2010年5月21日 (金) 掲載

◎ようこそ「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」

 函館港に寄港した豪華客船の中でも過去最大規模を誇る「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」(インヴァー・ヌッセン船長、6万9130トン)が20日、同港港町ふ頭に着岸した。日中はあいにくの雨だったが、白を基調とする巨大な船体をひと目見ようと、多くの市民が見物に訪れた。

 同船は米国の客船運行会社「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル」が所有。全長264メートル、全幅約32メートル、デッキは11層。今回のクルーズでは横浜から函館、小樽などを経由して上海に向かう。

 同船は同日午前6時20分ごろに函館に到着。船内で行われたセレモニーでは花束やいか踊り用のハッピなどが乗組員に送られ、ヌッセン船長は「来年は少なくとも2回は函館に来たい。また戻ってくることを楽しみにしている」とあいさつした。応対した函館市の谷沢広副市長は「大勢の人が訪れるクルーズ船は、函館の経済にとっても大きなこと。今後も函館の魅力を世界に発信し、寄港を働きかけていきたい」と話した。

 今回同船には香港や中国からの約600人をはじめ、28カ国1495人が乗船。乗客らはシャトルバスなどに乗り込み、買い物や観光地見物に出かけていた。市内では百貨店などで市民のボランティア通訳が活躍した。同船は同日午後5時ごろ、大勢の市民に見送られて、次の寄港地小樽に向け出港した。(山田孝人)



◎幕末のヒーローあんぱんに

 函館市内近郊の9社が組織する「函館スイーツの会」(若山直会長)は20日、函館市末広町の五島軒本店で例会を開き、土方歳三と榎本武揚をイメージしたあんぱんなど、新たに4商品を「函館スイーツ」に認定した。週明けにも同会アンテナショップ(函館市松風町8)などに並ぶ。

 同会は、函館発のブランド菓子の創出を目指し2009年に発足。定期的に行われる例会では、各社が工夫をこらした新製品を持ち寄り、全会員に承認されれば認定商品として販売することができる。

 この日は、木古内町の北島製パン(北島孝雄社長)が、函館にゆかりの深い土方歳三と榎本武揚のイラストをパッケージに使用した「土方歳三あんぱん」と「榎本武揚薩摩芋(さつまいも)あんぱん」の2種類を発表(各160円)。土方あんぱんには北海道産の金時豆のあんを、榎本あんぱんにはさつまいものあんを使用し、どちらもあっさりとしながら味わい深い逸品に仕上がった。北島社長は「幕末のヒーローとして人気の二人。あんぱんとの異色の組み合わせは、観光客にも評判を呼ぶのでは」と期待する。

 このほか、季節商品として花園正家(函館市港町1)の「よもぎ味くじらもち」(150円)、はこだて柳家(同市万代町3)の6種のゼリー「はこだて果樹」(各250円)、昭和製菓函館志濃里(同市西桔梗町589)の「新雪チーズケーキ」(315円)も承認された。

 新商品と函館スイーツの会についての問い合わせは、同アンテナショップTEL0138-21-1811。 (小川俊之)



◎口蹄疫被害、道南にも影響

 宮崎県を中心に被害が拡大している家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)について、道南でも防止対策が本格化している。七飯町の牧場では、修学旅行生の体験学習受け入れをキャンセル。道南から他地域への農業視察も中止するなど、伝染力が極めて強いとされている口蹄疫ウイルスの侵入を水際で防ごうと神経を使っている。

 道渡島家畜保健衛生所(森町)ではこれまで、管内にあるすべての偶蹄(ぐうてい)類家畜農場438カ所に対し、家畜の健康状態を確認するとともに、道が作製したリーフレットを配布し、農場立ち入り時における消毒徹底の呼びかけを啓発。万が一異常があった場合には通報するよう伝えているが、20日までに異常は報告されていない。加藤一典所長は、「道内にウイルスがない今は、絶対に入れないということに尽きる」と事前対策の重要性を強調する。

