2010年3月27日 (土) 掲載

◎「イカール星人」見事 リージョナル賞受賞

 函館を代表するキャラクター「イカール星人」を作りだした「Project Ika―R」(シンプルウェイ、猫乃手堂、函館市)がこのほど、東京都港区の明治記念館でデジタル・コンテンツ・オブ・ザ・イヤー09/第15回AMDアワード(社団法人デジタルメディア協会主催、総務省後援)のリージョナル賞を受賞した。

 「イカール星人」は函館名物の「イカ」を題材に、コンピューター技術を活用して作り上げた異星人。同賞は、コンピューターを活用した地域に根ざした事業やサービスの中で、優れた功績を挙げた個人や団体に贈られる。函館侵略をたくらむ「イカール星人」から、五稜郭をはじめとする観光名所が市民を守るという独創的な発想や、破壊で街をPRするという奇抜な手法をデジタルコンテンツで使った点が評価された。

 受賞式に出席したシンプルウェイの阪口あき子さんは、受賞について「とても驚いた。式では、ほかの賞を受賞したクリエイターと接して刺激を受けた」と喜びを語った。

 受賞作品の「函館壊滅!?タワーロボVSイカール星人シリーズ」は、市の観光ブランド映像事業を、シンプルウェイが建築家や郷土史研究家、デザイナーなど異なった分野の専門家をまとめ、プロデュースすることで作られた。動画共有サイトYouTubeでは再生回数80万回を超えるヒットとなり、マスコミやメディアでも、大きな話題を呼んだ。

 ヒットの要因を、阪口さんは「万人受けを狙わず、特定の層に受けるよう、精巧に作りこんだ点が良かったのでは」と振り返る。今後については「瞬間的に注目を浴びるだけでなく地域に根ざし、地元に貢献できる事業を行っていきたい」と話している。(黒田 寛)



◎市有地に宗教施設20件 無償貸与

 今年1月、砂川市が市有地を神社の敷地として無償提供した行為が最高裁で憲法違反と判断された問題で、函館市は26日、神社や寺の施設など計19カ所、20件が市有地に存在し、無償貸与に該当することを明らかにした。いずれも国や関係者と協議し、有償契約を結ぶなど違憲状態の解消に努める方針。

 函館市内では今年2月、湯川町2の市有地に2つの神社の敷地が存在することが判明。2、3月にかけて市内全域で用途未定地を中心に、実態調査を進めていた。

 市財務部によると、内訳は神社系14件、寺院系(地蔵や塔など含む)6件。うち7件は国有地や国有林上にあり、市道認定を受けていたり、都市公園法の適用を受けるなどして市に管理責任が存在している。

 このうち函館八幡宮(谷地頭8)では鳥居の台座が車道の停車帯上に存在するなどし、鳥居が建て替えられた2001年度から道路占用許可を出した上で占用料を減免。東本願寺函館別院(元町16)は市道上に階段が存在することが判明した。戸井地区の神社2カ所はいずれも境内や社殿の一部が越境している状態にあった。

 同部は「権利関係の把握に時間がかかった。売却や有償貸し付け、道路占用許可などの契約締結を進めたい」と話しているが、一部には即座に撤去できない施設も存在しており、違憲状態の解消には難航も予想される。(千葉卓陽)



◎病院局長に吉川院長 函館市特別職、部長人事

 函館市と市教委は26日、4月1日付の特別職・部長・次長級人事を発表した。任期満了で退任する井上芳郎病院局長(70)の後任に吉川修身市立函館病院長(65)が就く。保健所参事1級に辻喜久子保健所健康づくり推進室長(58)が昇格する。辻氏は市の女性事務職では初の部長職となる。

 教員、医師を除く退職者は部長職11人、次長職5人、課長職14人。昇格者は部長職8人、次長職13人と大幅な入れ替わりとなった。小柏忠久副市長は「年齢にこだわらず、適材適所の配置を心がけた」と話している。

 部長職は南茅部支所長に佐藤洋一企画部計画推進室長(57)、恵山支所長に三上武一水道局事業部参事2級(53)、椴法華支所長に上戸泰雄土木部次長(55)がそれぞれ昇格する。

