2010年2月12日 (金) 掲載

◎恵山でサクラマス好漁 1月は過去最高の20トン

 厳寒期に最盛期を迎えるサクラマス漁が、函館市恵山町で好調だ。JFえさん山背泊(やませどまり)支所では1月、同月としては過去最高の水揚げとなる20トンを記録。例年だと3、4トンで、漁業関係者は「この1カ月で5年分の漁があった。値は落ちたが、この調子でほかの漁も豊漁になってほしい」と浜は活気づいている。

 同支所組合員150人のうち100人が一本釣りでサクラマス漁を行う。ことしは1月8日から出漁。年明け直後に恵山沖合にまとまったサクラマスが入り込み、記録的な大漁につながったとみられる。

 同支所では同月、1人で1日140`の水揚げが最高。市場へ出荷するための箱が底をつき、同椴法華支所から急きょ持ち運ぶこともあったという。

 平年だと1キロ1000円ほどの浜値がつくが、「大漁時は半分の値段だった」(同支所)。2月に入り、漁獲量は平年並みに戻り、浜値も落ち着きつつある。

 同支所は「マスは5年で戻って来る魚で、稚魚の放流とうまく結びついて今季の豊漁になったのでは。大漁で値崩れはしたが、浜の勢いを景気づけてくれた」と話している。漁は4月ごろまで続く。(田中陽介)



◎LED普及で温暖化対策を 15日に対策地域協議会発足

 函館市内の企業や大学、町会などが集まり、省エネ効果の高い発光ダイオード(LED)照明の普及に向けた「はこだて地球温暖化対策地域協議会」(仮称)を発足する。同種の協議会はすでに道内各地で立ち上がっているが、道南地域では初めて。LEDなど省エネ機器導入時に国から受けられる補助金の受け皿団体としてセミナー開催などを通じ、民間企業や一般家庭などへの導入を目指している。設立総会は15日午後1時からサン・リフレ函館(函館市大森町)で行う。(千葉卓陽)

 LEDは一般的な蛍光灯に比べて寿命が長い上、消費電力を大幅に抑えられるため、二酸化炭素(CO2)の排出量削減効果が高い。一方では導入費が高額のため、普及が進んでいないのが実態だ。

 しかし、温室効果ガスの排出抑制に取り組む地域で協議会を設立し、LEDをはじめとする省エネ機器の導入に取り組むことで、環境省から総事業費の3分の1を限度に補助金が受けられる。同協議会は補助の受け皿として設立を決めた。

 道内では札幌、千歳、北広島などで28の地域協議会が発足している。地元関係者は昨年5月に設立された「サッポロ地球倫理協議会」への視察をはじめ、道経済産業局などと連携して準備に当たってきた。主な事業内容としてはLED照明、ソーラーパネルなどの導入促進を行うほか、エコドライブ推進、補助金制度の紹介などを想定。年1回以上の環境セミナー開催も予定している。

 同協議会にはLED照明を取り扱う地元企業をはじめ、学術機関や交通事業者など計20団体が参加。函館市環境部がオブザーバーとして加わる。関係者は「技術面や法整備の面でCO2削減の間口が広がっており、協議会で幅広く取り組みたい。国や自治体の補助金があっても、使い方がわからない場合の力になれれば」としている。



◎内閣府プログラムで3カ国の障害者ら来函

 障害者支援の社会活動に携わるイギリス、フィンランド、ドイツの当事者ら12人が11日、函館車いすバスケットボールクラブ「ハダーズ」(山田行広代表)の選手と交流した。本道で初めて実施する内閣府の「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」の一環。参加者は競技用の車いすに試乗し、障害者スポーツの楽しさを共有した。

 このプログラムは2002年度から実施。障害者のほか、高齢者、青少年の各分野で活動する日本と海外の若者の相互交流を通じ、「共生社会」を築くリーダーの能力向上やネットワーク形成を図るのが目的だ。本道では障害者分野の参加者を札幌と函館で受け入れ、函館では道国際交流センター(HIF)が協力する。一行は10日に来函し、13日にはセミナーで地元関係者と社会参加の在り方などを協議する予定。

 11日は社会福祉法人函館仁愛会函館リハビリセンターを訪れた後、市総合福祉センターでハダーズの選手と面会した。選手は競技用の車いすの特徴を紹介し、普段の練習メニューを実演。シュートを決める度にプログラム参加者から拍手が沸くなど和やかな雰囲気に包まれた。

