2010年3月7日 (日) 掲載

◎恵山でギンナンソウ漁最盛期 地元では「ミミ」の愛称

 函館市恵山町の海岸で、ギンナンソウ(銀杏藻)の採取が盛んに行われている。防寒具に身を包んだ漁師が、岩にびっしりつく海藻をむしり、「とってから出荷するまでの下準備が大変」と出荷作業に追われている。

 ギンナンソウは茶褐色の海藻。湯通しすると、独特のとろみと磯の香りに加え、こりこりした食感が楽しめる。厳冬期の磯場の波打ち際だけに姿を見せ、地元では「ミミ」の愛称で親しまれている。

 JFえさん山背泊(やませどまり)支所では1月上旬から漁を開始した。

 採取後に茎部分を丁寧に外し、葉っぱ状の柔らかな部分だけにする。この作業に相当の時間を要するという。

 浜値は1月下旬、1キロ2000円と近年まれに見る高値をつけた。同支所によると「出荷量が極端に少なかったので、いい値段がついた。2月以降は1キロ800円から900円で落ち着いている」という。(田中陽介)



◎函館市、地域包括支援センター 職員13人増 体制強化へ

 函館市は新年度、高齢者の保健・医療・福祉の向上などを担う「地域包括支援センター」の運営体制を強化する。市内に6カ所あるセンターの職員を、合わせて13人増員し41人に。職員1人当たりの負担を軽減することで、介護予防ケアプラン(介護サービス計画)作成などのサービスの質を向上させ、孤独死などを防ぐ「高齢者見守りネットワーク」で行う実態把握の早期完了に努める。

 地域包括支援センターを拠点に高齢者を支援する制度は、06年度から実施されている。市はこれまでにも、事務員を各センターに1人ずつ配置(09年度)するなど体制の充実に努めており、今回の職員増もこの一環。ケアプラン作成は、09年度(12月末現在)には職員1人当たりの平均が67・4件だった。増員後は大幅に改善され、同50件程度となる見込み。

 増員するのは、西部、中央部、東央部、北東部の4カ所それぞれに各1―5人。各センターの状況に合わせ、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャー(介護支援専門員)を増やす。事務員を含めた職員数は、これまでの28人から41人に。センターの機能を補う施設「ブランチ」の職員はこれまで通り4人だ。

 職員増に伴い、各センターに支払う人件費や事務費などの委託料「地域包括支援センター運営事業費」は、09年度(1億3831万円)と比較すると50%増の2億756万円に増加。市の負担分だけでは、新たに約1000万円増額となる。

 このほど行われた市地域包括支援センター運営協議会に市福祉部が提案し、承認された。同部は、08年度にスタートした高齢者見守りネットワークについて「11年度までに全市を網羅したい」とし、この分の事務負担増を見込んだことを説明。同協議会の委員からは、これまでの職員負担が大きかったことから「ようやく妥当になる」「市の(費用)負担は大きくなるが、さらに良いサービスを提供できる」として、歓迎する意見が複数あった。(小泉まや)



◎渡島支庁新年度独自事業

 渡島支庁は、2010年度の地域政策推進事業(支庁独自事業)を発表した。6事業の予算総額は前年度比90万円増の951万4000円。新規事業は2件で、縄文文化の魅力周知と管内の主要産業であるコンブ養殖の就業者への各種支援策を実施する。食と観光・文化を結びつける新幹線時代に対応した広域観光PRなども継続する。

 「縄文文化・地域の魅力再発見事業」(98万9000円)は、体験ツアーや関連イベントの実施で地域資源の活用を図る。縄文遺跡は世界遺産の登録実現を目指し、地域一丸で機運の向上を図る。

 「コンブ養殖業新規就業者支援モデル事業」(38万8000円)は、漁場整備や体験研修、就業フェアなどを実施。漁協や市との連携で担い手確保に努める。

 継続事業では「新幹線時代に向けた『道南の魅力』新発見・再発見促進事業」(385万9000円)。首都圏での観光見本市や物産展への出展などで、広域観光ルートのプローモーション活動に力を注ぐ。

 「道南食のブランドづくり事業」(227万1000円)は生産現場見学会や試食会などを開催。食品バイヤーや流通関係者、生産者や加工業者らと意見交換し、品質向上、販路拡大を狙う。

