2010年3月30日 (火) 掲載

◎今年もプレミアム商品券 商工会議所が3万セット

 函館商工会議所は29日、昨年好評だったプレミアム(割り増し)付き商品券を今年も5月23日から発売すると発表した。プレミアム率は10%で、一枚1000円の11枚つづり1セットを1万円で販売する。長引く景気低迷の中、額面総額3億3000万円(3万セット)を「消費の起爆剤」にしたい考えだ。

 7月に一般公開される箱館奉行所の写真を印刷した、その名も「箱館奉行所オープン記念プレミアム商品券」。お得分は昨年より5%減少し、函館市が補助金で8%、参加店が2%をそれぞれ負担する。一枚当たりの額面は倍増し、「参加店の客単価を上げたい要望に応えた」(同会議所)。おつりは出ない。

 商品券の取扱店は、函館商工会議所と市亀田商工会、函館東商工会に加盟している市内の事業所が対象。4月1日から5月7日まで参加申し込みを受け付ける。店側の負担率が昨年の5%から軽減されたことで、同会議所は「小規模な商店も参加しやすいはず」とし、前年並みの約800店舗の参加を見込んでいる。

 販売初日は5月23日の日曜に設定。市内の3商工団体や各支所のほか、棒二森屋、丸井今井函館店、テーオーデパート、イトーヨーカドー函館店、MEGAドン・キホーテ函館店の計12カ所で同24日まで販売する。購入は一人3セット・3万円まで。売り切れ次第終了となる。

 使える期間は昨年より約1カ月短縮し、発売日から7月31日まで。同会議所は「夏物商戦を前に市民の消費行動を掘り起こし、地域経済の活性化につなげたい」としている。問い合わせは同会議所TEL0138・23・1181。(森健太郎)



◎浜のかあさん料理コン最優秀メニューが函館国際ホテルに

 今年2月に開かれた「浜のかあさん料理コンテスト」で1位に輝いた砂原漁協女性部(石栗節子部長)の「ホタテの昆布巾着(きんちゃく)」が、函館国際ホテル(函館市大手町5)のレストランのメニューとして提供されることが決まった。同ホテルの相原源一取締役総料理長は「おいしくて心がほっとする。浜の母さんの温かさが伝わる料理を多くの人に味わってもらいたい」と話している。

 「ホタテの昆布巾着」は、稚貝をコンブで包み、しょう油で煮込んだ料理。間引きした養殖コンブのとろけるような柔らかさに、ホタテのうまみが加わり高い評価を得た。

 味付けを担当した吉田万紀子さんは「受賞後の反響がすごく、『作り方を教えて』と問い合わせが相次いでいる」と喜ぶ。自慢のレシピは、すでに相原総料理長が吉田さん宅へ出向き、調理法を学んでいる。4月4日から毎週日曜日に同ホテル1階レストラン「アゼリア」サンデーバイキング(日曜日限定)のメニューとして登場し、中華料理などとともに味うことができる。

 サンデーバイキングは、午前11時半―午後2時。大人(中学生以上)1580円、小学生790円。(田中陽介)



◎中島廉売被災の奥野商店 仮店舗で営業再開

 16日に中島廉売(函館市中島町)で発生した火災で被災した奥野商店(同町22)が、週末の27、28両日、焼け残った商品の販売を同店舗前で行った。消火の際、水や煙を浴びた砂糖や洗剤などの商品を定価の3分の1から半額で販売し、売れ行きは好調だった。29日からは新たに近くの空き店舗を借り、残りの商品を販売している。同店の奥野隆宏さん(44)は「多くの常連さんに訪れてもらい、みなさんの善意に感謝している」と喜んでいる。

 中島廉売で45年にわたり食品全般を取扱い、商いを続けてきた同商店。カップ酒や缶コーヒー、砂糖や缶詰などの商品は、煙にまかれたり水をかぶるなどして通常では販売できない状態だが、長い付き合いあるなじみの客が次々と購入していくなど「想像以上の売れ行き」(奥野さん)という。

 29日からは、同商店の向いにある空き店舗を借りて、本格的な販売に切り替えたところ、午後1時の開店と同時に列を作って待っていた客が店内へ。両手いっぱいに商品を購入する姿も目立った。店を訪れた宮城富雄さん(75)は「古くからのなじみの店。早く元気になってほしい」、矢口ヨシさん(72)は「25年来の付き合い。これからも応援していきたい」と笑顔で話していた。

 同商店は、今後も在庫商品を順次店頭に並べるという。仮店舗の営業時間は午後1時から約1時間ほどで、約1カ月間営業を行う予定(日曜日定休)。奥野さんは「被害が甚大だったので再開の見通しは立っていない」としながら「今は中島廉売のきずなの強さをありがたく感じる。できればこの場所で営業を続けたい」と話している。(黒田 寛)


◎新入学児童に黄色いワッペンなど贈呈

 保険会社4社は29日、共同で函館市の2010年度の全新入学児童に、交通事故傷害保険付きの黄色いワッペンを贈った。同日、担当者が函館市役所を訪れ、児童代表の元町白百合幼稚園の卒園児6人に取り付けた。

