2010年2月18日 (木) 掲載

◎椴法華マダコ漁 これから最盛期へ

 函館市椴法華地区でマダコが水揚げされている。近年は、海外からの輸入物に押されて値段は下火だが、「新鮮さと味には自信がある。前浜でとれたタコをいっぱい食べてほしい」と漁業者は意気込んでいる。

 同地区の漁師が所属するJFえさん椴法華支所では、16軒がマダコ漁を届け、2月はそのうち5軒が出漁している。

 「いさり漁」と呼ばれる漁法で、ガラス玉にきらきら光る赤と銀色のテープと針がつく。これにタコが絡み付く。光物を好むタコの習性を利用した漁法だ。

 水揚げは多い日で500キロ超、平均200キロ前後と順調だが、浜値は例年の半分という。17日現在、活ダコ1キロ350円で「値が張らず頭が痛い。アフリカ産のが入ってきて、円高の影響もある」(同支所)。

 早朝に出漁し正午すぎには帰港する中村光一さん(75)は「さっと湯通しして刺し身で食べるのが一番。寒さをしのげる栄養もつく。本当にうまいよ」。漁は5月にかけて最盛期を迎える。(田中陽介)



◎函館市、新年度から「事業仕分け」

 函館市は、事業の必要性を精査する「事業仕分け」を新年度から実施する方針だ。政府の行政刷新会議が昨年実施した、短時間で次々と可否を決める手法は取らず、取り上げる事業を慎重に選んだ上で深い議論を目指す。新年度予算案に関係経費を計上しており、市議会の議決を得て早ければ今夏をめどに第三者委員会を立ち上げる考え。

 市は政策シンクタンク「構想日本」の手法を取り入れる形で、08年度から事業仕分けの準備を進めている。

 各事業の担当部署が約2000の事業の中から必要・不要、外部委託が可能かなど4項目で自己評価した結果では「不要」が9件、「民営化が適当」が30件、「外部委託可能」が89件など、計203件で改善の余地があるとされた。これを受け、今年1月から第三者委員会を設け、約20件の事業をピックアップして仕分け作業を行う予定だった。

 しかし、政府の事業仕分けで「函館マリンバイオクラスター」が廃止判定されたことを受けて西尾正範市長が不信感を強めたことに加え、予算編成と同時期に仕分け作業を行うことは困難と判断。小柏忠久理事(当時)は昨年11月の市議会総務常任委員会で「組み立て直す必要がある」と述べるとともに、あくまで事業を事後評価する目的との考えを示している。

 現在は市行政改革課で取り上げる事業の選定や委員会の実施回数、委員公募を含めた制度設計を進めている。同課によると、委員会は5回をめどに行う方針で、「乱暴な方法は取りたくない。中身をしっかり議論した中で、提言をいただける形にしていきたい」としている。(千葉卓陽)



◎江差美味百彩なべまつり 20・21日に 38品の鍋料理が一堂に

 【江差】「第10回 冬 江差“美味百彩”なべまつり」(主催・江差観光コンベンション協会)が20、21の両日、江差町本町の旧生涯学習センターで開かれる。開催を目前に控えて当日出品される38種類の鍋料理が出そろった。

 イベントは20日午後4時開幕。町内外の飲食店、レストラン、漁協などの28団体が、クジラ汁、ゴッコ汁、タラ三平汁といった道南伝統のものから、和洋中の多彩な鍋料理を全品300円で提供。当日は留萌市から留萌土現や留萌支庁職員でつくる「萌留(もえる)B級グルメ研究会」と郷土料理研究会「おいしんぼクラブ」も出店を予定。上ノ国町のレストランもんじゅは、観光客に大好評の「てっくい(ヒラメ)丼」も販売する。20日は午後7時まで。21日は午前11時―午後2時まで。入場無料。問い合わせは同協会事務局TEL0139・52・4815へ。主な鍋料理と出店者は次の通り(17日現在、順不同)。

 ○ウニ汁(味処うめ津)○豚汁(居酒屋みどり)○クジラ汁(江差漁協女性部)○江差寒のりラーメン(江差商工会青年部)○体にやさしい根菜鍋(江差町食生活改善推進協議会)○具だくさんシチュー(江差町赤十字奉仕団)○山形いもの子汁(NPOゆい)○えび汁(幸栄丸若山水産)○もつ鍋(ささなみ精肉店)○カモ鍋(滝野庵)○たこ焼き鍋(田村商事)○江差海鮮鍋(チャイニーズレストラン美華)○タラ三平汁・すり身汁(辻漁業部)○アワビ汁(デリカささなみ)○江差産そば団子入りカモ汁・江差産そば団子雑煮(手打ちそば和海)○鹿鍋(桧山地域活性化プロジェクトX)○五目野菜といももちの団子汁(ホテルニューえさし)○アワビとホッケのすり身汁(友矢・前田組)○ニシン三平汁・ホッケのすり身汁(松前観光協会)○そばだんご汁(まるにしあおき)○ホルモン鍋(マルミ笹浪精肉店)○萌留B級グルメ研究会&おいしんぼクラブ(るもい萌え鍋・オロロンカレー)○ガツ鍋(酒房八里九里屋)○ホッケのすり身汁(幸村屋)○ふぐちり・ゴッコ汁・チゲ鍋・えぞ鹿鍋(よしどり)○韓国風ホルモン鍋(楽園)○津花風スープカレー・肉団子鍋(レストラン津花館)○きりたんぽ鍋(レストランもんじゅ)


