2010年3月17日 (水) 掲載

◎中古車販売 苦戦が続く

 函館市内の中古車販売が、厳しい状況となっている。景気悪化による市場の冷え込み、エコカー減税による新車購入、若者の車離れに加え、インターネットの普及で、より安く状態の良い車を買おうとする買い手の増加などが、中古車販売の“ブレーキ”となっている。春は需要期だが、「昨年と比べると厳しい」という見方が強い。

 道南地区をエリアにする函館地方中古自動車販売事業協同組合(矢代善彦理事長)では、「札幌の自動車情報紙を発行している陸運情報社によると、函館は10年以上経過した車を所有している割合が全国的に見ても高いという。買い渋りの傾向も強く、見方はシビア」と話す。一昨年のリーマンショックや円高で海外輸出も先細り。

 行き場を失った中古車もある。主要な輸出先であったロシアが、右ハンドルの禁止、増税を課したことで、「輸出売上げの80%以上を占めていた」(関係者)得意先がなくなったことも大きい。

 加えて政府のエコカー減税と補助金の存在が中古車業界を悩ませている。一定の基準を満たした新車の自動車取得税や重量税を減税し、13年以上経過した車は25万円で下取りするなどの優遇措置を実施。従来13年以上経過しても市場に出ていた上質の車が販売できなくなった。

 矢代理事長は「函館で売れない車を札幌の業者が購入し、向こうで販売していた。結果として函館の市場には売れない車が多く残り、出回る車も少なくなる」と指摘。ある中古車販売店も「若い人の多くが新車の軽自動車を買う」とため息をつく。

 同組合は対応策を打ち出している。3年前から札幌地方中古自動車販売事業協同組合と提携。衛星中継を用い、函館でオークションを開始した。買い手は、道内にとどまらず京都府など日本全国へと広がっている。矢代理事長は「買い手がインターネットを使うなら、こちらもそれなりの対応をしなくては。ゆくゆくはスケールの大きな展示会を開きたい」と今後の展望を語った。(黒田 寛)



◎現職、新人 一騎打ち 七飯町長選告示

 【七飯】任期満了に伴う七飯町長選は16日、告示された。いずれも無所属で、現職の中宮安一氏(55)と新人の元町職員、石田広紀氏(61)=届け出順=が立候補し、21日の投票日まで5日間の選挙戦がスタートした。

 現職対新人の一騎打ちは2002年3月以来。中宮氏、石田氏とも元町職員で、ともに子育て支援や福祉、雇用にかかわる政策を重要視。明確な争点は乏しいが、観光客が年々減少している大沼観光の振興や5年後に開業する北海道新幹線を見据えたまちづくりなどとともに、中宮町政の審判を仰ぐ選挙となる。

 2選を目指す中宮氏は「住みたいまち住み続けたいまち七飯町」をキャッチフレーズに1期目の実績を充実、発展を掲げる。連合渡島や企業など約30団体の推薦を受けた。

 子育て支援センターの整備、充実や民間資金を活用した図書館整備、観光振興条例の制定などを掲げ、健全財政を堅持しながら中学生まで拡大した子ども医療費の無料化などの実績も訴える。

 石田氏は「今こそ結束、七飯の底力」をスローガンに情報公開を進めた透明性の高い町政を目指す。特定の政党や団体の推薦を受けない「草の根」運動を展開している。

 高校までの医療費無料化や企業誘致の推進による雇用拡大、町長公用車の廃止などを公約に掲げ、現職との違いを「退職後、外から町政を見てきた」とし、町民目線の姿勢を強調する。

 両候補とも選挙事務所前で第一声を上げた後、選挙カーによる遊説をスタート。ともに初日は町内全域をくまなく回り、支持を訴えた。

 町選管によると、15日時点の選挙人名簿登録者数は2万3835人(男性1万801人、女性1万3034人)。(鈴木 潤)



