2010年4月9日 (金) 掲載

◎戸井の中野さん宅に勇壮なこいのぼり登場

 子どもの健やかな成長を願う「こいのぼり」が各地で泳ぎ始めた。函館市戸井地区では、特産のマグロとババガレイの絵柄も登場。津軽海峡の潮風に揺らぐ姿は勇壮で、澄んだ青空に映える。  「マグロのぼり」は市内汐首町の中野正美さん(72)が初孫の修吾君(5)にと、京都の業者に特別注文したもの。2005年から毎年飾っている。

 修吾君の父親正吾さん(37)も漁師。3年前からは「戸井名産」と書かれたババガレイの大漁旗も加わり、「親が一生懸命仕事をしている姿を子どもに見せてあげるのが一番。自分も家族のために、頑張ろうという気持ちになる」と正吾さん。

 快晴だった7日、1年ぶりに特製のぼりを取り出し、日光に当てた。修吾君は「本当のマグロみたい。釣り上げたぞ」としっぽをつかんでご機嫌だった。

 中野さん宅は国道278号沿い。特製のぼりは、今週末に飾るという。(田中陽介)



◎スギ花粉飛び始める 4月下旬に向けてピーク

 春の暖かさが増し、函館市内で花粉が飛び始めた。花粉飛散調査を行う渡島保健所(美原4)は、「4日にスギ花粉の本格的な飛散が始まった」と発表。「特別な注意を払うものではないが、花粉症を抱える人にはつらい季節。飛散状況の様子をこまめに確認を」とホームページなどで情報提供に努める。

 飛散調査は3月4日から観測している。函館の花粉に多くはスギ。例年、3月下旬には飛散が増し始めるが今年は肌寒さが影響。4月3日までは、ほとんど飛散していない状況だった。

 飛散開始日の4日は、専用ガラスに1平方センチメートルあたり3.4個。翌5日は同18.8個の花粉がついた。昨年の開始日は3月17日で、ピークは4月9日だった。

 同保健所は今年のピークを早くて来週、遅くても今月下旬と予測する。さらに5月早々には落ち着くとみる。また、本州の飛散量に比べると微々たるものだという。

 HPでは、スギのほかシラカバの花粉飛散状況も。5月中旬ごろからはイネ科の草「カモガヤ」「チモシ」の飛散状況も加える。(田中陽介)



◎「極麺炙紅黒」がイカスミ味噌らーめんの提供始める

 函館市柳町4のラーメン店「極麺炙紅黒(ごくめんあぶりべにくろ)」は、函館名物のイカを取り入れた新メニュー「イカスミ味噌(みそ)らーめん」を開発した。真っ黒なイカスミを、スープに混ぜて食べる新タイプのラーメンで、4月から1日20食限定で提供している。

同店は市内美原の「らーめん炙」の姉妹店として3月10日開店。店舗が観光名所の五稜郭公園に近いことから、「函館名物のイカを使ったラーメンを食べてもらいたい」と近海のイカを使用したメニューを開発した。

スープは豚骨、和風ベースの2種類を使用し、4種類のみそと合わせた。みそにはイカゴロを少しだけ混ぜ、和風ベースのスープに合うよう風味を添えた。中にチーズが入ったイカのすり身団子などをトッピングし、厚切りのチャーシューにイカ墨を乗せて提供。イカ墨をスープに溶かして混ぜながら食べる。同店は「イカの臭みを処理して食べやすくしてあるので、ぜひ一度ご賞味を」とPRする。価格は850円。

午前11時―午後3時、午後5時―同9時半(土日曜・祝日は午前11時―午後9時半)。不定休。問い合わせはTEL0138-56-2311。(宮木佳奈美)


◎子ども手当 道南各地自体でも事務作業始まる

 中学校3年生までが対象となる「子ども手当」の6月支給を目指し、道南の各自治体は対象者の把握や周知などの事務作業を開始した。進ちょく状況は各市町で異なり、既に受け付けを開始した町がある一方、案内や請求書送付の準備を進めているところも。手探りで作業する町もあるが、多くは4月末までに受け付けを始める方針。自治体ごとに方法が違うため、対象者は居住する自治体のやり方を広報紙などで確認し、確実に請求する必要がある。