 これを受け、乳牛の搾乳体験を行っている七飯町軍川の酪農業、石黒雄介さん(29)は、7月ごろまで予定していた本州からの中学、高校の修学旅行5校の受け入れを中止。「いずれも宮崎とは遠い場所からの受け入れだが、感染力が強いので警戒する必要がある」と話す。旅行会社を通じて各校に連絡済みで、修学旅行生には「残念で申し訳ない気持ち。早くこの被害が収まってくれれば」と願う。

 一方、函館牛乳ブランドで知られる函館酪農公社(函館市中野町118)は、夏期のみ本社や工場、販売店に隣接する放牧場で行ってきた乳牛の展示を、本年度は見合わせることを決めた。展示は5年にわたり継続してきたが、近年は韓国や中国など外国からの旅行者が訪れる頻度が増し、「万が一病気が持ち込まれたら」(同社)との危機感を感じていたという。えさを与えて乳牛と触れ合うこともできたことから、来店者からの人気は高いが、今回の口蹄疫発生を受け即座に廃止を決定。金子健治常務は「病気が入ってくると地域は大変な打撃を受ける。いたしかたない」と話す。

 渡島農業改良普及センター(北斗市)によると、七飯町の農業関係団体が6月に予定していた道東への農業視察を中止。同センターでは「道内での発生は報告されていないが、事態が収束するまでは他地域との接触は可能な限り避けるようにしたい」と話している。


◎「函館―新函館 JRで運行を」

 函館市議会の議会運営委員会(松尾正寿委員長)が20日開かれた。北海道新幹線の札幌延伸後にJR北海道が函館駅―新函館駅(仮称)間を並行在来線として経営分離する方針を示している問題に関し、24日に開く第1回臨時会で、同区間を延伸後もJRで運行するよう求める決議案を提出することを決めた。

 決議案は総務常任委員会(浜野幸子委員長)の委員12人が連名で提出。市が同区間について「並行在来線にはあたらない」とする姿勢に歩調を合わせ、「新幹線の誘致運動に取り組んできた地域の長年の努力を水泡に帰すもので、承認できない」としている。

 委員会では、市民クラブが同決議案について、「臨時会の場で吉田崇仁議長に文章を読み上げてもらいたい」と提案。一部会派は前例がないとして難色を示したが、最終的に特例措置とすることで合意した。

 臨時会ではこのほか、本年度自転車競走事業特別会計補正予算など6件を提案することを確認。また、開催を検討している議員報告会に関し、各会派から1人ずつメンバーを出してプロジェクトチームを作り、内容や詳細を詰めていくことを決めた。(千葉卓陽)


◎トイレや抜け道…最新情報満載 道南新地図

 函館市の出版企画制作会社「アクセス」(本通1、石川保廣社長)は22日、渡島・桧山から後志・胆振管内の一部まで道南全域の最新情報を網羅した「道南新地図Vol.3」を発売する。道南の隠れた観光名所や詳細な道路情報を盛り込んだ特大地図で、同社は「観光客にも地元の人にも地域の観光資源を再発見してほしい」と話している。

 同社はタウン情報冊子「函館ウォーカーズマニュアル」を発行し、1997年から「道南新地図」を発売。2001年に発売した第2弾は約3万部が売れるヒット商品だ。今回は約10年ぶりの大幅刷新で「カーナビにはない一覧性ときめ細かい穴場情報が最大の特長」(石川社長)という。

 15万分の1の縮尺地図の表には函館から八雲まで、裏には八雲以北の後志管内ニセコ町や胆振管内の室蘭市の一部までを収めている。地図上には温泉や眺めのいい場所、公衆トイレのほか、コンビニエンスストアとガソリンスタンドは会社別にマークで表示している。

 道路情報は同社が3年がかりで実地調査に取り組み、裏道や抜け道に加え、写真や登山道なども充実させた。また、北海道新幹線新函館駅(仮称)までの開通ルートや、道央道落部インターチェンジ(IC)から建設中の七飯ICまでの計画ルートなども掲載している。

 石川社長は「利用者の目線でかなりマニアックなところまでカバーした。地図を手に自分だけのお気に入りスポットを探してほしい」と話す。A1判、両面カラーで、初版は約5000部発行。一部840円。市内の書店やコンビニで販売する。問い合わせは同社TEL0138-53-6089。(森健太郎)