2010年4月6日 (火) 掲載

◎障害者に楽しい余暇を 養護学校保護者が支援サークル発足

 函館養護学校の保護者たちが、障害者余暇支援サークル「余暇っちゃ」(後藤富美子代表)を立ち上げた。高等部を卒業した生徒の活動場所が少ないことから、平日に楽しく過ごせる居場所を作るのが狙いだ。15日から毎週木曜の午前、函館市総合福祉センターで活動する計画で、ボランティアを募っている。関係者は「こうした取り組みが地域で広まれば」と願っている。

 同校は主に肢体不自由の子を受け入れ、小学、中学、高等部がある。高等部の生徒は卒業後、函館リハビリテーションセンターや青柳学園のデイサービスを利用するケースが多い。しかし両施設とも利用定員はいっぱいで、昨年度の卒業生7人は各週1回程度しか利用できず、残りの日は自宅で過ごしているという。

 こうした状況から同校職員らが昨秋、バリアフリーの公共施設を利用した活動場所を検討。在校生の親に協力を呼び掛け、小、中、高等部の母親3人が中心となりサークルを発足させることになった。

 後藤代表(47)の長女・唯菜さん(16)は視覚、知的、肢体不自由の重複障害がある。「高校卒業後の行き場所がないことはうすうす知っていたがどうしていいか分からなかった。先生から話を聞き、いずれは自分と娘のためにもなると思った」と語る。活動を支える松村真由美教諭(50)は「子どもが毎日活動でき、地域とかかわる場所は必要。子の成長とともに保護者の介護負担も重くなるので、こうした場所が増えることで地域が元気になるはず」と期待する。

 当面は後藤さんらメンバー1人と同校職員1人、ボランティア数人が常駐する。現在2、3人が申し込んでおり、月500円の会費で音楽や調理、スポーツなどを楽しむ。

 松村教諭は「毎回『よかっちゃ(良かった)』と喜べる内容にしたい。初めての試みなので無理のない程度に進めたい」とし、後藤さんは「子どもが余暇を楽しむと同時に親にもゆとりができる時間になれば」と話している。ボランティアに関する問い合わせ、申し込みは同校TEL0138・50・3311。(新目七恵)



◎山菜採りやレジャーの季節到来…ヒグマに用心を

 山の雪解けが進み、山菜が芽吹く季節を迎えると同時に、冬眠明けのヒグマが盛んな活動を見せ始めている。山菜採りやレジャーで入山する際は、十分な注意が必要だ。道は4月3日―5月9日を「春のヒグマ注意特別月間」とし、啓発活動に力を注いでいる。

 ヒグマは道内全域に生息。特に渡島半島は人と接触する機会が多い地域で、例年この時期から人身事故や農作物の被害が相次ぐ。道内では過去47年間で、ヒグマによる人身事故が121件あり、そのうち46件が死亡事故となっている。川釣りや山菜採りでヒグマに遭遇し、死亡事故となるケースが多い。

 近年の渡島管内での死亡事故はすべて単独行動。2人以上だと会話や鈴の音が響き、クマと遭遇しにくいことや、万一、クマに襲われてもけが人を早く助けられる可能性が増すため、渡島総合振興局では単独行動を避けるよう呼びかけている。

 渡島管内では、1999年から8年間人身事故はなかったが、2007年に北斗市で負傷事故1件、08年には同市と松前町で死亡事故2件が起きた。

 同局では大事故に遭わないために「山には一人で行かない 黙っていかない」を合言葉にする。対策として▽ラジオや鈴で音を出す▽ヒグマ出没が多い早朝と夕は入山を控える▽目立つ色合いの服装で▽残飯などごみは必ず持ち帰る―の励行を呼びかける。そして万一、ヒグマに遭遇したときは@まず落ち着くA刺激しないように視線をそらさず静かに立ち去るB持ち物を取られたら、絶対に取り返さない―を挙げる。

 同局担当者は「これが絶対安全という対策はない。重要なのは、野山に出かける心構えと細心の注意」。移動ヒグマパネル展や子どもたちへの出前教室、チラシなどで注意を喚起し、ヒグマ目撃などの情報提供を求めている。(田中陽介)



◎高齢者虐待防げ 函館市が対策組織設立へ

 函館市は本年度、介護を受ける高齢者への虐待に対応する組織を立ち上げる。地域包括支援センターや医療・介護関係者、住民組織、司法関係者、警察などに参加を呼びかけ、5月以降の発足を目指す。市福祉部は「高齢者の虐待は潜在的にかなりある」と推定。「深刻な問題としてとらえ、体制を強化して積極的に働きかける必要がある」とする。

 高齢者虐待は@暴力をふるって体に痛みを与える「身体的虐待」A脅しや侮辱などの言葉や威圧的な態度、無視などの嫌がらせをする「心理的虐待」B本人が嫌がる性的な行為を行ったり強要する「性的虐待」C本人の合意なしに財産や金を使う「経済的虐待」D介護や世話を放棄する「ネグレクト」―などがある。同部は「身体的虐待とネグレクトの事例が多いが、重複する場合もある」という。

