2010年2月4日 (木) 掲載

◎身を清め節分祭 高穂神社で水ごり

 3日は「節分」。函館市内の寺院や神社では、1年の無病息災を祈る節分祭などが開かれた。

 同市上湯川町の高穂神社(澤口廣宮司)では、節分祭を前に水ごりを行った。澤口宮司や神職、氏子代表ら白装束姿の6人が、境内にあるオンコの御神木の根元から沸き出る水をかぶりながら、五穀豊穣、社会の平穏、氏子らの健康を祈った。

 水ごりが始まった午前9時ごろの函館の気温は氷点下11.1度。雪が降る中、始めに澤口宮司(59)が祝詞をささげてから水をかぶり、続いて5人が行った。澤口宮司は最後にクマザサにつけた水を氏子らにかけておはらいした。澤口宮司は「外気温が寒いだけに、水は冷たく感じなかった」と話したが、体からは湯気が上がり、厳しい寒さを感じさせていた。

 同神社は1911(明治44)年開基、80年に創建され、今年は神社創建30周年を迎えた。澤口宮司は「節目の年だけに、例年より気合が入った。景気が回復し、世の中が良くなってほしいと祈りました」と話していた。(山崎純一)



◎高速無料化道南見送り 観光業界「期待外れ」

 高速道路の無料化が6月をめどに道内4路線5区間で実施される。だが、道縦貫自動車道(道央道)の道南と札幌方面を結ぶ区間は見送られ、函館の観光業界からは「期待外れ」の声も上がっている。競合するJRや都市間バス会社などは無料化拡大による客離れへの危機感を強めるが、物流業界には冷めた見方もあり、関係者の反応は複雑に交錯している。

 「今年は函館競馬場や箱館奉行所の完成など観光客誘致の起爆剤があっただけに残念。札幌圏から道東や旭川方面に客が流れてしまう」。函館湯の川温泉旅館協同組合は不安を隠せない。昨年夏以降、ETC効果で従来少なかった関東圏の利用客など一定の需要を確保できただけにため息も交じる。

 昨年10月、落部IC(インターチェンジ)の開通で道央道に隣接した八雲町の噴火湾パノラマパークは「冬場にもかかわらず、来園者は前年の4、5割増し」(同町公園緑地推進室)と高速効果を実感する。「無料になれば園内を経由して上下線を横断することもできた。期待はあったが、同時にソフト面も充実しなければ」と話し、地元農産物の販売など新たな魅力づくりに力を入れている。

 JRや高速バスには警戒感がにじむ。JR北海道は「無料化区間の段階的な拡大や料金体系の変更も検討されており、今後の動向に懸念を持っている」(広報部)。函館―札幌間の都市間高速バスを運行する北都交通函館支店も「無料化で運賃を安くできるメリットもある。週末割引でマイカーに流れた客足をどこまで取り戻せるか…」と不安げだ。

 函館の運輸業者の見方は冷ややかだ。札樽自動車運輸函館支店は「札幌までの直線距離では高速を使う方が50〜60キロ遠くなり、一般道を使った場合の時間と大差はない。定時出発の物流では現在も使っていない会社が多く、無料化になっても使うかどうか」と静観する。

 函館市内の会社経営の男性(51)は「道内はすべて無料化され、バスや飛行機とも競争することで経済効果が生まれるはず。部分的な無料化にはがっかり」ときっぱり。「環境に配慮するならハイブリッドカーなどへの割引があってもいいのでは」と話していた。(森健太郎)



◎勝山館跡の出土品 重文指定後初の一般公開

 【上ノ国】勝山館跡(国指定史跡)で発掘され、2008年に国の重要文化財に指定された出土品の特別公開が13、14の両日、町総合福祉センターで開かれることが決まった。展示品は和人やアイヌ民族が使用した生活用品や、国内外との交易でもたらされた銅銭や陶磁器類などを中心に300点規模となる。重文指定後の一般公開は今回が初めて。  国外との盛んな交易を裏付けるベトナムや沖縄の銅銭、中国をはじめ国内外で生産された青磁、白磁、染付や、瀬戸焼、美濃焼、越前焼などの陶磁器類を展示。食器類や調理具、下駄やたるなどの生活用具、ノミやタガネといった大工道具、アイヌ民族が用いた骨角器、木製品など、勝山館での生活を物語る遺物を公開する。

 重文指定後、遺物は防火管理のため町役場で保管。一般公開はしていない。特別公開は重文指定を記念して町教委が初めて行う。斉藤邦典学芸員は「主要な遺物が一堂に会するまたとない機会。上ノ国には貴重な遺跡や遺物が数多くあることを再認識してもらうことができれば」と話している。公開は午前9時―午後5時。入場無料。

 勝山館は、松前氏の祖・武田信廣が15世紀後半に築いた山城。16世紀末まで武田・蛎崎両氏の居館になった。1979年から現在も続く発掘調査では、建物、井戸、空壕(くうごう)などの遺構とともに、陶磁器、金属製品、木製品など約7万点の出土品が出土。08年7月に重文の一括指定を受けたのは、陶磁器・土器313点、ガラス製品17点、木製品129点、漆器10点、石製品46、金属製品338、骨角製品65など合計921点に上る。檜山管内では5番目の重文指定となった。

