2010年4月21日 (水) 掲載

◎渡辺美佐子さん迫真の演技 「化粧 二幕」ファイナル公演

 9日に死去した井上ひさしさん作の一人芝居「化粧 二幕」のファイナル公演が19、20の両日、函館市芸術ホール(五稜郭町)で行われた。女優の渡辺美佐子さんが、大衆演劇の女座長役をユーモアを織り交ぜながら迫真の演技で披露。1982年から国内外をめぐった旅公演の最後でもあり、観客の大きな拍手を受けた渡辺さんは「井上さんもきっと喜んでくださっている」とあいさつした。

 舞台は取り壊し寸前の芝居小屋の楽屋。一座を仕切り、前狂言の準備をする女座長の前に生き別れになった息子が現れる…というストーリー。渡辺さんは観客に向かって化粧をしたり、ステージいっぱいに動き回る女座長役を約1時間半ほぼぶっ通しで力強く演じ切った。笑いと涙たっぷりの展開に観客はすっかり引き込まれた様子で、スタンディングオーベーションと拍手で応えた。

 19日の舞台終了後は、主催の函館演劇鑑賞会会員が首に飾るレイを渡して感謝を伝える一幕も。会場ロビーには過去に上演した井上作品のパンフレットや書籍を並べた追悼コーナーも設けられた。

 19日の公演に鹿部町から訪れた女性(68)は「渡辺さんのファンなので間近で見られて良かった」と感激の様子。函館に住む女性(66)は「素晴らしい芝居で井上さんはやっぱりすごいと思った」と話していた。(新目七恵)



◎七飯高と米・カーライル高が姉妹校提携を締結

 【七飯】七飯高校(小越康雄校長)と米国マサチューセッツ州コンコード町のカーライル高校(ピーター・バダラメント校長)の姉妹校調印式が20日、七飯町文化センターで行われた。七飯高の生徒、教職員や、親善コンサートの出演で来町したカーライル高コンサートバンドの生徒ら約500人が出席。小越校長とバダラメント校長が協定書に調印し、両校の友好と交流活動の推進を誓った。

 七飯町とコンコード町が1997年に姉妹都市提携を結んで以来、カーライル高のコンサートバンドが来町した際には、七飯高吹奏楽局と合同で親善コンサートを開いているほか、同バンドの生徒が七飯高生と交流をしてきた経緯がある。昨年4月にはカーライル高の生徒17人や教職員が七飯高に来校し、授業を体験している。

 姉妹校の提携は七飯高側が昨年提案し、カーライル高側も合意。今回の親善コンサートに合わせて調印式を行うことを申し合わせていた。

 調印式では、小越校長とバダラメント校長がステージ上に登壇し、締結交流内容が記された協定書に署名。学術、言語、文化的な目的での相互訪問を行い、電子メールや芸術・文化作品の交換などを行っていくことなどを盛り込んだ。七飯高の小越校長は「さらに強いきずなを育てていきたい」とあいさつした。

 07年から今年3月まで同校の校長を務め、姉妹校提携に向けて尽力した榎本眞智子さん(岩内高校長)は「感無量。若い人たちが言葉の壁を超えて分かり合えることが国際社会の平和につながる。姉妹校提携を大事にしてほしい」と述べ、同校の1期生でPTA会長を務める上村幸久さん(42)は「生徒たちのプラスにつながることを期待している」と話した。

 式後には記念演奏会が開かれ、同バンドと同校吹奏楽局が前日の親善コンサートに続き熱演。大沼の森林公園では雨の中、姉妹校提携の記念植樹をした。(鈴木 潤)



◎全国学力テスト 道南も公立全校参加

 小6と中3を対象にした文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が20日、全国で行われた。政権交代により、4回目の今回は初めて全体の3割の学校を選んで実施する抽出方式となったが、道内では札幌市を除く全市町村の公立学校が自主参加を希望。渡島、桧山両管内でも、抽出校を含む対象学年のいる公立全202校で実施された。

