2010年5月15日 (土) 掲載

◎恒例もちまき、廉売にぎやか 中島三郎助まつり開幕

 第17回中島三郎助まつり(中島商店街振興組合主催)が14日、函館市中島町の中島廉売で開幕した。同町ともゆかりが深く、箱館戦争で散った中島三郎助父子の冥福を祈る祈願祭やもちまきなどが実施された。16日まで。

 祈願祭で同組合の二本柳秀樹理事長は「3月に4件が被災する火災の発生やスーパーなどの競合が多く厳しい現状が続いているが、くじけることなく祭りを契機に商売も気温と同じように温かくなるように頑張りましょう」とあいさつ。祭壇前で焼香し、手を合わせて父子の御霊を慰め、中島廉売の発展を祈念した。

 毎年恒例で人気となっているもちまきが引き続き行われ、組合関係者がもちや菓子をばらまくと、大きな袋を抱えた市民らがわれ先にと手を伸ばして「こっちにも」などと威勢のよい声が聞かれていた。市内の女性(68)は「にぎやかな廉売はやっぱり活気があっていい。大変なことが続いているようだが、頑張って欲しい」と話していた。

 15日は市内の洋菓子6店舗の味が楽しめる「春のスイーツ祭り」、午後1時からは食品や日用品などを100円で販売する市場も開催。同3時からはYOSAKOIソーラン大競演も行われる。16日には中島三郎助隊として約20人が参加する維新パレード(午後1時)も催される。(小杉貴洋)



◎江差線地域交通確保に向け道が5案提示

 道と函館市、北斗市、木古内町でつくる道南地域並行在来線対策協議会の会合が14日、渡島総合振興局で開かれた。北海道新幹線の開業(2015年度予定)に伴い、JR北海道から経営分離される江差線の五稜郭―木古内間(37.8キロ)の事業形態について、道は地域交通の確保方策(選択肢)として第3セクター鉄道による運行とバス転換、それに上磯駅を境とした鉄道減便・バス接続など5案を提示し、了承された。鉄道運行時の30年間の累積赤字額は、運賃値上げや車両数の減に加え、他県で実施している収支改善策を行った場合で105億円とみている。協議会は5案をベースに検討を進め、11年度末までに方向性を決定する。(千葉卓陽)

 協議会には函館市の小柏忠久副市長、北斗市の高谷寿峰市長、木古内町の大森伊佐緒町長と道の高井修副知事、寺山朗渡島総合振興局長が出席した。

 選択肢の検討は、08年度に実施した収支予測調査結果における鉄道の利用状況を分析してまとめた。それによると、五稜郭―上磯間の利用客が1日あたり1721人に対し、上磯―木古内間は同469人で、「上磯駅を境として利用状況は大きく異なる」としている。

 これを踏まえ、選択肢として@全区間3セク鉄道による運行A五稜郭―上磯間は3セク鉄道で運行し、上磯―木古内間は減便し、減った分をバス会社が運行BAと同形態で、減便分を3セク会社が運行C五稜郭―上磯間は鉄道で運行し、上磯―木古内間はバス転換D全区間バス転換―の5案に絞った。  各形態の収支見込みは08年度の予測調査をベースに、他県の例を元にした収支改善策を踏まえて算出。30年間の累積赤字額は鉄道運行で105億3000万円、鉄道減便・バス接続で100―106億円、全区間バス転換で15億9000万円としている。

 協議会では大森町長が「バスの路線設定など利用者のための試算が必要。道と自治体の負担割合に関する議論を早めてほしい」と訴えた。高井副知事は12年3月の方向性決定に向け、「今後幹事会で検討し、選択肢の絞り込みをさらに進めたい」と述べた。

 北斗市の高谷市長は取材に対し「定時性、安定性を考えれば鉄路が優れている」と、鉄路維持の姿勢を強調。函館市の小柏副市長は「人口減を考えた場合、一人あたりの負担額は上がる。幹事会で議論を詰めたい」と話した。



◎未来大と留萌市など、ナマコ漁で連携協定締結へ

 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)は21日、留萌市、新星マリン漁協(留萌)と水産振興を目的とした包括連携協定を締結する。同大は留萌沖でIT(情報技術)を活用したナマコの漁獲データ収集、調査研究を進めてきたが、3者の連携協力で今後さらに研究環境が整えられる。

