2010年2月7日 (日) 掲載

◎ジャンボ滑り台に大歓声 大沼函館雪と氷の祭典開幕

 【七飯】第44回大沼函館雪と氷の祭典(実行委など主催)が6日、2日間の日程で、七飯町大沼国定公園広場で開幕した。大勢の家族連れが訪れ、氷のジャンボすべり台や、地元の児童らが制作した雪像見物、冬の味覚などを楽しんだ。  この祭典は、1964年に「函館、七飯(大沼)、松前、江差」が国際観光ルートに指定されたことを記念して始まった。実行委は「今年は氷もきれいで、気温も低く、雪景色に包まれているので祭典としてはベストなコンディション」と話す。

 すべり台は、大沼から切り出した60a角の天然氷を使用して製作した。高さ約5メートル、長さは約23メートルあり、スリルと迫力満点。子どもから大人まで歓声を上げて楽しんだ。

 雪像は、中雪像(縦、横、高さ2.7メートル)が12個、ミニ雪像は(高さ2メートル、縦横1メートル)30個作られた。実行委によると、今年は漫画のキャラクターをデザインしたものが多く、子どもたちは記念写真を楽しんだ。函館市神山の主婦、鈴木瞳さん(29)は「寒いけど、幼児向けの小さいすべり台もあり、とても楽しめる」と話し、長女の莉緒ちゃん(5)は「すべり台は早かった。怖くなかった」と笑顔を見せていた。

 このほか、シチュー、ホタテ焼きなどの「冬の味覚市」や、近くの大沼婦人会館では民謡や舞踊のショーが行われた。最終日の7日は同会館で午前10時から午後3時までフリーマーケットが行われる。(山崎純一)



◎七飯で千の風サミット開催

 【七飯】名曲「千の風になって」にゆかりのある七飯町と新潟市、愛媛県西条市の3市町が曲による町おこしの可能性を探る「千の風サミット」(七飯町など主催)が5日、町大沼国際セミナーハウスで開かれた。3市町の行政、町おこしグループや作曲した新井満さんら16人が会談し、自然環境の保全推進や継続的な交流などを盛り込んだ七飯宣言を採択した。

 新潟市が新井さんの出身地、西条市が曲を歌うテノール歌手、秋川雅史さんの出身地、七飯町が同曲誕生地であることから交流を開始。サミットは昨年2月の新潟市に続き2回目で、七飯町がホストを務めた。  サミットには3市町のほか、新井さんと親交のある、アイヌ文化を伝承する団体、白糠シノッチャの会の高木喜久恵会長と道アイヌ協会阿寒工芸協会の秋辺日出男さんも出席した。

 中宮安一七飯町長が議長を務め、3市町の町おこしグループがそれぞれの活動を紹介。新潟市は歌碑を建てる取り組みを、西条市は秋川さんの好物のシュークリームで「千の風」ブランド創出にそれぞれ取り組んでいることを報告した。七飯町は「千の風」のイメージ作りに大沼公園駅前のメーンストリートや遊歩道の街路樹整備を提起し、函館大沼プリンスホテルが取り組む「千の風ディナー」や「同カクテル」を紹介。千の風プロジェルト実行委員長の渡辺譲治さんは「曲と七飯の食ブランドを結びつけていきたい」と述べた。

 また、高木会長や秋辺さんは自然に対する感謝と畏怖の気持ちを持つアイヌの心を説き、「『千の風になって』は全民族にとって大切な歌」と強調。最後に七飯宣言を採択し、閉会した。宣言には3都市に共通する水の豊かさを示し、水を大切にする趣旨の文言を盛り込んだ。

 来年の次回開催地となる西条市の大越康史副市長は「開催に向けしっかり準備をしていきたい」、新井さんは「このサミットでのアイヌの参加は意義深い。これから実施する取り組みに感銘した」と語っていた。

 7日は午後2時から、町文化センターでサミット開催を記念した合唱祭「千の風フェスティバル」が開かれる。(鈴木 潤)



◎八雲国道でバスなど5台多重衝突事故 中学生ら30人けが

 【八雲】6日午後1時ごろ、八雲町入沢470番地先の国道5号で、マイクロバスなど5台が絡む多重衝突事故が発生。合わせて32人が巻き込まれた。八雲署によると、このうち30人が病院に運ばれたがいずれも軽傷だった。マイクロバスには南空知の中学生バドミントン選手16人らが乗っていたが、病院で手当てを受けた後、全員が大会が行われる函館に列車で向かった。

