2010年4月13日 (火) 掲載

◎五稜郭のサクラのつぼみ緑になり始める

 五稜郭公園(函館市五稜郭町)のサクラのつぼみが、膨らんできた。散策する人から「きれいな花びらを楽しみにしているよ」との温かい言葉を励みに、陽光を受けて緑色の芽が春風に揺らぐ。

 同公園には約1600本のサクラがあり、大半がソメイヨシノだ。例年5月の連休時期に満開を迎え、国の特別史跡「五稜郭」が星形のサクラ色に染まる。

 12日に自転車で訪れた市内高盛町の白川芳二さん(56)は「この時期になるとサクラが気になってしょうがない。今年は寒い日が続いたので、いつ咲こうか戸惑っているかもしれない。早く満開を見たい」と心待ちの様子だった。

 日本気象協会北海道支社の独自予想によると函館の開花日は5月6日で、満開は同10日ごろ(4月7日発表)。(田中陽介)



◎啄木日記の欠けていた2ページが見つかり市中央図書館に

 13日の啄木忌を前に、石川啄木が記した「明治44(1911)年当用日記」の欠けていた2ページが12日までに、同日記の原本を収蔵している函館市中央図書館に寄託されていたことが分かった。啄木の資料の保存活動などを行っている「函館啄木会」(岡田弘子、宮崎郁子代表理事)が入手したもの。岡田代表理事(85)は「あるべき場所に、なくなっていたページが戻ってきてうれしい」と喜んでいる。

 欠けていた2ページは、東京都文京区の古書店「森井書店」の森井健一さんが昨年12月に発見。その後、「石川啄木記念館」(岩手県盛岡市)の学芸員に連絡があり、同学芸員から函館市文学館に知らされた。

 市文学館から発見の知らせを伝えられた同会は、市中央図書館の協力を得ながら見つかった2ページの鑑定を実施。市中央図書館に所蔵されている原本の切れ目と照合し、紙の質、筆跡などから本物と認め3月に購入した。岡田代表理事は「盛岡の学芸員さんが『本来あるべき場所へと』と考え、ご好意でこちらに知らせてくれた。本当にありがたい」と話す。

 今回発見された日記は、同年の4月26、27日分。土岐哀果と発刊を計画していた「樹木と果実」を印刷所の倒産などにより断念した上、体調がすぐれなかった時期のもの。「昨夜は2時半頃まで眠れなくて弱った」などと、精神的にも肉体的にも苦しむ胸の内を吐露した内容だ。

 啄木の日記は39(昭和14)年に9冊が市中央図書館に寄贈された。その際「明治―」は遺族の意向で手元に残され、93年の市文学館オープン時に寄贈されていたという。

 同会は13日午後2時から「啄木忌追悼会」(参加費1000円)を住吉町16の東海山地蔵堂で開く。「啄木と朔太郎」と題した追悼講演も行う。希望者は直接会場へ。(山田孝人)



◎スナッフルスが札幌初進出 来月6日、北洋大通センターに

 洋菓子製造販売のペシェ・ミニョン(函館市湯浜町、中澤美樹社長)が市内で展開する洋菓子店「ペイストリースナッフルス」が、北洋銀行などが札幌市中央区の旧拓銀本店跡に建設した北洋大通センター内の商業施設に出店することが決まった。函館以外に直営店が進出するのは初めて。開業は5月6日。同社は「地域密着で親しまれてきた函館の味を札幌の中心部から全道に発信したい」と意気込んでいる。

 同ビルは大通公園と札幌駅前通に面した地上19階、地下4階。今月上旬に完成し、駅前通側の商業施設「大通ビッセ」の1階にできる道内各地の人気菓子店6店のスイーツを集めたコーナーに出店する。店舗面積は約20平方メートル。持ち帰り販売のほか、共有のフードコートで食べることもできる。

 新店舗の名称は「スナッフルスさっぽろ大通店」。主力商品のチーズケーキ「チーズオムレット」をはじめ、店舗裏に設けた調理場で製造する生ケーキも10種前後並べる。イチゴやティラミスのムースをクレープで包んだ「シュルプリーズ」や、シフォンケーキ、ミルクレープなど札幌限定の新作も開発した。

 同社製造チーフの立木直美さん(29)は「シンプルでありながら食べて驚きや発見のある味わいに仕上げた。作りたてのおいしさを多くの人に味わってほしい」とPR。中澤社長(52)は「ケーキはおなかよりも心を満たすもの。北海道という広い枠の中で挑戦者として札幌の市民や観光客に愛される店を目指したい」と話している。

