2010年5月17日 (月) 掲載

◎おいしい「国宝」人気 中空土偶弁当を開発

 函館市南茅部地区のすし店や仕出し店でつくる「南かやべ料飲店会」が南茅部をアピールしようと、地域の特産品を盛り込んだ「中空土偶弁当」を開発した。16日に川汲公園で開かれた第2回桜まつりin南かやべ春のお花見会(函館東商工会主催)で一般向けに初めて20食限定で販売し、1時間ほどで完売した。

 弁当は、南かやべ縄文文化創生の会(加藤詔三会長)が、遺跡が点在する南茅部らしい縄文をテーマにした地域の名物弁当を作ろうと提案。料飲店会が試行錯誤してレシピを考案し、同地区で出土した国宝の中空土偶をモチーフにした弁当を完成させた。

 中空土偶の顔は、雑穀米を使ったおにぎりで、特産のコンブのほか、クリ、甘納豆で愛きょうある顔に仕上げた。おかずは旬のエビやイカなど地元食材を盛り込み、縄文にちなんで三つ編みにしたコンブの煮物も添えた。

 開発に携わった料飲店会の山下勝廣さんは「縄文時代をイメージし、あまり派手にせず素材の味を生かした」と説明。同会の小川喜敬会長は「特産のコンブもたくさん使い、中空土偶の顔に似せたおにぎりでインパクトのある弁当になった。縄文文化交流センターがオープンしたら団体客向けに予約販売できるようにしたい」と話している。6月12日の「南かやべひろめ舟祭り」でも50食販売する予定。1食800円。(宮木佳奈美)



◎「元気に育って」願い込め 未来の森で育樹祭

 函館市亀田中野町の民有地「未来の森」(約5・8ヘクタール)で16日、本年度の育樹祭が行われた。NPO法人北海道に森を創る会(石子彭培理事長、本部・札幌)の会員と、函館市内の国の華幼稚園の園児ら約100人が参加。昨年まで植樹したエゾヤマザクラの手入れなどを行った。

 同会は、放置林やリゾート開発跡地などで森林の再生や活用を進める「森トラスト運動」に取り組んでいる。2006年に最初の活動地として、函館市内のゴルフ場整備予定地だったこの場所を「未来の森」と名付け、4年間にわたりサクラや広葉樹、トドマツなど約600本を植樹してきた。このほか、空知管内月形町や砂川市でも同様の活動を行っている。

 この日は育樹活動として、昨年秋にネズミの被害防止として木の根元に巻きつけたビニールのカバーを取り外す作業を実施。また新たな試みとして、ナメコの栽培にも挑戦。チェーンソーで切断した原木に園児らが調合した接種菌を塗り、ムシロで覆う作業をした。来年の秋には立派なナメコが収穫できる予定で、園児らは「早く食べたい」と心待ちの様子だった。

 石子理事長は「これからは植樹した木をいかに大切に育てていくかが重要な仕事。子どもたちの未来のためにも、森を増やすための地道な努力を続けていきたい」と話していた。(小川俊之)



◎青空に響く祝砲 五稜郭祭最終日

 第41回箱館五稜郭祭(同協賛会主催)は16日、榎本軍と新政府軍が練り歩くメーンイベント「維新行列」や「開城セレモニー」を終え、2日間の日程に幕を閉じた。青空の下、沿道には多くの観客が詰めかけ、パレードで表現された歴史絵巻に見入っていた。

 ここ数年、天候がすぐれず中止になるイベントなどが多かったという同祭。今年は快晴に加え、サクラも見ごろとあり、祭りは例年以上の盛り上がりを見せた。

 維新行列は、陸上自衛隊第11音楽隊の演奏を先頭にスタート。開陽丸やサスクハナ号に当時の軍服姿で乗り込んだ西尾正範市長らは、函館が開国するに至った「安政の五カ国条約」締結国の関係者など約400人と行進した。バトントワリングと函館地区吹奏楽連盟のパレードも同時に実施され、祭りを彩った。

 榎本軍と新政府軍の戦闘シーンが目玉となっている行啓通でのパフォーマンスでは、両軍が一斉に切り掛かる迫真の殺陣を披露。鉄砲隊の銃声や土方歳三の熱演に、沿道の市民からは「かっこいい」などの声とともに大きな拍手が送られていた。

 五稜郭公園内特設ステージでの「開城セレモニー」では、榎本武揚が黒田清隆に「海律全書」を手渡すシーンなどが再現された。クライマックスには開城と戦争終結を祝う祝砲が打ち鳴らされ、そのごう音に観客は驚きながらも惜しみない拍手を送っていた。(小杉貴洋)


◎脱ニートへ 就労後押し

 ニートなど無業状態の若者の職業的自立を支援する「はこだて若者サポートステーション」が6月1日、函館市元町14の北海道国際交流センター(HIF、山崎文雄代表理事)内に開設される。道南では初めての設置。留学生との国際交流や農業体験などHIF独自のプログラムを通じて自信を養ってもらい、就労に結びつける考え。

 ニートとは学校に行かず仕事にも就かない、おおむね15―34歳程度の若者のこと。近年は30代後半の人も含めて増加傾向にあり、2009年の調査では全国で63万人いるとされている。

 同ステーションは厚生労働省が2006年から実施する委託事業。現在全国で100団体が同ステーションに選定され活動している。道内での開設は札幌、旭川、釧路に続いて4番目で委託事業費は1500万円。対象は15―39歳で、道南に居住する人。

 全国的には雇用支援団体が選定されることが多く、国際交流活動を行う団体が選ばれることは珍しいという。HIFの池田誠事務局長は「これまで道南にはニートなどを支援する総合的な受け皿がなかった。札幌の団体に電話で相談していた例もあり、需要は多い。国際交流で培ってきた、人とのつながりを育むノウハウを生かしていきたい」と意気込む。

 HIFでは、カウンセラーやプログラムコーディネーターなど専任スタッフを用意。相談窓口のほか農業体験や食事作り体験会、国際交流ボランティア活動などを通じて、多様な価値観を若者に持ってもらい就労意欲を高める方針だ。またハローワークや渡島教育局、函館市など関係機関とも連携して情報交換などを行いながらサポートしていく。市労働政策室は「若年者の雇用対策に大きな効果があると期待しているし、連携して協力したい」とする。

 HIFでは同ステーションを周知するため22日にコンサートを、29日にはセミナーをともに同センターで開催する。問い合わせはHIFTEL0138・22・0770。(山田孝人)


◎威勢良く「ワッショイ!」 高穂神社

 函館市上湯川町2の高穂神社(澤口廣宮司)で16日、奉祝記念大祭の一環としてみこし渡御(とぎょ)が行われた。道南のみこし愛好会などの団体から男女約200人が参加。近隣の湯川町団地内に威勢の良い声を響かせて練り歩いた。

 今年は同神社創建30周年、開基100年、開祀550年の節目の年。みこし渡御では10年ごとに行われる川汲奴道中や稚児行列が祭りに花を添えたほか、通常は午前中で終了する行列を午後4時ごろまで行った。「ワッショイワッショイ」と勢いのあるかけ声が響き、道路沿い集まった住民らは「迫力あるね」「子供たちがかわいい」などと声を上げていた。

 祭りは15日の宵宮祭から始まっており、余興も盛大に行われた。17日は午前零時半から記念大祭が行われる。神事では松前神楽の奉納も行われる。(小山博美)