2010年1月9日 (土) 掲載

◎白肌の貴婦人チコリ収穫期

 【北斗】シャキシャキとした歯触りが特徴の西洋野菜「チコリ」が、北斗市追分の農家白石裕昭さん(49)方で収穫期を迎えている。遮光と保温のためのもみ殻の下から一つ一つ丁寧に掘り起こされ、白い姿を次々と現している。

 チコリはヨーロッパ原産のキク科の高級野菜で、白菜のしんに似た15センチほどのラグビーボール状の白い葉が特徴。「野菜の貴婦人」とも呼ばれ、主にフランス料理やサラダなどに使われる。栽培が難しいため、現在、道南で生産するは白石さんただ一人だ。

 チコリは畑で育てた株をいったん抜いて保管し、昨年11月にハウス内に移植。日光に当たって青色に変色するのを防ぐため、約1カ月間、土の上にもみ殻を約30センチの厚さに覆ってから収穫する。主に札幌向けに出荷され、1キロ1000―1300円前後で取引される。

 今年は例年並みの約1トンの収穫を予定。「10年以上も試行錯誤してようやく自信を持てる品質に仕上がった。まだなじみの薄い野菜だが、この時季しか食べられない旬の味を多くの人に知ってもらいたい」と白石さん。出荷作業は4月ごろまで続く。

 白石さんが生産したチコリは市内大工川の直売所「六輪村」のほか、ホクレンショップ函館昭和店、コープさっぽろほくと店でも一部販売している。 (森健太郎)



◎目標達成困難 メタボ健診受診率低迷

 40―74歳を対象に行われている特定健康診査(いわゆるメタボ健診)の函館市の受診率が低迷している。2009年度の国民健康保険加入者の受診率は11月末時点で12・0%で、目標とする35%の達成は非常に困難な状況。後期高齢者支援金の加算・減算基準となる12年度目標は65%だが、現時点では達成できる見込みが立っておらず、最大で3億6000万円加算されるペナルティーを課される可能性が高い。

 国は08年度、メタボリックシンドロームの予備軍や対象者を削減し、健診受診率を65%とするなどの目標を定め、特定健診をスタートした。函館市でも同年6月から、市総合保健センター(五稜郭町)や個別医療機関などで健診が始まった。

 同市は08年度、受診率目標を25%として取り組んだが、結果は20・0%止まり。対象者5万3456人中、受診したのは1万682人。年齢別の受診率は60―74歳が20―27%台と健闘したが、40―44歳では7・4%にとどまるなど、働き盛りの年代の受診率が大きな課題となった。

 対策として、昨年度問題となった受診券を持参しないケースに対しては、保健所などで本人確認し受けられるように工夫。本年度は、10月に町会の回覧板を通して各家庭への周知を徹底した。12月上旬には08年度に受診したが本年度はまだ受けていない約2000人を対象に再度案内を送り、受診率アップの工夫をしてはいる。

 しかし対策の結果がなかなか数値には表れない。本年度の受診状況は前年度より悪化しており、11月末現在の受診者数は前年同期比約200人少ない。特に個別医療機関での受診が約160人少なくなっていることから、市国保年金課は「新型インフルエンザへの対応に追われている影響があるのではないか」と推測する。

 このままでは前年度以下の結果にもなりかねない状況を前に、同課は抜本的な対策を見付けられず困惑する。「同支援金が加算された場合、最大で1人当たり年間保険料は4000円増額の可能性もある」として、受診を強く呼びかける。

 特定健診の市総合保健センターでの受け付け時間は、毎週月曜(午後1―3時)、水・金曜(午前8時半―10時半)、毎月第2火曜(午後5時半―6時半)など。日曜日も毎月1回行う。問い合わせは同課TEL0138-32-2215。 (小泉まや)



◎110番受理件数 微減の3万5千件…道警函本昨年1年間

 道警函館方面本部は10日の「110番の日」を前に、昨年1年間の「110番」受理状況をまとめた。全体の有効受理件数は、前年比139件減の3万5087件で、1日当たり96.1件だった。この中には、緊急性が低い警察への要望や苦情、照会などを合わせて約1万件が含まれている。通信指令室のある函本地域課では「110番は緊急通報。相談事は『♯9110』を利用するか、最寄りの警察署、交番を利用して」と呼び掛けている。

 主な内訳をみると、事故の発生などを連絡する交通関係は6989件と約300件の増。刑法犯関連は1998件で170件ほど減少した。口論・けんかは1565件、災害関連は637件だった。また、市民から警察への情報提供は7294件と1000件近く減少した。

 緊急性の低い要望や苦情は4171件、各種照会が5753件あり、全体の約28%を占める。この中には、遺失物や拾得物に関することや法の改正点などを問う内容など、本来の利用目的とは違うものが多いという。また、いたずらとみられる通報が約2800件あり、通報後の無応答や押し間違いなどを合わせると6444件あった。

 全通報のうち、携帯電話からの通報が半数以上の約1万9300件を占めた。衛星利用測位システム(GPS)機能付きの携帯電話からは、通信指令室で通報場所が特定できるが、現在地を正しく説明できない場合も多い。同課では、110番は「通報前に近くの目印となる建物や住所を確認してほしい。歩きながらの通話や運転中は車を停止させて」と話している。

