の長雨や、2、12月に多くなり、上ノ国を除くすべての地点で多かった。最も多かったのは福島町千軒の2489・0ミリだった。函館は10月、2007年の台風9号以来、2年ぶりに台風が接近した。

 日照時間の平年比は各地で差があり、少なかったのは函館。厚沢部町鶉や江差などは平年並みで、八雲町八雲、木古内、松前などは多かった。

 2009年12月の函館は、上旬は晴れた日が多くなり、9、10の両日は相対湿度が32%で、12月として2番目に低くなった。中旬からは冬型の気圧配置や低気圧の影響で雨や雪が多くなった。降雪の深さは129センチで、同5番目に多かった。江差の降雪の深さは74センチで、同4番目の多さだった。(山崎純一)


◎郷土誇れる社会人に…厚沢部で成人式

 【厚沢部】厚沢部町教委主催の成人式が5日、町民交流センターで開かれた。進学や就職で故郷を離れているが、年末年始に帰省中という新成人も交えた27人(男16人、女11人)が、晴れがましい笑顔で大人への仲間入りを喜び合っていた。

 同町の成人式参加対象者は、1989年4月2日から90年4月1日までに生まれた47人(男28人、女19人)。今回から新成人全員が“平成生まれ”になった。女性は全員が色鮮やかな振り袖姿で参加し、家族や懐かしい友人たちと、記念撮影を楽しみながら旧交を温めていた。

 山畔清悦教育委員長は「町内では農商工それぞれの分野でUターンが多くなってきた。町は雇用の場を確保するため企業誘致などに全力で取り組み、皆さんを迎える準備を進めている。人口の減少が続いているが、若い皆さんの力で厚沢部を盛り上げて欲しい」と式辞を述べた。

 来賓の渋田正己町長は「町内では『素敵な過疎のまちづくり』を掲げて、移住や定住の取り組みを活発に進めている。皆さんは新時代を作り出す担い手として、大きな期待を寄せている」とあいさつした。

 新成人代表の月居大介さん(新町)と細畑智恵美さん(館町)は「厚沢部町民として自信を持って郷土を誇れる社会人になります」と宣誓。細畑利治町議会議長ら来賓から祝杯を受けると、杯に注がれたお神酒を満面の笑顔で飲み干していた。(松浦 純)