 同署の調べでは、現場は海沿いを走る片側1車線の直線道路。吹雪による視界不良のため、函館方面に向け走行していたワンボックスカーと乗用車が停止。この乗用車に後続のワンボックスカーが追突し、押し出された乗用車も先頭のワンボックスカーに追突。さらに後続のマイクロバスと乗用車が次々と追突し、計5台の玉突き事故となった。体の痛みなどを訴えた30人が八雲町総合病院に運ばれ手当てを受けたが、いずれも軽傷だった。

 マイクロバスには、7日に函館で行われるバドミントンの南北海道予選に出場する南空知バドミントン協会所属の中学生16人を含む20人が乗車。追突の衝撃でマイクロバスはフロントガラスにひびが入り、左前方の助手席下部が破損した。同行していた同協会の池田忠広強化委員長(33)は「10メートルほど前を走っていた車が急に止まり、ドライバーが急ブレーキをかけて避けようとしたが、車内に子供たちの『危ない』という悲鳴が響いた直後に追突した。後方には保護者の車も数台走っていたが事故に巻き込まれなくてよかった」と話す。子どもたちに目立った動揺は見られないが「明朝の様子を見て大会出場の判断をしたい」と話す。

 同町では5日午後3時から6日午後4時までに約15aの降雪があり、断続的な地吹雪による視界不良が続いていた。同署で詳しい事故原因などを調べている。


◎道渡島管内商工会青年部連合会、結成40周年記念式典

 道渡島管内商工会青年部連合会(会長・沢田暁北斗市商工会青年部長、会員253人)の結成40周年記念式典が6日、函館国際ホテルで開かれた。会員や来賓約150人が参加。沢田会長は「これを節目として新たな活動を展開し、結束して地域商工業発展のため誠心誠意努力しよう」と呼び掛けた。

 渡島管内にある12の商工会青年部で構成する。1969年10月18日に結成した。この日は式典のほか講演会や祝賀会も開催し、節目の年を祝い交流を深めた。

 式典では、青年部宣言を皆で唱和して商工業発展にかける決意を確認。道渡島管内商工会連合会長の木元護木古内商工会長が式辞で、「商工会が中心となって連携しなければならない時代にあり、青年部の役割は大きい。柔軟な発想で地域をもり立ててほしい」と激励した。

 寺山朗渡島支庁長が同青年部連合会の活動をたたえて表彰状を授与。同連合会は、前回の式典以降に青年部連合会長を務めた5氏を表彰し、代表して第8代会長を務めた岩上洋志氏(当時は旧椴法華商工会青年部長)が代表して謝辞を述べた。

 岩上氏以外の被表彰者と所属は次の通り。(敬称略)

 第9代 加藤大(函館東商工会)▽第10代 宮本庸仁(函館市亀田商工会)▽第11代 水上浩幸(北斗市商工会)▽第12代 安田嘉則(同)(小泉まや)


◎多宗教が共生する函館あり方議論 開港150周年フォーラム

 函館開港150周年を記念した市民フォーラム「うけいれる日本のこころ」が6日、函館市大手町の函館国際ホテルで行われた。比較宗教学者で東京工芸大名誉教授の加藤智見さんらが日本独自の宗教観や自然を尊ぶ縄文文化について講演、座談会を行い、多宗教が共生する函館の在り方について議論を深めた。

 開港でさまざまな宗教や国を受け入れた函館の史実を見直し、世界に平和を発信しようと、市民有志でつくる「開港がくれたおくりもの実行委員会」(石井直樹代表)が企画した。市民ら約100人が参加した。

 基調講演で加藤さんは日本の宗教観について「欧米的に優柔不断とされるが、世界の宗教観の1つとして理解し直すべき」とし、「特に函館はさまざまな宗教を温かく受け入れており、世界にアピールする必要がある」と訴えた。

 続く座談会は「函館のもつ“共生”」と題し、函館在住の染木泰子さんが司会を務めた。道国際交流センターの山崎文雄代表理事は「宗教の争いが深刻な外国に比べ、日本の寛容性は尊い」とし、「生き物の進化の考え方には科学的に実証できない部分がある」と宗教の重要性を指摘した。市教委の阿部千春参事は縄文文化について「万物に魂が宿り、感謝する精神文化があり、『共生』の基盤ともいえるのでは。すべてに感謝し、平和に暮らしていた事実を発信し、函館の学び観光につなげたい」と語った。講演前には函館メサイヤ合唱団によるミニコンサートも行われた。(新目七恵)