2010年5月19日 (水) 掲載

◎大農高の乳牛が「最上位」獲得 親子4代連続

 【北斗】大野農業高の農業科乳牛班が飼育する乳牛「ダイノー・インスト・ラブ・アレン」(雌4歳)が、日本ホルスタイン登録協会の体型審査で最上位の「エクセレント(EX)」の称号を獲得した。同校では親子4代続けてのEX獲得となり、全国の農業高校でも例がないという快挙だ。  (鈴木 潤)

 大農の乳牛「―アレン」は体重800キロ、体高158センチ。同校では、アレンの母親「ダイノー・インスピ・ラブリー・ストーミー」、祖母の「ダイノー・アンディ・インスピレーション」、曾祖母の「ダイノー・ミスティ・スターバック」も過去にエクセレントを獲得している。

 エクセレントは外貌(がいぼう)、肢蹄(してい)、乳牛の特質、体積、乳器の5区分で評価し、100点満点中90点以上の得点が条件。泌乳能力も高レベルであることが求められ、年間で9000キロ以上の搾乳量がないと称号が与えられない。難度の高い審査で、代を重ねて獲得するのはもっと難しいとされる。アレンは審査で90点を獲得した。

 同班の1、2年生14人が牛の飼育に当たり、実習以外の放課後も牛舎に来て牛の世話をしている。

 同校OBで実習助手を務める柴田明輝(はるき)さん(19)は「日々の徹底した管理が重要で、生徒全員が一定のレベルと共通認識を持って臨まなければできない。チームワークが大事」と語る。副班長の秋田一摩君(2年)は「先生や先輩の指導を忠実に行った成果。うれしい」と話し、「後輩たちにもしっかり受け継いでもらい、5代目のEX牛を育てたい」と意欲を新たにしている。



◎道南食品が新製造棟建設 キャラメル3割増産へ

 明治製菓(東京)の子会社で菓子製造販売の道南食品(函館市千代台町、大野秀幸社長)は、本社の工場敷地内に約10億円を投じて新たな製造棟を建設する。8月にも着工し、来年5月の稼働を目指す。最新鋭の設備を導入することで主力のキャラメル菓子の生産能力を現在より3割程度高め、業務の効率化による品質向上を図る。

 同社は明治製菓函館工場から分社化し、1980年に設立。現在は「サイコロキャラメル」など明治のキャラメル製造を一手に引き受け、道内の食材を生かした土産用のチョコレートやキャラメルなどの自社製品も約50種類生産している。大規模な設備投資は97年のチョコレート製造棟の建設以来となる。

 新たな製造棟は市に建築確認申請中で、8月にも着工し、来年3月の完成予定。鉄筋コンクリート造り2階(一部3階)建てで、延べ床面積は約5000平方メートル。主にキャラメルの生産ラインとして、現行より約3割多い年間約2000万個の増産体制を整える。総投資額は約10億円。

 新棟には砂糖を煮詰めるクッカーやキャラメルの成型機、包装システムなど約4億円をかけて最新の機材を導入。老朽化に伴い、既存の製造棟3棟のうち1棟を取り壊し、一部設備を新棟に移管する。建物内には事務所のほか、見学者のための専用通路を設け、修学旅行生なども積極的に受け入れる。

 道南食品の大野社長は「生産体制を増強することでキャラメル市場でのシェア拡大や品質向上が期待できる。新たな雇用も生み出し、函館経済の活性化につなげたい」とし、明治製菓広報室の岸昭彦室長も「北海道をキャラメルの生産拠点に、地域に根差した工場から商品を全国に供給したい」と話している。(森健太郎)



◎上ノ国町長選 工藤氏が無投票3選

 【上ノ国】任期満了に伴う上ノ国町長選は18日に告示され、午後5時までに現職の工藤昇氏(56)=無所属=以外には立候補の届け出がなく、工藤氏の無投票3選が決まった。工藤氏は2007年の前回町長選に続き、2度目の無投票当選となった。

 町選管に午前8時半に立候補を届け出た工藤氏は、町内全域で遊説を行った。午後5時に無投票当選が決まると、選挙対策本部で約100人の支持者から祝福を受けた。工藤氏は「これまでの任期は、小泉内閣による地方交付税の削減を中心とする構造改革をはじめ、市町村合併や支庁再編などの逆風に追われ、守りの町政を強いられた。3期目は道半ばとなっている農林水産業の振興を中心に攻めに転じたい。農漁業の後継者となる若者たちを燃え上がらせることが使命だ」と抱負を語った。2期連続の無投票当選については「町民が生き残りをかけて一丸となったことを実感した。責任の重大さを感じている」とした。