 子ども手当は1人当たりに、一律で月額1万3000円を支給する。これまで児童手当を受けていた世帯は特に手続きをする必要はない。しかし世帯内で対象者が増えたり、新規に対象となった場合には、「請求書」や必要書類をそろえて各自治体に申請する必要がある。道南の対象者は、現在各自治体が把握する作業を進めており、早ければ16日には判明する見込み。

 請求書の配布方法は自治体間で異なる。道南で個別郵送するのは函館と北斗の2市、七飯と木古内、知内、福島、松前、森、鹿部、長万部、上ノ国、乙部、奥尻、せたなの各町。最も早い知内は年明けから手作業で対象者の抽出を行い、8日には手続きが必要な約90世帯への発送を終えた。このほか多くは4月中旬から下旬にかけて準備が整い次第、案内文と共に送るという。

 4月末までに発送する函館には1日以降、対象世帯からの問い合わせが毎日20件ほど寄せられている。同市は「待ち望んでいる市民がいるので、大急ぎで作業している」と理解を求める。

 窓口で配布する江差は同中旬にも、全小中学校を通じて保護者に案内文を渡し、その後も広報紙などで周知する考え。1日から受け付けを開始した同町では「転入者が順次申し込んでいる」といい、7日までに約10世帯が手続きした。今後は「状況に合わせて弾力的に周知方法などを考える」と話す。

 厚沢部は「報道の影響で認知度は十分」と判断し、広報紙(5月)のみで周知を予定。八雲は全対象世帯に通知文は送るが、請求書は窓口配布とする。今金は詳細は未定だが、回覧板で周知し、請求書は窓口配布する。

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 自治体の中には使用するシステムの関係上、「親子のうちどちらかが他の自治体に住んでいると把握できない場合が生じる恐れがある」(八雲)。「狭い町なので漏れはないと思う」(鹿部)との考えがある一方、「確実にもらうためには、対象者で案内が来ない人は窓口で確認してほしい」(乙部)と積極的な対応を求める。  このほか、子どもが児童養護施設や海外などにいる場合には、面会の頻度などを確認しなければならない。函館は「国の事務取り扱い方針に基づき、個別に判断していく」と話している。(小泉まや)


◎妹の生きた証し、大切な宝物に…

 長年、若年性リウマチを患い今年1月6日に急逝した石田百合子さん(享年40歳)が、昨年12月に函館芸術会議(HAM)主催のライブに出演した際の映像を収めたDVDなどが、このほど石田さんの兄・正幸さん(48)に寄贈された。DVDには石田さん自作の詩にメロディーがつけられた楽曲も収録されていて、正幸さんは「妹が残した生きた証を大切な宝物にしたい」と話している。

 HAM(木村公一代表)は健常者と障害者が芸術活動を通じて交流することを目的に2008年に設立。木村代表は昨年6月に函館で行われたDPI(障害者インターナショナル)会議全国大会で司会の大役をこなす石田さんと初対面。石田さんが長年にわたって書き溜めた大学ノート2冊分の詩を預かり、函館芸術会議のメンバーに作曲を打診したところ、HAMの筆頭副議長でもあるシンガーソングライターのマックス(本名?東宏道)さんが「タバコ」という詩を選び、昨年12月に函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で行われたクリスマスライブで、石田さんを隣にしたステージ上で初披露した。

 この時に初めて自分の詩に曲がつけられたことを知った石田さんは「とても素敵な曲になってうれしい」と大喜びだったという。マックスさんは「石田さんの詩はとても重い内容が多いが、その中でも『タバコ』は比較的軽めで曲に載せやすかった。今後はほかの詩にもチャレンジしていきたい」と意気込んでいたが、突然の訃報にショックを隠しきれない。

 木村代表は「石田さんの残した軌跡を家族の皆さんにも伝えたい」と、ライブの映像や石田さんの写真などを、マックスさんとともに正幸さんに手渡すことにした。正幸さんは「幼いころから病院や施設に入りっきりで、妹と一緒に過ごす機会は少なく、詩を書き残していたことも知らなかった。彼女の生前の活動を収めた貴重な記録を残してくれたことに大変感謝している」と感激の様子だった。

 木村代表は「私自身も石田さんが亡くなったショックからまだ立ち直っていないが、彼女の思いを引き継ぐためにもHAMの活動を活発化させていきたい」と話していた。(小川俊之)