2010年5月20日 (木) 掲載

◎助産師外来を開設…函館中央病院

 函館市本町の函館中央病院(橋本友幸院長)は、妊産婦への保健指導などを行う助産師外来「ベビーリーフ」を開設した。妊産婦が抱える出産や子育ての不安解消に向け、助産師が相談対応し、産後の母乳育児の支援も行う。

 助産師外来は病院の外来で、胎児の発育や妊娠状況に問題のない正常経過の妊産婦の健診と保健指導を助産師が自立して行う。国は医師不足や医師の負担軽減策として助産師の役割に注目し、助産師外来の整備を進めている。

 同病院は、1階の夜間救急外来診察室を改装し、専用室を設けた。現在行っているのは保健指導のみで、助産師による健診は体制が整えば実施する考え。外来は5年以上の経験がある助産師13人が交代で担当。具体的には、妊娠中からの食事、生活、服薬などの指導、産後の母乳育児に関するアドバイスや、マッサージなどによる乳房ケアを行う。

 従来から、出産・育児の不安や悩みを聞いてほしいという要望が多く、時間が取りづらい医師に代わって助産師がその役割を担ってきた。外来を設けることで、個室でプライバシーを確保しながら、じっくり話を聞けるほか、同病院を受診していない妊産婦も利用しやすくなる。

 産婦人科病棟の看護師長で助産師の川渕ゆかりさんは「助産師外来は健診のイメージが強いが、一番の目的は妊産婦の不安軽減。いろんな形で子育てのお手伝いをしたい」と話している。

 1人当たりの相談時間は30分程度。利用は毎週月、木曜の午前9時半―正午、午後2時半―同4時、予約制で受け付ける。料金は保険診療と同額に設定し、乳房ケアを行った場合は1200円が追加される。同病院で産科医の健診を受けた際、助産師による相談業務は料金がかからない。予約は同病院TEL0138・52・1231へ。(宮木佳奈美)



◎西尾市長 JRに継続申し入れ…函館―新函館間経営分離問題

 【札幌】北海道新幹線の札幌延伸後、JR北海道が函館駅―新函館駅(仮称)間17・9キロを並行在来線として経営分離する方針を示している問題で、函館市の西尾正範市長は19日、札幌市のJR北海道本社を訪れ、延伸後もJRが同区間の列車運行を継続するよう申し入れをした。これに対しJR側は「考え方は変わらない」と述べ、両者の主張は平行線をたどった。西尾市長は会談終了後、「JRと道が責任を持ってやらない場合、市としても同意できないということになる」と述べ、経営分離を求められた場合に同意しない考えを強調した。

 この日は西尾市長、吉田崇仁市議会議長、森川基嗣函館商工会議所副会頭が同社を訪問。JRは菅野光洋取締役新幹線計画室長が応対し、約30分間会談した。

 同市長は会談の冒頭「函館市にとっては地域存亡にかかわる問題」と切り出し、「これまでの経過を踏まえると(経営分離は)あり得ない。新幹線で乗客が来た際に1両編成の第3セクター鉄道で、現駅に乗客を連れてくることは不可能で了解しがたい。これは要請ではなく、申し入れだ」と迫った。

 また、同市長は現駅周辺の開発に国費も投入されたとし、今後、国とも話し合うことを示唆した。

 菅野取締役は「政府・与党にも話しており、同区間は並行在来線ということで考えている」と、スタンスに変化がないことを説明。「道と連携を取りながら、関係自治体の理解をいただけるよう取り組みたい」と、同社の考えを改めて述べるにとどめた。

 西尾市長は会談終了後、今回の申し入れについて「決して札幌延伸を邪魔するものではないが、並行在来線問題が片付かない限りは(経営分離に)同意できない」と説明。94年に両駅間のアクセスを「道が中心となって対応する」として道と市が交わした覚書の存在などを挙げる一方、「新幹線で全国が結ばれるべきだが、中間の地方都市が衰退することはあってはならない。JRと道で責任をもって対応してほしい」とした。

 一方、菅野取締役は、函館―新函館を含む小樽までの経営分離方針について「1999年の政府・与党のヒアリングの際に表明している。道と市がやりとりをしたのはその前で、JRは話に入っていない」との見解を示した。(千葉卓陽)



◎新幹線開業後 江差線に新駅設置を提起…北斗市議会

 【北斗】北斗市議会の第2回定例会は19日、一般質問を続行し、4氏が質問に立った。2015年度に予定されている北海道新幹線開業に伴い、JR北海道から経営分離される江差線の五稜郭―木古内間(37・8キロ)に絡み、市は鉄路維持を主張するとともに、路線に新たな駅の設置を提起していく考えを示した。

