2010年3月26日 (金) 掲載

◎龍馬の志 函館から発信を…愛好会発足 初の例会

 函館市末広町に昨年11月オープンした北海道坂本龍馬記念館(三輪貞治館長)を拠点に、地域を盛り上げようと発足した「函館龍馬愛好会」の第1回例会が25日、同館共有ホールで開かれた。発起人や市民ら約10人が参加し、資料見学や活動計画などを話し合い、交流を深めた。

 同会は、郷土史の勉強会で知り合った佐藤稔さん、齊藤和克さん、中尾仁彦さんの3人が、龍馬の足跡を知ることができる記念館を生かし地域貢献できないかと思い立ち、三輪館長とともに昨春から計画してきた。

 参加者はまず、三輪館長から貴重な龍馬直筆の書簡などの展示物の説明を受けた。現在放送中のNHK大河ドラマ「龍馬伝」のキャストを例に挙げながら分かりやすく解説。参加者はメモを取るなどして熱心に学んでいた。

 活動計画の話し合いでは、当面毎週木曜日に例会を開催することや、世話人5人を決定。会員からは「現在の体制では観光客への配慮に欠ける」や「龍馬と北海道のかかわりをもっと多くの人に知ってもらう努力が必要」などの意見が出され、解説ボランティアの増員などを今後の検討課題とした。

 三輪館長は「市民主導の会が発足し、多くの方が協力してくれてとてもありがたい。今後も力を借りて市民が主人公の記念館にしていきたい」と抱負を語っていた。(小杉貴洋)



◎26、27日に「れんばい横丁」 中島廉売火災受け募金箱設置

 中島廉売(函館市中島町)で16日に起きた火災。被災した4店舗の復興に向け、市民有志が立ち上がった。26、27日に旧かしま薬局で開かれる「第16回中島れんばい横丁」=実行委員会(能登正勝委員長)主催?に募金箱を設置。飲食店経営者や障害者支援団体など多彩な顔ぶれの実行委は「人情味あふれる中島廉売のために、皆さんの善意を」(島信一朗会長)と来場を呼び掛けている。

 一昨年末の初開催以来、16回目を数える中島れんばい横丁。島会長は「れんばい横丁は地域の人の支えがあって成り立っている。今回の火事の後、何か協力できないかと考え、募金箱設置を決めた」と話す。集まった募金は、中島町商店街振興組合からの見舞い金と合わせて復興に利用される。同組合の二本柳秀樹理事長は「地域で助け合い、よりきずなを深めたい」と話す。

 島会長は「中島廉売は函館からなくしてはならないコミュニティ」とした上で、今回の火事が契機となって「この地域がより元気になってほしい」と期待を込める。

 当日、会場では飲食の屋台を出店するほか、音楽イベントやライブが行われ、これらの出演者も被災店舗の復興をステージ上から呼び掛ける。実行委員の一人は「函館に住んでいる人には何かしら思い出がある場所だと思う。少しでも力になりたい」と話していた。二本柳理事長も「被災した店舗は地域の仲間。力を合わせて活気を取り戻したい」と意欲を見せる。

 中島れんばい横丁は26、27両日ともに午後2時から午後10時半(オーダーストップは同10時)まで開催。(黒田 寛)陽)



◎病院機能評価新基準「バージョン6」 五稜郭病院が道南初の認定

 函館市五稜郭町の函館五稜郭病院(老松寛院長)がこのほど、財団法人「日本医療機能評価機構」(東京)から病院機能評価の新評価基準「バージョン6」による認定を受けた。評価項目が改定された新基準では5日現在、全国で155病院が認定され、道南では同病院が初めて。

 同機構は、医療の質や患者へのサービスなど、医療施設としての機能を客観的に評価する第三者機関。同病院では1999年に「バージョン3.1」で初の認定を受け、5年ごとの更新で2004年には「バージョン4」に認定された。3回目の認定となる今回は、09年7月から受審できるようになった「バージョン6」を受けた。同月に書面審査、同10月に同機構調査員による訪問審査が行われた。

