2010年2月2日 (火) 掲載

◎4月に応神天皇千七百年式年大祭 函館八幡宮 全国10社に選定

 函館市谷地頭町2の函館八幡宮(中島敏幸宮司)で4月1日、100年に1度の「応神天皇千七百年式年大祭」が行われることが決まった。応神天皇を祭る全国2万8000の八幡宮や八幡神社の中の旧官国幣社から、神社本庁が10社を選んだ。中島宮司(79)は「非常に名誉ある大祭。謹んでご奉仕を斎行したい」と話している。

 中島宮司によると、応神天皇(在位270―310年)が亡くなって1700年にあたる2010年4月1日に、全国10社で大祭を行う。三大八幡宮とされる宇佐神宮(大分)、石清水八幡宮(京都)、鶴岡八幡宮(神奈川)のほか、氣比神宮(福井)、藤崎八幡宮(熊本)などとともに、北海道・東北からは唯一、函館八幡宮が選ばれた。100年前の「千六百年式年大祭」は国家神道の時代に八幡宮各社で行われた。

 昨年12月に神社本庁が10社を選定。これを受け函館八幡宮が宮内庁へ、天皇陛下からの幣帛(へいはく)奉納を願い出て、授与されることが決まった。4月1日の大祭では、神社本庁の献幣使が幣帛を奉納し、中島宮司が式年(百年)の祝詞を奏上し、大祭を務める。

 社伝によると、函館八幡宮は1445年に勧請され、現在の旧函館区公会堂付近にお宮を祭った。1880(明治13)年に現在地へ移り、今の社殿は1915(大正4)年に建立された。旧社格は国幣中社で、鎌倉幕府の宗教政策の核となった鶴岡八幡宮と同じ。

 第15代応神天皇は、仲哀天皇と神功皇后の皇子。神話から歴史へ変わる時代の天皇で、文化や産業、武人、家内安全の神として知られる。中島宮司は「宮司としても一生に1度あるかないかの祭礼で、非常に光栄なこと。これを機会に、神社や応神天皇のご神徳を知っていただければ」と語っている。

 大祭にあたり、氏子らで記念事業実行委員会を設立し、傷みの目立つ石段の補修などを検討することにしている。(高柳 謙)



◎イカ飯やスイーツ人気 台湾で「函館フェア」

 台湾中部に位置する彰化県のスーパーマーケットで、函館の特産品を一堂に集めた「函館フェア」が1月23、24日に初めて開かれた。名産のイカ飯やスイーツなど約30品目を販売。会場には連日、地元の買物客が大勢足を運び、函館人気の高さを示した。市は「産品の認知度をさらに高め、今後も同様のフェア継続してもらえるよう働きかけたい」と話している。

 函館フェアは、彰化県内で店舗展開する日本食スーパー「裕毛屋」が主催し、現地の購買意欲が活発になる旧正月を間近に控えた時期に行われた。昨年1月に中小企業で組織する函館海外市場販促振興会(HOMA)と市が貿易振興策の一環として、共同で同県を訪問して現地のバイヤーを対象にプレゼンテーションなどを行った際、県や同スーパー側と接点を持ったことを契機に開かれた。

 フェアにはHOMA参加企業のうち、製菓、乳製品、農水産加工業など5社が参加。各社から社員が現地に赴き、イカ飯の実演をはじめ、ヨーグルトや菓子などを販売した。

 市経済部によると、土曜、日曜に開催されたことも重なって多くの来店客でにぎわいを見せ、「スーパー側からは売上目標が達成されたと聞いている」という。

 期間中は来店客に対し、購買品や価格帯、嗜好などに関するアンケートも行っており、今後、詳細な分析を進めていく。同部は「総花的な物産展とは違った消費者ニーズを開拓し、需要を掘り起こす上で意義のある取り組みだった」話し、「水産加工品を現地の品物と一緒に販売するなど、工夫次第で売れることも分かった。継続に向けて先方と話し合いを進めたい」としている。(千葉卓陽)



◎幻想的な冬の夜満喫 点灯ウオーク

 キャンドルの炎に導かれ、観光名所の夜道散策を楽しむ「はこだてイルミネーション・点灯ウオーク」(実行委主催)が1日、函館市元町で行われた。元町公園や港が丘通り、教会に手づくりのワックスキャンドル300個を設置。42人が参加し、幻想的な雰囲気を満喫した。

 2010はこだて冬フェスティバルの一環。ほのかな明かりで市民と観光客らの心をつなぐ「光の小径(こみち)」のキャンドル5000個のうち、元町地域には300個が並べられた。

