2010年4月23日 (金) 掲載

◎JR時刻表全国版で函館特集 巻頭カラー2ページ

 「JR時刻表 5月号」(月刊誌、全国版)に、大沼・函館特集が組まれている。巻頭カラー2ページで、「千の風モニュメント」や「コンブ新幹線」など道南観光の魅力を紹介。全国の書店とJR駅構内売店キヨスクに並び、本格化する函館・北海道観光を盛り上げている。

 国内各地の景勝地や観光名所を特集で紹介する「今月のおすすめ旅」で登場。「風わたる 大沼&函館」の見出しで、駒ケ岳がそびえる大沼国定公園の壮大な景色、心身を癒やす温泉や団子に牛乳、ソフトクリームなど自慢の味覚がずらり。

 函館の紹介ページでは、6月19日に新スタンドがオープンする「函館競馬場」、7月29日に開館予定の「箱館奉行所」など、新観光スポットに着目している。福島町の鳴海健児さん(70)や中塚徹朗さん(52)ら町民有志が「道南地域を盛り上げたい」と各地に寄贈しているコンブで作った新幹線の模型も写真入りで紹介している。

 鳴海さんは「コンブ新幹線を全国の人に見てもらういい機会。これからも道南を盛り上げていきたいという気持ちになる」と掲載を喜んでいる。

 「JR時刻表」は交通新聞社が毎月発行。列車の旅案内に重宝され、全国で高い購買率を誇る。B5判で定価1150円。(田中陽介)



◎農作業ケータイで効率化 支援システム始動へ 乙部

 【乙部】乙部町が整備を進めている「農業支援システム」が今春から本格稼働する。町はインターネットや携帯電話の機能を生かし、生鮮野菜の収穫量や出荷時間の取りまとめ、気象データの提供などをリアルタイムで行うことで、集出荷作業の時間短縮や気象条件に応じた農作業の効率化を目指している。

 総務省の「地域ICT(情報通信技術)活用モデル構築事業」の一環で整備を進める。システムは@集出荷支援システムA栽培管理支援システムB生産履歴情報システムC農業農村情報提供システム―の4本柱。農家がブロッコリーなどの収穫を進めながら、携帯電話で出荷量や出荷時間を専用サイトに入力。農家、集荷担当者、物流業者、出荷先の農産物商社が、リアルタイムで出荷状況を共有できる。

 また、農地に設置した観測ロボットが集めた、気温、湿度、降水量、土壌水分などの気象データや画像も提供。病害虫発生や適切な農薬の利用時期といった情報も共有するほか、生産履歴情報をインターネットで消費者や出荷先のスーパーなどに提供する。

 ブロッコリーなどの栽培が行われている富岡や姫川地区は、電波の不感地帯もあり、6月をめどにNTTドコモが新アンテナを設置し、農地全域をカバーする。

 20日夜には、年間1億円以上のブロッコリーやスイートコーンを生産する、町契約野菜生産出荷組合(佐藤光男組合長)による講習会が町役場で開かれた。システム導入に向けて組合員は、新たに携帯電話を購入したり、NTTドコモが提供する「iモード」が利用可能な電話に切り替えた。

 60歳以上の組合員が多く、メール送受信の経験がない人もいるため、システム整備を担当するグローバルコミュニケーションズ(函館市)の社員が、システム操作の基本から丁寧に解説。参加者は操作に悪戦苦闘しながらも、携帯電話に表示される気象グラフなどを興味深そうに見入っていた。



◎函館市、児童館寺子屋事業を試行

 函館市は本年度、児童館で学習に親しんでもらう「児童館寺子屋事業」を試行する。子どもの健全育成の観点から、指導員が宿題や予習の手伝いなどをすることで、勉強の楽しさを感じてもらう目的。4月26日に中島、深堀の2館でスタートし、来年3月までの実施結果や内容などを検証し、次年度以降に事業化するかを検討する。

 市では、学習習慣が身に付かないうちに進級したり、親が忙しいために子どもの学習をみる機会がつくれないケースがあると把握している。放課後に過ごす児童館を会場に、理解するうれしさや学習に親しむ素地を作ろうとする。市子ども未来室次世代育成課は「わかると勉強が楽しくなる。家に帰って勉強する習慣作りや、最終的には学力向上にもつながるのではないか」と期待する。

