2010年3月9日 (火) 掲載

◎南茅部 ケツブ水揚げ

 外殻に産毛のような毛がつく貝「ケツブ」が、函館市南茅部地区で水揚げされている。刺し身や焼き物、おでん、煮物と調理方法は豊富。風味豊かなだしにコリコリとした食感がうまい。「浜ではみんなが知っている貝だ」と漁師は紹介する。

 南かやべ漁協では約40隻がケツブ漁を行なう。噴火湾で1日解禁のエビかご漁に合わせて始まった。約1時間かけて沖合へ向かい、水深200〜300メートルほどに、イワシやサンマなどの餌を入れたかごを仕掛ける。

 夜中に出漁し、早朝にかごを引き上げ、船上でツブやエビを仕分け、正午前には漁港へ戻る。「寝る時間も惜しんで沖に出ている。漁師の仕事は本当にゆるぐないよ(とてもきつい)」(漁協幹部)。

 初出荷の4日は約1トンを水揚げ。浜値は1`あたり67円。同漁協によると「値段も量も平年と同じ。本格的な漁はこれから」。身の一部につく脂分を取って食べると一層おいしいという。 (田中陽介)

大漁旗には人情そのものがあると思う。いまこうして活用され出したことはとても意義深い。素直にうれしい」と目を細める。

 戸井教育事務所では、今後も特製法被の無料貸し出しを行う。「水洗いとアイロンをかけてくれさえすれば」と積極的な利用を呼びかけている。同時に、地域に残る大漁旗の提供も求めている。問い合わせは同事務所TEL0138-82-3150。

 この活動は、市戸井支所の本年度地域コミュニティー推進事業として実施した。(田中陽介)



◎市役所OB採用へ 派遣職員引き揚げで

 函館市議会の第1回定例会は8日、一般質問を続行し4人が立った。市住宅都市施設公社、市文化・スポーツ振興財団の派遣職員引き揚げ後の後任について、西尾正範市長は「管理的業務を担う職員については、行政実務に精通した市職員OBを採用する予定」と明かし、その他の不足分は新規公募やプロパー職員の内部登用でまかなうとした。現在派遣中の職員は25人で、3月末で終了する。

 小野沢猛史氏(市民クラブ)の質問に答えた。

 同公社への派遣数は現在13人。補充は新規採用8人とプロパー職員の内部登用5人で対応する。内部職員の登用に伴う補充は、4人を予定しているという。また事務局長や課長などは、管理職経験のある市職員OBを3人採用する方針で、3月中旬にも決定する見込み。同公社は「4月以降の業務に差し支えないよう、引き継ぎをしっかり行っていく」と話している。

 同財団では12人が派遣職員として勤務している。補充は新規7人とプロパー職員5人の採用でまかなう。同公社と同じく事務局長など管理職には市職員OB2人を充て、内部登用に対する欠員は8人を公募して対応する。新規採用はOBのほか、図書司書など有資格者2人と、文化芸術に造詣が深い人物3人を予定し、こちらはすでに臨時職員として引き継ぎ業務にあたっている。同財団は「引き継ぎマニュアルを作成しつつ、早い時期に直接会って業務説明を行いたい」としている。

 市の外郭団体への派遣職員引き揚げは長年の課題で、新行財政改革5カ年計画の中でも、プロパー化を推進する方向性を定めている。引き揚げは1月に函館市と市役所職員労働組合で妥結していた。

 また日角邦夫氏(民主・市民ネット)は、現函館駅から東北新幹線新青森駅までのアクセスについて「特急列車が新青森まで乗り入れるのか。それとも現青森駅から列車を乗り継ぐ必要があるのか」と質問。西尾市長は「最終的には東北新幹線のダイヤ確定時にJRから公表されると思うが、現行の特急列車が新青森駅まで至る経路で運行されると聞いている」と答えた。

 一般質問にはこのほか、茂木修氏(公明党)、市戸ゆたか氏(共産党)が登壇した。(山田孝人)



◎6月からハリストス正教会補修

 函館元町の観光名所として人気が高く、国の重要文化財にも指定されている「函館ハリストス正教会」(ニコライ・ドミトリエフ司祭)は、6月から補修工事を行う方針を固めた。潮風による塩害で漆喰(しっくい)のはがれが目立つ外壁などが対象で、総事業費480万円、国からの補助金が全体の6割を占める228万、函館市と所有者が2割の96万円ずつの負担となる。

