2010年2月16日 (火) 掲載

◎函館市内、レジ袋の辞退率85.4%に

 函館市内のスーパーマーケット6社が2008年10月から実施したレジ袋有料化で、昨年12月の6社平均辞退率は85.4%になったことが、函館市環境部の調べで分かった。有料化以降の辞退率最高値は、同11月の86.4%。企業単位では、けん引役を務めたコープさっぽろが、80%台後半から90%台を維持するなど特に健闘している。

 函館市と函館消費者協会、市内に店舗を展開するスーパー事業者6社は2008年9月、環境対策などを目的に、レジ袋を有料化する三者協定を締結した。同10月にコープさっぽろとダイエー、ホクレン商事、マックスバリュ北海道の4社が、その後魚長と道南ラルズの2社が有料化し、買い物袋の持参を推進している。

 各社はマイバッグ持参率の目標を80―90%に設定。レジ袋辞退者の人数に応じて環境保護活動に参加するほか、レジ袋の収益金の一部を環境保護や地域貢献に還元する。

 有料化前の08年9月、各社のレジ袋辞退率は5%から最大で45%で、6社平均は20.3%だった。4社が有料化した同10月には、辞退率は平均76.4%に。6社すべてが有料化した同11月は、同82.0%に急上昇した。その後の6社平均は、09年2月までは82―83%台で推移したものの、同3月からは84%以上を維持。同7、10月には85%にまで高まった。

 事業者別でみると、はじめに有料化を決定し事前周知に時間をかけたコープさっぽろが、最も高い割合をキープ。ほか5社では、同9月までは70%台にとどまっていた事業者もあったが、同12月までには全事業者が80%台に並んだ。

 市環境部の試算では、市民1人が一年間に使うレジ袋の枚数は、有料化前は300枚。これに対し現在は60枚ほどになるという。同部は「有料化直後から高い辞退率を維持し、80%を超えていることはすばらしい」として、事業者の取り組みとそれに応えた市民の意識の高さを評価する。(小泉まや)



◎砂に込めた温暖化問題 ラ・サール高生徒らがメッセージ制作

 温室効果ガスのマイナス6%を掲げた京都議定書を守って、低酸素社会を構築しよう!――。函館ラ・サール高校の生徒らで構成する環境問題研究会(伊藤慧会長)は15日、大森浜(函館市湯川町3)にサンド(砂)メッセージを制作した。伊藤会長(17)は「多くの人たちに温暖化問題について考えてもらうきっかけになれば」と話している。

 同校のピーター・ハウレット教諭がNPO法人南北海道自然エネルギープロジェクトの代表理事を務めていることから5年前に生徒らに声を掛け、この取り組みが始まった。毎年、京都議定書の発行を記念し、この時期に行われている。

 今回のメッセージは「しっかりKYOTOで350ppmへ↓ダウン」で、「O(オー)」と「0」がクロスワードになっている。寒さが身にしみる海岸での作業に15人のメンバーが取り組んだ。水分を含んだ砂をザルで固め、130個のブロックでメッセージを刻む作業は約2時間にも及んだ。最後に4人の人文字で矢印部分が完成すると、メンバーは「できたー」と手を上げ喜びを表現していた。(小杉貴洋)



◎大野川一帯の架橋工事で無事故祈願

 【北斗】2015年度に開業する北海道新幹線新青森駅―新函館駅(仮称)間にある北斗市内の大野川一帯に建設する架橋工事の安全祈願祭が15日、市内千代田の工事現場で行われ、工事関係者ら約100人が無事故と工期内の完成を祈った。

 同工事は大野川の河川橋164メートルを含む清川―千代田間を結ぶ高架橋で全長1.72キロに及ぶ。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)道新幹線建設局の発注工事で、施工業者は鉄建建設・りんかい日産建設・吉川建設の共同企業体(JV)。総工費は約38億。