 指導対象となるのは国語や算数などで、宿題や予習、復習など、個々の児童の要望に合わせる。指導員は、道退職校長会函館支部に働きかけて9人を確保した。1回につき交通費程度(500円)の活動費のみで、ボランティア指導する。

 初年度は、両児童館を利用する函館中島小学校と同深堀小学校の2年生を対象に設定し、参加料は無料に。平日(月―金曜日)は午後2時半―3時半に、夏と冬の長期休業期間は午前10―11時に実施する。検証は@主に遊ぶ場として活用される児童館の機能を損なわないかA対象学年B開設日や時間C人数―などで行い、事業として成り立つかを判断する。

 各館で10人程度の定員を設定したが、21日までに中島には14人(同小学校の2年生児童の36%)、深堀には11人(同23%)が申し込んだ。同課は「予想以上の反応。効果や要望があれば最終的には市内全域に広げることも検討する」とする。(小泉まや)


◎プティ・メルヴィーユ「メルチーズ」最高金賞の快挙

 洋菓子製造販売のプティ・メルヴィーユ(函館市末広町、遠藤薫社長)の看板商品のチーズケーキ「メルチーズ」が、今年の国際的な食品コンクール「モンドセレクション」で最高金賞に輝いた。初出品での最高賞の受賞は珍しく、オーナーシェフの遠藤社長は「自慢の商品が国際的なプロに認められ、菓子作りへの自信が深まった」と喜んでいる。

 メルチーズは遠藤社長(56)が北海道を代表する素材を使って気軽に洋菓子の魅力を知ってもらおうと、1997年から販売を開始。だ円形の食べやすい一口サイズで、七飯町の山川牛乳やフランス産のクリームチーズを使った柔らかい食感と濃厚な味わいが特徴だ。

 「チーズが嫌いな人にもおいしいと食べてもらえる味を目指した。チーズ特有の臭みをいかに消すかが最大のポイントだった」と遠藤社長。複数のチーズをブレンドしたり、急速冷凍で約1カ月間熟成させたりと、まろやかな味に深みを持たせるのに試行錯誤を繰り返したという。

 出品申請の代行業務を行う国際高品質保証機構(本部・大分県)によると、今回は世界82カ国から2200品目以上の出品があり、メルチーズは味覚や原材料などの項目で審査員から高い評価を受けたという。同機構の赤野聖樹理事長は「最高金賞は全体の1割未満の狭き門で、初出品で獲得するのはまず考えられない快挙」と称賛する。

 メルチーズは1個126円。現在、一日4000―5000個を売り上げる同社の主力商品だ。遠藤社長は「これまで培った実力が試される職人としての挑戦だった。受賞を機に函館のスイーツのレベルアップにつなげ、市民にも観光客にもスイーツをもっと普及させたい」と夢を膨らませる。

 モンドセレクション(本部・ベルギー)は食品の品質向上を目的に1961年に創設された品評機関。コンテストは「食のオリンピック」とも称され、毎年、国際的な審査員が品質や味などを厳正に審査する。評価が90%以上の場合に最高金賞が贈られ、ほかに金賞、銀賞、銅賞がある。(森健太郎)


◎辻仁成監督「ACACIA」6月19日に函館上映

 芥川賞作家で函館西高出身の辻仁成監督の全編函館ロケ映画「ACACIA―アカシア―」が、6月19日からシネマ太陽函館で上映されることが決まった。元プロレスラーのアントニオ猪木さんが初主演し、人のきずなや父の愛を描いた作品で、函館市民も撮影に協力している。

 作品は元覆面プロレスラーの初老の男性といじめられっ子の少年が出会い、交流するうちに過去の痛みを乗り越える勇気を手にする…というストーリー。草原や廃墟など函館の素朴な街並みも織り込んだ。出演は石田えりさん、林凌雅さんら。制作はスカンヂナビア(東京)。

 辻監督は97年に小説「海峡の光」で第116回芥川賞を受け、函館市栄誉賞も受賞。函館ロケは01年の「ほとけ」以来7年ぶりとなった。

 撮影は08年6月中旬から7月中旬までの27日間にわたり、元青函連絡船の摩周丸や市内の団地など各所で行われた。6月12日から都内で上映が始まり、順次全国で公開される。

 函館上映に関する問い合わせはシネマ太陽函館TEL0138-22+2021。公式サイトはwww.acacia−movie.com (新目七恵)