2010年4月19日 (月) 掲載

◎職人の技・味堪能 「函館すし祭り」大盛況

 職人が目の前で握るすしの食べ放題を楽しむイベント「函館すし祭」(函館鮨同業会主催)が18日、函館市大手町の函館国際ホテルで開かれた。昼と夜の部で約500人の市民らが詰め掛け、函館近海のねたを中心に新鮮な海の幸の大盤振る舞いを満喫した。

 魚介類に恵まれた函館を「すしの町」としてアピールし、地域活性化につなげようと、市内・近郊のすし店39店でつくる同会(豊田隆夫会長)が初めて企画。大間マグロや近海物のウニ、アワビなど約20種類のねたをその場で握って提供する「採算度外視の試み」(豊田会長)だ。

 イベントにはホクレン函館支所も協力。シャリに道南産米「ふっくりんこ」を使い、道産米でできた日本酒6種も飲み放題で振る舞った。同支所米穀課は「地域の異業種が連携し、魚も米もお酒も道産品に切り替えてもらうきっかけになれば」と話す。

 昼の部には約220人が集まり、職人が次々と握る手さばきや脂の乗ったねたに目を奪われながら、プロの味を堪能していた。友人と参加した市内谷地頭町の主婦(59)は「職人さんには回転ずしにはない親近感がある。どれも口の中でとろけるような味わいで毎日でも食べたい」とご満悦の様子。

 この日のチケットは発売から1週間余りで完売。会場ではコメやすし券などが当たる抽選会のほか、職人からすしの握り方を学ぶ「すし教室」も開かれた。朝6時から仕込みに精を出した豊田会長は「すしの味も歴史も函館は(有名な)小樽に負けない。消費低迷で外食産業はどこも厳しいが、おいしいすしで地域を元気にしたい」と話し、11月にも第2回の開催を検討している。(森健太郎)



◎管理室やヘリ 興味津々 海自護衛艦みねゆき一般公開

 海上自衛隊函館基地隊は18日、函館中央ふ頭に着岸している、第14護衛隊所属の護衛艦「みねゆき」(宮路貴幸艦長、2950トン)を一般公開した。市民ら約1600人が訪れ、魚雷などの武器や飛行甲板に着艦した哨戒用ヘリコプターの内部を興味深そうに見学していた。

 京都府舞鶴港を母校とする同艦は1984年に就役。海上戦闘に対応できるようミサイルや速射砲などを完備しており、護衛艦隊の中核艦として活躍している。17日に函館港入りした。

 この日は船内の内部見学はできなかったが、飛行甲板などを経由する見学コースを設定。来場者は写真を撮ったり、隊員から各種装備の解説を聞くなどして楽しんでいた。中でも飛行甲板のヘリコプター「SH60J」や、同甲板に設置されているガラス張りの管制室は子どもたちの人気を集めていた。同艦広報の小林英男さん(39)は「海自を身近に感じてほしい」と話していた。

 来場した市内の草島優美子さん(40)は「どの装備も迫力があった」と話し、長男の翔大君(5)は「船はかっこよくて、とても面白かった」と笑顔だった。同艦は19日に舞鶴港に向け出港する。(山田孝人)



◎「松寳丸」「神功山」を搬入

 【江差】25日に開館する「江差山車(やま)会館」(中歌町193の3)で18日、初めて展示される山車の「松寳丸(まつほうまる)」と「神功山(じんぐうやま・じんこうざん)」が運び込まれた。オープンを1週間後に控え、大勢の祭礼関係者が、人形や豪華な水引など装飾品の飾り付けに余念がない様子だった。

 町内に13基ある山車のうち、最初に展示される「松寳丸」(陣屋・海岸町)は、江戸中期に建造された町内で唯一の舟形山車として、道の有形民俗文化財になっている。神功皇后の人形を飾る「神功山」(愛宕町)は、そろいのはんてんを身に着けた山車関係者が、にぎやかな祭りばやしを奏でながら、祭礼本番さながらの様子で町内を練り歩きながら同会館に到着した。1754年の制作とされる人形や付属品は同文化財の指定を受けている。

