2010年2月5日 (金) 掲載

◎夢の実現目指す主婦と再就職へ介護学ぶ58歳奮闘中 

 厳しい雇用情勢が続く中、主婦や会社員を経験してから学び直す「社会人学生」が夢の実現や再就職に向け、資格取得や技術向上に励んでいる。函館短大保育学科の関根麻里さん(27)、函館臨床福祉専門学校に通う佐藤好男さん(58)もそうした学生の1人だ。目的意識が明確なため学習意欲も高く、現役学生にも良い影響を与えていると学校側もエールを送っている。

 関根さんは函館東高を卒業後、事務職として働いた。20歳で結婚し、2児の母親に。保育士へのあこがれは以前からあったが、ピアノも弾けずあきらめていたという。しかし子育てで子どもの発想力に感動し、再びその夢への思いが再燃。夫や母の後押しもあり、昨年4月に入学した。

 現在、子どもを保育園に預けながら通学し、家事と育児、学業の両立に励む。「年下の同級生と慣れるのに時間が掛かった」というが、今はすっかりなじみ、キャンパスライフを楽しんでいる。「自分のために学ぶ実感があるから授業が楽しい。『受け身』だった高校時代より勉強している」と笑顔を見せる。

 函館短大で児童福祉を担当する専任講師の新沼英明さん(33)は「子育て中の母親と接するのは現役の学生にも良い刺激。関根さんも相当努力している」と応援する。  一方、佐藤さんは函館商業高卒業後、18歳で自動車整備の仕事に就いた。大工を志した時期もあったがけがで断念し、整備士としてその後19年間勤め続けた。ところが2008年12月、勤務先の個人経営の自動車関連会社が経営難で倒産。ハローワークのあっせんで道立函館高等技専の介護福祉科1期生となり、訓練委託先の函館臨床福祉専門学校に昨年4月から通い始めた。

 数年前から「定年後は福祉の道に」と考えていたものの、60歳間近の転身を家族は心配した。入学後はボランティアにも積極的に参加し、休暇中は施設に出向いて自主的に実習する前向きな姿勢は周囲を驚かせたという。「今まで知らなかった障害者の世界に触れ、何か協力したいと強く感じる。卒業後は良い施設で働きたい」と目を輝かせる。

 新沼さんも社会人学生を経て現職になった。市役所勤務の傍ら大学院の夜間部に通った経験から「社会人学生の課題は経済的負担と時間」とし、「学費以外にもお金が掛かるし、働きながら通うと体力的にきつい。柔軟に対応できる制度があれば」と話している。

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 市内では社会人向けの入学制度や措置を設ける機関もある。函館短大は「社会人ゆっくり修学制度」として最長6年間在学できる長期履修制度があり、函館高等技専の求職者向け介護福祉科の2期生も3月に募集する予定。多くの専門学校や大学、短大では、1つの学年に数人の社会人学生が在籍している。(新目七恵)



◎参院選比例区、公明・横山氏が出馬表明

 公明党の横山信一道議(50)=函館市区選出=は4日、今年7月の参院選比例区に立候補することを正式表明した。党本部が同日、公認を決定。引退する風間昶氏(62)の後継として北海道・東北ブロック重点候補となる。横山氏は函館市内で会見し、「厳しい戦いになると覚悟しているが、期待に応え議席を守りたい」と述べた。

 出馬を決めた理由について「北海道からの参議院の議席は結党以来45年間送り出し続けている。風間氏の引退で、議席を失うのは残念との思いがあった」と説明。風間氏が長年手がけてきた北海道新幹線問題のほか、一次産業の充実、経済対策、食の安全、環境問題などに取り組むとした上で「野党の立場でさらに頑張りたい」と述べた。

 公明党は当初、今参院選でブロックごとの重点候補を立てず、党名での投票を呼びかける方針だったが、「政治とカネの問題」などによる鳩山内閣の支持率低下を受け、方針を転換。同氏は「中央の決定は党勢推進の上で歓迎している。候補を立てて戦うことへの期待に応えるよう精進したい」とした。  また、道議の辞職時期については「後援会との話し合いが必要。議会内での引き継ぎを滞りなく行い、できるだけ早い時期に済ませたい」と明言を避けた。  横山氏は帯広市出身。北大大学院水産科学研究科修了。道立函館水産試験場勤務を経て2003年の道議選函館市区で初当選し、現在2期目。昨年10月から党北海道本部幹事長代行。参院選比例区には元函館市議の板倉一幸氏(58)=民主党=も私鉄総連の組織内候補として出馬を表明している。(千葉卓陽)