 同教会は1907年に1度焼失、1916年に現在の復活聖堂が完成した。ロシアビザンチン様式を取り入れた聖堂は、1983年に重要文化財に指定され、1988年には3年の月日と約11億円をかけて大修復工事が行われた。前回は2001年にも小規模な補修がされている。

 ニコライ司祭が教会の現状を重く受け止め「市民や観光客に文化を守り伝えるためにも修理が必要」と市教委文化財課に訴え、昨年補修が決定した。

 今回は、前回補修しなかった場所を中心に、現状の漆喰がはがれている部分を拡大させないことが目的。補修場所は鐘塔の上部や入口付近などで、外壁表面の漆喰の塗り替えや塗装、内部も一部補修する。鐘塔補修時には足場を設置するのに1カ月程度必要で、工期は6月から9月の4カ月を予定している。観光シーズンだが入場は可能だという。

 ニコライ司祭は「今回の補修をきっかけにたくさんの人に文化財を守る大切さの意味を知っていただき、長く教会を愛してもらいたい」と話していた。 (小杉貴洋)


◎捜索費 実費負担も 行方不明者救助で上ノ国町

 【上ノ国】タケノコシーズンに遭難事故が相次ぐ上ノ国町は4月1日、捜索救助に伴う食料費など実費負担を盛り込んだ要綱を施行することを決めた。

 捜索費用のうち、要請によりヒグマの出没などに備えてハンターが出動したり、現場の事情に詳しい地元の人が捜索に参加した場合には、1日1500円の日当や車両の燃料費を捜索を要請した人に請求するほか、捜索隊員に支給する食料費の実費負担を求めることを新たに定めた。捜索に参加した町職員、消防署員、消防団員の人件費や捜索に必要な消耗品は、従来通り町などが負担する。遭難者が生活保護を受けているなど、特別な事情がある場合には、負担を免除する規定も設けた。

 新要綱は、行方不明者の家族による捜索依頼書の提出、対策本部の設置、2次遭難の防止を考慮した初動捜索の実施とともに、捜索が長期化した場合は、原則として捜索期間を3日以内とするなどのルールも明文化した。桧山管内では今金・せたなの両町が、捜索費用の実費負担制度を設けている。

 町内では2005年以降、春のタケノコ採りを中心に9人が遭難(死者3人、行方不明1人)。町、消防、警察による初動捜索の段階で、発見または自力下山したケースも多数ある。遭難者は町外からの入山者がほとんどだった。町総務課は「実費負担を制度化することで注意喚起を行い、遭難事故を抑止することが狙い」としている。町は4月の町広報紙で町民に周知するほか、今春のタケノコシーズンが始まる5月には、入山者にも制度をPRする方針という。(松浦 純)


◎元気に家族と再会 函水高の実習船下船式

 実習船「北鳳丸」(664トン)で48日間の長期乗船実習に取り組んできた函館水産高校(木村修校長)の2年生36人が8日、函館港に帰港した。生徒は元気な顔を見せて家族と再会、船長や乗組員に感謝の気持ちを伝えた。  実習船は1月31日に出航。生徒は海洋観測やまぐろ延縄実習などを学び、米国ハワイの漁場を経由して帰路についた。

 この日は小雪がちらつく肌寒い天気となったが、船溜まり埠頭には40人余りの家族らが出迎えに駆け付けた。下船式で道教育庁実習船管理局の川端道隆局長は「1つのことをやり遂げた達成感を今後の人生の道標にして」と激励し、木村校長は「成長し、成就感に満ちた顔を見ると長期実習の素晴らしさを感じる」と航海の無事を喜んだ。松代真佳船長は「普通の高校生はできない体験を生かし、これからも頑張って」とエールを送った。実習生代表の機関工学科2年の森和弥君(17)は「航海で身につけた知識や技術を学校生活に生かしたい。今までありがとうございました」とあいさつし、全員でお礼の言葉を述べた。

 下船した実習生らはほっとした表情を見せ、家族らと再会を喜んでいた。 (新目七恵)