2010年3月10日 (水) 掲載

◎社協椴法華支所 安否確認ボランティア 小市さんと佐々木さん10年目

 函館市社会福祉協議会椴法華支所(新浜町)では、1人暮らしの高齢者の安否を、ボランティアの住民が乳酸菌飲料を手渡しすることで確認している。ボランティアの小市光子さん(67)は毎週、佐々木カチ子さん(74)に飲み物を手渡す。「元気が?」「元気だ」―。そんなやりとりも今年で10年を迎えた。

 新八幡町でガソリンスタンドを経営している小市さん方には多くの人が集まる。28年前に漁師の夫、正美さん(当時49)を亡くした佐々木さんもその1人だ。小市さん宅でアルバイトをし、支え、支えられてきた。

 休みの日には小市さんや近所の人たちと連れ立って元町など旧市内へ足を延ばすこともある。夫を亡くした当時は落ちこんだが、今は「悩んでいる暇もない」ほど充実した日々を送っている。小市さんが仕事で向かえないときには、従業員の石井里恵さん(33)が、佐々木さんの家へ届ける。「今日はどこ行ぐの?」「漁が始まったね」。世間話をしながら、近況報告もする。

 「手軽で親しみやすい」と、旧椴法華村商工会の女性部が乳酸菌飲料を安否確認に使い出したのがきっかけ。2004年に函館市と合併し、同商工会が函館東商工会と変わるまで、「20年以上続けてきた」と小市さんは話す。合併後は、市社会福祉協議会のボランティア事業となり、現在まで続いている。

 小市さんは「ボランティアといっても、こちらが励まされる。顔を見ると元気がもらえる」と話す。佐々木さんも「若い人も来てくれるし、顔を合わせて話すのが楽しい。安心できる」と笑顔を見せる。

 10年という年月を「あっという間だった」と2人は笑う。「これからも元気で楽しく過ごしたい」と佐々木さんは語り、小市さんも「いつまでも椴法華で暮らしたいと思ってもらえるよう続けたい」と笑顔で話していた。(黒田 寛)



◎函館市議会 いじめ防止、早期発見へ 小中学校でネットパトロール

 函館市議会の第1回定例会は9日、一般質問を続行し5人が立った。多賀谷智教育長は、いじめ問題への新たな対策として新年度、インターネット掲示板の書き込みや学校裏サイト(学校非公式サイト)などを監視する「市立小中学校ネットパトロール事業」を実施することを明らかにした。サイト監視運営会社に事業を委託し、5月以降にスタートする予定。市教委と各学校は、定期的または緊急に連絡を受けて対応し、いじめや非行の防止に役立てる。

 いじめの現状と対策について質問した小山直子氏(民主・市民ネット)に答えた。いじめについて多賀谷教育長は、「コンピューターや携帯電話の急速な普及に伴い、インターネット上でのひぼう中傷など新しい形のいじめが増えている」と報告。教師らが独自に対応する場合もあるが、発見が極めて困難なことから、専門家に依頼する。

 市教委によると、昨年7月に開始した道から函館市への情報提供の数は、同9月からことし2月までの半年間、喫煙についての書き込みなど緊急性の高い内容の「週間報告」が33件、それら以外の内容の「月間報告」が593件あった。

 業者は、学校裏サイトや特定クラスの掲示板などの存在を調査し、定期的に書き込み内容などを確認。市教委と各学校に1カ月に1回の頻度で定期的に報告し、緊急性が高い場合はこれとは別に情報を伝える。発見した内容がいじめと判断された場合には、業者がサイト管理者に削除を依頼するなど、状況改善に努力する。

 監視していることが児童や生徒に伝わることで、悪質な書き込みの抑止効果も期待する。多賀谷教育長は「いじめの未然防止や早期発見の取り組みを充実させる」と話した。事業費は1470万円。全額、道ふるさと雇用再生特別基金を活用し、委託業者に4人の雇用を確保する。

 一般質問には小山氏のほか、本間新氏(市民クラブ)と松宮健治氏(公明党)、丸尾隆子氏(共産党)、斉藤明男氏(新生クラブ)が立った。(小泉まや)



◎サツマイモの生産体制確立を 厚沢部町議会

 【厚沢部】渋田正己厚沢部町長は、9日開会の第1回定例町議会で、焼酎原料や生食用として町内での栽培が進んでいるサツマイモの生産拡大について「道内他産地はいまだ試験段階にある。今が新規参入のチャンス」と述べ、新年度にも種苗生産や出荷体制を整備した上で、企業との契約栽培や食品業者の誘致に乗り出す方針を明らかにした。

