2010年3月24日 (水) 掲載

◎函館交通圏タクシー協 減車数値目標盛り込まず

 タクシー台数の供給過剰解消策を検討する「函館交通圏タクシー特定地域協議会」の第3回会合が23日、函館ハイヤー会館(函館市亀田町)で開かれ、労働条件の改善や減車の方向性を示す地域計画をまとめた。焦点となっていた減車の具体的な数値目標は盛り込まず、今後の対応は各社の自助努力に委ねられることになった。

 地域計画では、輸送人員が減少傾向にある半面、車両台数が増えている現状を指摘。函館運輸支局が適正台数を示した3パターンの減車試算は盛り込んだが、事業者が一律で減車すれば独占禁止法に抵触する恐れもあるため「供給過剰な状態の解消に努めるべき」との表現にとどめた。

 労働条件については、2008年度の函館交通圏の運転手の平均年収約180万円から、240万円程度に引き上げる目標値を明示。需要喚起策では、福祉タクシーの運行や電子マネー決済の導入、乗務員の隔日勤務への転換など事業者が取り組むべき「特定事業」49項目を掲げた。この日は函館地区ハイヤー協会や行政、関係団体などで構成する委員13人が出席し、計画案は全会一致で承認された。

 同協会の鍵谷良一会長は「具体的に何台、何%減らすとは言えないが、減車の方向性は各社の共通認識。02年の規制緩和前の水準にまで台数を戻したい」と強調。市内のある事業者は「タクシー会社は国の政策に振り回されっぱなし。減車は当然の流れだが、正直者がばかをみることだけは避けなければ」と実効性を不安視した。

 今後は地域計画を踏まえ、各事業者が5月末ごろまでに減車目標などを盛り込んだ特定事業計画を策定する。同協議会は10月にも各社の計画の進ちょく状況を検証する会合を開く予定。(森健太郎)



◎新型インフル、函館市の20歳以下87.9%が感染

 市立函館保健所がまとめた市内の新型インフルエンザ感染状況で、2月末までに推定で市民の13.8%に当たる3万9210人が感染していることが分かった。患者数の8割と推定した20歳以下の感染率は、同87.9%(3万1368人)。ワクチンを接種したのは市民の約16.5%(4万7025人)で、同保健所は「接種開始時期が流行より遅れたため、当初見込みより接種者が少なかった」としている。

 市内の新型インフルエンザ感染は昨年8月上旬に始まり、1週間ごとの患者数(報告総数の10倍と推定)は同10月上旬、早くも3000人台に。翌週の同中旬には、この流行期間中最大の6960人に急上昇し、以降同12月中旬までは1000人以上を維持。ことしに入ってからは徐々に減少し、2月の最終週は80人となった。

 累積患者総数(推定)は、最流行期の昨年10月上旬に1万人台を突破。同下旬には2万人を、同11月中旬には3万人を超えた。累積感染率(同)は、昨年末時点ですでに13%台となっていた。

 ワクチン接種者は、最も早く接種が始まった医療従事者が、接種者全体の約19.9%(9336人)。優先順位が高い、基礎疾患がある人は同47.9%(2万2528人)、妊婦は同2.3%(1074人)だった。小・中・高校生の接種者は、合わせて1万1661人。最も遅い接種開始となった健康な0歳児と19―64歳の接種者は2676人で、対象者の2%程度にとどまった。

 またワクチンを無料で接種できる市民税が非課税の世帯と生活保護受給世帯は、接種者全体の15.1%(7112人)だった。

 各保健所が調査するインフルエンザの定点報告数の速報値は第11週(15―21日)に、道南の4保健所管内すべてで、まったく報告がないゼロとなった。昨年夏の新型インフル流行入り以来ほぼ7カ月半ぶりで、流行が収まった状況にある。

 今後について同保健所は、「新型インフルは夏から流行が始まったので、このままの状態がどの程度続くかはわからない」と言う。第10週(8―14日)の道内の報告数は0.62で、全国は0.51。ともに流行の目安となる1.00を下回っている。(小泉まや)



◎まろやかな味売れ行き好調! 町内限定の芋焼酎発売開始

 【厚沢部】本格芋焼酎・喜多里(きたさと)を製造している、札幌酒精工業厚沢部工場(岩崎弘芳工場長)は23日、工場地下の貯蔵かめで熟成した希少な芋焼酎を町内限定で発売した。町内の酒店や道の駅では、発売直後から大勢の焼酎ファンがまろやかな味覚に仕上がった焼酎を買い求めていた。

 限定商品として発売した焼酎は、2007年秋に蒸留を行い、工場地下の貯蔵庫にある容量1キロリットルもの大かめで熟成したもの。アルコール度数は25度。生産量に限りがあるため、工場のおひざ元である町内限定商品として、900ミリリットル瓶・4200本を出荷した。1瓶1000円程度とお買い得な価格設定とした。

 喜多里ブランドの焼酎を数多く取り扱っている、道の駅・あっさぶグリーンプラザ227では、町内外の焼酎ファンが続々と訪れ、店頭に並べられた焼酎を買い求めていた。道の駅では「初日から売れ行きは好調です。お客さんがひっきりなしに買っていきます」と話している。町内では町民以外でも購入できるが、数に限りがあるため、同社では「早くに売り切れることも予想されます。お買い求めはお早めにお願いします」と呼び掛けている。(松浦 純)


