2010年2月6日 (土) 掲載

◎榎本武揚のひ孫・隆充さんら会合「開陽丸子孫の会」

 幕末の混乱期にその名を刻んだ軍艦「開陽丸」の乗船者の子孫が、函館市本町7の居酒屋「開陽亭」で初めて会合を開いた。榎本武揚(旧幕府軍総裁)のひ孫、榎本隆充さん(東京農業大学客員教授)ら14人が集い、「先祖の時代からかかわりの深い地で仲間が集えることは大変幸せ。今後も函館の皆さんとの絆(きずな)を深めたい」と話した。

 2007年4月に子孫32人で発会した「開陽丸子孫の会」(榎本隆充会長)が昨秋開いた「函館・江差の旅」の一環として、今回の宴席が実現した。子孫の会は現在の世情を時代の転換期と捉え、「先人の考えや行動を検証しながら、その思いを未来に生かしたい」と会誌づくりや定期的な会合を開いている。

 函館市内に「開陽丸」をこよなく愛する居酒屋があるとメンバーが聞きつけたのが会合を開くきっかけ。市内の「開陽亭」は「高い志で時代を駆け抜けた『開陽丸』にあやかりたい」と開陽亭グループの柳沢和昭会長が名付けた。

 宴席に柳沢会長が駆けつけ、この逸話を披露すると、子孫の会メンバーは感激。「『開陽丸』に温かな思いを寄せていただき、本当にありがたい」と終始和やかな雰囲気に包まれた。

 隆充さんは「道南の皆さんに親切にしていただき、感謝している。今回の旅の素晴らしい出会いを、前向きな未来づくりに生かせることを願っている」と話していた。また、一行の旅を案内した地元関係者は「『開陽亭』に開陽丸子孫の皆さんが集まることはとても意義深いこと」と喜んでいる。(田中陽介)



◎水道管凍結が急増…函館市

 2月に入り真冬日が続く中、水道管凍結件数が急増している。最低気温マイナス12・9度、最高気温も同4・9度と冷え込んだ4日に函館市水道局と水道修繕センター(函館管工事業協同組合内)に寄せられた件数は、この冬最高の231件に上った。同局水道課は「今後も冷え込みが予想されるので、こまめな水抜きをしてほしい」と注意を呼び掛けている。

 今冬の水道管凍結件数は昨年12月時点では35件と一昨年を下回ったが、1月には243件を数えるなど急増。特に真冬日が4日間続き、最も低い日でマイナス13・1度を記録した同14―17日に集中し、17日には101件の凍結相談が寄せられた。

 2月に入っても寒波は続き、4日現在で最高気温はプラスに達していない。「特に4日は水道課の電話が朝から鳴りっぱなしだった」(同局水道課)という。5日も60件を超える相談があった。函館海洋気象台によると、一時寒波は弱まるが、今後も平年に比べて気温の低い日が続くという。

 同局水道課によると、水道凍結の可能性が強まる目安は最低気温マイナス4度以下。予防策として長時間水道を使用しない外出や就寝時に水抜きをすることが第一だ。凍結した水道を放置しておくと水道管が破裂する恐れがあるので、早めの解氷が必要。業者を呼んだ場合の修理価格の目安は、平日昼間で6000―8000円となっている。

 同局水道課は「築年数の経過した建物の多い西部地区からの相談が多く、今後も気温の推移には気を配ってほしい。凍結した場合は早めに対処して」と話している。問い合わせは同局TEL0138・27・8753、同センターTEL同62・5511。(山田孝人)



◎温かなキャンドル…光の小径キラキラ

 温かなキャンドルの明かりで住民と観光客らの心をつなぐ「光の小径(こみち)」が5日、函館市五稜郭町で行われた。五稜郭公園の外周1・8キロに1200個、五稜郭タワー周囲には200個のキャンドルが置かれ、「雪景色に映える幻想的な光景」と来場者を魅了した。

 市内各地で1日から始まった「2010はこだて冬フェスティバル」(実行委主催)の一環。ろうそくを使った手づくりのキャンドルに、この日参加した35人の実行委メンバーが午後5時半、1つずつ火をともした。

