2010年3月14日 (日) 掲載

◎ワイン味わいハイチ救済 

 今年1月に大地震で甚大な被害を受けたハイチに愛の手を差し伸べようと、函館のワイン愛好家で構成する「函館ワイン倶楽部」(今井康人代表幹事)が13日、函館市豊川町のベイサイドレストラン「みなとの森」でハイチ救済チャリティーワインパーティーを開催した。会員ら42人が参加し、おいしいワインとともに楽しい時間を過ごした。

 同倶楽部は、今井さんと「パン・エスポワール」(同市的場町11)の店主、民谷貴彦さんがワインを共通項に意気投合し、昨年9月に結成。医師や自営業者、公務員などさまざまな職種の約20人が所属し、定期的にワインと民谷さんが用意したパンを味わう例会を開いてきた。チャリティーパーティーも半年に1回開催することを決めている。

 今回はチリ産、イタリア産のワイン4種が用意され、それらに合わせて同レストランのシェフが腕を振るった料理も会場を彩った。ビュッフェ形式とあり、それぞれがワイン片手に談笑したり、タップダンス、歌などを楽しんでいた。経費などを差し引いた寄付金4万2000円は日本赤十字社を通じて被災地域に贈られる。

 参加した市内在住の小岩洋さん(69)は「多くの人と飲むワインは格別」とほろ酔い気分で雰囲気を楽しんでいた。 (小杉貴洋)



◎市街地に親子の“遊び場” インドア・プレイスペース事業

 函館市は新年度から、中心市街地活性化に向けた「インドア・プレイスペース事業」を実施する。JR函館駅前・大門地区の空き店舗を活用し、親子が集える“遊び場”を提供するのが狙い。公募を通じて民間に事業を委託し、早ければ7月からスタートする方針だ。

 市は、道が創設したふるさと雇用再生特別基金を活用し、本年度から「函館スイーツ」のアンテナショップ事業や、小さなレンタルボックスを貸し出し手工芸品の展示や物品販売を行う「レンタル箱だてショップ事業」といった中心市街地の活性化策を行っている。「インドア―」も同基金を全額活用し、事業費として3850万円を新年度予算案に計上している。

 駅前・大門地区の空き店舗やビルの空きスペースを活用し、屋内で親子が遊べる施設を整備。施設の一角には市内の保育園、幼稚園のほか、子育てサークルなどに関するパンフレットなどを集め、訪れた母親の情報収集に活用してもらう意向だ。

 市商業振興課は「遊び場を提供しながら街なかを歩くことで中心市街地の魅力を知ってもらい、にぎわいの創出に結び付けたい。母親らが集って子育てについて話し合い、交流できる場所になれば」と話す。

 事業者の選定はプロポーザル(提案)方式で行い、市議会が予算案を議決した後、4月早々にホームページなどを通じて公募を開始、7月からのオープンを目指す。市が直接雇用はできないため、委託業者に8人の雇用を確保してもらう。事業は2年間で、同課は「終了後も民間に継続してもらえれば」としている。(千葉卓陽)



◎それぞれの思い出胸に 極東大で卒業式

 ロシア極東大函館校(イリイン・セルゲイ校長)の卒業証書授与式が13日、函館市元町14の同校講堂で行われた。卒業生は在校生や保護者らが見守る中、それぞれの思い出を胸に巣立った。

 卒業生は、4年制のロシア地域学科の6人(13期生)と2年制のロシア語科の3人(15期生)。式では日ロ両国の国歌を斉唱した後、一人ひとりがイリイン校長から笑顔で卒業証書を受け取り、握手を交わした。また「校長賞」や「函館市長賞」など、優秀な成績を収めた学生への特別賞も贈られた。

 イリイン校長は式辞で「日ロ関係の発展に全力を尽くしてくれることを期待する。これまで培った知識と経験を生かし、人生の成功を祈る」と激励。来賓の西尾正範函館市長は「日本とロシアをつないで、さまざまな場面で活躍して」とエールを送った。

 在校生が「皆さんから学んだことを忘れず、個々の目標に向かって精進したい」と送辞。卒業生を代表して田近修さんが「学校生活や留学を通じてロシアの心を学び、社会で必要な知識や常識を得ることができた」と答辞を述べ、山口攻さんがロシア語に通訳し、感謝の気持ちを伝えた。

 ことしで開校16年目を迎える同校の卒業生は約190人となった。(千葉卓陽)