 公開に合わせて、町教委主催の「第11回連続講座―ふるさとの歴史を読み解く」も開講する。初日の13日は、道教委文化財調査グループの田才雅彦主査が「重要文化財の活用と上ノ国のまちづくり」をテーマに講演する。27日の第2回講座では、町内の上國寺本堂(重要文化財)の解体修理を担当している、文化財建造物保存技術協会の小幡長治氏が講師を務める。第3回講座は3月6日。町教委の学芸員が上ノ国市街地遺跡など、町内の遺跡発掘について報告する。講座はいずれも同センターで午後1時半から。入場無料。問い合わせは町教委生涯学習・文化財グループTEL0139-55-2230へ。 (松浦 純)


◎大人も子どもも「鬼退治」 各地で節分イベント

 「鬼は外!福は内!」―。3日の節分に合わせ、函館市内各所で開かれた節分会(せつぶんえ)や節分祭では、参加者が1年の無病息災や家内安全、商売繁盛などを祈り、邪気を払った。子どもたちは「鬼退治」に張りきり、大人も夢中になって豆を集めるなど伝統行事を楽しんだ。

 ○…函館市昭和2の永全寺(齊藤隆明住職)では、檀家ら約90人が出席して厄払いや豆まきを行った。開運まんじゅうもまかれると、多くの参加者がわれ先にと手を伸ばしていた。

 同寺では10年ほど前から、焼き印で「開運」と押したまんじゅうを作っている。今回は350個のうち10個で5キロの米などが当たり、参加者に喜ばれた。

 法要で静かな祈りに包まれた本堂も、豆まきが始まると一変。「こっちにも」「取れた」などの歓声がお響き渡った。当たりの開運まんじゅうを手にした市内の主婦(75)は「とってもうれしい。きっと今年もいい年になる」と笑顔を浮かべていた。

 ○…函館市谷地頭町2の函館八幡宮(中島敏幸宮司)でも恒例の節分祭が行われた。市民ら約60人が本殿に集まり、神事などを行い今年1年の平穏を祈った。

 中島宮司が祝詞を奏上したほか、弓の弦を弾いた音で邪気を払う儀式では、裃(かみしも)姿の参加者が気を引き締めて玉ぐしをささげ、気持ちを新たにしていた。

 一斉に外に向かって福豆を投げた参加者は寒さもなんのその。市内の女性(68)は「1年の始まりの行事。商売繁盛、家族の健康を願っています」と話していた。

 ○…函館市堀川町4のスーパー、マックスバリュ堀川店(小松輝人店長)でも節分イベントが開かれた。買い物中の親子など約100人が鬼にふんした店員に豆を投げて鬼退治をしたり、恵方巻きを食べて楽しんだ。

 イベントは道内72のグループ店でも同時開催された。堀川店では午前と午後合わせて2回、計150人が来場。特に子どもたちは「いけー」やおなじみの「鬼は外」と元気いっぱいに豆まきをした。体を動かした後は恵方巻きを「ガブリ」と勢いよく食べて、笑顔―。 (小杉貴洋)


◎「食」キーワードに申請 はこだて観光圏推進協設立

 【北斗】道南の全市町が一体となって広域観光圏域の形成を目指す「はこだて観光圏整備推進協議会」の設立総会が3日、北斗市総合文化センターで開かれた。渡島・桧山管内18市町の自治体や観光団体などが参加、今月19日までに国に対し、「食」をキーワードとした観光圏の認定申請を行うことなどを決めた。

 「観光圏」は2008年に施行した観光圏整備法に基づき、観光客の来訪や長期滞在を促進する目的で観光庁が特定地域を認定する。事業ごとに国から上限40%の補助が受けられるなどのメリットがあり、これまでに全国で30地域、道内では3地域が認定を受けている。

 18市町は協議会設立に先立ち「はこだて観光圏整備計画」を策定し、10年度の認定を目指す。滞在促進地区として6地域を設定し、食を中心に地域のブランド化を目指す。主な事業として地元食材を使った新たな「ご当地料理」の開発や各地をめぐってのクイズ事業、観光施設や入浴施設で使える周遊プログラムなどを盛り込んでいる。

 数値目標としては観光入り込み客数を2014年度までに1302万人(08年度比20%増)、平均宿泊日数を1・82日(同25%増)を目標に設定した。

 総会には函館市、北斗市をはじめ道南の全自治体のほか、観光団体、商工団体などから約100人が参加。同計画案を承認し、会長に西尾正範函館市長を選んだ。同市長は「道内だけでも4地域が申請するとみられ、新年度の認定枠は全国で5カ所程度とみられる。狭き門だが、認定を受けられるよう地域の皆さんと取り組みを進めたい」と述べた。(千葉卓陽)