2010年2月22日 (月) 掲載

◎カキ、ニラ求め4200人 知内でまつり旬を堪能

 【知内】知内町で旬を迎えた味覚を堪能する「第12回しりうち味な合戦冬の陣 カキVSニラまつり」(町主催)が21日、町スポーツセンターで開かれた。同町が誇る特産品を安価で買い求めたり、ニラやカキを使った創作料理を満喫しようと町内外から約4200人が来場し、にぎわった。

 味に特徴のあるニラとカキの素材を生かした、さまざまな料理を知ってもらおうと開催し、道南の「食の祭典」として定着している。

 開場前から入場を待ち長蛇の列を作った人たちは、午前10時のイベント開始と同時にお目当てのブースに走って向かった。ニラ(10束850円)やカキ(殻付き15個入り1箱2000円など)のほか、同町内の飲食店が趣向を凝らして作った鍋やめん、ごはん物の料理が次々と売れていった。

 鹿部町の主婦、佐伯和香さん(69)は「昨年は遅くに来て売り切れていたので、今年は午前7時に家を出てきたおかげで買うことができた。知内のニラは柔らかく、おいしい」、函館市白鳥町の主婦、森川絵美さん(41)は「今年、初めて来た。親の分まで買い物ができ、料理のアイデアが増えた。生食が好きな主人をうならせるように作ってみたい」と話していた。(山崎純一)



◎現体制 刷新か継続か 北斗市長選に山本、高谷氏が立候補

 【北斗】任期満了に伴う北斗市長選は21日、告示された。いずれも無所属の新人で、元市議の山本正宏氏(65)と前副市長の高谷寿峰氏(58)=届け出順=が立候補し、28日の投開票日まで7日間の選挙戦がスタートした。

 旧上磯町長時代を含め9期35年を務めた現職の海老沢順三氏(78)が今期限りの引退を表明。山本氏は市政の刷新を訴え、高谷氏は海老沢氏の後継として立候補をした。市の発展のかぎを握る一大プロジェクト、北海道新幹線新函館駅(仮称)周辺整備が新市長のもとで本格的に進められることから、道南の新たな将来を左右する選挙となる。

 山本氏は「流れを変えよう」「改革」をキャッチフレーズに4度目の首長選挙に挑戦。前回選挙の後援会組織を母体に草の根運動で支持拡大を進めてきた。市を軸とした広域観光の拠点都市の実現や一次産業のブランド化、ごみの分別の簡素化、老人福祉施設の充実などを公約に掲げる。市議としての実績を訴えながら、市政の批判票の取り込みを狙う。

 高谷氏は「新化、進化、深化」をスローガンに市政の発展、充実を唱える。市役所OB、出身の大野農高の同窓生らを中心に支持拡大を図り、企業や経済団体など約90団体の推薦を受けた。市民協働のまちづくりや子供医療費無料化の高校生までの拡大、本町商店街地区内を対象にした新規開業補助制度の創設などを公約に掲げ、豊富な行政経験を訴え浸透を図る。

 両候補とも選挙事務所前で第一声を上げた後、遊説をスタート。山本氏は大野地区など市内全域を回った。高谷氏は大野地区や七重浜地区などで街頭演説を行ったほか、中央や大工川で個人演説会を開いた。

 市管によると、20日時点の選挙人名簿登録者数は3万9569人(男性1万8446人、女性2万1123人)。(市長選挙取材班)



◎2日間で4000人 鍋料理に舌鼓 江差なべまつり

 【江差】江差観光コンベンション協会主催の「第10回 冬 江差“美味百彩”なべまつり」は20、21日の2日間で4000人以上の来場者が繰り出し、地元産の海や山の幸をふんだんに使った約40種類の鍋料理を心ゆくまで堪能した。

 会場の旧生涯学習センターでは、2日目の21日も午前11時の開場直後から大勢の来場者が詰め掛け、お目当ての鍋料理に舌鼓を打った。ステージでは民謡ショーをはじめ、本町地区の商店主らでつくる山ノ上商盛会(三国幸吉会長)によるもちつきも。

 飛び入り参加の子供たちがきねを振るい、見守る観客からは大きな声援が飛んだ。つきたてのもちはお汁粉にして来場者に振る舞われた。函館市の小学3年生、黒川凌君(9)と弟の将君(6)は「エビの鍋はとてもおいしかった。もちちきも楽しかった」と笑顔で話していた。

 同協会によると来場者は、初日の20日が約1500人、21日も2500人を超える勢い。函館や札幌などからの観光ツアー客が大型バスで到着し、正午過ぎには大勢の人出で会場はごった返した。同協会の打越東亜夫会長は「江差をはじめ道南伝統の鍋料理は大きな観光資源。地場産農水産物の地産地消にもつながる。今後も継続して開催していきたい」と話している。(松浦 純)


