2010年5月1日 (土) 掲載

◎天候不順の道南 農作物に影響、出荷遅れ価格低下心配

 低温と断続的な降雨の天候不順が、農業関係者の懸念材料となっている。渡島管内では、農作物の生育は深刻な状況ではないものの、種まきから発芽時期に遅れが発生。今後の天候回復によっては、出荷までに品質を持ち直せる見込みだが、野菜高騰が続く中で「全国で出荷時期が集中し、今度は逆に値段が上がらなくなるかもしれない。いずれにしても天候の回復を待つしかない」と関係者は不安をのぞかせる。

 3、4月の渡島管内は、曇りがちな天候が続き、日照不足と雪がちらつく肌寒い日も。例年だと早い種類で3月上旬に種まきをするが、「日程を延ばさなくてはならない状況だった。いつもなら、順序よく農作業をこなしていくが、今年は収穫時期が重なりそうで忙しくなりそうだ」(北斗市野菜農家)。

 渡島農業改良普及センターによると、露地栽培のニンジンやダイコンの種まきの遅れは5―10日ほど。その分、収穫も遅れるため「野菜の早い出荷が道南の利点だけに、この時期の天候不順は困る。花は日照不足だと茎が伸びすぎて、品質低下を招きかねない」(同センター)。

 北斗市開発のコメ農家斉藤秀樹さん(60)は、4月下旬に発芽したビニールハウス内のコメ苗を見守りながら「苗は大丈夫だけど、田んぼが一番気がかり。毎年5月連休に土起こしをするが、今年は乾きが遅いので連休明けになりそうだ。一つの仕事が遅れると、ほかの農作業に負担がかかる。自然相手だから仕方ない」と語る。

 JA新はこだては「天候不順による極端な被害はないが、油断はできない。5月以降の好天を願い、農業従事者の出来る限りの努力を持って、高品質な農作物の生産・出荷を期待している」。

 函館市農務課は「市内は露地栽培が主で、生産量が少ないので天候不順による値段に大きな影響はない。ただ、全体的に10日ほどの生育遅れが出ている。影響という影響は、今後の天候次第では」。函館海洋気象台によると、5月1日以降の週間予報は平年並みの温かさになるという。晴れの日が多く、最高気温15℃と気温も上昇。今年に入っての最高気温は4月27日の13.9℃だった。(田中陽介、山田孝人)



◎さぁ花見の季節だ! 市内ホームセンターはグッズ充実

 天候不順などの影響で、函館では昨年より10日以上遅い8日にサクラの開花が予想されている。本格的な花見シーズンを目前に控え、函館市内のホームセンターなどでは、花見の必需品となっているバーベキュー用品を充実させ、酒屋や生肉店でも花見を意識した商品展開をしている。

 ホーマックスーパーデポ石川店(石川町231)では、4月中旬からバーベキューコンロやレジャーシートなどの主力商品を並べた特設コーナーを設置している。コンロは2000―4000円台が主流。2―3人用の小型が人気で、最近は火をつけるだけの手軽さが受け「インスタントコンロ」(398円)が売り上げを伸ばしている。また、設営が簡単な日よけテント「サンシェイド」(3980円)、エコバッグとしても使える「クーラーバッグ」はサイズ別に30種類を用意している。同店では「炭の処理には火消しつぼなどがおすすめ」と話す。

 酒ショップみのや(藤澤稔代表、昭和町1)では、花見の定番ジンギスカンのお供に「ワイン」を薦めている。オーストラリア産の赤ワイン「カリベイ」(1386円)は、「ラム肉特有の臭みや油っぽさをすっきりとさせてくれる」と同店ワインアドバイザーの藤澤節子さん。手ごろな価格のカジュアルワインはコルクではなく、スクリューキャップを採用しているため持ち運びも便利だ。そのほか、道産ワインや春らしい3種類の色や味わいが楽しめるドイツのロゼワイン「ブリー」も購入者が増えているという。

 肉のスーパー大林(富岡町1)では、カット野菜や皿などが付いたジンギスカンセット(1人前1000円)は毎年好評で、今年も予約が好調だ。おにぎりや焼き鳥などのサイドメニューやドリンクも用意し、10人前から受け付け。五稜郭公園への配達も行う。問い合わせはTEL0138-42-0751。(小杉貴洋)



◎丸井今井函館店で1148人分個人情報流出

 函館丸井今井(函館市本町、菊地敏郎社長)は4月30日、函館店の紳士服のイージーオーダースーツを購入した1148人分の個人情報がインターネット上に流出したと発表した。顧客情報には2002年10月から昨年10月までの7年間に利用した全顧客の個人名や住所、電話番号などが記録されていた。同社によると、今のところ不正利用などの被害は報告されていないという。

