2010年5月25日 (火) 掲載

◎森で、ゆめぴりかの田植え始まる

 【森】昨年から本格的な作付け、販売が始まった道産米の新品種「ゆめぴりか」の田植えが24日、森町内で始まった。

 ゆめぴりかは、上川管内比布町にある地方独立行政法人「道立総合研究機構農業研究本部上川農業試験場」(旧道立上川農業試験場)で開発された良食味米。適度な粘り気と軟らかさを実現したのが特長で、今年は道内全体で昨年のほぼ倍の5300ヘクタールが作付けされる。

 一昨年の試験作付けも含め3年目の栽培となる森町良質米生産部会(55人)の小原浩吾部会長(駒ケ岳)の水田では、昨年より1日遅れで田植えをスタートし、今年は昨年並みの1.5ヘクタールを作付けする予定。あいにくの曇空でやや肌寒い天候のため、試運転的な作業となったが、田植え機を使い、約120アール分の水田に苗を植えていった。

 ゆめぴりかは昨年、期待されながら天候不順の影響を受け見込みを大幅に下回る800トンにとどまった。小原部会長は「ゆめぴりかの評価は認知されている。昨年のようにならないよう一生産者として良い米作りに励みたい」と話していた。

 森町内で今年、約30ヘクタールの作付けが予定されている。(鈴木 潤)



◎道新幹線「札幌延伸後もJRで」市議会臨時会、全会一致で決議

 函館市議会の第1回臨時会が24日開かれた。JR北海道が北海道新幹線の札幌延伸後に函館駅―新函館駅(仮称)間を並行在来線として経営分離する方針を示していることに対し、JRが両駅間の鉄道運行を維持、確保するよう求める決議を全会一致で可決した。

 決議は総務常任委員会(浜野幸子委員長)の委員12人が提出。「経営分離の方針はまことに遺憾で、断じて容認できない」とJRの姿勢を批判し、札幌開業以降も経営分離しないよう求めた。臨時会では提案者を代表して浜野委員長が文章を読み上げ、全会一致で可決された。

 臨時会ではこのほか、昨年度市営競輪の赤字補てんとして、総額5億6000万円を増額する本年度自転車競走事業特別会計予算など3議案を原案可決し、専決処分3件を承認して閉会した。

 また、臨時会終了後に各派代表者会議を開き、正副議長と総務常任委の正副委員長が、JR北海道と道に決議を提出することを決めた。早ければ6月にも行う見通し。

 西尾正範市長は臨時会終了後、報道陣の取材に対し「決議に基づく条件が整わない限り、経営分離に市長の公印が使われることはない」と、不同意の姿勢を重ねて強調。札幌延伸の着工決定が先送りとなる懸念に対しては「着工の所要条件を整えるのはJRや道の仕事。それが整えばすべてに異存はない」と述べ、両者による解決策を求めた。(千葉卓陽)



◎函館西高生徒が「加茂紀子さんのジャズコンサート」企画

 6月19日午後7時から函館山山頂クレモナホールで行われる、ジャズピアニスト加茂紀子さんのコンサートの企画運営を、函館西高校(石原卓典校長、生徒596人)の生徒が担当することとなった。同校の体験参加型プログラム「西高+α授業」の一環で、環境問題への意識を高める「キャンドルナイト」運動を取り入れるなど、高校生ならではのアイデアにあふれた魅力的なステージになりそうだ。

 同校では、生徒に幅広い視野を持たせることを目的に、本年度から体験参加型プログラムを導入。今回は、函館出身でニューヨークを拠点に活躍する加茂さんの来函に合わせ、彼女の友人で同コンサートを主催するアートミュージックサポートクラブ代表の染木泰子さんからの協力の呼び掛けを受けて、サポートすることになった。

 さっそく、昨年の函館開港150周年記念イベントでスタッフを務めた畠山千明さん(3年)が代表となり「ウエスト・ヒルズ・プロジェクト」という実行委員会を設立。放送部の広島槙人さん(同)、生徒会長の畑中美加さん(同)、書道部の若松菜津美さん(同)をはじめ、約15人がスタッフに加わり、プロジェクトの成功に向けて動き出した。