◎待ちわびた「春」ようやく…公立高24校で合格発表

 公立高校の合格発表が16日、渡島、桧山両管内の24校で一斉に行われた。全日、定時合わせて約2800人が、待ちわびた「春」をつかんだ。

 函館西高校(石原卓典校長)は午前10時、敷地内に合格者番号の紙を掲示。一般入試の出願者数は226人で、推薦分40人を含む合格者200人分の番号を発表した。直後に受験生やその家族ら約50人が集まり、番号を見つけると「あった!」「やった!」と抱き合ったり、電話で報告して互いに喜びをかみしめていた。

 合格した函館旭岡中3年の今野春花さん(15)は「勉強はいっぱいしたけどテストが思うようにいかず落ちたと思った。高校で勉強とバトミントン部の活動を頑張りたい」と話し、涙を浮かべていた。

 2次募集の受け付けは24日から始まる。(新目七恵)


◎知事 公開協議を拒否か 支庁再編

 【江差】支庁再編に伴う総合振興局への広域事務の集約をめぐり、桧山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)と町村議会議長会(会長・若狭大四郎上ノ国町議会議長)は、改正支庁再編条例に基づく高橋はるみ知事との公開協議の開催を求めているが、知事サイドには具体的な動きは見られないままだ。

 道は今月、広域事務の対象などを定めた「基本フレーム(見直し案)」を公表後、全市町村に意見照会を行った。だが、道は昨年10月に市町村への意見照会など事務レベル協議を一方的に打ち切り、条例に基づく公開協議に踏み切った経緯がある。桧山町村会・議長会は、新たな意見照会への回答を留保。焦点となる土木現業所の位置付けを含め「これまでの論議や意見が全く反映されていない」とし、桧山支庁を通じて公開協議の開催を求めたが、これまでのところ道側から回答はないという。

 昨年3月には、高橋知事と道市長会、道町村会など地方4団体は、条例施行前に全道レベルと振興局地域に設ける「協議の場」で、広域事務の内容を議論することで合意しており、管内では「昨年12月の公開協議で示した疑問に知事は答えていない。協議を拒否して施行に踏み切るつもりか」(関係者)と批判の声も上がる。

 一方、土木現業所の在り方をめぐり道は、桧山振興局長に渡島・桧山管内の土木行政を所管する渡島総合振興局次長(社会資本担当)への「指揮・監督権」を規則で定める方針を示した。だが、土木行政や災害対策を進める上で実効性を伴う“権限”なのかは不透明だ。管内関係者は「桧山振興局長が函館土現の江差出張所を指揮できない。災害時に渡島を経由して対策を求める悠長なことができるのか」と疑問視する。(松浦 純)


◎大原簿記学校函館校の新校舎完成祝う

 4月に開校する大原簿記公務員情報医療専門学校函館校(函館市若松町7、平田和博校長)の新校舎が完成し、16日、ロワジールホテル函館(同町)で竣功(しゅんこう)披露宴が開かれた。関係者約180人が出席し、完成を祝った。

 この日は同校を運営する学校法人大原学園(本部・東京)の安部辰志理事長が駆け付けた。安部理事長は北海道新幹線開業を見据え、函館での開校を決めた経緯に触れ、「実学教育は地方都市でこそ生きる。函館の中心市街地で若者を育て、東京や札幌へ流出する現状を微力ながら変え、地域の活性化に役立ちたい」と話した。竣功披露宴の中締めで平田校長は「函館で大原の1ページを作りたい。地域経済の発展、人材育成に努力したい」とあいさつした。

 新校舎は鉄骨鉄筋コンクリート造地上9階建て、延べ床面積約3299平方メートル。職員は非常勤を含め30人。税理士や公認会計士、公務員採用試験合格を目指すコース、医療事務や簿記、情報技術系の資格取得に向けたコースなどがあり、3月末まで(各コースの定員に達するまで)出願を受け付けている。問い合わせは同校TEL0138・23・0081。(宮木佳奈美)