 寺山朗支庁長は「支庁の独自事業とともに、人材や施設などの活用で予算を伴わない赤レンガチャレンジ事業との組み合わせで地域を盛り上げたい」と話している。(田中陽介)


◎JR五稜郭駅周辺地区 自転車と歩行者 歩道色分けで分離へ

 自転車と歩行者の安全な通行環境を整備しようと、函館開発建設部は、JR五稜郭駅(函館市亀田本町)周辺地区で歩道の改良工事を進めている。函館開建が昨年実施した調査では、同地区利用者の約7割が自転車と歩行者の接触に危険を感じていると回答。利用者の多くが通行場所の視覚的な分離を求めていることから、歩道の色分けや標識を設置し、マナーの向上を図る。

 同地区は2008年に警察庁と国土交通省が「自転車通行環境整備モデル地区」(全国98カ所、道内4カ所)に指定。函館開建は昨年11月、同地区でアンケート調査を実施し、児童から高齢者までの442人から回答を得た。回答者の主な交通手段は、徒歩209人、自転車利用者は203人、その他(自動車、バスなど)が30人だった。

 自転車と歩行者の接触事故について、205人が事故に遭いそうな経験をし、102人が目撃したことがあるとし判明。全体の約7割が危険性を感じている結果となった。また、基本的な自転車ルールである▽原則、車道の左端を走行▽並列走行の禁止▽歩道通行可の標識がある場合は、車道寄りを徐行し、歩行者を優先する―の3項目を尋ねたところ、若年層を中心にルール自体を知らなかったり、守られていないという結果となった。

 こうした結果を踏まえ、函館開建など道路管理者と道警函館方面本部は、整備計画をまとめた。歩道幅が広い国道5号沿いなどの一部区間は、歩道の舗装を色分けして、車道側を自転車用として分離。周辺の道道や市道では、路面表示や標識を設置することで、利用者にルールを呼び掛ける。

 整備は4月下旬に完了し、順次、供用を開始する予定。函館開建は「注意を喚起し、すみ分けを図ることで、危険を回避できる。地域の自転車走行マナー向上にもつながる。一定期間経過後に、再調査して効果を確かめたい」としている。(今井正一)


◎プリマベーラ函館FC 4月に韓国高陽(コヤン市)訪問へ

 サッカークラブユースのプリマベーラ函館FCが4月に、函館市と姉妹都市提携案が進む韓国・高陽(コヤン)市に遠征し、地元のクラブチームと交流試合を行う。2年前に世界星形城郭サミット参加国を通じて縁の深いオランダのヘレヴーツリュイス市へ遠征した実績があり、姉妹都市提携に向けて函館市から要請を受けた同FCが承諾した。新八吉監督は「サッカーは交流の歴史。勝ち負けにこだわらず、他国の選手との交流を肌で感じたい。函館市と高陽市との友好の懸け橋になれれば」と話している。

 在日大韓民国民団函館支部と大韓航空の支援もあり、昨年12月に遠征が決まった。出発は4月1日で同4日に帰国する。滞在期間中は高陽市役所の表敬訪問や、現地クラブチームの同年代の選手と2試合を行う予定だ。チームとしては選手14人、スタッフ5人が現地に向かうという。新監督は「民団函館支部と大韓航空の関係者にすごく感謝している。一生に一度のことだと思っているが、2年前にオランダに行った経験があるので不安はない」と話す。

 プリマベーラ函館FCは、1997年に地区では先駆けとなるクラブチームを設立。道南地区の中学生が集まり、2003年には全国大会を経験するなどの実績がある。04年には小学生を対象にしたU―12チームも立ち上げ、小、中学一環の育成を目指し、市内のグラウンドや体育館で練習に励んでいる。

 2年前のオランダ遠征を経験した村田龍之介(本通中2年)は「楽しみにしている。オランダで試合をしたときは勝ったけど、同じ中学生とは思えないほどの体格差があった。今回も参加できてうれしいし、少しでもいい経験をしたいので、思い切りプレーする」と意気込む。チームをまとめている伊藤脩人主将(光成中2年)も「函館市の代表としての自覚を持ち、礼儀を尽くすように心がけたい。試合をすごく楽しみにしている。しっかりとパスをつないで、得点を取れるように頑張りたい」と意欲的だ。(小林省悟)