2010年3月6日 (土) 掲載

◎生活保護率、函館過去最多 1月42.6‰

 函館市の1月の生活保護率は42.6‰(パーミル=人口1000人当たりの被保護者数)となり、前年同月(40.5‰)や前月(42.5‰)を上回り、同市の過去最多を更新した。道内の市部では、これまで釧路市、三笠市に次いで多かった歌志内市(1月は42.1‰)を超えて、3番目の高率に。道南では江差町も46.3‰(前月は45.6‰)に増加した。

 保護率は、経済不況などを背景に全国的に増加傾向にあり、道内や道南でも顕著だ。函館市では保護率、保護者ともに過去最多を更新中。世帯別累計では「その他」に分類される、16―64歳で働くことができる稼働世帯での増加が目立つ。

 同市内でも福祉事務所別では、高齢世帯の多い中央福祉事務所管内は52.4‰で、道内の市部で最も多かった釧路市(50.3‰)を超えた。対して、亀田福祉事務所管内は29.3‰にとどまった。

 同市は過去に例をみないほど増加する保護率に対応するため、開会中の市議会に、この時期としては異例となる保護費の増額補正を提案中。補正後の保護費は194億円超となる。函館市福祉部は「相談は相変わらずたくさんあり、依然として厳しい状況が続いている」と話す。

 渡島管内の町(平均22.4‰)では、9町のうち松前と福島、八雲の3町で、保護率が前月を上回った。北斗市は前月と変わらず15.6‰にとどまり、道内平均(27.6‰)を大きく下回っている。桧山管内(平均31.5‰)では7町のうち、江差と乙部、奥尻、今金の4町で増加した。(小泉まや)



◎北教組違法献金事件に多賀谷教育長「誠に遺憾」

 函館市議会の第1回定例会は5日、一般質問を続行し4人が立った。北海道教職員組合(北教組)の違法献金事件で北教組幹部が逮捕されたことについて、複数の議員が市や函館市教育委員会の認識や対応を問いただした。多賀谷智教育長は、2日に市立の各学校や北教組函館支部に対して、違法な活動がないことを確認し、今後も行わないよう伝えたことを報告した。

 能登谷公氏(市民クラブ)と志賀谷隆氏(公明党)が質問した。

 事件について多賀谷教育長は「誠に遺憾で、教育行政に携わる者として大変厳しく受け止めている」とし、西尾正範市長も「あってはならないこと」と非難した。

 市教委は2日、市立の全小・中・高校に対し「教職員等の選挙運動の禁止等について」とする文書を送付。勤務時間の内外を問わず、政治的行為が禁止されていることをあらためて伝えた。同時に、活動にかかわる電話やファクス送信を学校から行っていないか、特定の政党などのポスターを校内に掲示していないかを調査。多賀谷教育長は「未集計だが、違法行為はなかった」とした。

 これに対し志賀谷氏は、具体例を挙げて「本当に勤務時間内に組合活動を行っていないのか」などと追及。多賀谷教育長は「詳細な調査をしたい」と答えた。

 一般質問にはこのほか、高橋佳大氏(共産党)と出村勝彦氏(新生クラブ)が立った。(小泉まや)



◎「第9」人気チケット既に売り切れ 芸術ホール管弦楽団の定演

 函館市で7日に行われる第20回函館市芸術ホール管弦楽団演奏会(函館市文化・スポーツ振興財団など主催)で、ベートーベン作曲の交響曲第9番ニ短調「合唱付き」作品125が演奏される。“第9”全曲が函館で演奏されるのは1995年以来15年ぶりで、チケットがすでに売り切れになるなど市民の注目度は高い。同団メンバーは「来場者が満足できる演奏を届けたい」と本番直前の練習に励んでいる。

 同団は、道南地域のアマチュア弦楽器奏者の底辺拡大と技術向上を目指した「弦楽アンサンブルクリニック」として発足。1999年に「弦楽合奏演奏会」として第1回定期演奏会を行って以来、年2回のペースでステージを披露してきた。

 20回目を迎える今回は、1995年に函館市民オーケストラが取り上げて以来、函館ではプロ、アマともに演奏されてこなかった“第9”に初挑戦することを決定。約70人のオーケストラと約90人の合唱に、ソプラノの佐藤朋子さん、アルトの石丸典子さん、テノールの鈴木准さん、バリトンの豊島雄一さんが加わり、指揮は札幌交響楽団のビオラ副首席の遠藤幸男さんが務める。