 同方面管内の各警察署では10日に「110番の日」の関連行事を実施し、市民に正しい通報方法を啓発する予定。(今井正一)


◎函館音楽協会賞に市川氏と市民オペラの会

 函館音楽協会(吉田淳子会長)は8日までに、2009年度の協会賞と奨励賞を発表した。協会賞にはマリンバ奏者で前函館音楽協会会長の市川須磨子氏と函館市民オペラの会、奨励賞にはチェンバロ奏者の森洋子氏とピアノ奏者の高実希子氏が選出された。表彰式は23日午後6時から五島軒(函館市末広町4)で開かれる。また6月18日には函館市民会館で行われるガラ・コンサートで受賞記念演奏が予定されている。

 両賞は、年度中(1―12月)における個人・団体の音楽活動を対象に選考。協会賞は過去からの実績の蓄積や郷土の音楽文化推進への特段の功績に対し、奨励賞は作曲や演奏活動で高水準の実績を示し郷土の音楽活動の推進力となったことに対し贈られる。

 市川氏は「マリンバはこだて」を主宰し後進の指導に当たるとともに、演奏家としてソロ・アンサンブルの両面で幅広く活躍。1999年から2008年まで「打楽器の世界」の実行委員長として、函館圏の打楽器音楽の振興に務めた。また、函館音楽協会会長や函館市文化団体協議会副会長を務めるなど、函館の音楽文化の発展に貢献した。

 函館市民オペラの会は、1990年の発足以来20年にわたり毎年欠かさず公演を続け、函館におけるオペラの普及、発展に多大な尽力を注いできた。出演者やスタッフに加え、脚本、指揮、演出に至るまですべて地元のアマチュアで構成されており、他の団体には例を見ない活動内容や運営組織が評価された。

 森氏は福岡県出身で、桐朋学園大学研究科古楽器科修了。1991年にはアメリカのチェンバロコンクールで優勝し、東京を中心に活動を展開。2006年には函館に拠点を移し、卓越した音楽性と技術でチェンバロの魅力を伝えることに力を注いでいる。

 高氏は函館市出身。桐朋学園大音楽部演奏科ピアノ専攻を主席で卒業後、パリ国立高等音楽院に学ぶ。現在は函館短期大学非常勤講師を務めながら、函館、東京、パリを中心に活動。昨年11月には函館市民オーケストラ創立30周年記念演奏会のソリストとしてショパンの瑞々しい演奏を披露した。 (小川俊之)


◎【企画 函館の除雪はなぜ遅いのか・中】委託業者の数が足りない

 「予算がないから除雪に入れないのでは」。生活道路の除雪が遅れている原因について、市民の見方はほぼ一致している。しかし、西尾正範函館市長は「除雪に使えるお金は3億円。現時点で使ったのは9000万ほどで、予算はまだある」と話す。ではなぜ生活道路の除雪が遅れるのか―。

 除雪作業は函館市内を25ブロックに分けて実施しているが、「幹線道路から進めざるを得ず、現在は生活道路まで追いついていない。順次進めているので、もう少し我慢してほしい」と、西尾市長は市民に理解を求める。

 昨年12月31日から今月1日にかけて大量の雪が降り続いたことから、市は2日早朝からバス路線など幹線道路の除雪を開始。6日に全線完了するまでの間、作業を終えた委託業者から順に生活道路の除雪に振り向けている。当初はフル出動での稼動で10日までの除雪完了を目指していたが、作業は思うように進んでいない。

 市では2004、05年と2年続いた大雪を教訓に幹線、生活道路の除雪に対する出動基準を定めた計画を策定。内容は市内を25ブロックに分割し、基準に基づき市が出動の判断を下して、委託業者が担当するブロックを除雪するというもの。生活道路の除雪基準は積雪深が20センチ以上、わだちの深さが10センチ以上の両方に達した場合とされているが、「業者数にも限りがある」(西尾市長)と言う通り、全市に手が回らないのが実態だ。

 市土木部維持課も「委託業者の数が足りない」と同様の理由を挙げる。現在、市が委託している除雪業者は23社。02年には30社が登録していたが、年々減少傾向にある。原因は公共事業の減少で、除雪を行える土建業者が減っていることや、夏場に除雪機材を維持する費用が大きな負担となり、除雪事業から撤退する業者もいるためだ。

 同市では2004年度に累積積雪量が320センチ、05年には449センチとなり、2年連続で除雪費用の決算額が当初予算を上回る事態となった。しかしそれ以降は暖冬傾向が続いて、各業者の出動回数も減っている。「降るか降らないか分からない雪に対して、大きな設備投資をするのは怖い」という声もある。

 市はこうした現状を踏まえて「市民協同の除雪」に協力を呼び掛けている。市民向けに新川公園三角グラウンド(上新川町)など市内3カ所を雪捨て場として開放しているほか、学校など公的施設の歩道除雪用に小型機械の無償で貸し出す。また、企業や団体に協力を呼びかけ、除雪ボランティアも募っている。しかし、いずれもわずかの申し込みにとどまっており、市の周知不足という印象は否めない。今後は、PRの徹底とともに、「できるところは自らの手で」という意識の広がりも求められそうだ。