2010年2月15日 (月) 掲載

◎名芝居に涙と笑い 「初春巴港賑」

 道南の各界名士が歌舞伎を演じる「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」第32回公演(実行委、函館市文化・スポーツ振興財団主催)が14日、函館市民会館で開かれた。人情味あふれる浄瑠璃や、せりふの名調子で歌舞伎を熱演。1200人の観客は盛んに声援を送り、名芝居に涙した。

 1970年に同会館が開館したのを機に、73年から開かれている。始めに口上が行われ、市教委の橋田恭一教育委員長が「函館の子育てや、安心安全のための人づくりは教育委員会にお任せ下さい」。日本中央競馬会(JRA)函館競馬場の木下勇二場長は6月にリニューアルオープンする同競馬場について「レンガや緑を使い、リゾート地のようにゆったり過ごせる。函館に多くの人が来てもらえるように、私どもも頑張る」と述べた。

 続いて「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」から「引窓」が演じられた。実の親子と義理の親子の善意と苦悩の名演技に目頭を押さえる観客が見られた。恒例の「白浪五人男」は衣装やせりふのハプニングがあったものの、立ち回りが決まると拍手喝さいだった。

 最後は「河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)=天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)」。正体を見破られた数奇屋坊主・河内山の開き直ったせりふの名調子や、ユーモアを取り入れた展開に会場はどっと沸いた。

 来場した市内本通の会社社長、薮下明さん(61)は「素人とは思えないほど上手。しなやかなやり取りで夢中になり、感動した」。演出を担当した市川団四郎さん(70)は「しっかりした演技のおかげで客は喜んだ。演出担当としてうれしい限り」と話していた。(山崎純一、小山博美)



◎イカめしやイカ刺しPR 市漁協が空港で販売

 函館市漁協は14日、函館空港国内線ターミナルで、直営食堂「入舟番屋」ブランドのイカめしとイカ刺しの専用しょうゆなどを販売した。利用客らにイカ刺しも振る舞い、地元で水揚げされた新鮮なイカのおいしさをPRした。

 同漁協が昨年秋に商品化した「イカ釣り漁師のいか飯」(2個入り、500円)と「イカ釣り漁師のいか刺しのための醤油(しょうゆ)」(300ミリリットル入り、450円)を、15日から空港内の売店で通年販売するのを前に、商品の魅力を知ってもらおうと初めて企画した。

 1階エスカレーター前の特設会場には午前11時の販売開始と同時に十数人が列をつくり、用意した50個のイカめしは約20分で完売。急きょ約100個を追加する人気ぶりだった。このほか、函館漁港で水揚げされたイカを急速冷凍した「活いかのお造り」も試食販売され、土産用に買い求める人も目立った。

 販売会場には函館市の観光PR動画に登場する「イカール星人」も駆け付け、函館観光もアピール。同漁協の高谷広行専務理事は「イカめしは大量生産できないため、ご当地でしか食べられないおいしさ。入舟番屋のブランド価値を高め、函館観光の活性化につなげたい」と話していた。

 イカめしは15日から空港内のコンビニエンスストアや2階の売店ポルックスで一日20〜30個を販売する。問い合わせは同漁協TEL0138-23-3195。(森健太郎)



◎ごっご「おいしい」恵山でまつりにぎわう

 函館市恵山地区の冬を代表する味覚「ゴッコ(ホテイウオ)」のおいしさを味わってもらうイベント「第20回えさんごっこまつり」(同実行委主催)が14日、同市日の浜町の恵山海浜公園内特設会場で開かれた。前浜で捕れたばかりの新鮮なゴッコや、ゴッコを使った料理を求め、家族連れなど大勢の来場者でにぎわった。

 グロテスクな姿から、以前は地元でしか食べられていなかったゴッコ。しかし、旧恵山町時代に始まった「まつり」を通じて、一般にもそのおいしさが知られるようになった。

 来場者の一番のお目当ては無料で提供される「ごっこ汁」。恵山女性団体連絡協議会(及川良子会長)のメンバー7人が地元産のコンブをたっぷり使った秘伝のしょうゆベースの味付けで調理、たっぷり400食分を準備したが、午前11時から配布した整理券はわずか10分でなくなる人気ぶりだった。

 毎年訪れているという北斗市の相馬勝子さん(65)は「ゴッコは味も良く、コラーゲンが含まれ美容にもいいので大好き」と笑顔でごっこ汁をほおばっていた。及川会長は「毎年たくさんの人たちが遠くから足を運んでくれるので、作るほうも気合が入る」と話していた。

