2010年4月15日 (木) 掲載

◎北斗の細砂さん作 シナリオ初映画化

 北斗市に住む細砂光太さん(35)=ペンネーム・沙矢光史=のシナリオ「木漏れ日の中で」が、近く映画化されることになった。町立日高高校の経験を基に、高校生の葛藤(かっとう)や成長を描く内容。プロの脚本家を目指し、地元でずっとシナリオを書き続けていた細砂さん。完成すれば初の作品化となり、「市民が映画に関心を持つきっかけにもなれば」と期待を寄せている。

 細砂さんは函館生まれ。地元の小、中学校から日高高校に進んだ。卒業後は東京で劇団員やバー経営などさまざまな仕事を経験し、函館ロケの「オー・ド・ヴィ」に出演するなど映画制作にも参加。そうした中で「自分で創造したい」という思いがふくらみ、20代後半から独学でシナリオを書き始めた。脚本家としてのデビューを目指し、28歳で帰郷し函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞に毎年応募するなど努力を重ねてきた。

 しかしチャンスがなく、夢をあきらめかけた2006年春、高校の後輩の親から日高を舞台にした映画制作を持ち掛けられ、「町の力になれば」とシナリオ担当を承諾。2年間掛けて完成させたが資金難などからさらに2年間待ち、今年、ようやく5月にクランクインのめどがついた。

 日高高は各種スポーツや体験学習などをカリキュラムに盛り込む「産業学習推進制度」が特徴。校内暴力など学校が荒れていた当時、第1期生として入学した細砂さんは、そこで初めて積極的にかかわり、遊び、正面から受け止めてくれる大人たちに出会い、「価値観が変わった。最高の学生生活だった」という。

 脚本は仕上がってるが、住民オーディションや撮影準備にも携わる予定で、まもなく多忙な日々が始まる。「日高高校でいろいろな人から心に届く言葉をもらい、人との接し方を学んだ。その実感を劇映画で伝えたい」と語っている。(新目七恵)



◎21日に高丘町地域防災ネットワーク協議会発足

 地域の学校、高齢者福祉施設、町会などでつくる高丘町地域防災ネットワーク協議会が21日、発足する。地域ぐるみで防災意識を高め、日ごろから情報交換や連絡調整を密にして防災に関する協力体制構築を目指す。函館市によると、市内には町会単位の自主防災組織はあるが、地域の関係機関が相互に連携するのは市内初のケースという。

 協議会設立の主体となったのは高丘町会。昨年、高齢者福祉施設5施設と個別に防災協定を締結し、緊急連絡先などの情報共有、防災マップ上で避難経路の確認を行ってきた経緯がある。発起人会代表の武下秀雄町会長は「高丘地区には文教・福祉施設が多い。個別の協定ではなく、地域全体で防災について話し合う場が必要」と関係機関の連携を進めた。

 協議会は高丘町会、函館大、函館短大、函館高専、高丘小学校、戸倉中学校、高丘幼稚園、函館百楽園、高丘寮、永楽荘、グループホーム高丘、グループホーム香雪園、デイサービス高丘、サンクス函館高丘店の14団体・機関で構成する。本年度は、避難所などの実態把握や情報共有を行い、近年の国内外の災害事例を参考に、地域の防災の在り方を考え、課題を整理する。武下町会長は「高丘町で機能するようになったら、近隣町会にも呼び掛けて広域的なネットワークにつなげたい」と話している。

 市が町会ごとに結成を呼び掛ける自主防災組織は59団体(昨年度末現在)あるが、「地域の福祉施設や学校などとのネットワークづくりは一歩前進した取り組み。全市的に広がってほしい」(防災担当)と活動に期待している。(宮木佳奈美)



◎強風被害相次ぐ…ハウス全壊、屋根はがれる

 発達した低気圧がサハリン付近から北東に進んだ影響で、14日の本道は日本海側を中心に強風が吹き荒れるなど大荒れの天気となった。道南でも各地で強風が吹き荒れ、農業被害や交通機関への影響があった。函館では最低気温が3月下旬並みの0・4度まで冷え込み、午前中は断続的に雪がちらつくなど冬に逆戻りの様相となった。

 函館海洋気象台によると、各地の最大瞬間風速は、八雲町熊石24・1メートル、北斗23・3メートル、今金22・6メートルといずれも観測史上最大を記録。このほか松前28・5メートル、奥尻28・5メートル、せたな25・6メートルは4月としては観測史上最大となった。函館は24・9メートルだった。また、強い冷え込みにより、森では14センチの降雪を記録。函館でも午前2時半から同8時半まで1センチ以下の降雪があり、早朝の五稜郭公園はうっすらと雪に覆われた。