 コンサートに取り入れる「キャンドルナイト」とは、日常生活の明かりを消して、ロウソクの光で過ごすことで環境問題の大切さを感じてもらう全国的運動。同実行委では「家庭で眠っているロウソクを再利用して作ったキャンドルを使って、幻想的な雰囲気のステージにしたい」と意気込む。またコンサートのポスターは書道部が作成。加茂さんのピアノに合わせて放送部のメンバーがポエムを朗読するなど、生徒のアイデアが随所に取り込まれている。

 畠山代表は「一流アーティストのステージに参加することができるのは大変光栄なこと。仲間と協力しながらぜひコンサートを成功させたい」と意欲を見せる。同校の嶋岡裕泰教頭は「多くの人たちとのかかわりを通じることが、社会勉強になるはず。子どもたちの頑張りを見守りたい」と期待している。

 同コンサートの入場料は大人1500円、大学生以下500円(ロープウエー代含む)。問い合わせは染木さんTEL0138-56-6566。(小川俊之)


◎新規高卒・未就職者を対象に、道が臨時職員任用

 厳しい雇用態勢を踏まえ、道は24日から11月23日までの半年間、臨時職員を任用。新規高卒者が対象で、渡島総合振興局(函館市美原4)は17人、桧山振興局(江差町陣屋町336)が2人。業務は事務補助が主で、道と地域経済団体などが支援する研修への参加で就職活動を続ける。

 今年3月に就職が決まらないまま卒業した高校生は全道で1564人。就職内定率は79・9%で、ハローワークはこだて管内では、未就職者が約200人、就職内定率78・5%だった。

 これを受け、道は即座に臨時職員の雇用(全道255人募集)を図った。任用期間中は、就職に役立ててもらうためにハローワークや教育庁、経済団体などの連携で、就職への助言やコミュニケーション能力向上を狙う研修への参加を促す。

 ハローワークで臨時採用を知った函館市立函館高校卒の田中沙央梨さん(19)は、渡島総合振興局商工労働観光課に配属。「早く仕事を覚えて、頑張りたい」と意欲的で、同課の丹羽章夫主幹も「面接も担当したが、どの応募者も前向きな姿勢で、好感を持てた。臨時採用で経験を積み、自信を持って社会で活躍してもらいたい」と激励する。

 渡島、桧山両局とも面接応募者全員が採用された。(田中陽介)


◎食肉の原価上昇 口蹄疫の影響 函館市内スーパーなどでも

 宮崎県で猛威を振るう家畜伝染病「口蹄疫」の影響が、函館市内の百貨店やスーパーなどにも出始めている。現時点では道内産家畜の感染報告はなく、食肉類の価格上昇や在庫不足などは限定的だが、被害の長期化や規模拡大によっては「先行きは不透明」と関係者に不安が広がっている。

 市内の生肉卸業者によると、食肉の原価は口蹄疫の報道後の5月以降は牛豚ともに上昇傾向という。もともと食肉は価格変動が激しい商品のため比較対象は難しいが、道産牛ロースが例年より高めの1キロ当たり2500円で取引されるなど、確実に影響が広がっているという。

 市内のスーパー、マックスバリュー堀川店(堀川町4)では、豚肉の原価が前年同月の1割増。一方、牛肉の値段は据え置きで「これから影響がでてくるのではないか」(店関係者)と、静観の構え。肉のスーパー大林(富岡町1)でも豚肉の値上がりは深刻で、店関係者は「原価が上がっても、消費者の財布のひもが堅いので、小売価格に転嫁できず、こちらが身を切るしかない」とため息をつく。丸井今井函館店(本町32)では「国内産の豚肉の供給量が減少し、原価が除々に上がっている」のに対し「牛肉の売上げは前年度と比較するとむしろ下がっている」という。

 札幌市の農業団体関係者によると「もともと、市場に出回る国産牛の絶対数が少ないので、牛肉の相場に大きな変動はない。だが、道内で人気が高いの豚肉には早くも影響が出ている。感染が拡大すれば、さらに値段が上がる可能性もある」と警戒する。ただ、人に感染しないことが周知されているためか、小売店などで買い控えの傾向は見られないという。

 富岡町在住の女性(50)は「肉類は子どもがいるので食卓に出さないわけにいかない。安心して購入できるなじみの店で国産しか買わないと決めている。でも、この影響で価格が高騰してきたら外国産に手を伸ばしてしまうかも」と話していた。0ァ40ィ(黒田 寛、小杉貴洋)