2010年3月11日 (木) 掲載

◎函館市ファミリー・サポート・センターが広報誌の記念号発行

 育児支援を受けたい人と手助けできる人が登録し、助け合う会員組織「函館市ファミリー・サポート・センター」(若松町33)が設立10周年を迎え、広報誌「えがお」の記念号を発行した。会員数は1400人を突破し、育児支援をうまく活用して子育てをする人が増え、活動は定着してきた。中村郁子代表(55)は「1人で悩まず、上手にサービスを利用して育児を楽しんでもらいたい」と話している。

 センターは市が市社会福祉協議会に委託し、1999年10月に設立。民間託児ボランティア「チャイルドサポートあひる」の活動に携わっていた中村代表らがアドバイザーとして加わった。

 支援はゼロ歳から小学6年生までの子どもが対象。支援を希望する「依頼会員」、育児を支援する「提供会員」、依頼と提供を兼ねる「両方会員」がおり、会員数は10日現在で1440人。363人だった開設初年度(10―3月)の4倍となった。活動件数は初年度(同)の834件から、2008年度は5890件に増えた。

 主な依頼は託児、保育園や幼稚園、学校などへの送迎。特に小学生を学校から学童保育所や塾まで送迎する依頼が多い。中村代表は「美容室や買い物に行くといった理由でも利用できる。育児ストレスをためないようリフレッシュすることも必要。働いている、いないを気にせず、利用してもらいたい」と呼び掛ける。料金は平日午前7時―午後9時で30分300円。平日以外、時間外などは同350円。

 記念号は開設当初1歳で創刊号の表紙に掲載され、現在小学生に成長した依頼会員の子どもたちが表紙を飾った。10年間の活動を振り返る写真が掲載されているほか、会員の体験談などがつづられている。A4判16ページで2000部発行。問い合わせは同センターTEL0138・23・3920へ。(宮木佳奈美)



◎「防災ボランティアセンター」新年度内に設立へ

 函館市議会第1回定例会は10日も一般質問を続行し、3氏が質問に立った。岡田芳樹福祉部長は、災害時の防災ボランティアを平常時から受け入れる「防災ボランティアセンター」が新年度中に設立されることを明らかにし、市として受け入れ体制整備を支援する考えを示した。

 見付宗弥氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。

 防災ボランティアは被災者の生活の早期回復や自立支援を担う。市の地域防災計画では、市社会福祉協議会が日本赤十字社函館市地区や市の協力、支援を得て設立することなどを位置づけている。

 これまでも社協、日赤、市の三者や市ボランティア連絡協議会などで組織する任意の検討委員会で同センターの設置が議論されており、新年度中をめどに設置することで一致。市社協は「具体的な日時は決まっていないが、運営方法や役割分担などを今後、詰めていきたい」としている。

 また、上戸慶一総務部長は南米チリの巨大地震に伴う津波警報に合わせ、2月28日に海岸部の世帯を対象に発令した避難勧告について、市のホームページ上に対象町名を掲載していなかったことから「非常にわかりにくく、反省が必要。今回の教訓を糧にしていきたい」と述べた。同じく見付氏への答弁。

 一般質問にはこのほか村井正幸氏(新生クラブ)、竹花郁子氏(無所属)が立った。一般質問はこの日で終了し、12日の各常任委員会、16日の本会議を経て、17日から予算特別委員会が開かれる。(千葉卓陽)



◎どつくで本年度最後の進水式 映画撮影も

 函館どつく函館造船所(函館市弁天町)で10日、本年度最後の新造船「PAIWAN WISDOM(パイワンウイズダム)」(約1万9850トン)の進水式が行われた。市民が制作を進める映画「海炭市叙景」の撮影もあり、エキストラを含む市民ら約300人が新船の進水を見守った。

 新造船は台湾の海運会社が発注した全長175.5メートル、幅29.4メートルのパナマ船籍の木材兼ばら積み貨物船。函館どつくが独自に開発した「スーパーハンディ32」型としては38隻目で、喫水が9.6メートルと浅く、水深の浅い港でも出入りできるのが特徴だ。