 強風の影響により、各地で農業被害などが相次いだ。知内ではビニールハウス1棟が一部破損。福島では1棟が全壊し2棟が一部破損。奥尻で2棟、北桧山で30棟、今金で6棟がそれぞれ一部破損した。ビニールハウスが全壊する被害にあった福島町桧倉の成田常義さん(60)は「台風よりも強い風だった。風がおさまってから後片付けをしなければならない」と肩を落としていた。

 函館市内では屋根のトタンがはがれる被害が11件、物置の転倒が1件、家の外壁破損が1件、木製の電柱が倒れる被害が1件あった。このうち午前9時ごろには、弁天町24の機器製造会社の敷地内で、強風によってはがれた屋根の修理をしようとした男性社員(36)が誤って転落。腰や肩などを打ち、左肩脱臼骨折の疑いで病院に搬送された。

 函館バスは松前―木古内間を中心に始発から午前10時ごろまでの12便を運休、または部分運休した。この影響で松前町内の全小中高9校が臨時休校となった。このほか上ノ国高も臨時休校となった。また高波の影響で福島町岩部から同浦和までの道道532号(4・0キロ)が午後2時半から同7時半まで通行止めとなった。

 フェリーは、江差と奥尻を結ぶハートランドフェリーが1往復2便を欠航とした。津軽海峡フェリーは函館―青森間で午前5時以降に出発する定期便を欠航とし、随時、不定期便を運航して対応。函館―大間間の2往復4便も欠航となった。JRは青森県内の強風のため東北本線の青森―八戸間で運休が続き、特急「スーパー白鳥」や「白鳥」の上下線計9本が部分運休するなどした。

 同気象台によると、道南では15日も強風や高波への注意が必要としている。


◎6割超が中小企業 安全管理対策不足 函館労基署09年まとめ

 函館労働基準監督署は2009年の労働災害発生状況をまとめた。全産業の労災件数(休業4日以上の死傷病者)は前年比12件増の505件で、死亡災害は1件増の7件だった。このうち、約64%に当たる325件が従業員50人未満の事業所で発生。30人未満に限っても261件と、中小零細企業で災害が多発している。同労基署安全衛生課では「全国的に中小企業は大企業と違い、安全管理対策にコストをかけることができず、おろそかとなる傾向がある」としている。

 主な産業別の発生状況は、製造業は12件減少の128件で、水産食料品が56件、その他食料品が22件と食品製造業が大半を占める。作業中に挟まれたり、巻き込まれたりする機械装置にかかわる事故が55件と多い。建設業は23件増の77件で、高所からの墜落・転落が23件と目立つ。公共工事に比べ、民間工事の現場での事故が多い傾向にある。このほか、道路貨物運送業が3件減の44件、林業が7件増の16件、漁業で15件増の31件となっている。

 死亡災害では、七飯町の産廃処理業者の資材置場で、男性作業員(36)が倒れた鋼材(約4トン)の下敷きとなった「崩壊・倒壊事故」や、函館市内の電柱移設工事現場で、荷下ろし作業中の男性運転手(38)に電柱をつり上げていたワイヤが破断してぶつかった「飛来・落下事故」など7件が発生した。死亡に至らないケースでも、休業1カ月以上となった重大な負傷災害も265件と半数以上となっている。

 こうした災害に対し、労基署は安全管理上に問題があっったとして、3割に当たる147件を指導した。同課は事業所に対し、自主的な取り組みとして作業中の「ヒヤリ・ハット」した事例を従業員間で共有することや、危険予知活動、安全管理の当番制を導入することなどを推奨する。また、職場内の作業を見直し、危険性や発生によるリスクを見積もる「リスクアセスメント」の取り組み普及にも努めている。

 同課は「大半の労働災害は適切な対応をしていれば、防ぐことが可能。社員への教育や安全対策の見直しを徹底してもらいたい」としている。(今井正一)


◎七飯副町長に馬場氏 教育長は吉田氏

 【七飯】17日から2期目を迎える七飯町の中宮安一町長(55)は14日までに、5月13日で任期満了を迎える竹田博正副町長(62)の後任に町教委学校教育課長の馬場修一氏(57)を、10月に任期満了を迎える林一道教育長(67)も勇退し、後任に総務課長の吉田雅幸氏(58)を起用する方針を固めた。28日に開会する町議会臨時会に選任同意案を提案する。

 馬場氏は同町出身で、函館商高卒業後、1971年に同町役場入り。議会事務局長や総務課長を経て2008年4月から現職を務める。

 吉田氏は宗谷管内中頓別町出身で城西大卒業。75年に同町役場入りし、保健福祉課長、企画財政課長を務め、08年4月から現職。臨時会で教育委員に任命し、その後開かれる教育委員会で教育長に選任される見通し。

 竹田副町長は06年5月の就任後、町政を補佐してきたが、3月下旬の町長選前から2期目の辞退を申し出ていた。林教育長も今月中にも退任する意向を示している。(鈴木 潤)