 同市に寄せられた高齢者虐待通報件数は、2006年度が18件、07、08年度はそれぞれ10件だった。しかし、高齢者の身近な相談窓口ともなっている地域包括支援センターの事例を含めた09年度(12月末現在)は29件となった。同部は「家族間の問題として事件にならない場合もあるが、市内で死亡事例もある」と現状を厳しく受け止め、「表面化しなくとも潜在的にはもっとたくさんの虐待事例があると考え、可能な限りの対策を早急に考える必要がある」と話す。

 市には現在、子どもの虐待に対する組織があり、形態などはこれを参考にする。基本になるのは年2回程度開催する全体会で、情報交換や連携のあり方などを検討し、住民への啓発活動も行う。個別のケースに合わせた検討会議では、各事例への支援方法を協議するなかで、年度内をめどに虐待発生時の対応マニュアルを作成。道のマニュアルはあるが、市内の事情を考慮して市独自のものを作る。

 事業費は約35万円で、マニュアルやチラシの印刷費用などを見込む。高齢者の虐待に対する相談や問い合わせは、市介護高齢福祉課内の高齢者・介護総合相談窓口TEL0138・21・3025。(小泉まや)


◎函館市役所が休日臨時開庁 転入など届け出2倍

 この時期に集中する転入や転出の届け出などの混雑緩和に対応しようと、函館市は4日、市役所本庁舎と亀田支所で休日の臨時窓口を開設した。この日は合わせて昨年の約2倍にあたる291件の届け出があり、職員が終日業務に追われた。

 休日窓口は、同市が2006年から毎年4月の第一日曜日に実施しており、ことしで5年目。転入、転出のほか、戸籍についての届け、国民健康保険の交付など、住所の移動に関連したすべての手続きに対応した。

 本庁舎には、業務開始の午前8時45分から続々と市民が詰めかけた。ピーク時の午前10時からの約30分間は常に5―6人待ちの状態が続く混雑ぶり。八雲町からの転入手続きをした女性(24)は「仕事を休まなくても休日なら手続きしやすいのでありがたい。明日から仕事も頑張れます」と話していた。

 市民部によると、届け出後の印鑑登録申請などの証明を含めると、この日だけで996件の手続きが行われたという。(小杉貴洋)


◎日銀2月の道南経済動向 観光や設備投資復調

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)が発表した2月の道南地方の金融経済動向によると、持ち直し傾向にあった公共投資に頭打ち感がみられた一方、民間の設備投資や観光に復調の兆しがあり、景気判断を「非常に厳しい状況が続いているが、持ち直しの動きや下げ止まりの兆しもみられる」と3カ月連続で据え置いた。

 個人消費は3カ月連続で「耐久消費財を中心に持ち直している」と判断。主要小売店10社の売上高は春物商戦が不振だったものの、百貨店の催事効果もあり、前年同月比1.5%増と2カ月ぶりに前年を上回った。家電販売は洗濯機や冷蔵庫などの白物家電が振るわず新生活商戦は低調だったが、エコポイントの対象外となる薄型テレビなどに駆け込み需要もみられた。

 新車登録台数は、軽乗用車が同5.0%減と2カ月ぶりに減少したものの、普通・小型車はエコカー減税など政策効果で新型ハイブリッド車や低燃費車を中心に堅調な売れ行きが続いていて、同35.7%増と7カ月連続で前年実績を上回った。

 設備投資は過去3カ月が高水準で推移し、3月の道南の企業短期経済観測調査(短観)でも前回(昨年12月)から上方修正している企業も目立つことから、「下げ止まりつつある」と判断を2カ月ぶりに上方修正した。2月の非住宅着工は棟数(同33.3%減)、床面積(同88.8%減)とも目立った動きがなく、4カ月ぶりに減少に転じた。

 観光は「下げ止まりの兆しもみられる」と判断を据え置き。主要ホテル20社の宿泊客数は同0.2%減とほぼ前年並みを確保した。函館空港乗降客数は低迷した前年の反動増もあるが、同2.4%増と2カ月連続でプラスに推移。中でも国際便客が同22.6%増と20カ月ぶりに前年を大きく上回り、回復基調にある。

 一方、公共投資は前月までの「持ち直しの動きに頭打ち感がみられる」から「頭打ちとなっている」に下方修正。公共工事請負額が同36.6%減と3カ月連続で前年割れとなったほか、年度累計でもほぼ前年並みの水準に落ち着き、「公共工事の前倒し発注などの景気対策効果が薄れてきた」(同支店)という。

 先行きについて市川支店長は「道南ではウエートの大きい公共投資の抑制が景気を下押しする恐れはあるが、これ以上の急速な景気悪化は考えにくい。観光や耐久消費財など消費関連がさらに底堅さを増せば、緩やかな持ち直しの局面に入る可能性がある」としている。(森健太郎)