2010年3月14日 (日) 掲載

◎道南食材ぎっしり 新幹線駅弁 15日から期間限定販売

 函館の行政や経済界でつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構(森川基嗣会長)は、昨年から開発を進めていた「北海道新幹線アイデア弁当」を商品化し、15日午前11時から、JR函館駅構内の売店で試験発売する。市民からのレシピを基に地元食材を盛り込んだご当地駅弁で、5年後の開業に向けた機運を盛り上げる。

 同機構は開業効果を高めるアクションプラン(行動計画)の一環で、今年12月の東北新幹線新青森駅開業に合わせて地元の駅弁の開発に着手。昨年7月、地産地消をテーマに市民から募ったアイデアを集約して試作を重ね、弁当販売の「みかど」(大阪市)が製造した。

 その名も「はこだて幸三昧(さちざんまい)」。コメは道南産のきらら397に北斗産のホッキ貝を混ぜた炊き込みご飯で、試作段階で「食べづらい」「大きすぎる」と指摘されたイカポッポは輪切りに改良した。おかずにはリンゴ入りの酢豚やホッケの空揚げ、メークインの塩辛グリルなど地元の海の幸、大地の恵みをふんだんに取り入れた。

 みかど函館営業所(若松町)の大岩佳弘所長は「食材の確保に時期的な難しさもあったが、できる限り市民のレシピを大切に地元産にこだわった。函館の魅力をアピールできる弁当に仕上がった」とPR。一個1050円。15日から31日までの期間限定で、一日15食販売する。期間中は予約も受け付ける。

 予約、問い合わせはみかど函館営業所TEL0138・22・2690。(森健太郎)



◎チリワイン飲んで被災者支援 ショップが100円募金

 函館市本町7のワインショップ・ワダ(和田一明代表)は、チリ地震の被災者を支援しようと、チリワイン1本の購入につき同店が100円を募金する「ワイン募金」を1日から実施している。

 シニアワインアドバイザーの和田代表が「地震でワインの製造工場にも被害があったと聞いたので、救援できれば」と企画した。25日の開店5周年にちなんで顧客に記念品を贈呈する予定だったが、取りやめてその費用も募金に充てるという。

 同店で扱っているチリ産ワインは30種類あり、価格は800円から。和田代表によると、日本へ輸入されるワインの産地はフランス、イタリアに続き、チリが多い。「チリ産はフルーティーで甘みがあり、凝縮された味で価格も安く、日本でも人気がある。この機会にワインを飲んでチリを応援してもらえたら」と呼び掛けている。

 31日まで募金を行い、日本赤十字社を通じて被災地へ届ける。営業時間は午後零時半から同8時半まで。日・水曜、祝日は休み。問い合わせは同店TEL0138・32・6545へ。(宮木佳奈美)



◎函館市、介護保険交付金 1億3000万円 過少申請

 函館市は12日、国から受ける2009年度の介護給付費「財政調整交付金」の申請時に誤った内容の申請を行い、実際に必要な金額より約1億3000万円少ない金額しか確保できない見込みであることを明らかにした。計算ソフトのバージョンアップ作業時にミスがあり、気付かずに申請したため。現在、西尾正範市長が長妻昭厚生労働相に直接、救済を訴えるなど、対策について国と協議している。

 同日、小柏忠久副市長や岡田芳樹福祉部長らが会見を開いて発表した。同交付金は、国が市町村に対して介護保険財政の調整を行う目的で交付している。市の介護保険事業特別会計で活用される。

 市は昨年、必要な計算を行うソフトのバージョンアップを業者に依頼して実施した。ところが手違いで一部のプログラムが旧型のままとなり、1月に行った計算に誤りがあったにもかかわらず、気付かずに申請した。被保険者の所得階層の一部が実際よりも高い段階に振り分けられ、結果として交付金必要額が低く見積もられた。

 2月24日に国の内示があり、交付見込額(約11億9000万円)より少ない約10億6000万円が示されたことから調査し、翌日に原因が判明した。国に対しては過誤修正による救済措置で、必要額を交付してもらうよう願い出ている。

 会見した小柏副市長は「前年の数字と大きく違うため、きちんと確認すれば防げた本当に初歩的なミス」と受け止めており、「大変申し訳ない」と頭を下げた。当面は保険料調整などを行う基金を利用し、被保険者にとって新たな負担が生じないようにする。今後は、申請時の前年度との比較や、誤差が生じた時にエラーがでるようなチェック機能を構築するなど、内部の機能を充実させるという。(小泉まや)