 中山俊勝氏への答弁。町内では2006年度から、本格焼酎「喜多里(きたさと)」を製造する札幌酒精工業厚沢部工場に向けた、焼酎原料用の黄金千貫(こがねせんがん)の生産が本格化。さらに生食用や菓子原料となるサツマイモの栽培も始まっている。渋田町長は「主産地の九州では連作障害により収量が落ちている。数社の加工業者から問い合わせがある」と説明。新年度は種苗生産や栽培技術の普及向上などの課題整理を進め、本格的な生産体制の確立を目指す考えを示した。

 本会議では渋田町長が、移住・交流施策の推進、サツマイモやブロッコリーなど新規作物の定着やブランド化、特別養護老人ホーム・あっさぶ荘の29床増床などに取り組むとした新年度の町政執行方針を示した。中井文夫教育長は、基礎学力向上のため、市販ゲーム機やデジタル機器を活用した指導方法の工夫、新年度に生徒減少のため複式学級となる館中学校など小規模・複式校の教育充実、特別支援教育の充実を進めるとした、教育行政執行方針を示した。

 総額37億200万円の新年度一般会計予算案、上ノ国町と共同実施する、地域情報通信基盤整備事業の工事請負契約締結など24議案を提案した。会期は12日まで。(松浦 純)


◎宮川神社をイベントに開放 地域に開かれた活用目指す

 1765年に創建されたと伝えられる函館市浜町630の宮川神社(小野タ宮司)はこのほど、信仰と関係を持たないイベントに初めて神社を開放した。小野宮司(70)は「古来、神社は相談事などの地域の寄り合いの場だった。そうした伝統を今の時代に合わせて復活させたい」と話している。

 1918年に現在の場所に御神体を移した際、戸井地区の320戸が現在の金額にして約5億円の寄進をしたという。「当時は、イワシ漁が盛んで、網元が大勢いた。漁師にとっても神様は大切な存在だったのでは」と小野宮司は語る。そうした地域に対する感謝の気持ちが、函館市戸井地区の「キャンドルdeナイト」の会場に、社殿と社務所を提供という形で表れた。

 津軽半島から海を越え、多くの人が移り住んできた戸井地区。命を懸けて海で働いた人々が安全、豊漁を祈るとともに、神社を寄り合いの場として活用し、地域を盛り上げていた。小野宮司は今回のイベントに「戸井地区に、再び活気を呼び戻そうという流れが来た」と感じたという。

 イベントでは、悪天候のためにスタッフの到着が遅れ、小野宮司が司会を務めた。「人と話すの好きだから」と笑い、歴史や文化への幅広い知識を生かし、参加者の心をつかんだ。

 また、国の重要無形文化財に指定されている「松前神楽」の函館保存会副会長の立場から、「松前神楽」の成り立ちや神社の歴史をイベントで説明。小学生の巫女(みこ)が、手に鈴と扇子を持って舞う「鈴上舞」も社殿で披露され、優雅な舞が暗闇の中、アイスキャンドルの炎に照らされていた。

 その後、参加者らは、社務所で戸井地区の女性が作ったドンコのすり身汁やおにぎりに、「おいしいね」「体が温まる」と舌鼓を打っていた。ツアー関係者は「神社を気持ちよく貸してもらえて助かった」と話していた。小野宮司は「地域住民とのつながりがあってこその神社。今後も積極的に協力したい」と笑顔で語った。(黒田 寛)


◎住宅版エコポイント、新改築の特需取り込め テーオー展示即売会

 最新の住宅設備を紹介するテーオー小笠原木材事業部函館本店主催の「創業60周年記念展示即売会」が9日、函館総合卸センター流通ホール(函館市西桔梗町)で開かれた。省エネ住宅の普及を目指す「住宅版エコポイント制度」のスタートで市民や施工業者らの関心は高く、関連メーカーも特需の取り込みに躍起だった。

 例年、雪解けに伴い住宅工事が本格化するこの時期に開催。同社の取引先の住宅設備・建築資材メーカーなど36社が出展し、担当者が会場内に設けられたブースで売れ筋や新製品の見本を示し、商品の特徴などを熱心に売り込んでいた。

 この日だけ新築やリフォームを検討する市民や工務店の関係者ら約350人が来場。8日から省エネ効果の高い住宅の新築やリフォームに最大30万円分のポイントがもらえる「住宅版エコポイント」の申請受け付けが始まったことで、出展メーカーは対象の二重窓の設置や天井の断熱改修などのPRに力を入れていた。

 このほか、環境への関心の高まりを背景に節水タイプの水回り製品なども人気だった。出展したサッシメーカーのYKKAP函館支店は「カタログの減り方がこれまでにないペース。エコポイントに関する相談も20件以上あり、特にリフォーム需要には追い風になっている」と手応えを感じていた。(森健太郎)