◎経済や町の将来像熱く 七飯町長選公開討論会

 【七飯】任期満了に伴う七飯町長選(16日告示、21日投開票)を前に13日、立候補予定者の公開討論会が七飯町文化センターで開かれた。無所属で出馬を予定している現職の中宮安一氏(55)と無所属の新人で元町職員、石田広紀氏(61)が経済対策や町の将来像、人材育成、雇用対策の4テーマで主張を述べ合った。

 立候補予定者の争点を明確にし、有権者への関心を高めようと有志の町民が実行委を立ち上げ企画した。NPO法人自治体政策研究所理事長で、北海学園大法科大学院の講師を務める森啓氏がコーディネーターを務め、町民約500人が聴講した。

 経済対策、雇用確保について、両氏とも基幹産業の観光、農業の振興策を重視。石田氏は峠下に造成された流通企業団地の規模拡大を掲げ、企業誘致で雇用確保にもつなげる考え。「進出企業には地元雇用の要請とともに税制面の優遇をしていきたい」とした。

 中宮氏は「体験観光や食のブランドの創出にもつながる農業のステータスを上げていきたい」と農業振興が雇用につながるとし、観光振興については民間支援や一定規模の宿泊施設を優遇する観光振興条例の制定を提起した。

 町の将来像については、中宮氏は「今住んでいる人が幸せに感じるまちづくりをする。身の丈に合った財政運営をする」とし、石田氏は「子育て支援、雇用を確保し、高齢者とも融和したまちにしたい」と述べた。

 人材育成については、石田氏は若い人が参加できる町内会づくりを挙げ「七飯高校に福祉科の間口を設けたい」、中宮氏は行政と町民が対等な立場でまちづくりをするために情報開示を積極的に行い、「官民相互の役割分担が肝要」とした。

 このほか、それぞれ10分間の制限時間内でフリートークをしたほか、双方での質疑応答も行われた。 (鈴木 潤)


◎【企画・七飯町の命題(下)】道新幹線開業 経済効果を最大限に

 七飯町は将来、函館、道南圏域の高速交通網の要所となることが期待されている。北海道新幹線が2015年度に開業。これと連動するように現在、八雲町落部まで開通している北海道縦貫自動車道は、大沼ICまでの30キロは東日本高速道路が12年度中に、大沼IC―七飯ICの10キロは国ができるだけ早期に整備する計画だ。

 町内には飯田町と北斗市稲里地区にまたがり北海道新幹線の函館総合車両基地(仮称)の整備が進められている。町は新幹線開業を好機として、03年から官民一体でまちづくりの方向性を探ってきた。昨年3月には高速道路も含めた「新幹線と高速道路網を活用する基本計画」を策定し、総合的な施策を進める。

 ただ、新幹線や高速道路の整備は国家プロジェクトであるため、財源の確保が政府の方針や政治力に左右されやすい。同基地は新幹線の札幌延伸を前提に独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)」が建設を計画。七飯町は土地の買収やインフラ整備などで協力をしている。

 民主党による新政権が行った一連の事業見直しで、北海道新幹線札幌―長万部間の未着工部分の凍結が取りざたされた。結果的には、新年度も札幌延伸を含めた北海道新幹線建設促進の予算が確保されたものの、町は「これからも必要な財源を安定的に確保するために関係機関へ要請していく」と楽観していない。

 札幌まで開通することによって新幹線車両の増車も見込まれ、車両の開発・建設や検査、試験運転などが行えるフル規格の基地が必要になる。それによって関連企業の進出、雇用確保、消費などの経済波及効果が期待される。町新幹線まちづくり課も「フル規格によって管理する車両の数、従業員の数も相当数見込まれる」と期待する。

 さらに町は、北斗市に建設される新函館駅(仮称)の整備状況も注視する。同駅北側から大沼や函館方面につながる国道5号にアクセスする道道の整備が計画されている。町は、交通の利便性や道南域の発展を考え「道南の駅」としての機能を果たすべきと主張。駐車場の設営など北側の整備も提起する。

 北斗市は南側の整備に巨費を投入、北側部分については白紙の状況だ。

 ある町議は「福祉など住民生活に直結した施策も重要。この4年間はこれと合わせて国など関係機関とのパイプ、政治力が一層求められる」と語る。高速交通網や北海道新幹線の開業効果をどう享受するか。次期町長には高度な行政手腕がさらに問われる4年間となる。(鈴木 潤)