◎町民に惜しまれ閉店 旭友ストアー江差店

 【江差】旭友ストアー江差店(茂尻町172の2)が21日、9年7カ月の営業を終えて閉店した。

 店内では在庫の売り尽くしセールが行われ、多くの買い物客が詰め掛けた。閉店間際の午後4時過ぎにはほとんどの商品がなくなった。がらんとした店内に、町内の30代女性は「店舗がなくなり寂しい」と話していた。

 旭友ストアー(旭川市)は1月にスーパー事業からの撤退を決定。木古内・福島両店を含む道内8店舗は、生活協同組合・コープさっぽろ(札幌)が営業を継承するが、江差店は赤字経営などを理由に閉鎖が決まった。約20人のパート従業員は全員解雇された。店舗跡の再利用はメドが立っていない。

 一方、コープさっぽろは2000坪(約6600平方メートル)の用地確保を条件に、町内で新規店舗の出店を検討する方針を町などに伝えている。町は閉店が高齢者を中心とする周辺住民に与える影響を考慮し、同店に近い江差中学校の敷地を新店舗誘致の候補地として検討を進めている。

 だが、商工業者を中心に「中学校の敷地は町の貴重な財産。特定企業に優先的に売却することは問題」など、店舗誘致に反対する声も上がっている。教育関係者からも「出店ありきの議論ではなく、老朽化した校舎の改修など、学校施設の整備にめどを付けることが優先課題」「学校の敷地を売り払ってスーパーを誘致することに生徒や保護者の理解が得られない」との声が根強く、先行きは不透明な情勢だ。(松浦 純)

 


◎企画「1275億円の使い道」(下)公共事業 例年並みに

 一般会計総額1275億円のうち、土木や建設工事など事業費の総額は97億2800万円。09年度比で8億700万円(7・7%)減少したが、縄文文化交流センターや恵山コミュニティセンターなどの大型工事が完了したこともあり、実質的に例年並みの予算を確保したと言える。

 しかし、公共事業の削減の波は函館も例外ではなく、事業費はピーク時(1993年度)の262億円からは3分の1近くまで減った。市財政課は「財源が苦しい中でも、現状の地域経済を下支えできるよう配慮した」と話す。

 新年度の着手が決まっているものでは、基本構想や基本設計の策定費が目立つ。その一つとして、老朽化が進む市民体育館(湯川町1)の整備推進費に1830万円を計上した。本年度、民間による「あり方懇話会」を中心に立地場所や建設規模について議論された中で、西尾正範市長は現体育館をサブアリーナとして活用し、新たなメーンアリーナを増築する方針を明言している。新年度は現体育館の耐震診断を行い、整備基本構想や計画を策定する。

 もう一つが、函館国際水産・海洋都市構想推進費として国際水産・海洋総合研究センター整備に7770万円をつけ、建設予定地である旧函館ドック跡地の地質調査や基本設計に取り掛かる。

 ともに総額40億円規模の大型事業。函館地域の将来的な雇用や街づくりに直結する計画で、西尾市長は「大きなプロジェクトにも目鼻をつけられた」と話す。財源については「活用できるものはしていきたい」と、市の負担が約3分の1で済む合併特例債の使用を見込む。

 教育や子育てなどソフト事業に手厚く予算配分したことに対する批判や疑問が庁内外からあるが、長引く不況で地域経済が疲弊する中、経済活性化や雇用対策にも可能な限り力を入れた。09年度には4月の追加提案で実施した緊急雇用対策を、本年度は当初予算から計上し、2億7000万円から3億7500万円と1億円を上積みした。半年から1年の契約期間だが、市の直接雇用や委託先で計39事業、134人の雇用を生み出す考え。

 また公共事業の発注方法も工夫した。中小企業の仕事確保を目的に、09年度に続き6億3124万円を本年度の補正予算に計上して公共事業を前倒し発注した。一定の雇用を創出する企業に助成を行う「企業立地促進条例補助金」も2億5000万円と1億円増額。本年度は5社に適用し73人が職を得るなど成果を挙げている。

 新施策としては、中小企業が新規高卒者を半年以上雇用すれば1人当たり15万円を支給する、「新規高卒者等雇用奨励補助金」に4800万円(320人分)をつけた。しかし、1月から申請を開始したものの、2月中旬時点で18社で雇用人数は42人と低調。市労働政策課は「思っていたよりも出足が鈍い。今後さらに周知したい」と力を込める。

 予算会見でこれまでの経済対策について西尾市長は「相当の雇用は生んでいる。これまでのお金はすべて地域に流れているのだから」と言い切った。一方で将来を明確に見据え、景気刺激のカンフル剤となるような予算編成を望む声も根強い。函館の今を救いつつ、未来に向けた街づくりを限られた財源で実施できるか―。今後も難しいかじ取りが求められる。(山田孝人)