2010年3月16日 (火) 掲載

◎「大間原発に反対」提訴へ 市民団体5月にも

 青森県大間町で建設が進む大間原子力発電所の建設に反対する市民団体「大間原発訴訟の会」は15日、函館市役所で会見し、早ければ今年5月にも国や事業者の電源開発(東京)を相手取り、原子炉設置許可の取り消しや建設差し止めを求める訴えを函館地裁に起こすことを明らかにした。同会は総勢14人の弁護団を組織し、損害賠償訴訟に関しては今後、原告を募る方針。

 同会は2006年12月、提訴を前提に発足。08年6月には原子炉設置許可を出した経済産業省に対し、4541人による異議申し立てを行っている。今年1月31日に函館市と日本原子力文化振興財団が共催した「原子力シンポジウム」で市民の関心が高まったことや、「原発への不安が払しょくされていない」として提訴を決めた。

 同会によると、訴訟は@国に対する原子炉設置許可の取り消しA電源開発に対する建設差し止めB同社への損害賠償―の3種で行う。変動地形学で存在が指摘される活断層の問題や、同原発から出る毎秒91立方メートルの温排水、津波対策、風評被害などを争点とするとしている。

 原告団は原子炉設置許可の差し止めと建設差し止めは20人前後で組織し、損害賠償は地元を中心に全国から広く原告を募り、数百人規模とする考え。弁護団は函館の9人のほか、東京の5人を加えて組織する。

 同会は早くて5月、遅くとも夏までには提訴するとしており、竹田代表は会見で「廃棄物は100年先に大きなツケを残す。建ててはいけないという確信を持って裁判に臨みたい」と話した。

 同原発は商業用として世界で初めて全炉心にMOX(モックス)燃料を装荷する「フルMOX」を採用。08年5月に着工し、2014年11月の運転開始を予定している。同社によると、今年1月20日現在の工事進ちょく率は6・5%。(千葉卓陽)



◎公立中学卒業式 一斉に

 公立中学校の卒業式が15日、渡島、桧山両管内の計62校で一斉に行われた。約4000人が3年間通った学びやを巣立った。

 函館大川中学校(内城明良校長)では3年生69人が卒業を迎えた。1人ひとりに声を掛け、卒業証書を手渡した内城校長は「証書は3年間の学び、9年間の義務教育の集大成で家族や地域、全教職員の思いが詰まっている。今を大切に自分を信じ、夢をあきらめないで」と式辞を述べた。

 在校生代表の2年、足立勇樹君は「大川中の伝統を受け継ぎより良い学校にしたい」と送辞を述べ、卒業生代表の村松拓哉君は「仲間との別れは悲しいけど未来へ歩みたい。支え、見守ってくれたすべての人にありがとうと言いたい」とあいさつした。全校生徒と3年生のみの記念合唱2曲が演奏され、檀上に並んだ卒業生の中にはこみ上げる涙をぬぐって歌う姿もあった。

 桧山管内の中学校は12、14に各1校、卒業式を実施している。(新目七恵)



◎ライダーの拠点に 函館マジマ19日からレンタルバイク開始

 自動二輪車販売業の「函館マジマ」(本社・函館市松陰町17、間島正明社長)は19日から、レンタルバイクサービス「レンタル819函館」をオープンする。国内4社の主要バイクをはじめ、正規販売店の強みを生かし「ハーレー・ダビッドソン」もレンタル車種に取りそろえる。道内ツーリングを目的とする観光客やさまざまなバイクに乗ってみたい愛好家のニーズに応え、ライダーたちの道南の拠点を目指す。

 「レンタル819」は「キズキ」(本社・東京都町田市)がフランチャイズ方式で全国展開。現在、約70店が加盟し、道内ではマジマ社運営の札幌店に次いで2店目となる。キズキ社の広報は「北海道はライダーのあこがれの聖地」と位置付ける。レンタルの利点を「ライダーが自走して北海道を目指すまでの移動時間や肉体的負担が軽減される。存分にツーリングを楽しむことができる」と話し、今後も道内で事業を拡大する考えだ。

