2010年2月19日 (金) 掲載

◎椴鶴岡小が木古内小と統合方針 児童数減などで

 【木古内】木古内町は、児童数の減少が続く町立鶴岡小学校(佐藤耕一校長、児童13人)を木古内小学校(竹内良容校長、同200人)に統合する方針を固めた。教育環境の改善を求め、鶴岡小PTA代表から統合を求める要望書が提出されたことなどが理由で、統合は2011年4月1日とする方針。近く大森伊佐緒町長が最終判断をする。

 18日に開かれた木古内町議会の総務経済常任委員会(吉田忠義委員長)に、野村広章教育長が報告した。

 鶴岡小は小規模校として特色ある取り組みをしているが、児童数の減少に歯止めがかからず、同校の父母らが懸念。今月3日にPTA代表が町教委を訪れ、木古内小との統合を求める「鶴岡小学校の統合に関わる要望書」を提出した。4日に開かれた教育委員会では地域の意向を尊重することを確認している。また、8日にはPTA代表が大森町長を訪ね、同じ要望書を提出している。

 町教委では木古内小との統合によるメリットとして@多様な教育活動を行えるA仲間との活動で互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、社会性を身に付けることができるBスポーツや文化、クラブ活動で個性を伸ばすことができる―などを挙げている。

 また、町教委の推計によると、児童数が現在13人の同校は、11年度には8人、12年度は6人、さらに減少が続き、16年度には4人になる見通しで、年度によっては入学、卒業する児童がゼロとなることも予想されるとしている。

 今後の課題として@地域説明会の開催A統廃合に関わる予算の確保B校舎の活用法―などを挙げており、今後、町側が検討する。(松宮一郎)



◎函館五稜中の給食に縫い針混入 けがなし

 函館市教育委員会などは18日、函館五稜中学校(坂上範夫校長、生徒224人)で17日に出された給食に、折れた縫い針が混入していたと発表した。糸を通す部分を含む縫い針の一部分(約2センチ)で、先端部はなかった。1年生の男子生徒が食べていたフルーツポンチの食器内で発見し、けがはない。通報を受けた函館西署は事件性の有無を含め詳細を調査している。

 五稜中の給食は、函館大川中にある市直営の共同調理場で2校分合わせて約450食が作られる。フルーツポンチは、4種類の果物の缶詰を開けて混ぜた後に容器に詰め、五稜中に運搬。男子生徒のクラスでは担任教諭が盛り付けた。男子生徒は食事中に針を発見し、担任教諭に報告。連絡を受けた大川中の栄養教諭が確認後、市教委に伝えた。

 市教委によると針の出所は不明で、「男子生徒のいるクラスの授業では使われていない種類。いつ混入したか分からない」とする。缶詰の製造元2社への問い合わせでは「金属探知器で検査しており製造過程での混入は考えにくい」との回答を得た。針の先端部は見つかっておらず、体調不良を訴える生徒はいないという。

 今回の件を受け市教委は18日、給食を適正に保管、管理するよう求める文書を、市内の幼稚園や小中学校に送り注意を喚起。今後については「口に入るまでに多くの人の目で確認し、異物を発見した場合は速やかに報告するよう対応を促した」としている。(小泉まや)



◎大韓航空1月のソウル便 搭乗率95%で過去最高

 大韓航空が週3往復運航する函館―ソウル便の今年1月の搭乗率が前年同月比31.2ポイント増の95.1%に上り、2006年6月の就航以来、過去最高を記録したことが分かった。単月の搭乗者数も過去最多で、同社函館支店は「韓国経済の持ち直しによる周遊型割安ツアーが定着を見せ始めている」と分析している。

 同支店がまとめた利用実績によると、単月の平均搭乗率は過去最高だった昨年12月の87.0%を上回り、初めて90%の大台を超えた。函館発は搭乗者2287人で94.1%、ソウル発は同2335人で96.1%。ともに約9割が韓国人利用客だが、昨年10月以降、4カ月連続で客足が伸びている。