 同社は現在、函館市内で洋菓子店「ペイストリースナッフルス」など7店舗を展開している。年内にも札幌市内に道南以外では初めての製造工場を新設する予定。来年6月には新千歳空港のターミナルビル内に新たに直営店を出店する計画で、物流機能を高めて道内外へさらなる販路拡大を狙う。(森健太郎)


◎ケースワーカー増員へ、函館市

 函館市福祉事務所は2010年度、増加し続ける生活保護世帯に対応するため、各世帯の支援を担当する職員・ケースワーカーを増員する。4月下旬に行われる人事異動に伴い、これまで実質82人だった職員を88人に増やす。ケースワーカー1人が担当する世帯数は、3月は99世帯だったが、異動後は91世帯に。業務量緩和によりきめ細かな指導が期待される一方、国が定める標準数(80世帯)を上回る現状は変わらない。

 同市の保護世帯数は、3月が約8490世帯。このうち入院中などを除く一般的な保護世帯は約8120世帯だった。09年度のケースワーカー数は、定数85人に対し、年度途中の退職などで82人に減少。3月には1人が99世帯を担当するまでになり、個人の負担が増加していた。

 同市の保護世帯数は、経済不況などの影響で増加の一途をたどる。通常は減少する4月以降にも減る見込みがないことなどから、増員を決めた。さらに入院世帯などを担当する嘱託職員も1日付けで、これまでより2人多い5人とした。

 市福祉事務所の生活支援課は「世帯数が増えているので厳しい現状は続く」と悲鳴を上げながらも、「行財政改革で人員を削る中での増員はありがたい」とする。庁内でも事務所面積当たりの職員数が多い同課では、5月の大型連休中にもスペースの拡張を行う予定。(小泉まや)


◎ロシア極東大入学式

 函館市元町のロシア極東大函館校(イリイン・セルゲイ校長)で12日、入学式が行われ、18歳から60歳までの新入生8人が学生生活の第一歩を踏み出した。

 本年度は2年制のロシア語科に4人、4年制のロシア地域学科に4人が入学。在校生や来賓ら約60人が見守る中、パンと塩を差し出し、歓迎の意を表すロシアの伝統儀式「フレップ・ソリ」や、新入生への入学許可証の授与などが行われた。

 新入生を代表し、函館出身の鍋谷真依さん(18)が「ロシアのスペシャリストとして、日ロの友好発展のため、社会に貢献できる人間になることを誓います」と宣誓。イリイン校長は「すばらしいロシア文化、文学、ロシア語について知識を得てロシアのことが好きになると確信しています」と式辞を述べた。

 3月に仙台市内の盲学校を定年退職し、入学を果たした畠山重人さん(60)は「大学時代に少し勉強していたので興味があった。ロシアの詩が読めるようになれたら」と期待。静岡県出身の加藤奈美さん(18)は「ロシア語を生かせる職に就きたい」と話していた。(宮木佳奈美)


◎わさび菜入り松前漬ご賞味あれ 松前のあさみ商店が新商品

 【松前】町松城13の海産物、珍味製造販売の「あさみ商店」(浅見千恵子代表)はこのほど、松前漬の中にわさび菜を入れた新商品の発売を開始した。同店代表の千恵子さん(57)は「心を込めて一品一品手作業で作っている。するめの歯ごたえとわさび菜の辛さ、風味を味わって」と話している。

 代表の千恵子さんと夫の清昭さん(60)の夫婦2人で切り盛りしている。古い蔵を改装して2005年7月にオープンさせた。同店で販売する松前漬や酢漬けイカなどはすべて手作り。店舗近くの工場で2人で製造している。

 これまで、数の子入り本造り、同白造り、ホタテ入り、シンプルな本造りの4種類の松前漬を販売していたが、「ほかにないようなものがつくれないだろうか」(千恵子さん)とわさび菜入りを思いついた。

 わさび菜は香り付けだけではなく、しっかり味わってもらうため分量に苦心、試行錯誤を重ねた。入れすぎると辛くなるため、「バランスが難しかった。わさびの辛さもすぐに飛んでしまうので、素早く製造していくことがポイント」。と清昭さん。

 「松前漬はしょっぱいというイメージがある」(千恵子さん)ため、塩分も控え目にした。1袋80グラムで販売しているほか、分量は客の希望に応じて袋詰めする。千恵子さんは「手作りなので大量生産できないが、その分、お客の要望に応えられる」と話している。

 1袋350円。不定休。問い合わせは同店TEL0139・42・3500。町ツーリズム推進協議会が運営するホームページ(http://www.asobube.com/)でも通信販売を行っている。(松宮一郎)