 マジマ社は、レンタル用車両として、国内4社の主要車種を中心に、原付からネイキッド、アメリカンなどさまざまなタイプを取りそろえ、計150台となる予定。「いつかはハーレーに乗りたい」という要望にも応え、「ソフテイル」や「スポーツスター」などハーレー各車種も用意する。すでに5月の大型連休に合わせて予約や問い合わせもあるという。

 間島社長は「札幌店では昨年、約700人の利用があり、地元客と道外客は半々。好きな所に自由に行ける気軽さ、バイクの購入を検討中の人にも好評だった。函館の知名度を生かして、新たな観光客の掘り起こしや地域の活性化にもつなげたい」と話している。

 レンタル料金はすべて任意保険料込みで車種、利用時間によって異なる。オプションでヘルメットやグローブの貸し出し、車両保険もある。連絡先はフリーダイヤル0120・819・147またはTEL0138・32・8192。(今井正一)


◎遠い春 新卒採用は前年度比5・1ポイント減の23・7%函館市労務状況

 函館市は市内企業を対象とした、本年度の労務状況調査の報告書をまとめた。新規学卒者を採用した事業所は前年度比5・1ポイント減の23・7%と低下し、この春採用を予定している事業所も同3・9ポイント減の14・7%となるなど、新規学卒者の春は肌寒い状態が続いている。

 新規学卒者の採用を見送った理由としては「現在の人数で足りている」が58・6%で最も多く、「採用条件に合わない」が20・7%、「業績不振」が7・9%で続いている。市労働政策室は「市内企業の採用計画はおおむね補充が中心。景気の影響もあるが、退職する人がいないと採用しない」と分析する。

 また住宅手当や家族手当などの生活補助費を支給している事業者は全4項目別で前年度より軒並み減少。給与水準の下げ幅を抑えた分、生活補助費を削減することで人件費を節減する傾向があるという。夏季手当支給は同6・6ポイント減の70・4%、年末手当は同9・7ポイント減の71・7%といずれも落ち込んだ。

 新たな調査項目の、一時的な休業などを行い雇用を守る場合に支給される「雇用調整助成金」などの制度周知では、「知っている」と答えた事業者は34・2%にとどまった。大規模な会社ほど知っている傾向が強く、従業員10―29人では30%、100人以上では43・1%となった。使用実績では、「使ったことがある」と答えた事業所は6・2%と低調で、同室は「まず周知が至っていない現状もある。今後徹底していきたい」としている。

 同調査は従業員10人以上の事業所1585社に実施し、475社から回答を得た。従業員の賃金や労働条件などの実態を把握し、改善や労働力の確保へ向けた基礎資料とすることが目的。(山田孝人)


◎介護保険事務処理ミス 市長に説明求める

 函館市の西尾正範市長は15日、市が国から受ける2009年度の介護給付費「財政調整交付金」を誤って申請したことを受け、市議会民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)で「事務ミスによってご心配を掛けたことをおわびする」と陳謝した。委員からは16日の定例会本会議で、西尾市長に改めて陳謝を求める声が相次いだ。

 ミスは同交付金について誤った内容を申請したため、必要額より1億3000万円少ない金額しか確保できなくなったもの。市は介護保険制度の改正に伴い、申請額の計算に使うソフトのバージョンアップを業者に依頼して実施したが、運用の誤りやチェック漏れにより交付金必要額が低く見積もられた。

 同委員会はこの問題に関し、西尾市長自ら説明することを要求。同市長は11日に、長妻昭厚生労働相に対し直接救済を訴え「検討する」との回答を得たことを報告したほか、今後については「現在は事情報告の段階。今週中にも正式に要望書を提出し、要望活動を行いたい」と述べた。当面は保険料調整などに充てる基金を取り崩すなどし、被保険者に新たな負担が生じない措置を取るという。

 委員からは、市側のチェックミスなど過少申請に至った原因について、厳しい追及がされた。市は最終的な段階で前年度との照合を怠ったことや、委託業者からソフトのバージョンアップに伴うプログラムの変更を知らされていなかったことなどを報告。上戸慶一総務部長は「ソフトの納品時に実際に運転して確認するなど、対策を講じたい」などと述べた。(山田孝人)