 同会館は、姥神大神宮渡御祭に参加する山車を展示する施設として、日本宝くじ協会(東京)の助成を受けて町が建設。山車は祭礼を境に毎年8月に入れ替える。会館内では、大型スクリーンの映像で祭礼の活気を紹介。山車の由来を解説するパネルや、山車ごとに定めているはんてんなども展示する。

 町は25日午前10時から落成記念式典を行う。同会館は江差追分会館に併設され、共通入館料(大人500円、小中高生250円)で双方の展示を見学できる。27日まで江差町の住民は入場無料となる。問い合わせは江差追分会館TEL0139・52・0920へ。(松浦 純)


◎夫や句会へ感謝込め 森早和世さん句集自費出版

 札幌の俳句結社「道(どう)」の同人で函館市北美原の森早和世(さわよ)さん(70)=本名・石田和子さん=がこのほど、第2の句集となる「染木綿(しめゆふ)」を「文學の森」(東京)から自費出版した。タイトルとなった木綿の藍(あい)染めような青で彩られた背表紙の本を手に「今後も時の流れをしっかり受けとめ、心と体を大切に作句する決意をした」と話している。

 森さんは20代のときから短歌を詠んでいたが約25年前、自分が感じたことを叙情的にならず、そのまま書き残したいと俳句を始めた。処女句集は2004年の「花氷(はなごおり)」。夫、伴之さんが退職後にやりたいこととして、出版を手がけてくれた。「当時から5年後に古希を迎えることもあり、2冊目を出版する決意だった」と振り返る。それから本のために意識することはなく、主婦として日常生活から約1000句を詠み、このうち302句を厳選。年別に掲載した。

 この5年間で所属する結社が変わったり、身内の不幸もあり環境は大きく変わったが、自然体で日常を詠み続けた。書名となった句は「染木綿の布巾(ふきん)の匂ふ薄暑(はくしょ)かな」。ある日、テーブルに置いたふきんを見て、幼いころの初夏、祖母が食卓に出したきれいな飾りふきんを思い出して詠んだという。そのほか主婦らしく、旬の食材が登場するが、伴之さんが庭で育てるボタン、ユリなどの花でも作られている。「この句集に向け、俳句生活を思い切りできたのは、支援してくださった大勢の人のおかげ」と話す。

 A5判、180ページで300部作成。多くの人に読んでもらいたいと、興味ある人に本を無料で進呈する。問い合わせは森さんTEL0138・46・3576。(山崎純一)


◎2月の市内大型店 売上高2・2%減

 函館商工会議所がまとめた函館市内の百貨店や大型スーパーなど大型小売店6店の2月の売上高は、前年同月比2・2%減の24億9500万円で、前月(1月)より減少幅は縮小した。食品関連の催事が好調で、市民の消費行動に持ち直しの動きも見え始めた。

 売上高の前年同月割れは36カ月連続だが、下げ幅は1月(同7・6%減)よりも改善。品目別では全8品目中、「食料品」と「食堂・喫茶」、「雑貨」の3品目で前年実績を上回ったほか、前月比でも「食料品」や「家庭用品」、「雑貨」の売り上げが1―3割増加した。

 品目別では、食料品が同4・9%増の8億7200万円でトップ。前月比でも17・2%増だった。同会議所は「不振だった前年や前月の反動もあるが、百貨店で相次いで開かれた催事効果が大きい」としている。このほか、食堂・喫茶が前年同月比6・5%増、雑貨は同5・8%増と好調で、家庭用品は前月比で同34・4%増と大幅に上向いた。

 一方、衣料品は前年同月比8・3%減の6億5500万円と不振が続く。同会議所は「天候不順で春物衣料の動きが鈍く、制服やランドセルなど新入学用品の購入先も多様化している」と分析。身の回り品も同10・4%減と2けた台の落ち込みだった。3月については「春物衣料や靴・バッグ、制服などの新生活用品の動きに注目したい」としている。

 集計対象は棒二森屋、ワコービル、丸井今井函館店、テーオーデパート、イトーヨーカドー函館店、グルメシティ湯川店の計6店(前年対比は6店舗ベース)。2月はこのうち3店舗で前年実績を上回り、同会議所は「長引く消費低迷に持ち直しの兆しがみられる」としている。