2010年3月5日 (金) 掲載

◎朱色ぴちぴち エビかご漁初水揚げ

 函館市の南茅部地区と椴法華地区、鹿部町の各漁港で4日、春のエビかご漁の初水揚げが行われた。透き通るような朱色でピチピチ跳ねるエビが姿を見せ、「ここのエビは最高にうまい」と春の浜は活気づいている。

 噴火湾のエビかご漁は、1日に解禁。南茅部などは、しけ続きで初水揚げが4日に延びた。

 南かやべ漁協は地域の漁師38軒が出漁。3日午後10時に約1時間かけて沖合へ向かい、2日夜に仕掛けたかごを次々と上げた。

 船上で大きさを選別し、水槽で鮮度を保ちながら4日に帰港。臼尻漁港には砂田孝行さん(37)の船が、午前7時5分に一番乗りした。

 岸壁で待つ家族らが手際良く、エビを陸に運んだ。砂田さんは「いつもより少ないけど、量が増えるのはこれから。まずは漁が始まってほっとした」。

 臼尻漁港のこの日の水揚げは、ボタンエビ大・中が11.3キロ(浜値1キロ2350円)。アマエビ大は65.2キロ(同690円)。同漁協によると「水揚げは例年の半分ほどのものもあるが、浜値は比較的いい。漁師が自信を持って届ける、濃厚な味わいのエビをいっぱい食べてもらいたい」と紹介する。

 エビは函館のほか、東北や東京、北陸方面へ出荷。6月ごろから子持ちが出回り、漁は9月まで続く。(田中陽介)



◎函館市議会 道・東北の縄文遺跡群 2015年度世界文化遺産登録目指す

 函館市議会の第1回定例会は4日、代表質問を続行し、2会派の代表が登壇した。多賀谷智教育長は、世界文化遺産への登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、秋田、岩手の15遺跡)の推進体制について説明。本登録の目標を2015年度とし、これを前に基本コンセプトや資料の整理を行い、資産内容や推薦書を作成する。14年度には国際記念物遺跡会議(ICOMOS=イコモス)の調査を受ける計画だ。

 瀬尾保雄氏(市民クラブ)の質問に答えた。

 同遺跡群は、函館市の史跡大船遺跡や森町の史跡鷲の木遺跡、青森県の三内丸山遺跡、秋田県の大湯環状列石、岩手県の御所野遺跡などで構成する。関係する4道県知事の協定書をもとに、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部を設置しており、この実務者レベルが集まる同推進会議(2月26日に秋田県で開催)で、登録に向けた詳細な日程を決めた。

 主な日程は、11年度までに遺跡群のエリアや縄文文化の定義、遺跡の位置付けなど、基本的なコンセプトを整理。12年度には資産内容をまとめ、日本語版の推薦書を作成する。13年度にこの英訳をつくり国に推薦書を提出。14年度のイコモスの調査で評価を受ける。

 多賀谷教育長は「本登録に向けた一番の課題は国際的な合意形成」とし、本年度は英国大英博物館で開催された土偶展に合わせて説明会を行い、10年度はユネスコ本部のあるフランス・パリでも実施するとした。また、11年秋に南茅部地域でオープン予定の「縄文文化交流センター」を情報発信拠点と位置付け、「縄文文化についての最新情報を広く発信し、市民意識の高揚を図る」と述べた。

 代表質問には瀬尾氏のほかに紺谷克孝氏(共産党)が、個人質問には浜野幸子氏(新生クラブ)と福島恭二氏(民主・市民ネット)が立った。(小泉まや)



◎北斗、海老沢市長が退任 9期35年

 【北斗】北斗市の海老沢順三市長(78)は4日、任期満了を迎え退任した。旧上磯町長、北斗市長と9期35年にわたり首長を務め、市役所本庁舎で開かれた退任式では職員や議員、市民ら約200人が長年の首長職の労をねぎらった。

 海老沢市長は旧上磯町生まれで、明治大学卒業後、1953年に同町役場入り。町議会事務局長だった75年の町長選挙で初当選を果たした。旧大野町との合併を主導し、2006年の市誕生後の選挙で当選し、初代市長を1期務めた。

 旧上磯町時代から子供の医療費無料化、一人親家庭への助成制度など福祉、子育て支援でほかの自治体に先駆けて独自の政策を展開。新市誕生後は、北海道新幹線開業に合わせて市渡に建設が計画されている新函館駅(仮称)の整備計画、行財政改革などを進め、市の土台作りに力を注いだ。

 この日は通常通りに執務を行い、来客の対応に追われた。午前11時半に退任式が行われ、職員のほか、市民も参加。海老沢市長は「35年間、大きな災害もなく、優秀な職員に支えられ、寛容な市民に励まされ仕事できたことは無上の幸せ」と謝辞を述べ、「新市長とともに全国に誇れる北斗市をつくり上げて」とあいさつした。

 海老沢市長は職員や市民に見送られながら退庁。正面玄関前で女性職員や市民から次々と花束が贈られ、「ありがとうございます」と感謝の言葉を残し迎えに来た車に乗り込んだ。