 このほか生のゴッコがメス1匹オス2匹のセットで1000円と、市価の半分以下で販売されるなど、安くて新鮮な海産物が数多く並び、どれも30分ほどで売り切れる盛況だった。(小川俊之)


◎快適 厚沢部ライフ…移住体験住宅4棟が完成

 【厚沢部】町内への移住や長期滞在が体験できる「厚沢部ちょっと暮らし住宅」がこのほど完成し、11日から14日にはモニターツアー第1陣として、大阪府豊中市の高校教諭、南竹達朗さん(56)と妻の恵子さん(52)が3泊4日の町内生活を体験。真冬の厚沢部を満喫した様子だった。

 住宅は本町の太鼓山入口と上里地区に2棟ずつ新築した。4棟とも省エネ型のオール電化住宅で、滞在に必要な家具や家電製品を完備。町内で製造している木質ペレットを燃やすストーブもある。厚沢部建設協会が建設し、町の第三セクター・素敵な過疎づくり株式会社(社長・渋田正己町長)が管理・運営する。

 ツアーは3月に始まる利用者の受け入れを前に、住宅の使い勝手などを確認するため、4組・8人限定で公募。以前から2地域居住に興味がある南竹さん夫妻は、インターネットや大阪で開かれた移住フェアなどをきっかけに応募した。ツアー第2陣は19日に町内入りし、関西方面から訪れる3組が町内生活を体験する。

 2人は札幌酒精工業厚沢部工場などの町内見学や温泉入浴をはじめ、土橋自然観察教育林(レクの森)では、スノーシュー(洋式かんじき)を使い、雪中散策を楽しむなど真冬の厚沢部を満喫。最終日の14日には、同社職員、町の森稔彦総務政策課長、住宅の建主である西峰工務店の西峰鉄三社長らと意見交換会を行った。

 南竹さん夫妻は「本州の住宅よりずっと暖かい。寒さは心配ありません」「家電製品なども万全。長期間でも快適に過ごせそう」と太鼓判を押した。西峰社長は「家電製品は妻が選んでくれた。喜んでもらうことができて良かった」と笑顔をみせた。森課長も「町内では光ファイバー網が整備される。住宅のインターネット接続もすぐに対応します」とうなずいた。また、夫妻は「厚沢部には真冬の楽しみがたくさんある。滞在時間が足りないほど。冬の魅力をもっとPRすべきだ」「山間部の町だと思っていましたが日本海がすぐ近くで驚きました。次は真夏にもぜひ訪れたい」と笑顔で語り、笑顔でスタッフとの再会を約束した。

 同社は体験住宅の利用申し込みを受け付けている。予約などの問い合わせは同社TEL0139-64-2022。(松浦 純)


◎輸出6年ぶりマイナス 函館税関09年道内貿易概況

 函館税関がまとめた2009年の道内貿易概況によると、輸出額は前年比26.8%減の3022億7700万円、輸入額は同47.3%減の9115億1100万円だった。輸出入とも減少幅は、比較可能なデータが残っている1980年以降で最大となった。

 輸出は6年ぶりのマイナス。中国、韓国向けが伸びた魚介類・同調製品は前年比29.2%増の313億200万円と好調だった一方、クウェート向けの加熱・冷却用機器が減少した一般機械が同15.0%減の636億4700万円。韓国向けの灯油などが落ち込んだ石油製品は同93.0%減の25億6000万円、ロシア向けの中古車が関税の引き上げの影響で、同85.1%減の42億7500万円と大幅減となった。

 輸入は7年ぶりの前年割れ。前年の価格高騰の反動で、原油や石炭などの額が大幅に下落し、全体を押し下げた。原油・粗油は製油所が定期点検で運転停止となった影響もあり、前年比59.5%減の4086億7300万円。石炭も同31.3%減の956億600万円、肥料が同55.8%減の267億1500万円、トウモロコシは同35.1%減の355億2300万円だった。一方、ドイツ、韓国、米国向けが増えた一般機械は農業用機械が持ち直し、同9.2%増の245億5600万円だった。

 09年12月単月のまとめでは、輸出は前年同月比28.6%増の269億2700万円と2カ月連続のプラス。中国、韓国向けのサケやタラが好調で、魚介類・同調製品が同2.3倍の47億7200万円、香港向けの重電機が伸びた電気機器が同77.0%増の18億円と大幅増となった。

 輸入は同0.2%減の961億2100万円で、14カ月連続のマイナスとなった。ロシアからのカニが落ち込んだ魚介類・同調製品が同39.3%減の45億7600万円。農業用機械が増えた一般機械は同37.1%増の14億4100万円と3カ月ぶりのプラス。原油・粗油は同46.7%増の557億8900万円と2カ月連続で増加した。(宮木佳奈美)