◎浜のかあさん料理コンテスト 砂原漁協女性部の一品が最優秀賞に輝く

 渡島管内の漁協女性部が味を競う第3回「浜のかあさん料理コンテスト」が17日、函館市内の函館国際ホテルで開かれた。コンブやイカ、ホタテなどを使った創作料理が並び、浜の主婦ならではの料理を披露。審査の結果、砂原漁協女性部(石栗節子部長)の「ホタテの昆布巾着(きんちゃく)」が最優秀賞に輝いた。

 渡島支庁水産課と渡島地区漁協女性部連絡協議会の共催で、9漁協から10団体が参加した。レシピは学校給食やホテルメニューへの導入、商品化などの参考となる。

 「ホタテの昆布巾着」は、稚貝をコンブで包み、しょうゆで煮込んだ。間引きした養殖コンブのとろけるような柔らかさにホタテのうまみが加わり、高い評価を得た。このほか「タコの飯寿し」(松前さくら)、「ドンコの磯辺フライ」(戸井)、「ホタテdeドーナッツ」(八雲落部)などもアイデアいっぱい。

 審査員は12人。函館調理師養成専門学校の能戸秀康校長を審査員長に、「若い世代の意見も聞きたい」と函館水産高校の男子生徒4人も務めた。味と盛り付け、地域性などを審査項目にした。審査会とは別に、えさん漁協女性部は「ゴッコ汁」を用意し、大鍋で会場を盛り上げた。

 砂原女性部の石栗部長(70)と味付け担当の吉田万紀子さん(59)は「最優秀賞をもらえてうれしい。仲間と頑張った結果で、地元に帰ったらみんなに報告したい」と声を弾ませていた。近日、渡島支庁のホームページにレシピが載る。

 優秀賞は次の通り。

 ▽マダラの「道南サツマアゲ」(函館宇賀)▽炊き込みご飯「ホタテ巻いちゃいました」(八雲)▽タマネギ、ピーマンなどの酢和え「ホッキのマリネ」(長万部)(田中陽介)


◎観測船高風丸が最後の航海終え、帰港

 気象庁の観測体制の見直しに伴い、3月末で廃止される函館海洋気象台の観測船「高風(こうふう)丸」(487トン)が17日、最後の航海を終え、母港・函館に帰港した。岸壁では長年の“航跡”をねぎらう記念式典も行われ、前身から数え60年続いた道内唯一の観測船の歴史に幕を閉じた。

 高風丸は全国に5隻ある観測船の一つで、1949年に配備された「夕汐丸」が前身。88年に就役した現在の高風丸の総航行距離は約48万6000キロで、地球を12周以上した計算になる。最後の航海は1月19日に函館を出港し、約1カ月間、道東沖や三陸沖で海上や海中の気象調査を担ってきた。

 船とともに3月末で引退する加村正巳船長(60)は「冬型の気圧配置で多難な航海だったが、乗組員全員で頑張って乗り切った。観測目的を100%達成でき、有終の美を飾れた」とほっとした表情。「船には長い間ご苦労さんとありがとうの一言。360度見渡せる水平線は忘れない」と42年間の船乗り人生を振り返った。

 式典で湯田憲一同気象台長が「北日本海域の気象観測に貢献した高風丸が函館から姿を消すのは非常にさみしい。社会情勢の流れだが、観測データは今後も貴重な資料としてずっと残る」と式辞を述べた後、新年度から本庁に異動する高風丸の乗組員から定年退職する加村船長ら4人に花束が贈られた。

 最後の雄姿を見納めに来た同気象台OBの岡村敏夫さん(64)=七飯町在住=は「10年以上前の在職当時と変わらず、手入れが行き届いた船はまだまだ活躍できそう」。観測員として最後の航海に参加した同気象台海洋課の中村辰男さんは「南極観測船しらせの乗船経験もあるが、高風丸の乗組員の情熱や操船技術はそれ以上」とたたえた。

 高風丸は今後、民間や海外などに売却される予定だが、引き取り先はまだ決まっていない。(森健太郎)