 工藤氏は同町出身。江差高卒。1972年町役場入り。企画商工観光課長補佐、保健福祉課長補佐などを経て、2002年5月の町長選で、現職の福原賢孝氏(現道議=桧山管内)を871票差で破り初当選した。05年2月に「町行財政改革計画(自立プラン)」を策定。大胆な行財政改革や産業振興対策を推し進めた。

 2期目には、着実な行財政改革で財政危機から脱却したことが町民の評価を得た。また、政策的予算の選択と集中を図ることで、農漁業振興対策の重点化とともに、高校生までを対象とした医療費無料化など少子高齢化にも対応した施策を打ち出している。(松浦 純)


◎函館―新函館間経営分離問題、市は反対、札幌延伸への影響懸念

 北海道新幹線が札幌まで延伸された場合、JR北海道が函館駅―新函館駅(仮称)間17.9キロを並行在来線として経営分離する方針を示している問題で、函館市の西尾正範市長は19日午後にJR北海道本社(札幌)を訪れ、JRによる同区間の経営継続を要請する。一方で、国が今夏にも新規着工区間の是非を決定することから、同区間の経営分離に反対している市の姿勢が札幌延伸の可否決定に影響することも懸念されるだけに、協議の内容が注目される。(千葉卓陽)

 19日は西尾市長のほか、吉田崇仁市議会議長、森川基嗣函館商工会議所副会頭がJRを訪れ、同社の菅野光洋取締役と会談する。

 JR北海道は今年3月の国の整備新幹線問題検討会議で、中島尚俊社長が函館―小樽駅間を経営分離する考えを示し、今月12日の記者会見でも改めて表明。これに対し、函館市は現駅―新駅間を「新幹線の運行区間ではなく、並行在来線にはあたらない」と反発。新函館開業を踏まえてJRの運営のもとで、「都市間輸送のアクセス路線とすべき」との認識を示す。

 市の主張の背景にあるのは、94年11月に新幹線駅を現在の渡島大野駅とすることで道と合意した際、双方が交わした確約の存在。付随する覚書では「現駅への新幹線車両の乗り入れの方策や財源問題について、道が中心となって市など関係者と協議すると認識する」とあり、この文書を基に、道に新函館開業後のアクセス列車の充実などを求めてきた経緯がある。

 これに加え、現駅改築の際の周辺開発として、市が区画整理や国鉄清算事業団用地の購入など約110億円を投資してきたことも大きい。西尾市長は「また税金で駅舎を買い戻すことにはならない」と話す。

 庁内外からは、JRが札幌―小樽間を引き続き運営する方針を示したことに対し、「JRは採算の取れる路線だけをやろうとしている」との声も聞かれる一方、経営分離の区間が小樽までと長いことから「他の沿線自治体との連携を模索すべき」との意見も出ている。

 整備新幹線の新規着工は地元自治体が経営分離に同意することが条件となるだけに、市の姿勢は道南全体で進めてきた札幌延伸運動にも影を落とし始めている。17日の道新幹線建設促進道南地方期成会(会長・高野洋蔵函館商工会議所会頭)の総会では、前段に開かれた理事会で西尾市長が市の方針を説明したが、総会の場で説明するか否かをめぐり、予定時間を大幅にオーバーするなど難航した。

 市の渡辺宏身企画部長は「オール北海道での運動に水を差す環境は作りたくない」と、苦渋の判断であることを示しながらも「態度をはっきりと示す必要がある。JRには地域の事情を受け止めてもらわなくてはならない」とする。


◎工藤氏が函館市長選出馬の意向 後援会が発足

 前函館市副市長の工藤寿樹氏(60)は18日、来年4月に行われる函館市長選に出馬する意向を明らかにした。同日夜に市内で後援会の設立総会を開き、後援会を正式に発足。同氏は函館新聞の取材に対し「わたしの決意と現時点での政策を説明し、賛同をいただいた」と話した。正式表明は「今秋に行いたい」としている。

 設立総会には十数人が出席。名称を「工藤としき後援会」とし、後援会長には市内で整骨院を経営する室田晴康氏(55)、幹事長には成沢機器社長の成沢茂氏(51)が就任した。事務所は函館市昭和3に置く。

 工藤氏は昨年12月に副市長を辞任後、自ら後援会設立に向けて活動を進め、同氏の出身校の早大や函館ラ・サール高の同級生・OBを中心として陣容を固めた。同氏は「早い段階から動き、広く浸透を目指したい」と話している。

 同氏はまた、今週中をめどに、道選管渡島支所に後援会と自らが代表となる資金管理団体「函館の明日を変える会」の設立を届け出る方針。(千葉卓陽)