◎市有地に神社の敷地 砂川違憲判決受け函館調査

 函館市内の市有地に複数の神社の敷地が存在し、いずれも賃貸契約を結んでいなかったことが4日、分かった。最高裁で1月、砂川市が市有地を神社の敷地として無償提供している行為が憲法違反と判断されたことを受けて函館市が調査を進めていたもので、市は関係先に対し、何らかの形で有償契約を結ぶ方針という。

 市財務部によると、問題が見つかったのは湯川町2の28の市有地(3090平方メートル)。1941(昭和16)年に市が取得、70年から湯川保育園の敷地として活用する一方、1290平方メートルはフェンスを張り、用途未定地としている。

 ところが、違憲判決を受けて市が調べた結果、この場所に小規模の「日吉神社」が存在し、隣接する「湯倉神社」の車庫も立地していることが判明した。

 同部によると、日吉神社は70年に行われた道道函館上磯線(産業道路)の拡幅工事に伴い、何らかの原因で移設されてきたとみられるほか、湯倉神社の境内と市有地の一部はほぼ同化しているという。

 現在、両神社の関係者と協議を進めており、買い取りや貸し付けなどの形で契約を結ぶ考え。同部は「古いまちなので、同様のケースが今後も出てくる可能性がある」と話している。(千葉卓陽)


◎私立高出願 平均倍率2.0倍

 函館市内の私立高校8校は4日、2010年度の入学願書の受け付けを締め切った。函館ラ・サールを除く7校の合計出願者数は前年度比80人減の2854人。総定員に対する平均倍率は同0.3%減の2.0倍となった。学科・コース別では、前年度に続き函大付属有斗の普通科特別進学コースが10.8倍と最も高倍率となった。

 私立8校の来年度の定員は本年度より53人減の1618人で、このうち函館ラ・サールを除いた7校の定員は前年度比43人減の1398人。推薦入試で300人が合格しているため、7校の一般入試の実質平均倍率は同0.5%減の1.8倍となった。全校で定員割れはなかった。

 倍率が2倍を超えたのは4校7学科・コース。有斗の普通科特別進学コースに続き、遺愛女子の普通科特別進学コースが同0.1%減の3.9倍、同校英語科が同0.2%減の2.3倍、函館白百合学園の看護医療系進学コースが同0.6%減の2.3倍の順だった。

 普通科特別進学コースと普通科一般コースを統合した函大付属柏稜の「普通科総合進学コース」は1.6倍で、統合前の2コースの合計平均倍率と同じ倍率となった。

 函館ラ・サールは4日付の郵送も受け付けており、9日には倍率が確定する予定。

 市内の私立高の一般入試は16日、合格発表は22日に実施する。(新目七恵)


◎桧山広域行政組合 派遣職員めぐり不協和音

 【江差】桧山管内7町と道が出資する「桧山ふるさと市町村圏基金」の廃止に伴う、桧山広域行政組合(理事長・濱谷一治江差町長)の組織体制見直しをめぐり、構成町の間に不協和音が生じている。江差町が財政難を理由に派遣職員の引き上げ時期について他の構成町に猶予を求める一方、新年度には職員4人の新規採用を決めたことに一部の構成町が反発している。

 管内7町の一部事務組合である行政組合は、消防本部と総務企画課で構成。江差町から消防本部に2人、総務企画課に3人の職員を派遣。人件費は7町の負担金を充てている。基金の運用利息を活用した地域振興業務を担当する同課は縮小・廃止の対象になっている。これに伴い派遣職員は順次、江差町に復帰することになるが、財政難が続く江差町の人件費負担が急増するため、猶予措置として新年度は1人程度の復帰にとどめることで管内7町長が大筋で合意している。

 江差町からは広域行政組合の5人に加えて、江差町ほか2町学校給食組合に2人、南部桧山衛生処理組合にも2人の職員を派遣している。近隣町より職員規模が大きい同町に職員派遣を依存してきた経緯もあるため、他の構成町は職員派遣の見直しついても柔軟に応じる意向を示していた。

 ところが、新年度の一般事務職採用をめぐり、江差町が当初2人だった採用人数を4人に拡大したことで問題がこじれた。同町は「定年退職以外に年度途中で早期退職の希望もあり欠員が増えた。やむを得ない措置だ」と説明する。だが、一部の構成町は「4人も採用できる財政的余裕があるのなら、派遣職員の引き上げが先決ではないか」(ある町幹部)と反発。複数の町議も「他町の税金で江差町の職員を養うのか」「自分の町は採用を抑制している。町民に説明できない」と不満を漏らす。

 同基金の廃止や広域行政組合の組織体制の見直しは、早ければ3月に開かれる各町の第1回定例町議会で審議される見通しだが、各町の負担金や派遣職員の取り扱いをめぐり、構成町の間に波紋を広げそうだ。(松浦 純)