 同支店の岸田茂支店長は「韓国の景気回復でウォン安が一段落したことに加え、秋田県がロケ地となった韓国ドラマのヒットで、東北・北海道が再び脚光を浴びている」と指摘。函館は新千歳経由よりもツアー料金が安く設定され、東北と道央の中間点にあるため、周遊観光の利便性から人気が高まっているという。

 函館市は今春、韓国の首都ソウルに隣接する高陽(コヤン)市と姉妹都市提携を結ぶ方針で、市空港課も「観光、ビジネス客とも交流人口が増えれば、函館―ソウルの定期便の役割はこれまで以上に重要さを増す」と期待を寄せる。

 市によると、2月の予約も引き続き好調という。一方、日本人客の利用は1月も全体の約1割程度と依然として低迷していて、同課は「仁川(インチョン)空港を経由した東アジアや欧州への海外旅行などの需要喚起に力を入れたい」としている。(森健太郎)


◎未来大でイカロボ3号機お披露目

 公立はこだて未来大(中島秀之学長)の学生が作った新しいイカ型ロボット3号機が18日、函館市内で行われた同大の「地域交流フォーラム」会場でお披露目された。フォーラムでは製作に携わった未来大の松原仁教授が「ITで函館観光の価値を高めたい」と新たな観光振興策への展望を語った。

 3号機は2006年に製作した1号機を小型化し、運んだり、設置しやすくした。高さは約1メートル。リモコン操作で全方向に移動でき、腕や目玉も動くので愛きょうのある動作が可能になった。会場では製作した3年生の家永奈瑠穂君(21)らが操作してみせ、来場者の注目を集めていた。

 フォーラムには約50人が参加。松原教授は「ソフト型観光振興への転換」と題して「はこだて観光情報学研究会」の活動について報告し、ロボット製作のほか、観光情報の多言語化や若者向けゲーム制作、持病を抱える年配者向けの観光支援などの取り組みを説明した。

 これに先立ち基調講演した中島学長は「情報科学で社会の仕組みをデザインする人材育成を進めている」と大学の方針を語り、今後の計画として交通網を基盤とした総合サービスの提供などを示した。

 松原教授のほか、美馬のゆり教授が「はこだて国際科学祭2009」の活動、木村健一教授が「文化と編さん」の試みについてそれぞれ講演した。(新目七恵)


◎「北の縄文世界展」始まる 八戸の「合掌土偶」など

 「見る・感じる! 北の縄文世界展」(実行委主催)が19日から25日まで、函館市梁川町のテーオーデパート6階イベントホールで開かれる。函館市の「中空土偶」と青森県八戸市の「合掌土偶」の2つの国宝(複製)が顔をそろえるほか、貴重な出土品や模型など約200点を展示。豊富な写真や解説パネルを通じて、縄文文化の世界を紹介する。

 2009年、世界遺産暫定一覧表に「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」が記載され、縄文文化への関心が高まっている。今回の展示では、道央から道南にかけて発掘された縄文時代の土器や土偶などが集められ、自然との共生のもとで高度に発達し成熟した定住的な採集、狩猟、漁労文化の様子を浮かび上がらせる。

 2007年に道内初の国宝に指定された著保内野(ちょぼないの)遺跡出土の中空土偶と、八戸市風張遺跡から出土し09年に国宝に指定された合掌土偶は、同時代(約3600年前)に作られながら、それぞれに異なった特徴を備えているのが印象的。また、川で魚を追い込む柵(さく)や、オットセイやアシカなどを仕留めるための銛(もり)などからは、当時の漁労文化の様子が生き生きと伝わってくる。

 実行委事務局の西脇対名夫さんは「祖先が残した貴重な文化遺産の素晴らしさを、じっくり感じてほしい」と来場を呼びかけている。

 入場無料。開場は午前10時から午後5時まで(最終日は午後3時まで)(小川俊之)