 4社はみずほフィナンシャルグループ、損害保険ジャパン、明治安田生命保険相互会社、第一生命保険相互会社。1965年に旧富士銀行が始め、現在に続いている。

 みずほ銀行函館支店の三宅毅支店長が、西尾正範市長に目録を贈呈。「ことしはまだ路面が滑りやすい。4月から交通安全に注意して登校してください」とあいさつした。

 市からは同時に、黄色いランドセルカバーを贈った。西尾市長は子どもに対し「楽しみにしていた小学校に通うことになります。友だちにも道路に飛び出さないようにと言ってください」と呼びかけた。

 代表で受け取ったのは、岩崎心音さん、大沼栞綸さん、坂本泰心君、永田知広君、大浜美渚さん、笹野かほる子さん。肩にワッペン、背負ったランドセルにカバーを付けてもらうと、「交通安全の約束を守ります」「元気な1年生になります」と大きな声で約束し、お礼の歌を披露した。(小泉まや)


◎市役所窓口 大忙し 4日に臨時開設

 年度末を迎え、自治体の各種窓口には、転入や転出などの届け出をする住民が多数訪れている。函館市役所本庁舎には29日、通常の約5倍となる400件の届け出があり、この時期1回目の混雑のピークとなった。今後混むのは4月1、2、5日の見込み。市は混雑緩和のため同4日の日曜日、本庁舎と亀田支所に臨時窓口を開設する。

 同市は例年、この時期に届け出が集中するため、対応職員を増員したり、記載台や待合場所を増設するなどの対応をしている。休日の窓口開設は2006年から実施しており、ことしで5回目となる。

 29日には、1日を通して絶え間なく市民が訪れた。正午から午後2時にかけては、手続きを終えるまでに最大50分待ちとなる混雑に。市民は、携帯電話を操作したり、テレビを見たりしながら待ち時間を過ごした。転入手続きで訪れた26歳の女性は「札幌から出身地に帰ってきました。新しい環境で仕事を頑張ります」と話していた。

 臨時窓口の開設時間は、午前8時45分から午後5時半。対応するのは、転入・出や印鑑登録申請の受け付け、戸籍についての届け、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険被保険者証の交付、身体障害者手帳、児童手当についての手続きなど。

 市民部は「住所の移動に関連したすべての手続きが可能。待ち時間も平日より短くすむので、忙しい人は4日に来庁して」と勧める。(小泉まや)


◎企画「ACTION!北海道新幹線」第1部・青森はいまF一大商機 攻めの姿勢で 青函連携で開業効果創出を

 「一つのまちが観光で独り勝ちできる時代じゃない。地域間でタッグを組まないと生き残れない」。3月中旬に青森市内のホテルで開かれた新幹線開業対策を話し合う青函合同の事務レベル会合。青森市経済部の佐々木淳一理事は冒頭から、危機感をあらわにした。

 函館側は12月の新青森駅開業を“第一の開業”と位置付け、「おこぼれをいただくチャンス」(函館商工会議所)としたたかだ。会合でも青森側に「開業時には駅前に道南の観光、物産をPRする『函館ブース』を設けてもらえないか」と迫った。

 新幹線には「ストロー現象」のように管外流出を誘発する負の側面もある。青森の商工関係者の間には5年後の新函館駅への延伸で、県内が素通りされてしまうとの危惧(きぐ)がはびこる。青森商工会議所は「新青森と新函館、これから2回開業する心構えで、今こそ県境を越えた連携が不可欠」と力を込める。

= ◇ =

 人口減少や高齢化、雇用情勢の悪化…。青森が抱える構造的な問題は函館と重なる。日本銀行青森支店の鶴海誠一支店長は「新幹線はまちづくりを加速させるための起爆剤であって、それをうまくビジネスに活用しなければならない。開業効果を享受するスタンスではなく、プラスの効果を創出することが大切」と指摘する。

 青森県は本年度から進める基本計画で、地域外でお金を稼ぎ、それを地域内で消費する「外貨獲得」と「域内循環」を掲げる。鶴海支店長は「民間の企業が自分たちの問題として取引や販路を広げるために行動を起こすこと。例えば『食』なら、最終製品に持ち込むまでの加工や物流など関連産業を集積させ、付加価値を高める“攻めの農林水産業”が必要」と語る。

 一方、観光面では「通過駅になるかどうかは地域の実力次第。それよりも函館の誘客を新幹線で青森に連れてくる方が得策」と延伸にも歓迎の見方だ。「違う表情を持った函館と青森がうまく連結すれば、津軽海峡の観光圏が形成できる。ブランド力では函館に劣るが、県民が普通の生活や風景など『未開の魅力』を再認識して、磨き上げられるかどうか」と提起する。

 函館・近郊にも支店を構えるみちのく銀行の須藤慎治営業開発部長は新幹線開業による交流人口の拡大を一大商機ととらえる。「地元企業と首都圏の業者とのビジネスマッチングや農商工連携など地域活性化の可能性はぐんと広がる。それをどう商売に結び付けていくか、その橋渡しやサポートが金融機関の役目」と語る。

 残り1年を切った新青森駅開業。新たな高速輸送時代の到来を告げるつち音は、早くも“しょっぱい川”を挟んだ函館にも響き始めている。青森のいまに何を学ぶか。刻一刻と北へと延びるレールが宿題を突き付ける。(森健太郎)