2010年4月29日 (木) 掲載

◎国内初 船上ドッグラン 津軽海峡フェリーが新船

 津軽海峡フェリー(函館市港町3、関根二夫社長)は28日、函館―青森航路で国内初となる犬専用のバルコニーを備えた新船「ブルードルフィン」(約7000トン)を導入すると発表した。7月17日からの運航開始に向け、道運輸局に認可を申請。青函圏の活性化や本州からの観光客の入り込み増が期待される。

 同社(当時は東日本フェリー)が新船を導入するのは2008年5月に就航した高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」(約1万トン)以来、約2年ぶり。新船はこれまでグループ会社が国際航路で運航していた船を全面改装。在来船として1日1往復し、函館―青森間を約3時間40分で結ぶ。

 新船は1994年建造で、現行の「びなす」と同型。全長136メートル、旅客定員586人で、トラック換算で65台分、乗用車で200台分を輸送できる。客室はこれまでより個室を増やし、女性専用客室や乳児の授乳室のほか、専用風呂付きのプレミアルーム(約40平方メートル)もある。

 最大の特徴は船尾部に設けた犬専用の「ドッグルーム」で、航海中でも屋外デッキとつながるバルコニー(約45平方メートル)で愛犬と一緒に過ごすことができる。最大で14室、中型犬まで対応し、使用料は1000円。同社によると「船上のドッグランは聞いたことがない」という。

 運賃設定は現行の在来船とほぼ同額で、2等客室に当たるスタンダードで大人一人2700円から。新船は現在、広島県の造船所で改装中で、早ければ5月下旬から6月上旬にも道運輸局から認可される見通し。同社は「多くのペット需要を見込み、気軽で快適な船旅を提供したい」としている。

 同社の青函航路は、現在4隻体制で一日8往復運航。同社が昨年夏、期間限定で運航した青函航路の高速船「ナッチャン」については、「国内外の複数社と売却やリースに向けて交渉中だが、期間限定の運航再開も含めて検討している」としている。(森健太郎)



◎GWいよいよスタート 函館への観光客 順調

 春の大型連休が29日、いよいよスタートした。今年は5月2日から5日までが暦の上の4連休と長期休暇が取りやすい状況に加え、経済不況やアイスランドの火山噴火の影響などで海外旅行から国内旅行に切り替える人が増えており、函館市内の宿泊施設の多くは、昨年を上回る予約状況となっている。

 函館湯の川グランドホテル(函館市湯川町3)では、4月28日から5月4日まではほぼ満室の状況。例年込み合う時期だが、昨年よりも予約が埋まるペースは早かったという。同ホテルでは「首都圏からの個人客がメーン。以前は海外に足を運んでいた客層が、国内でのんびり過ごせる場所として選んでいるのでは」と話す。

 ラビスタ函館ベイ(函館市豊川町12)もゴールデンウイーク期間中はほぼ満室の状態。同ホテルでは「桜の開花が遅れた影響を心配したが、ほぼ例年通りの予約数。元町やベイエリアなど函館市内には観光場所がたくさんあるので、じっくり楽しんでもらいたい」と話している。

 一方、函館からの旅行先については国内外の幅広い地域に人気が分散している。テーオー旅行センター(函館市梁川町10)によると、道内では札幌や洞爺、登別など、道外では東京ディズニーランドなど定番の観光地に予約が集中。海外旅行人気も安定しており、ソウル、ハワイ、バリ島など人気の高い地域が中心だが、ヨーロッパに関しては、火山噴火の影響でキャンセルや日程変更が相次ぎ、「料金も安くなる5月後半以降が狙い目」と話している。

 JTB北海道函館支店(同本町6)でも、定山渓や登別など近場の温泉パックツアーなどが人気を集めているという。(黒田 寛、小川俊之)



◎馬場氏、副町長、吉田氏が教育委員に…七飯町臨時議会

 【七飯】七飯町議会の第2回臨時会が28日開かれ、中宮安一町長は任期満了で退任する竹田博正副町長(62)の後任に町教委学校教育課長の馬場修一氏(57)を選任、30日付で退任する林一道教育長(67)の後任に総務課長の吉田雅幸氏(58)を教育委員に任命する人事案を提案し、同意された。