◎「花いっぱい運動」に反対意見噴出 函館市議会予算委

 函館市議会の予算特別委員会(佐古一夫委員長)は23日、教育委員会所管分を審議し、審査日程を終了。志賀谷隆氏(公明党)が、西尾正範市長に総括質疑を行った。市教委が新年度から実施を計画する、小学校に花を植える「花いっぱい運動推進事業」に対して志賀谷氏は「きちんと内容を精査しないで計上したのでは。(予算執行を)見送るべきでは」とただし、同市長は事業のあり方も含めて再度検討する考えを示した。

 同事業は花苗とプランターを市内の全47小学校に配布し、花と緑に包まれた学校づくりを推進するのが目的。新年度予算案に事業費200万円を計上している。具体的には各校にプランター4基や培養土のほか、年に2度40株ずつ、パンジーやサルビアなど1年草の花苗を配布予定。

 同委員会では、市住宅都市施設公社が主催する「学校花壇コンクール」に全47校中37校が参加するなど、すでに花壇が設置されていることや、地域ボランティアが同趣旨の活動を実施していることなどを理由に、同事業への反対意見が相次いだ。志賀谷氏は総括質疑で「どういう経緯で計上したのか説明を」と質問。

 西尾市長は「公社の事業などとタイアップし、学校教育の中で実施してはと考えた」と説明。「我々の考えが至らない部分があった。今後金額や内容を精査し、慎重に検討していきたい」とした。多賀谷智教育長は「内容やあり方も含めて検討する段階にあると思っている」と述べた。

 予算特別委員会は付託された新年度一般会計予算案など議案52件の審議を終え、賛成多数で原案通り可決された。26日の本会議で成立する運び。(山田孝人)


◎道南公立高、全日制18校で409人2次募集

 道教委は23日、2010年度の公立高入試の第2次募集人員状況を発表した。渡島、桧山管内の全日制は18校23学科で計409人、定時制は3校5学科で計160人を募集する。

 道内は全日制、定時制合わせて176校、4220人。当初募集人員に対する割合(充足率)は90.4だった。

 第2次募集の願書は24日から26日正午まで受け付ける。合格発表は30日までに各校で順次行う。(新目七恵)

 各校の募集人員は次の通り。カッコ内は学科。

 ◇全日制▽函館中部(普通)11▽同稜北(同)1▽戸井(同)14▽南茅部(同)10▽上磯(同)2▽松前(同)9▽八雲(普通)32▽同(総合ビジネス)20▽熊石(普通)23▽長万部(普通)15▽同(商業)33▽知内(普通)21▽大野農業(農業)15▽同(園芸)9▽同(食品科学)2▽同(生活科学)8▽福島商業(商業)15▽森(総合)37▽江差(普通)47▽上ノ国(同)10▽奥尻(同)21▽瀬棚商業(情報ビジネス)30▽桧山北(総合)24

 ◇定時制▽函館中部(普通)46▽函館工業(機械)31▽同(電気)35▽同(建築)32▽函館商業(事務情報)16



◎企画「ACTION!北海道新幹線」/第一部・青森はいまA駅周辺用地売却進まず

 2月に駅舎が落成し、現在は駅前広場や内装工事が進む東北新幹線新青森駅(青森市石江)。青森市は2003年12月に国から認可を受け、新駅周辺での土地区画整理事業に取り組んでいる。面積は46.2ヘクタールと、北斗市がJR渡島大野駅周辺で進める同事業の3.4倍の規模。事業費も総額180億円という巨大プロジェクトだ。

 新駅周辺で市が売り出している用地は18区画、約3万9000平方メートルあるが、開業まで8カ月余りとなった現在、売却が決まっているのはわずか2区画。昨年春に区画を細分化して立地を促進したが、成果は思うように表れていない。同市のある職員は「開業が12月だけに、駅前が雪に覆われるばかりで殺風景だと思われたくはない」とこぼす。

 市石江区画整理事務所の桜庭信也所長は、08年秋の世界同時不況の影響が大きいとした上で「当初は申し込みが殺到するという思いが強く、区画が大きくても売れると思っていた」と、見通しが外れたことに苦渋の表情を浮かべる。ことしに入り県内に事業所を置くゼネコンへの周知とともに、東京で1月に行った開業PRイベント時にパンフレットを配布して攻勢を強めるが、「企業にしてみれば今すぐの大規模投資は難しく、様子見をしている段階だろう。開業直前でどういう動きが出てくるか、今は待っている状況だ」(桜庭所長)。

 新青森駅の開業に伴い、JR青森駅は県内交通の主役の座を譲ることになるが、青森市は新駅周辺の開発と同時並行で、中心市街地の入り口となる現駅に、観光客を呼び込むための施策を進めている。

 総合交通ターミナルとして11月から駅前のバス・タクシー乗り場を一新するほか、駅横には約50億円を投じて文化観光交流施設「ねぶたの家ワ・ラッセ」を建設、新青森開業後の来年1月のオープンに向けて工事が進む。同施設ではねぶた5台を常設する計画で、市新幹線開業対策課は「年中ねぶたを見られるようにしたい」と、市内観光の新たな柱として力を込める。

 ただ、約4キロある新駅と現駅を結ぶアクセス列車のダイヤはいまだ明らかになっていない。両駅はJR奥羽本線で結ばれているが、この区間は単線かつ過密ダイヤという。

 開業日と運行本数は半年前、ダイヤは3カ月前にそれぞれ確定するとみられるが、県新幹線交流推進課の角俊行副参事は「(JRが)確実に接続していただくことが基本。一定の仮想ダイヤは想定しているが、今の時期にいくらかでも情報が分かれば計画が立てやすいのだが」と気をもんでいる。(千葉卓陽)