 クラシック作品中でも屈指の人気を誇る“第9”のステージに、地元音楽ファンの関心も高く、すでにチケットは完売。同団の演奏会では初めての出来事に、コンサートマスターの渡邉拓也さんは「今まで以上に素晴らしい演奏を届けようと、メンバーの気合も高まっている。今回は“第9”を聞きたいために足を運んでくれた人が、次回は芸術ホール管弦楽団を聞きにきてくれるように頑張りたい」と話す。

 演奏会は午後4時から市芸術ホール(五稜郭町37)大ホールで行われる。プログラムは“第9”のほかに、ベートーベン作曲「序曲コリオラン」作品62。なお当日券の販売は行わないため、前売りチケットを持っていなければ入場できない。同演奏会への問い合わせは同ホールTEL0138-55-3521。(小川俊之)


◎北斗市役所に高谷氏初登庁 社会情勢に応じ柔軟に

 【北斗】北斗市長に初当選した高谷寿峰氏(58)が5日、市役所本庁舎に初登庁し、職務を始めた。

 高谷市長は午前8時15分ごろ、公用車に乗って正面玄関前に到着。女性職員が花束を手渡し、職員ら約150人が拍手で出迎えた。

 その後、本庁舎と総合分庁舎で職員に訓示し、選挙中に訴えた市の将来像や政治姿勢を示しながら、「海老沢順三前市長の良いところは守り、社会情勢の変化に応じて変えるべきことは変えるなど柔軟性を持ってやっていきたい」と語った。

 職員には「自分の仕事を振り返り、改めるべきことは改め、自分の仕事の“事業仕分け”をまずやって」と述べ、「市民の期待に応える市役所にしよう」と呼び掛けた。また、今回の選挙で寄せられた市民の声をまとめ職員に配布する考えを示し、「回答を寄せてほしい」と求めた。

 高谷市長は部課長会議を開いた後、来客の応対などに追われ、初日の執務を終えた。

 市は今月中旬にも市議会を招集し、4―6月までの新年度の暫定予算案を提案する方針。(鈴木 潤)


◎森町予算案発表 一般会計88億9667万

 【森】森町(佐藤克男町長)は5日、2010年度予算案を発表した。一般会計は09年度当初比1.5%増の88億9667万円。国民健康保険や介護保険など7特別会計と国保病院事業など3企業会計を合わせた総額は同1%増の161億512万円(歳出ベース)となった。

 一般会計の主な新規事業は、ボランティア活動の対価を評価ポイントで付与する「福祉マイレージモデル事業推進会議補助事業」に84万円、JR森駅前通りで計画している「食KING市」への補助金300万円、ごみ処理の有料化に伴い電動生ごみ処理機の購入に対する補助金に165万円を計上した。このほか、国の交付金を受けて行う緊急雇用創出事業に1669万円、校舎耐震改修の実施設計に742万円を充てる。国保など他会計への繰り出し金の総額は8億7296万円。

 歳入は、町税が同4.3%減の14億9131万円、地方交付税は同0.8%増の44億500万円を見込んだ。町債は09年度とほぼ同額の7億9621万円。起債(借金)残高は10年度末で164億円になる見通し。財源不足が生じるため基金を活用し収支の均衡を図る。(鈴木 潤)



◎上ノ国町新年度予算案 医療費助成を継続

 【上ノ国】上ノ国町(工藤昇町長)は2日、2010年度予算案を発表した。5月告示の町長選を前に骨格予算の形を取るが、一般会計総額は本年度当初予算とほぼ同額の37億3358万円。水道事業を除く7特別会計を含めた総額は56億3875万円。9日開会の第1回定例町議会に提案する。

 昨年8月にスタートした、高校生以下を対象とする医療費助成は新年度も継続する。助成対象は764人。期間が年度当初からとなるため、予算額は24%増の2165万円。骨格予算のため、政策判断を要する新規事業は計上を留保したが、町立2診療所と1歯科診療所の機器更新には410万円を盛り込んだ。

 主な継続事業は、道の駅もんじゅで行う物産販売などの特産品販路拡大に745万円、ナマコやホッケの増養殖を進める沿岸漁業振興特別対策が940万円、ナマコ種苗生産中間育成試験は665万円。農家253戸を対象とする堆肥(たいひ)購入費助成は150万円。

 道が本年度から磯焼け対策として農業用肥料を海中に投入している実証試験では、町負担分の295万円を盛り込んだ。文化財関連では、国指定史跡・勝山館跡の丸太柵列の改修、花沢館跡、洲崎館跡の標柱設置などに2210万円、勝山館の物見跡の発掘調査には122万円を計上した。(松浦 純)