2010年1月8日 (金) 掲載

◎1年の無病息災を祈る…道南の寺社で「どんど焼き」

 道南の寺社では7日、「どんど焼き」(焼納祭)が行われ、訪れた人は古いお札や正月のしめ飾りなどをたき上げ、燃え上がる炎に手を合わせたり、煙を体にかけ無病息災を祈った。

 どんど焼きは一般的に、小正月の15日に行われるが、道南は松の内の最終日である7日に開かれる。函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)では、境内に灰などが飛ばないように網で囲った「忌床」(いみどこ)と呼ばれる場所を設け、持ち込まれた正月の松飾りなどからプラスチックなどを外して山積みし、祭礼を行った。

 神職が祝詞をあげ、氏子らが玉串をささげた後、拝殿で採られた忌火(いみび)を破魔矢(はまや)に移し、火が付けられた。熊手や福笹が燃え「パーン」という音が響く中、頭を深く下げお参りする人が見られた。函館八幡宮敬神婦人会の鈴木慶子副会長(68)は「家族の健康と、春から小学校に通う孫の通学の安全をお祈りしました」と話していた。

 同八幡宮によると、近年はたき上げる量は変わっていないが、大きな飾り物は少なくなっている。忌床の火は8日まで付けられる。(山崎純一)



◎大雪の影響で除雪用具売り上げ大幅増

 年末からの大雪の影響で、函館市内では除雪用具の売り上げが大幅に増えている。特に、例年は動きの少ない大型のスノーダンプやアルミ製の強固なスコップなどが売れ筋という。街中では使いなれない用具を手に雪かきに奮闘する市民の姿が目立っている。

 道南最大規模のホームセンター「ホーマック スーパーデポ石川店」では、屋外販売コーナーに多種多様な除雪用具や融雪剤が並んでいる。同店の山崎真史さんによると、積雪がほとんどなかった12月中旬まではまったく売れない状況だったが、年末に入ると買い求める客が激増。「初売りの1月2日は例年の4倍を超える売り上げだった。7日現在ですでに昨シーズン(10月から3月まで)の売り上げと並んでいる」と驚く。

 特に今シーズンは、雪の少ない函館ではほとんど見かけることのない大型のスノーダンプや、硬く凍った路面を砕くためのアルミ製のスコップなどに人気が集中。昨季はシーズンを通し10台の売り上げだったアルミ製のスノーダンプが、今季は仕入れた15台がすでに完売した。これまで備えていた軽微な用具では対応しきれず、あわてて買い求める傾向がうかがえる。

 同店では、除雪用具一台購入につき家庭にある古い除雪用具一台を無料で引き取るサービスも行っており、山崎さんは「この機会にぜひ丈夫な除雪用具をそろえて、今後の積雪に備えては」と呼び掛けている。

 道南を中心にチェーン展開する「イエローグローブ」の各店舗も、大幅な売り上げ増となっている。このうち「ジャンボイエロー港店」(同市港町3)では「今後も不安定な天候が続くようなので、さらに売り上げが伸びるのでは」と話している。 (小川俊之)



◎はしご乗りの演技次々披露 市消防出初め式

 新春恒例の函館市消防出初め式が7日、函館市民会館で開かれた。消防職員160人、消防団員650人を含む計1000人、消防車両10台が参加。伝統の「はしご乗り」の演技や消防訓練などが披露され、災禍のない一年を祈願した。

 同会館駐車場では、西尾正範市長の合図で、はしご車に取り付けられたくす玉が割られ、屋上から特別救助隊員がロープで降下し、屋外式典がスタート。消防音楽隊の演奏に合わせて、少年消防クラブや婦人防火クラブ、消防団員らが分列行進した。

 また、伝統の火消し装束姿で登場した市消防団「町火消し」のメンバーは、勇ましいかけ声とともに纏(まとい)回しや、はしご乗りの演技を次々と披露。高さ約7メートルのはしご上で大きく両手や両足を広げ、絶妙のバランスを取ると、来場した市民から盛んに歓声や拍手が送られた。

 屋内式典では、西尾市長が「災害に強い街づくりに積極的に取り組む。消防職員は市民の防人(さきもり)となって安全を確保することを切望する」とあいさつ。向平博吉消防長が「先人の築いた歴史と伝統を礎に、市民の安全と安心確保にまい進することを誓う」と決意を述べた。(今井正一)