 市内の観光ボランティアガイドが案内。午後6時にハート型のキャンドルが置かれた元町公園を出発。旧函館区公会堂や八幡坂、二十間坂などの歴史や由来の説明を受けた。

 今年は初めて、カトリック元町教会もコースに加わった。青色の電飾に染まる教会にオレンジのろうそくの灯が揺れ、雪景色に映える情景に「うわぁ、ここはひと際きれい」と参加者の歓声が響いた。

 ゴールのFMいるかに到着後、市内ホテル宿泊券などが当たる抽選会が行われ、盛り上がった。

 旭川市から訪れた石山雄三さん(72)は「素晴らしいの一語。本当にきれいだ」、孫の琴葉ちゃん(6)は「ゆらゆら揺れるろうそくの明かりが良かった」と笑顔を見せていた。

 点灯は4日まで。時間は午後6時―同7時半。期間中、カトリック元町教会を見学することができる。(田中陽介)


◎コープ誘致候補地に江差中 財政面のハードル高く

 【江差】旭友ストアー江差店(茂尻町)の閉店に伴う、コープさっぽろの店舗誘致をめぐり、町や町議会では江差中学校(陣屋町)が誘致先の候補地として浮上している。しかし、学校移転や用地整備に伴う負担は、道半ばの状態にある町の財政再建に与える影響が大きく、ハードルは極めて高い状態にある。

 コープは、21日に閉店する旭友周辺で、最低2000坪(6600平方メートル)の用地確保を条件に新規出店を検討する方針。だが、住宅や団地が密集する周辺地域で80メートル四方(6400平方メートル)を超える用地確保は難しい状態。このため町や町議会では、店舗に近い江差中学校(陣屋町)が候補地の一つに浮上している。

 だが、用地確保に伴う出費は、新たな重荷となって町財政にのし掛かることが避けられない。多額の借金を抱える町は本年度、自治体財政健全化法に基づく早期健全化団体に指定された。自治体財政の“黄色信号”に当たり、町は2012年度の指定返上に向けて、年度内に財政健全化計画を策定しなければならない。

 08年度現在、町が抱える一般会計の起債(借金)は88億3901万円。基金(貯金)は6億8872万円に過ぎない。「新たに億単位の借金を抱え込めば、夕張市と同じく国の管理下に入る『財政再生団体』に転落する恐れも否定できない」(道関係者)。

 校舎の老朽化が進む江差中については2007年9月、現在地での校舎改修と、道教委が無償譲渡を打診していた旧江差南高校への移転をめぐり町内世論が二分。濱谷一治町長は、数億円規模の改修費が必要な江差南高への移転を断念。町の財政状況を考慮しながら校舎改修の時期を決める方針を示した。道教委は旧江差南高の売却先を募集したが買い手は無く「予算メドが付けば解体したい」とする。既に2006年3月の閉校から約4年が経過し、校舎の老朽化が進んでいる現状という。

 一方、高齢化が急速に進む町内では、後継者がおらず将来展望が無い商店の休廃業も相次いでいる。消費者の間では「このままでは町内の店が消えてしまう」との不安感も広がる。町議会はコープ出店問題に関する特別委員会を設置する方針だが、町財政、商店街振興、住民生活という3つの視点に立ち、町の将来像を指し示す青写真を描き上げることができるのかが試される。地に足を着けた議論が必要だ。(松浦 純)


◎札苅トンネル工事安全祈願祭「予定通り完成を」

 【木古内】北海道新幹線(新青森―新函館駅間)の札苅トンネル工事の安全祈願祭が1日、木古内町札苅の工事現場で行われた。道内側では5本目となる掘削工事で、2013年3月の完成に向けて本格的な工事が始まった。

 同トンネルは同町札苅内を通る全長約1・2キロ。掘削作業は木古内側から函館側に向かって行われ、工区内にはトンネル以外に橋りょうや高架橋なども含まれる。道内側で工事計画のある6本のトンネルのうち5番目の長さで、総工費は約29億円。

 安全祈願祭には関係者約100人が出席。発注元の鉄道・運輸機構北海道新幹線建設局の名越次郎局長をはじめ、寺山朗渡島支庁長、大森伊佐夫木古内町長、小笠原憲生JR北海道函館支社長がかま入れなどの神事を執り行った。

 名越局長は「新幹線工事は次々とトンネル工事が完成、着工し、大きな進ちょくを見せている。今後も安全に予定通り完成させたい」とあいさつ。大森町長は「新幹線は町民の悲願、道民の夢。新函館までの早期開業と札幌延伸を積極的に推進したい」と話した。(森健太郎)