 福祉部長に川越英雄市教委生涯学習部長(53)、競輪事業部長に種田貴司経済部労働政策室長(52)。

 山本真也都市建設部長(55)が交通局長に就くことに伴い、都市建設部長には市住宅都市施設公社に派遣されている荒井俊明同部参事1級(58)。選挙管理委員会事務局長に沢田寛之農業委員会事務局長(57)。会計部長には田中俊弘保健所参事1級(57)、妹尾正白会計部長(57)は市教委生涯学習部長に回る。

 水道局では管理部長に平井等企画部次長(55)、事業部長に佐野肇行事業部次長(58)がそれぞれ昇格。病院局では市立函館病院長に木村純副院長(55)が就く。

 また次長職では、財務部に新設される税務室の室長に須藤智義同部管理課長(52)を起用。水道局では上下水道の計画維持部門を統合し、管路整備室を新たに設置。室長には斎藤章生事業部水道課長(52)が就く。

 昇格者の平均年齢は部長職55・6歳、次長職53・8歳。(千葉卓陽)


◎長万部町長選に高森氏が出馬表明

 【長万部】長万部町議で会社役員の高森治光氏(67)は26日までに、任期満了に伴う7月の長万部町長選挙に出馬することを表明した。町長選には現職の白井捷一氏(71)が2選を目指し出馬表明していることから、選挙戦となる見通し。前回2006年はこの2氏の選挙戦で、高森氏が239票差で敗れている。

 高森氏は「町には若者が定着できる雇用の場が少なく、消費経済も疲弊している。この低迷したまちを立て直すために企業誘致に力を入れたい。町に用地がある農業法人『神内ファーム21』の進出については緊急の課題。1次産業のみならず、2次、3次産業の拡大につながるはず」と話す。

 公約では教育と福祉にも力を入れる。長万部高校存続活動の一環で給食費助成、子宮けいがん予防接種の助成、町高齢者事業団の活用で高齢者の仕事・生きがいづくりを充実させ、「町民が安心して過ごせる暮らしの実現を目指したい」という。

 高森氏は1943年サハリン生まれ。芝浦工業大卒。75年に町議に初当選した。本紙の取材に対し「将来のまちづくりを真剣に考えたとき、この選挙は大きな意味をなす。『まちをよくしたい』。この思いで出馬を決めた」と話している。(田中陽介)


◎議員削減「30」を可決 函館市議会

 函館市議会の第1回定例会は26日、総額を1275億7000万円とする2010年度の一般会計予算案など議案55件を可決。共産党を除く議員からの追加議案として来春改選時の議員定数を「30」とする、同議会議員定数条例の一部改正を賛成多数で可決した。

 市議会の議員定数は現在、旧4町村に選挙区を設け、暫定的に「38」(旧市内34、旧4町村各1)だが、来春の次回改選では全函館市で「34」とすることが決まっていた。共産党を除く4会派はさらなる削減に向けて、1月から幹事長レベルで協議を進め、今月に「30」で合意した。

 議員定数条例改正については、紺谷克孝氏と高橋佳大氏(ともに共産党)が質疑に立ち、共産党を除く4会派の幹事長が答弁した。

 このうち、紺谷氏は「今回の削減提案は本会議の2日前に決定したが、議論はいつどのようにされたのか」などと質問。これに対し佐古一夫氏(新生クラブ)は「これまで3回、幹事長クラスで協議を行った。一般などには公開していないが、各回ごとに新聞報道などで公表してきた」と答えた。

 また討論には市戸ゆたか氏(共産党)、阿部善一氏(民主・市民ネット)、三遊亭洋楽氏(無所属)、丸尾隆子氏(共産党)が立った。

 このほか予算特別委員会の佐古委員長が審議経過を報告。可決した議案は10特別会計845億8917万円、5企業会計412億7911万円。条例では特別職の給与に関する条例の一部改正などを可決した。人事案件では、固定資産評価審査委員会委員に堀内博志氏(57)の再任、人権擁護委員に小林元昭委員(61)の推薦に同意した。

 意見書案は「介護保険制度の抜本的な基盤整備を求める」「子ども手当の全額国庫負担を求める」など11件を可決した。(山田孝人)