◎函館市立障がい児・者統合施設 基本設計案を公開

 函館市は12日、市立障がい児・者施設3園(青柳、あおば、ともえ)の統合施設の基本設計案を公表した。鉄筋コンクリート2階建てで、現3施設の利用者ごとに大きくスペースが分かれた造りとする。一方で利用者が交流できるふれあいホールや園庭、情報提供スペース、ボランティア室などを整備。基本設計は3月末に決定し、2010年度は実施設計を行い、11年2月に着工予定。12年4月に供用開始となる。

 市議会民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)に報告した。

 3園は、それぞれの建物が老朽化し建て替え時期を迎えたため、現あおば学園敷地を活用して統合園にする。09年度は地質調査などを行い、昨年9月から12月までに各園で3回ずつ、保護者懇談会を実施。関係団体や職員との対話も重ね、施設の基本的な内容などを決めた。

 場所は湯川町2で、湯川支所と函館湯川中学校に道路を隔てて隣接する。敷地面積は約4740平方メートル、延べ床面積は約4150平方メートル。情報提供スペースでは、保護者らが関連する情報に触れられるよう工夫。ボランティア室は、ボランティア活動をする人などが、作業に利用できる。2階の多目的ホールは、隣接する会議室との間仕切りを外せる構造で、研修や屋内運動などにも活用できる。

 市福祉部によると、このほか保護者の要望を反映し、湯船内にスロープを設けた風呂や、広めのトイレ、物品を運ぶエレベーターを設置する。

 委員から「太陽光発電は行うか」の質問があり、岡田芳樹部長は「発電量が低くコストがかかるためしないが、高気密や高断熱、省エネに努める」と答弁。「地元の木材を思い切り使って」の意見には、「できるだけ地元業者が参加できる形を考えている」と答えた。(小泉まや)


◎【企画・七飯町の命題(上)】大沼観光 地域活性化のカギ握る

 函館と並び、道内有数の観光名所として名高い大沼。この地域に約2600人が住む。七飯町の人口の1割に満たないが、町の基幹産業の観光や、酪農、畜産を含めた農業の従事者が多く、町政に対する関心は高い。

 今回の町長選挙で大沼地域は「地域を二分する戦い」(住民)で、激戦地だ。出馬を予定している現職の中宮安一氏(55)、元町職員の石田広紀氏(61)の大沼地区の後援会事務所は、道路を挟みわずか数十bの位置に対峙(たいじ)する。同地区の住民は「地縁、昔からの付き合いなどで個人として応援している人が多い。今回は地域として一方の候補にまとまるのは難しいと思う」とみる。

 両候補とも大沼の活性化を重視する。町の観光客数はバブル期の1991年の297万人をピークに年々減少し、2008年度には183万2000人と統計を取り始めて初めて200万人を割った。09年度の上半期(4―9月)も前年同期を1割以上下回る91万6000人にとどまる。観光客の大半は大沼地区に集中しており、宿泊施設も年々、廃業や撤退が続き、地域の衰退を招いている。

 大沼観光はツアー客が休憩のために立ち寄る「通過型」が主流となっており、大沼の魅力を体感せずに去ってしまうのが実情だ。このため5年ほど前から、大沼観光協会が中心となって宿泊滞在型・体験型観光の創出に力を入れている。「環駒ケ岳」をキーワードに鹿部町や森町と連携した広域観光や、有志による大沼のまちおこしなど、成果は徐々に表れてきている。

 大沼だけでなく、七飯全体の観光振興も求められるため、大沼観光協会は5月に任意団体から社団法人に移行する。堀元会長は「大沼の活性化がカギ」と語る。

 町は2008年に「大沼活性化ビジョン」を策定。アオコの発生が問題化している大沼の水質改善や、インフラ整備を含めた一体的な取り組みを進めている。ただ、アオコの発生原因は、家庭からの雑廃水や酪農・畜産農家のたい肥、農地開発の土砂などの流出が要因とされ、「酪農・畜産業といった主要産業の振興と環境保全をどう両立させるか、難しい問題」(町幹部)という状況だ。大沼の和牛を地域ブランドにし、観光客の呼び水にするなど、観光産業のすそ野は広い。そうした意味からも、大沼が抱える問題解決が地域活性化のカギの一つとなる。

 七飯町長選挙が16日に告示される。町民や行政関係者の声から、同町が直面している課題を探る。(鈴木 潤)