 「バージョン6」では▽患者の権利と医療の質および安全の確保▽療養環境と患者サービス▽医療の質と安全のためのケアプロセス―など6領域にわたる352小項目を調査。同病院は感染情報管理室に感染管理認定看護師2人を専従で配置するなど、厳格な感染管理体制を確保。新たな評価項目となった地球環境への配慮や、院内暴力への組織的な対応、臨床研修機能体制の確立なども従来から取り組み、一定水準の評価を受けた。認定期間は2014年12月19日まで。

 老松院長は「患者さんが満足、安心できる医療レベルにあると評価され、自信が持てる。今後も急性期病院として医療情勢を考えながら質の高い医療を提供していきたい」と話していた。(宮木佳奈美)


◎渡島信金・札幌支店10月に開設

 【森】渡島信用金庫(森町御幸町、伊藤新吉理事長)は25日、道南以外で初進出となる札幌支店について、札幌市中央区北2西3のJR札幌駅前に10月12日に開設すると発表した。支店内には道南の特産品の展示販売する無償の催事スペースを設け、地域の魅力発信や産業振興につなげたい考え。

 同信金の札幌進出は、来年の創業100周年に合わせた記念事業の一環。昨年の通常総代会で営業地区の拡大が承認され、同信金は2月下旬、昨年末に申請していた金融庁の認可を受けた。同信金の新設店は2006年に開設した赤松街道支店(七飯町)以来約4年ぶりで、14カ所目の営業拠点となる。

 札幌支店はJR札幌駅から徒歩3分の好立地にあり、以前は別の金融機関が入っていた敷島ビル1階に入居する。支店長には同信金の佐藤広子常勤理事が就き、当初は10人程度の職員が業務に当たる。店舗面積は約3300平方bで、このうちロビーを含む半分程度を道南特産品の“アンテナショップ”として活用するという。

 同信金は今春にも「南北海道地産物流協同組合」(仮称)を立ち上げ、道南全域から募った会員企業に店舗の一角を無償で提供。毎月2回、地元の旬の食材や加工品などを販売する催事を開く計画だ。伊藤理事長は「社会貢献として札幌と道南の物流、経済の懸け橋となり、地場産業の活性化をサポートしたい」と話している。(森健太郎)


◎映画美術監督・木村威夫さん死去…函館関係者も惜しむ

 映画美術監督として知られる木村威夫さんが21日、間質性肺炎のため、東京都内で死去していたことが25日、分かった。91歳だった。1960年代の函館ロケ作品の美術を務めたり、近年は函館港イルミナシオン映画祭にゲスト参加するなど函館ともかかわりがあり、地元関係者の中で惜しむ声が広がっている。

 木村さんは1941年日活に入社。「ツィゴイネルワイゼン」など鈴木清順監督との仕事で知られたほか、90歳で長期映画監督デビューを果たし、世界最高齢としてギネス世界記録に認定された。

 日活時代、函館でロケされた「硝子のジョニー 野獣のように見えて」(62年、蔵原惟繕監督)や「夕陽の丘」(64年、松尾昭典監督)で美術を担当。2004年、07年には函館の映画祭で作品が上映され、ゲストとして観客や実行委員ら市民と交流した。

 映画祭実行委員のカフェやまじょう店主、太田誠一さんは「エネルギッシュで恐るべき創作意欲の持ち主。映画美術の第一人者なのでお会いできるだけで感動、光栄だった」と振り返り、「あの年齢で映画監督を務めるだけあって想像力や洞察力、映像の美学にずば抜けていた。心から冥福を祈りたい」と話す。

 映画祭実行委員長の米田哲平さんは「美術監督初期のころのヤクザ映画を見ていたので恐いイメージがあったが、映画祭で会った時は年齢もあってか意外に優しい印象だった。準備中の次回作を楽しみにしていたのに…」と悼んでいた。(新目七恵)