 馬場氏は同町出身で、函館商業高卒業後、1971年に同町役場入り。議会事務局長、総務課長を経て08年7月から町教委学校教育課長。副町長の任期は5月14日から4年間。

 吉田氏は宗谷管内中頓別町出身で城西大卒業。75年に同町役場入りし、土木課長、保健福祉課長、企画財政課長を経て08年7月から総務課長。30日に開かれる教育委員会で教育長に選任される見通し。任期は5月1日から林教育長の任期満了日までの11年10月7日まで。

 馬場氏は「町長の補佐役として与えられた職務をまっとうしたい」、吉田氏は「教育行政の推進に誠心誠意努力していきたい」とそれぞれ抱負を述べた。

 また、5月13日で任期満了を迎える竹田副町長は「これまでの43年間、感謝という言葉しか出てこない」と述べ、林教育長は「今後もさらに強い七飯町が構築されることを祈る」とあいさつした。(鈴木 潤)


◎30年の歴史に幕…高丘なかよし子ども会

 地域の子どもたちや保護者らに親しまれてきた「高丘なかよし子ども会」が29日、30年の歴史に幕を下ろす。季節の行事や素朴な遊びを子どもたちに教え続け、会を引率してきた鈴木律子さん(77)は「閉会はひと区切り。これからも体力の続く限り、子どもたちの成長を見守っていきたい」と話す。

 同会は上野高丘町会子ども会が前身。1979(昭和54)年に「子どもたちの手による、子どものための会」として小学生ら13人と発足した。この31年間で延べ300人が入会。会を卒業する中学校入学までクリスマス会やキャンプを楽しむほか、近隣老人ホームなどへの訪問活動でも地域貢献してきた。

 昨年の夏に夫を亡くした鈴木さん。悲しみを乗り越えさせてくれたのは、慕ってくれる子どもたちだった。「自分の年齢を忘れさせてくれた子どもたちとの時間。でも老いは確実に体力を奪う。全力で楽しめる今が潮時」と考えるようになった。しかし、次期会長がなかなか決まらず閉会することになった。

 子ども3人と8年間、活動に参加した高丘町の主婦、工藤智恵子さんは「なくなるのはとてもさみしい。子どもたちを成長させてくれた会にとても感謝している」と話す。また、3人の子どもと17年にわたり参加した女性(50)は「時代の流れかもしれないがなくなるのは残念。若い母親をリードして、子どもとのかかわり方を教えてくれた鈴木さんの言葉には説得力があった」と惜しむ声が聞かれた。

 鈴木さんは「あっという間の30年だった。子どもたちがいたから続けてこられたと思う。自分が一番楽しんでいた活動だから」といい、同会最後のイベントとなる閉会の集い(29日午前9時半から)の準備を笑顔で進めていた。(小杉貴洋)


◎広域観光圏に認定…はこだて観光圏

 観光庁は28日、道南2市16町が一体となって国に申請していた整備事業「はこだて観光圏」を、新たに広域観光圏に認定すると発表した。同時に計画事業に対して最大4割の補助金交付も決定するなど、道南の観光振興に大きな追い風となりそうだ。

 観光圏は2008年に施行された観光圏整備法に基づいて、観光客の来訪や長期滞在を促進する目的で、同庁が特定地域を認定するもの。これまで全国で30地域、道内では3地域が認定され、今回新たに15地域が加えられた。

 18市町の関係機関は08年5月の同法施行後、意向確認や協議を重ねて、今年2月に整備推進協議会(会長・西尾正範函館市長)を発足させて整備計画を承認し、申請していた。

 正式計画名は「はこだて観光圏 食は”函館・南北海道“に在り 今だけ、ここだけの旅三昧・食三昧」で、2014年度までの5カ年で実施する。観光客数を08年度比20%増の1302万人、平均宿泊数を同25%増の1・82日を目標に設定した。

 内容には地元食材を使った新たな道南域の「ご当地料理」の開発や、圏域内の観光施設などで使える周遊型共通チケットの販売、公共交通機関を乗り放題とするパスの導入検討案などを盛り込んだ。

 西尾市長は「道南地域18市町が一体となった地域の振興と発展に取り組む上で、意義深いこと。今回の認定を弾みとして、2015年に開業予定の北海道新幹線を見据えながら、満足度の高い広域観光地づくりを進めていきたい」とコメントしている。(山田孝人)