 退任式に参加し、市長に花束を手渡した七重浜に住む田中ミヨ子さん(89)は「寂しいの一言。市民をずっと守ってくれて感謝の気持ちでいっぱい」と話していた。

 5日からは先月28日の市長選で当選を果たした前副市長の高谷寿峰氏(58)が市長に就任する。(鈴木 潤)


◎川越さん(深堀中3年)、手紙作文コンクールで日本郵便賞

 函館深堀中学校(大西正光校長、生徒363人)3年の川越真菜さん(15)が「第42回手紙作文コンクール」(郵便事業株式会社主催)の手紙作文部門で日本郵便賞を受賞した。7902点の応募があった。文部科学大臣賞に次ぐ同賞は9人で、道内では川越さんが唯一の受賞。同校で4日、武田久男郵便事業株式会社函館東支店長から賞状が贈られた。

 同コンクールは、将来を担う子どもたちが手紙に親しみ、文章表現を通じて、コミュニケーションを図る目的で行われている。

 作品は、合唱部の活動を通して深めた、顧問の辻真紀子教諭とのきずなを主題にした「側にいてくれた辻先生へ」。中学入学後に始めた合唱への熱い思い、aオ藤に、共に向き合ってくれた辻教諭への感謝の思いをつづった。

 川越さんは、他校の生徒との合同練習で指導者から指摘された点を気に病み、歌うことが苦しくなった。「自分は合唱に向いていない。人の足を引っ張るだけ」。部長としての責任感も重荷になった。そんな川越さんに辻教諭は「あなたは1人じゃない。仲間を頼っていいんだよ」と声をかけた。「それから周りが見えるようになった」という。最後の大会で金賞を受賞し、全道大会出場を勝ち取った。

 思い出をたくさんつくった中学生活も、間もなく終わる。進学する高校に合唱部はないが、辻教諭が主宰する合唱団に入団する予定だ。今回の受賞について川越さんは、「今でも信じられない。とてもうれしい。これを励みに今後も合唱を続けていきたい」と力強く語った。


◎集会施設に1億5190億 乙部予算 

 【乙部】乙部町(寺島光一郎町長)は4日、2010年度予算案を発表した。一般会計総額は本年度当初比0.21%増の33億2670万円。7特別会計と病院会計を含む予算の総額は、同0.9%増の56億6919万円。10日開会の第1回定例町議会に提案する。

 歳入は同0.21%増。町税は1.86%減。地方交付税は0.14%の伸びを見込んだ。普通建設事業は同12.5%増の5億2777万円となる。

 主な新規事業は、老朽化が進む豊浜漁村センターに代わる集会施設建設に1億5190万円、姫川富岡線改良に8000万円、林業基盤の整備に向けた林道整備は、森林管理道鳥山栄野線の開設に6379万円など。特別会計では、乙部地区簡易水道改良工事に5317万円、町国保病院の医師住宅新築は4500万円を計上した。

 継続事業では、昨年11月に掘削が成功した、館浦温泉2号井の貯湯槽新設が5250万円。拡幅整備が進めている道道乙部港線で、町が実施している街なみ環境整備事業は1660万円、町営元町団地の実施設計や既存住宅の長寿命化計画の策定委託は4327万円。

 2007年度から町が実施してきたIT人材育成研修は、新年度から民間企業による研修事業に移行するが、研修生に交付する人材育成補助金は新年度も継続するため220万円を計上。農業活性化や地域ブランドの創出などに取り組む、ふるさと雇用再生特別対策推進事業は1213万円を充てる。(松浦 純)



◎上ノ国町新年度予算案 医療費助成を継続

 【上ノ国】上ノ国町(工藤昇町長)は2日、2010年度予算案を発表した。5月告示の町長選を前に骨格予算の形を取るが、一般会計総額は本年度当初予算とほぼ同額の37億3358万円。水道事業を除く7特別会計を含めた総額は56億3875万円。9日開会の第1回定例町議会に提案する。

 昨年8月にスタートした、高校生以下を対象とする医療費助成は新年度も継続する。助成対象は764人。期間が年度当初からとなるため、予算額は24%増の2165万円。骨格予算のため、政策判断を要する新規事業は計上を留保したが、町立2診療所と1歯科診療所の機器更新には410万円を盛り込んだ。

 主な継続事業は、道の駅もんじゅで行う物産販売などの特産品販路拡大に745万円、ナマコやホッケの増養殖を進める沿岸漁業振興特別対策が940万円、ナマコ種苗生産中間育成試験は665万円。農家253戸を対象とする堆肥(たいひ)購入費助成は150万円。

 道が本年度から磯焼け対策として農業用肥料を海中に投入している実証試験では、町負担分の295万円を盛り込んだ。文化財関連では、国指定史跡・勝山館跡の丸太柵列の改修、花沢館跡、洲崎館跡の標柱設置などに2210万円、勝山館の物見跡の発掘調査には122万円を計上した。(松浦 純)