◎全国朝市サミット 来年は10年ぶり函館開催

 朝市の活性化や地域振興などを目的に全国の市場関係者らが情報交換する「全国朝市サミット」が、2011年秋に函館市で開かれることが決まった。全国持ち回りで毎年行われ、函館が開催地になるのは、01年以来10年ぶり。

 サミットでは主に総会やシンポジウム、朝市の視察、交流会などが行われ、開催地によって物産展や分科会なども開かれる。1988年に秋田県五城目町で行われたのが始まり。第2回は7年後の95年に同町で行われ、それから毎年、北海道から九州までの全国各地で開催。今年の第15回サミットは千葉県勝浦市で開かれる。昨年11月に長崎県佐世保市で開かれた第14回サミットで、2011年の開催地が函館に正式決定した。

 前回、函館で開催された01年は、全国18地域から250人の朝市関係者らが出席。3日間にわたり、総会や分科会、物産展などが行われた。16回目となる来年のサミットの詳細はまだ固まっていないが、150店舗が加盟する函館朝市協同組合連合会(井上敏廣理事長)が中心となって日程や内容などを詰めていく。

 同連合会は「サミットの認知度を高めるためにも、今年はプレイベントなどを企画し、来年の函館開催につなげたい。全国各地の朝市を紹介するなどし、サミットが終っても朝市を継続的に盛り上げていきたい」としている。(宮木佳奈美)


◎【企画 函館の除雪はなぜ遅いのか・上】市民生活を直撃 苦情殺到

 函館市土木部維持課にある9台の電話には、三が日が明けた4日以降700件を超える除雪に関する苦情がひっきりなしに寄せられている。内容は「車庫から車が出せない」「ハンドルが切れない」など、車の走行に関するものが大半を占めた。職員は終日対応に追われ、「電話を手にしていない職員がいなかったほど」(同課)という。

 函館海洋気象台によると、今冬の同市内の累積積雪量は168センチ(6日現在)と平年値の約2割増で、大みそかから降雪が続いた1日には最深積雪値が今季最高の32センチに達した。市維持課は「圧雪となっていた雪が溶けはじめたことと、多くの仕事始めが4日だったことから苦情が殺到したのでは」とみる。特に最高気温がプラスに転じた5日以降に電話が集中している。

 積もりに積もった雪は、市民生活に大きな影響を及ぼしている。堀川町の市道に面する勤務先前を除雪していた奥村実さん(31)は「お金の問題もあり細い道まで除雪はしづらいだろうが、これだけ降っている時には対応を考えてほしい」と訴える。市民に開放されている新川町の雪捨て場に、回収した雪を運んできたガソリンスタンド従業員(34)は「市はあてにできない。幹線道路はもちろん、生活道路も大切だと思うけど…」と半ばあきらめ顔だ。

 一方、市消防本部は「救急車の到着が大幅に遅れたことはないが、隊員からは『生活道路ではとても神経を使う』と報告を受けている」と話す。市内のタクシー会社が「車がぬかるみにタイヤを取られ、他の車が救援に向かうことが1日に3、4件あった。道の状態が悪くお客の家まで行けないこともある」という通り、この悪路にはプロも苦戦している。

 市民のモラルを問う声もある。除雪した後の雪が1カ所に集められ、交通の障害となっているケースだ。中道の自宅前で雪をかいていた中村純さん(32)は「交差点の四隅に雪を寄せてあり、安全確認ができない。寄せ雪で道幅が狭い上に路上駐車も多くて通行できないこともあった」と憤る。

 苦情件数が示すように、大雪とその後の除雪態勢が原因で市民のストレスはピークに達した感がある。市は「除雪費の補正も検討しなくてはならない」と危機感を強めている。
                     
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 函館市の除雪作業に対し、多くの市民が不満を漏らしている。正月早々から大量の降雪に見舞われた市は、6日から今冬2度目の生活道路の除雪を開始。しかし、「幹線道路以外の除雪が少ないのはなぜか」「歩くのも困難」と市民の不満は募る一方だ。同市の除雪はなぜ遅いのか、改善策はないのか―。関係者の話をもとに検証する。 (山田孝人)