 昨年10月に準備工事に着手し、これから架橋工事が本格的に進められる。完成は13年3月を予定している。

 安全祈願祭は神事にのっとり、北海道新幹線建設局の名越次郎局長、渡島支庁の浅利元宏副支庁長、北斗市の海老沢順三市長、函館市の小柏忠久副市長がかま入れした。

 神事後に名越局長は「所定の工期内に無事故で仕上がるよう皆さんの協力を受けながら工事を進めていく」とあいさつ。来賓の海老沢市長は「大野平野部でも新幹線工事が始まった。建設風景を間近で見ることで開業の期待がいっそう膨らむ」と期待を寄せていた。(鈴木 潤)


◎上ノ国町大崎−木ノ子の海岸線は一進一退

 【上ノ国】上ノ国町の海岸線では、冬季の激しい波浪で砂浜の浸食が続いている。大崎から木ノ子にかけての海岸では2007年、美しい砂浜が完全に消滅し、波打ち際では岩盤が露出する無残な姿をさらしていた。だが、砂浜は自然の治癒力で少しずつ回復し続けている。

 大崎から木ノ子の海岸線は、波打ち際が優美なカーブを描き、歴史小説家の壇一雄も絶賛した。しかし、07年の冬には、日本海沿岸は台風並みの威力がある“爆弾低気圧”が何度も通過。海沿いの町は連日のように猛烈な波浪に見舞われた。

 春になると美しい砂浜は姿を消し、地表の下に隠れていた岩盤がむき出しに。波打ち際は20メートル以上も陸側に後退した。砂浜の変わりように町や桧山支庁は、違法な砂利盗掘を疑ったほどだ。浸食は海岸沿いの国道に及び、今でも路肩の崩壊を防ぐために防災工事が続いている。

 その後も、海岸線は無残な姿をさらしていたが、この数年は猛烈な低気圧の襲来もなく、海中に没した玉砂利が少しずつ海岸線に打ち寄せ、かつての砂浜がよみがえりつつある。たが、地元関係者は「砂浜は数十年前は何倍も広かった。今でも風前の灯という状態」とし、やせ細る海岸を悲しい思いでみつめる。

 日本海沿岸では、海水温の上昇により、真冬の代名詞だったスケトウダラが激減。真夏が漁の最盛期だったスルメイカも、秋以降の来遊が増えるなど、海洋環境が大きく変化。桧山管内の各地でかつての美しい砂浜が消滅している。波浪と砂浜が繰り広げる一進一退の攻防は、大自然からの警鐘なのかも知れない。


◎厳寒期の恵山タラ漁を支える熟練技

 真冬の味覚タラが、函館市恵山町で好漁だ。記録的な水揚げではないものの、「うんと揚がる日もあれば、少ないときもある。いずれにしても順調だ」と浜は熱気を帯びている。

 旧恵山町の恵山と御崎両地区の漁師が所属するJFえさん山背泊(やませどまり)支所では、13軒がタラのはえ縄漁に取り組む。

 年明けから豊漁が続いた。1日当たり平均して1隻で1トンの水揚げで、2月に入り、水揚げ量にばらつきが出てきたが「いつもの年よりいい具合。豊漁といえば豊漁」(同支所)。

 浜値は1キロ300―400円。例年より100―200円安い。ふっくらとした白身は、鍋や刺し身、フライなどに。メスの卵はしょうゆ・塩漬け、煮付け。オスの白子も濃厚な味わいと「なげる(捨てる)ところがない」(地元主婦)。

 はえ縄は90メートル、37本の釣り針があり、下準備に手間が掛かる。恵山では、お年寄りが「縄さやめ」と呼ばれる下準備作業に日々汗を流す。

 帰港後に持ち込まれるはえ縄は、釣り針や糸、サンマなどの餌がぐるぐると巻きついた状態。丁寧にほぐし、針に餌をつけやすいように縄をまとめる。熟練の技術がものを言う。

 サクラマス漁の合間に縄さやめをする泉武信さん(76)は「妻といつも浜の話題で盛り上がっている」と慣れた手つきで縄を回す。タラ漁師の二本柳秀一さん(30)は「縄さやめがタラ漁を支えてくれている。手間のかかる仕事だけれど、みんなの丁寧な仕事ぶりに感謝している」と力が入る。(田中陽介)