 同大は2006年度から、海上の情報化を進める総務省の事業で、GPS(全地球測位システム)を搭載した漁船から無線LANでナマコの漁獲量や漁獲地域のデータ入力ができるシステムを構築。集めたデータを解析し、効率的な操業を行うことで限られた水産資源を維持、管理できるよう研究を進めてきた。

 協定によって実験漁場の利用や調査研究の協力者のあっせんなど多方面で協力を得やすくなり、研究がはかどる。同市の施設「留萌市海のふるさと館」の一室も研究室として提供してもらえる。

 研究を進めてきた同大システム情報学部の和田雅昭准教授(39)は「効率的な操業は資源を枯渇させずに継続させ、漁業経営の安定につながる。漁業者の経験や勘を数値化して残し、後継者支援に役立つシステムを構築したい」と話している。(宮木佳奈美)


◎「振り込め」会話で防げ 函館信金・商工信組が制度導入

 顧客とのコミュニケーションを通じて、振り込め詐欺の被害を根絶しようと、函館信用金庫本店(黒滝啓洋理事長)と函館商工信用組合(山本富靖理事長)は14日から「被害防止会員制度」をスタートした。顧客には会員カードを発行。来店時に担当職員から振り込め詐欺防止のアドバイスを受けて、スタンプを集める仕組み。継続的に注意を促すことで、被害撲滅につなげたい考えだ。

 各金融機関や函館市などで構成する「振り込め詐欺被害防止ネットワーク」の会議で提案された事業。窓口での会話を通じて、顧客と職員が危機意識と信頼感を共有し、振り込め詐欺への免疫力≠高める狙いがある。

 函館信用金庫は弁天支店のみ、函館商工信用組合は市内6店舗で実施。スタンプは10個集めると、日用品などと交換できる。半年間程度継続した後、顧客へのアンケート実施や業務への影響などを検証し、結果は、同ネットの会議で報告する。

 制度導入に先立ち、函館西署で13日に発足式が行われ、岡豊彦署長は「全国的にも例がない取り組みだと思う。地域に定着して1件でも被害を抑えることにつながってほしい」と述べた。小野寺勇治常務理事(函館信金)は「被害根絶には意識を高めていくしかない。取り組みの輪を大きくすることにつなげたい」とし、山本理事長は「職員と来店客がコミュニケーションを図れる制度。しっかり取り組みたい」と話していた。(今井正一)


◎七飯町が補正予算発表、94億7600万円に

 【七飯】七飯町の中宮安一町長は14日、当初予算に政策経費を盛り込んだ本年度の補正予算案を発表した。一般会計の総額は94億7600万円で、前年度当初と比較すると10.2%増の積極予算となった。国保や介護保険など特別4会計事業と水道事業会計(企業会計)を加えた総額は165億2156万1000円で同5.7%増。19日開会予定の町議会臨時会に提案する。(鈴木 潤)

 本年度の当初予算は、任期満了に伴う町長選が行われたため、必要経費のみを計上した骨格予算で編成。一般会計は6億8600万円を追加補正した。

 主な新規事業は民営化した本町保育園に町内2カ所目となる子育て支援センターの開設、運営費に625万円、認知症高齢者グループホームのスプリンクラー設置費用の補助金2381万円を予算化。小児用肺炎球菌の予防接種費用、子宮けいがん予防ワクチンの接種費用を助成し、それぞれ110万円、367万円を計上した。

 継続事業では、2015年度に開業を迎える北海道新幹線関連の整備促進のために設けた基金に2004万円を積み立てたほか、鳴川団地5棟目の建設費に2億110万円を投入。11年1月の完成を目指し改築中の藤城小の備品購入費用には3000万円を見積もった。

 中宮町長が2期目の公約に掲げた、民間資金を活用しての図書館整備は、準備費用として2000万円を基金に積み立て、任期中の着工を目指すとした。    このほか、渡島廃棄物処理広域連合へのごみ処理の負担金が前年度よりも2200万円増の2億7900万円となったことからごみ排出量の減量策として中宮町長は「できるだけ早い時期に生ごみの分別化に取り組みたい。生ごみの処理の民間委託も考えたい」とした。

 歳入内訳は町税が本年度当初0.4%増の25億5834万5000円、地方交付税が同2.2%増の28億5000万円、町債は同8.2%増の7億1810万円、歳出に対する財源不足を補うため基金から2億4522万円を切り崩す。 中宮町長は「選挙時の公約に掲げた子育て支援策に力を入れた。財政の健全性を堅持しつつ緊急性を踏まえながら編成した」と述べた。