 白石勝士氏への答弁。

 新幹線開業後の江差線の代替輸送をめぐっては、同市と函館市、木古内町、道で構成する道南地域並行在来線対策協議会の枠組みの中で協議している。

 高谷寿峰市長は「鉄道の存続が基本。大変厳しい収支予測が出ているが、国への要望も行っていく」と改めて鉄路維持の考えを強調した。

 白石氏が「七重浜などの人口密集地に新たな駅が必要では」とただしたのに対し、三国谷新一総務部長は、市議会の並行在来線問題に関する調査特別委員会で「七重浜7丁目」「富川」「三ツ石2丁目」に新駅を設置する案を示したことを明らかにし、今後、協議会の中でも新駅の設置を主張していくとした。

 沿線の住民の足の確保と利便性を図る考えから、三国谷部長は「地域の鉄道を守るためには、考えられることはすべて行う」とし、事業形態が3セク鉄道になった場合、JR貨物が調整金名目で配分している路線使用料の拡大を求め運動していく方針も示した。


◎町の発展に全力尽くす…七飯町議会で中宮町長が施政方針演説

 【七飯】七飯町の中宮安一町長は、19日に開会した町議会の第3回臨時会で施政方針を演説し、政策経費を盛り込んだ本年度の一般会計補正予算案と同下水道特別会計、同水道事業会計の各補正予算案の議案3件を提出した。会期は21日までの3日間。

 中宮町長は2期目の町政に向けて「選挙戦を通して多く人からいただいた声を肝に銘じながら町の発展に全力を尽くす」と決意を述べた後、「住みたいまち・住み続けたいまち“七飯町”」の実現を目指し7項目の基本政策を掲げた。主要施策として、小児用肺炎球菌ワクチンと子宮けいがんワクチンの接種費用の助成や、町内会や商工会、企業が連携して独り暮らしの高齢者をサポートする「安心御用聞き」制度の創出、グループホームのスプリンクラー設置支援などを盛り込んだ。

 2015年度に開業する北海道新幹線関連では、函館総合車両基地造成に伴う町道の付け替え工事を推進。新幹線の札幌延伸と併せて12年度開通予定の道縦貫自動車道大沼インターチェンジ(IC)の供用開始、続く七飯ICまでの早期着工についても関係機関に要請するとした。

 続いて、吉田雅幸教育長が教育行政方針を述べ、子供の基礎学力向上やいじめの撲滅、子供の安全確保に決意を示した。

 一般会計の補正予算案は本年度当初予算に6億8600万円を追加し、総額は94億7600万円(前年度当初比10・2%増)。各予算の審査は議長を除く議員17人で構成した予算審査特別委員会(平松俊一委員長)に付託した。(鈴木 潤)


◎渡島・桧山 農作物の生育に遅れ

 渡島総合振興局と桧山振興局は19日、15日現在の渡島・桧山管内の農作物生育状況・農作業状況を発表した。先の天候不順で生育、作業ともに遅れはあるが、特段に注意を払うものではなく「今後の天候次第で十分回復できるだろう」としている。

 農業改良普及センターの調査を基に、管内を平均的に分析した。水稲は、低温と日照不足で苗が2、3日の生育遅れ。草丈は渡島が9・0センチ(平年9・7センチ)、桧山7・9センチ(同9・9センチ)。葉数は渡島が2・5枚(同2・7枚)、桧山は3・1枚(同3・5枚)。

 ジャガイモは、渡島は1日遅れの2日に植え付けを終えたが、桧山の露地は7日遅れた。ビートの移植は、渡島で平年より1日遅く、桧山が8日遅れた。

 渡島のリンゴ(つがる)は、葉は開いているが4日の生育遅れ。牧草は渡島、桧山ともに4日の遅れ。家畜用トウモロコシの種まき作業も渡島、桧山ともに若干遅れている。桧山の秋まき小麦は、幼穂形成が2日遅れている。

 渡島総合振興局農務課は「4月に続いた低温と雨で、生育のほか、土壌づくりにも影響が出た。ただ、作況をまとめた15日以降は、好天で状況は良くなっている。冷え込みの予報が出ているので、関係者は注意をしてもらいたい」と話している。

 発表内容の詳細は、両振興局農務課のホームページでも紹介している。(田中陽介)