 この日は1月に続き2回目の進水式の映画撮影があり、市民エキストラも約100人が参加。熊切和嘉監督らは巨大な船体が函館港に向かって船台を滑り降りる様子を役者を交えて撮影した。エキストラに参加した七飯町の西岡省三さん(60)は「なかなかできない経験で楽しかった」と喜んでいた。

 新造船は今後、内装工事を済ませ、4月下旬に船主に引き渡される予定。同社は現在、「スーパーハンディ32」に特化して年間8隻体制で建造している。同社によると、今年に入り、海外の景気回復に伴う海運需要の高まりで新規受注も増え始め、2013年度末まで受注を抱えているという。

 次回の進水式は4月23日の予定。(森健太郎、新目七恵)


◎乙部町がナルミ所有の森林購入へ 町有林として維持管理

 【乙部】乙部町議会の第1回定例会が10日に開会した。昨年4月に経営破たんし、自己破産手続きを進めている建設系資材商社・ナルミ(乙部町)が、町内に所有する森林など280ヘクタールを購入することを盛り込んだ、総額2億4354万円の本年度一般会計補正予算案など18議案を可決した。

 同社は富岡から栄浜にかけての広範囲で森林や原野を所有。破産手続きに伴い森林を企業や個人が取得した場合、無秩序な森林伐採が進めば、森林や河川、沿岸海域の環境が悪化する懸念があるため、現在は破産管財人の管理下にある森林や原野など14筆・280ヘクタールを購入することを決めた。

 このうち106ヘクタールは樹齢5―40年の人工スギ林。122ヘクタールは天然林という。購入後は町有林として維持管理に取り組むほか、計画的な伐採を進めることで、地域の環境保全や林産業従事者の雇用確保につなげる方針だ。購入価格は5000万円。町の独自予算や国の臨時交付金などを充てるという。

 本会議では、寺島光一郎町長が、新規農作物の導入、漁業者による磯焼け対策支援、農林水産物の2次加工の推進、IT技術を活用した産業育成に取り組むとした新年度の町政執行方針を表明。阿部喜美夫教育長は、PTAや地域団体と連携した青少年育成、給食センターの設備改修を進めるとした教育行政執行方針を示した。

 議事では、町が所有するサクラマス種苗センター(栄野660)を、ひやま漁協(乙部町、市山亮悦組合長)に無償譲渡することを議決した。本会議は新年度予算関連の9議案を予算特別委に付託して休会。15日に一般質問を行う。会期は16日まで。(松浦 純)


◎江差 飴谷副町長が辞意 「信頼関係崩れた」

 【江差】江差町の飴谷逸男副町長が9日、濱谷一治町長に辞職届を提出した。9月末の任期満了まで6カ月残しての突然の辞職となる。飴谷氏は取材に対して「特別職としての信頼関係が崩れた」と理由を説明した。

 飴谷氏によると、辞職の発端は3日、町役場を訪れた濱谷氏の有力支援者が「年度内に辞職すべき」と迫ったことに始まる。以前にも濱谷町長の後援会関係者から辞職を求められた経緯があるため、反発を強めた飴谷氏は、事実上の“更迭”と受け止め、同日中に辞職を決断。濱谷氏に口頭で辞職の意志を伝えた。

 飴谷氏が「一身上の都合」として、正式に辞職届を提出したのは、定例町議会開会前日の9日夕。長谷川篤総務政策課長は「正式に受理したわけではない。今後の対応は決まっていない」と説明した。後任の副町長選任などは一切未定という。

 7月に予定している町長選を控えたこの時期の辞職について、飴谷氏は「町長選は全く意識しておらず出馬はあり得ない。(町長サイドとの)信頼関係がなくなった現状では、副町長の任を全うできない。速やかに職を去ることが必要と判断した」と話した。

 飴谷氏は厚沢部町出身。1971年に町役場入り。総務課長、町議会事務局長などを経て、2002年10月に助役就任。06年9月に再任されて現在は2期目。(松浦 純)