 当事者でつくるフィンランドの人権擁護団体「トレスホールド協会」議長のアム・ウルホネンさん(29)は「リハビリセンター利用者は障害が重いためか支援に『受け身』だったが、ハダーズの選手は自主的に可能性をつかもうとしている。セミナーで各国の現状を報告し、意見交換したい」と話していた。(新目七恵)


◎生活保護企画で読者から反響 立場や環境で意見分かれる

 函館新聞が連載(1月28日―2月1日)した生活保護の現状と課題について考える企画「15%の負担」に対し、読者からさまざまな反応や感想が寄せられた。意見からは、納税して受給者を支える側と支えられる側の見解の違いや、制度そのものへの理解不足からくる誤解がある現状などが浮き彫りとなった。

 納税者側からは、受給者の働く姿勢についての疑問を持つ声が寄せられた。70代の男性は「働く場所は選ばなければたくさんある」と、きつい仕事や汚い仕事を外国人などに任せている現状を指摘。「楽な仕事がないからといって生活保護を受けるのは甘やかしではないか」と厳しく批判する。受給者を雇用したことがある自営業の60代男性(函館市)は「その人だけかもしれないが、無断欠勤や遅刻が日常茶飯事だったので解雇した」と振り返った。

 同じ納税者でも逆に「病気や高齢、子どもが小さいなど、働きたくても簡単に働けない理由はたくさんある」(函館市の60代女性)の声も。「身近にいた受給者の多くはひたむきに頑張っていた。ひとくくりにはしないでほしい」と訴える。

 受給者の30代女性(函館市)は「働きたくても病気で働けない者としては、不正受給と大きく取り上げられると腹立たしい」と不満をあらわにする。対して「身近に不正受給者がいる」という50代男性(同)は、「行政の調査は甘い。税金を食い物にする不正受給は詐欺で、法的に裁くべき」と強い口調で言う。

 認定業務に対する福祉事務所への不満は、多方面から寄せられた。40代の男性は「他都市と比べて高いのは、函館市の認定基準が甘いからではないか」と、受給率が高いことに対する不満をあらわにする。一方の受給者側からは、「役所の職員の態度は横柄で高圧的。思いやりがなく何度も嫌な思いをした」(60代男性)、「病気なのにケースワーカーは働くよう圧力をかけてくる」(北斗市の50代男性)など、福祉行政に携わる職員の微妙な立場をうかがわせる。

 函館市よりも受給率が高い江差町の50代男性は、「江差がこのようなことになっているとは知らなかった。道南全体を意識した雇用対策が必要ではないか」と提言した。

 受給額など、生活保護制度の詳細は意外と知られていない現状もわかった。受給額と自分の給与を比較して大差ないことから「本当なのか」と驚き、確認する声も多数あった。このほか、受給したいと訴える人を目の当たりにした函館市の60代男性は、「自分の生活が大変でこれから受給申請しようという時に、その人は広い部屋に住み2匹の飼い犬の心配をしていた」ことから、生活レベルに対する意識の違いを感じたという。(小泉まや)


◎七飯町、違法コピーの防止でソフト導入へ

 【七飯】全国各地の自治体でパソコンソフトの違法コピーが相次いで発覚している事態を受け、七飯町は違法コピーの防止機能を備えたソフトを導入する。今月中にも全職員のパソコンに防止ソフトを入れる。

 町は小中学校も含め約300台のパソコンを使用している。ソフトの購入費など約300万円をかけて情報管理体制を整備する。

 違法コピーはほとんどが違法と認識せずに行ったケース。町が導入するソフトは、インターネット上からのダウンロードや使用許可のないソフトのコピーができないよう設定されているほか、パソコンに登載されたソフトをチェックし、違法にコピーされたソフトがあると警告表示する。管理サーバーにも記録が残り、組織の責任者もチェックできる仕組みとなっている。インターネットのメール送信で送り先を誤った場合などの対策もできる。

 町ではこのほか、全職員のパソコンに対して、USBメモリーの接続時にパスワードを入力しないと、内部の情報にアクセスできないよう設定。自宅や私物のパソコンでの業務を禁じるなど職員にも徹底させている。

 町総務課は「法令を順守する立場の公務員が知らずに違法行為をする事態は避けなければいけない。環境整備と合わせながら職員にも法令順守を徹底させたい」と話している。(鈴木 潤)