 過去3回は全国の小6、中3の全児童・生徒が対象だったが、競争心をあおるなどの理由から学校別の公表などはされていなかった。今回、民主党政権の事業仕分けで規模を縮小することになったが、学力向上などを求める保護者の要望などを受け、全国では13県が公立全校参加する。

 道教委によると、道内では札幌市を除く約1700小、中学校の児童・生徒約6万人がテストを受ける。

 道南では、小6のいない桧山管内の1小学校を除く公立小、中学校の約7700人が対象となり、抽出対象となった市立以外の1校でも実施した。

 テストは国語と算数・数学の2教科で、基礎的知識を問うA問題と活用力を問うB問題があるほか、学習意欲や方法を調べるアンケートも行う。

 この日、函館市内の中学校では午前8時40分から問題が配布され、生徒は真剣な表情で試験に臨んでいた。

 文科省は結果を夏をめどに公表する予定。道教委は、道内の希望利用校の採点などに関する経費を負担し、独自に分析を行う。(新目七恵)


◎函館市で子ども手当申請続々 誤記入も

 函館市が19日に発送を始めた子ども手当の「請求書」など申請書類の返送が、早くも始まった。20日までに市に到着したのは約780件で、このほか10件が直接窓口に持参された。しかし中には不備があったり、職場で手続きするため対象外となっている公務員からの書類も含まれる。問い合わせの電話も多数寄せられていることから、市子育て支援課は「案内文や記載例を確認し、確実に請求してほしい」と呼び掛けている。

 中学校3年生までの子ども1人当たりに、月額1万3000円を支給する。これまで児童手当の対象外だった世帯や、世帯内で対象者が増える場合、各自治体に請求書を提出する必要がある。道南では自治体間で郵送や窓口配布など、請求書の受け渡し方法が異なるが、多くは対象者に直接郵送する方法を採っている。

 19日に発送を開始した同市では、早い場合ではその日のうちに返送があった。20日までの到着件数は、19日が約200件、20日は約580件。手続き対象となるのは約6000世帯のため、単純計算すると対象者の13%が既に申し込んだことになる。

 同課では19日から到着した申請書類を受理しているが、不備が見つかる書類も多い。最も多いのは「請求者」欄の誤記入だ。本来は生計維持者(最も収入が多い人など)を記入しなければならないが、同課は「家計を握る妻の名を書く場合がみられる。受け付けられない」とする。このような時は新たに請求書を提出しなければならず、「支給が遅れることにもつながりかねない」として注意を呼び掛ける。

 また各職場で手続きをする公務員からの誤った書類提出も、わずかだが含まれる。特に同市で把握できなかった国や道、近隣自治体で働く職員が多いという。

 問い合わせは19、20の両日で、それぞれ100件ほどの電話が寄せられた。ほとんどは記載例など送付した文書に書かれている内容で、職員は対応に追われている。問い合わせは同課TEL0138・21・3267。(小泉まや)


◎函館市民会館の花時計、今季の運転開始

 20日は二十四節気の一つ穀雨。春雨が降って穀物を潤すとされる。暦通り雨が降る中、函館市民会館(湯川町1)の前庭にある花時計と噴水が今季の運転を開始した。作業員が時針を取りつけ、春の訪れを知らせた。

 花時計の秒針は長さ3.4メートル、花壇は直径6.9メートル。赤、青、黄、白などのパンジーが約1000株植えられている。花時計は1970年に設置。今年は同館の40周年を記念し、花壇に「40」の数字を表すように花を植えた。5月上旬には鮮やかに咲き、よく分かるという。

 この日は近隣の深堀、湯川、湯浜の保育園の園児らが訪れ、運転スイッチを押すセレモニーやこいのぼりの掲揚が予定されていたが、雨のため急きょ中止。花時計は噴水ともに午前10時から運転を開始した。

 花は季節に合わせ植え替えられ、7月にはベゴニアやインパチェンス、10月には葉ボタンなど、11月ごろまで憩いの場として楽しめる。(小山博美)