 吹雪に見舞われたが、キャンドルとタワーの照明が輝きを競演。散策する人を見守るように夜道を照らした。

 耳を澄ますと「バチッ、バチ」と炎に雪が触れる音も聞こえ、会場を訪れていた写真愛好家は「自然のハーモニーで素晴らしい」と感動した様子。

 タワー展望台から景色を楽しんだ市内杉並町の三上美栄子さん(62)は「心和む明かりで気持ちが優しくなる」と笑顔を見せていた。(田中陽介)


◎函館市の除雪費 追加へ…3億底つく

 函館市では5日までに、除雪費として計上していた3億円がほぼ底をついた。今後も降雪が予想され除雪作業を継続する必要があるため、市は今月下旬に開会する定例市議会に補正予算を計上する方針を固めた。補正金額は現在、調整中。除雪費の補正予算計上は2005年度以来4年ぶりで、市土木部は「議決までは市全体の当初予算の中から費用をねん出する」としている。

 同市の1月の降雪量は158センチで、1998年に記録した146センチを超え過去最高となった。同月中旬には市の道路除雪で出た排雪を集積していた滝沢町の雪捨て場を、同月下旬には一般市民向けに開放していた赤川1の土木部維持課向広場も満杯となり閉鎖した。現在は港町ふ頭雪捨て場に切り替えている。

 市土木部は「排雪場の変更で輸送コストがかさむことから、除雪後の雪が排雪できないケースも出てくるが、市民には理解をお願いしたい。ただ、降雪に応じた除雪は引き続き行っていく」と話している。(山田孝人)


◎新たに「函館野外劇大使」任命へ

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フリップ・グロード理事長)の2010年度通常総会が5日、函館市中央図書館(五稜郭町26)で開かれた。伸び悩む観客数の拡大に向け「函館野外劇大使」を新たに任命する案などを承認した。

 1988年に創立した同会は今年で23年目を迎える。総会では、昨年度の公演が悪天候の影響で3回中止となり、入場者数が前年比約88・9%の9069人(前年度1199人)に落ち込んだことを報告。これに伴い、チケットの売り上げ枚数も1万1119枚と前年度の1万2347枚から大幅に減少した。

 10年度の事業目標では、入場者数1万2000人の達成や現在約500人の個人会員を最低1000人まで増やすことを掲げるとともに、転勤などで現在函館外に住む関係者を「函館野外劇大使」に任命し、全国的な知名度アップへの協力を呼び掛けることなどを確認した。

 また役員改選では、13年間にわたって事務局長を務めた岸部祐一さんが勇退したのに伴い、家口利明さんが新事務局長に就任した。

 今年度の函館野外劇は、特別史跡「五稜郭」特設会場を舞台に、7月9日から8月7日までの金曜日と土曜日に7月25日(日曜日)を加えた全11公演を予定している。(小川俊之)


◎七飯大沼小 児童が練習に熱…あすの千の風フェスに出演

 【七飯】七飯町文化センターで7日午後2時から開かれる「千の風フェスティバル」(同町などが主催)に出演する七飯大沼小学校(和高敏明校長、85人)の4―6年生児童44人が5日、同小学校で本番前の最後の練習を行った。

 同フェスティバルは、名曲「千の風になって」にゆかりのある七飯町と新潟市、愛媛県西条市の3市町が集う「千の風サミット」が6日、七飯町内で開催されるのを記念したイベント。新潟市や西条市のコーラスグループや、曲を作曲した新井満さん、アイヌ文化を伝承する団体、白糠シノッチャの会(高木喜久恵代表)なども出演する。

 同校の児童は、町内のコーラスグループ3団体でつくった「ななえ音楽合唱団」とともに地元の代表としてステージに立つ。

 同校は昨年の新潟開催に続く出演で、今回は「千の風になって」と「明日はきっと」の2曲の合唱を披露する。「千の―」では2コーラス目から児童4人が前に出て手話を交えて歌う。

 昨年12月に出演が決まり、本格的に練習を始めたのは冬休み明け。短期間の集中練習で本番に間に合わせた。この日は1―3年生の前で本番を想定して練習し、伸びのある歌声を響かせた。

 6年生の畠山拓郎君(11)は「やれることはやった。練習した成果を発揮したい」と話し、指導に当たった平田葉子教諭(51)は「大勢の前で歌うことは滅多にないこと。一回り成長してほしい」と期待を寄せていた。(鈴木 潤)