 同店4階の紳士服のイージーオーダー売り場は函館丸井今井が業務委託したアパレル大手のオンワード樫山(東京)が運営。4月24日に外部の調査会社から「ネット上に顧客情報が流出している」との通報を受け、丸井今井の内部調査で21日午前から24日正午までの間に流出していたことが判明した。

 オンワードの30代の男性販売員が顧客情報の入ったDVDを自宅に持ち帰り、個人のパソコンにデータを保存したところ、そのパソコンがウイルスに感染していたため、ネット経由でウェブ上に流出したという。個人情報には商品の受注日や金額、色柄なども含まれていた。

 両者によると、個人情報の社外への持ち出しは禁止されていたが、男性販売員はDVDの中に一緒に入っていた商品写真などを自宅で加工するため、昨年数回にわたり自宅に持ち出したという。同社は28日付で顧客におわびの文書を郵送し、専用の問い合わせ対応窓口も設置した。

 30日午後、函館市内で記者会見した菊地社長は「個人情報の管理体制の脇が甘く、お客さまにご迷惑をかけて大変申し訳ない。今回の不祥事の責任を重く受け止め、再発防止に努めたい」と陳謝した。専用窓口のフリーダイヤルは0120-550-392(午前10時―午後7時、5月16日まで)。(森健太郎)


◎北斗市、予算案発表 一般会計初の200億円超

 【北斗】北斗市は4月30日、2010年度の予算案を発表した。高谷寿峰市長就任後初の本格予算の編成で、一般会計の総額は09年度当初比15.7%増の201億8481万円と、2006年の市誕生以来初めて200億円を超えた。北海道新幹線新函館駅周辺整備にかかわる工事や浜分中改築建設工事など大型の公共事業が盛り込まれたことが要因。新函館駅(仮称)周辺土地区画整理事業や国保事業など7特別会計と、水道事業会計を合わせた総額は同10.2%増の327億3125万円。17日に開会予定の市議会の第2回定例会に提案する。(鈴木 潤)

 一般会計の歳入は市税が09年度比0.7%減の45億8827万円で、景気低迷による税の減収を想定した。地方交付税は同4.8%増の57億4773万円と、歳入全体の28.5%を占めた。市債(借金)は同12.5%増の19億920万円、基金(貯金)を活用した繰入金は同9.4%減の2億7259万円を計上。国の子ども手当ての創設などに伴い、国庫支出金は同62.8%増の37億849万円となった。

 歳出は生活保護の扶助費や医療助成が含まれる民生費が68億4143万円で全体の33%を占めた。公債費(借金返済)は、同4.9%減の23億0383万円、土木費は同74.7%増の41億789万円に膨らんだ。職員給与費は同1.7%減の20億6820万円。

 主な事業として、11年度の完成を予定している浜分中改築建設事業は体育館改築などを行い、5億679万円、本年度中に完成を予定している運動公園多目的グラウンドの全天候型トラック改修費4億162万円を計上し、主に基金や合併特例債を財源に充てる。新幹線関連では、新駅周辺整備に3億1490万円を充てたほか、市渡第2号線道路改良事業(6億8242万円)や稲里第15号線付替事業(2億1796万)など8件で関連の道路整備工事を行う。

 福祉関連では、遺児手当て・遺児育英資金やひとり親家庭の医療費助成を拡充し、雇用対策事業として4154万円を計上。議会中継を本庁舎や各支所で行う配信システム整備に760万円を盛り込んだ。

 記者会見で高谷市長は「今回は地方交付税の増額が見込め、増額予算となったが、今後新幹線経費の増大や税収の落ち込みが想定されるため、健全化にも気を配った」とした。


◎函館バスがポイント制度導入 1日から地方5路線で

 函館バス(函館市高盛町、寺坂伊佐夫社長)は1日から、利用が伸び悩む地方5路線を対象に、スタンプをためると1回分の運賃が無料になるポイント制度を導入する。利用客のお得感を演出し、減少傾向にある地方路線のバス利用の促進を図る狙い。

 人口減少やマイカーの普及などに伴うバス利用客の減少に歯止めを掛けようと、当面は来年3月末までの期間限定で実施する。地方の遠距離路線に1回乗車するごとにスタンプが1つたまり、7つ集めると次回の乗車が無料になる。

 対象となる路線は、函館と江差、松前、知内、長万部を結ぶ4区間と、江差―八雲間の計5区間。5路線内で一定距離以上の乗車が必要で、運賃ベースで1120円―2090円の区間が対象となる。運転手が降車時に専用カード?写真?にスタンプを押す。

 現金のほか、バスカードや回数券も対象となる。定期券の利用者は対象外。同社は「楽しみながらスタンプを集めてもらい、函館バスのファンを増やしたい」と話し、今後、利用動向をみて対象路線の拡大も検討するという。カードはバス車内で配布する。問い合わせは同社函館営業所TEL0138-51-3137。(森健太郎)