2010年5月27日 (木) 掲載

◎豊かな自然 後世へ…大沼で観察会

 【七飯】新緑の森林散策を楽しむ自然観察会が26日、大沼国定公園小沼付近で行われた。近隣の約40人が参加し、専門家の案内で古里の大自然を満喫。「この美しい森林をいつまでも守っていきたい」と森づくりの意義を肌で感じ取った様子だった。

 渡島総合振興局東部森林室と、自然活動団体「函館サンモリッツくらぶ」の主催。住民と森林をつなぐボランティアを養成する「森への誘(いざな)い講座」として実施した。

 ガイドは、自然公園財団大沼支部の上野文男所長と勝田雄二主任が務めた。巨木ブナの前では「青森の白神山地が有名だが、大沼では駅のすぐそばで自生を見られる」。参加者が対岸にアオサギを見つけると、「ナラの枝で休みながら魚を狙っている。湖面に飛び込むかも」と興味を引き立てる案内ぶり。参加者は傘を差しながら熱心に説明に聞き入っていた。

 また、財団の自然ふれあいセンターで行われた、エゾリスやキタキツネなどを記録したビデオ上映も好評だった。

 参加した函館市美原の尾崎幸二さん(64)は「大沼の豊富な動植物の生態に驚いた。近くに住んでいながら今まで気づかなかった。この観察会で、あらためて自然を後世に残すことが必要だなと感じた」と話していた。午後からは、国有林で樹木博士認定コースの体験も行われた。(田中陽介)



◎口蹄疫ショック 木古内のエンデューロ中止

 【木古内】宮崎県で猛威を振るう家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)の拡大が懸念されるため、木古内町で6月19、20の両日に予定されているオフロードバイクの耐久レース「第25回サバイバル2daysエンデューロIN木古内」の実行委は26日、大会の中止を決定した。七飯町の牧場では修学旅行生の体験学習の受け入れをキャンセルするなど口蹄疫の影響が広がっている。

 実行委は、コース付近にブランド牛「はこだて和牛」の生産を行う酪農家がいることや、会場やコースの一部を農家から借りてレースを開催するため、ウイルスの侵入を懸念。発生防止を最優先するとして大会の中止を決定した。実行委では今後、ライダーに大会の中止を通知し、参加費の返還を行う。

 同大会は町中野―亀川地区に約40キロのコースを設定。山林や川など自然を生かしたコースを走る過酷なレースで、道内をはじめ、東京や福岡など全国各地から120人以上の選手がエントリーしていた。

 実行委の工藤嗣美委員長は「被害が出てからでは遅いので中止を決断した。やむを得ない。参加するライダーの数を確保し、大会を開催することを決めたばかりだったので、本当に残念」と話した。(松宮一郎)



◎単年度赤字額 大幅減…09年度函館市立3病院

 函館市立3病院の2009年度の経営状況は、単年度赤字額が前年度より12億7822万円減少し2億8356万円となり、経営状態が大幅に改善した。実質的な累積赤字額は前年度比微減の53億8206万円。市病院事業改革プランに基づき、09年度から取り組む経営健全化対策が効果的に働いた。市病院局は「本年度は単年度黒字を目指す」として、さらなる経営改善に努める考え。

 市病院局が、健全化対策初年度の実績や成果をまとめた。これによると、収益は前年度比20億638万円増の169億3409万円。効果的な病床管理に努めた結果、大部分を占める市立函館病院の一般入院患者数は、1日当たり同6・4%増の472・7人になった。

 同院の一般外来患者は、初診前に看護師が症状を確認する問診コーナーの新設が好評で、同4・9%増の1102・6人を達成。病床利用率(75・3%)や手術件数(1カ月当たり242・6件)も、前年度実績を上回った。

 恵山病院では入院患者数(療養)と病床利用率がともに、前年度より15・9%増加した。南茅部病院も、入院患者数と外来患者数(ともに一般のみ)、病床利用率のいずれもが、前年度より改善された。

 費用は、前年度比5億2646万円増の181億3242万円だった。患者や看護師増などで、給与費、材料費が増加。委託料の削減(前年度比6015万円減)などでその他の部分を抑えたが、計画比では約3億6000万円上回り、課題を残した。

 単年度収支は、計画で約2億4000万円の黒字を見込んでいたが、結果的にはこれを5億円超下回る赤字となった。しかし吉川修身局長は、年度途中に想定した赤字額(7億9000万円)を下回ったことなどから、「状況は着実に改善している」と受け止める。「本年度は黒字化できる要素は十分。今後も着実に改善に向けた努力を続ける」と話す。(小泉まや)


◎函館市の介護給付費過誤申請、国が救済へ

 函館市が2009年度の介護給付費「財政調整交付金」を国に誤って少なく申請した問題で、厚生労働省は26日までに、省令改正により救済する方針を固めた。給付額は、過誤対象額の8割を超えない範囲で、10年度の交付金に上乗せされる見通し。

 市が申請する段階で、計算で使用するソフトの運用ミスや確認漏れがあり、交付見込額(約11億9000万円)より約1億3000万円少ない額となった。市はこれまで、西尾正範市長が直接、長妻昭厚労相を訪問したり厚労省に「要望書」を提出するなど、救済措置を求めてきた。

 厚労省によると、救済は特別調整交付金を支払う形で行う。これまでは震災など大規模災害時に自治体が保険額の減免を行った場合に、これを補う形で交付されてきた。省令改正で、支給するケースを「被保険者に迷惑がかかるような非常に大きなミスをした場合」や「想定しないようなことが起こった場合」などに拡大するという。

 改正時期は6月上旬を目指しており、市がその後に申請すると、審査を経て支給が決定される。1億3000万円のうち、どの程度が支給されるかは未定だ。

 対応について西尾市長は同日、「救済の検討は大変ありがたい」とのコメントを発表。また、残額の補てんについては「市と関係者で協議していきたい」とし、計算ソフトのバージョンアップ作業をした業者と協議する方針。「市民には負担をかけない」という。(小泉まや)


◎「フリースペース自由高原」休止 「新フリスペ」として1日から活動再開

 不登校の子どもの受け皿となっていた函館市内の「フリースペース自由高原」が4月末で活動休止となったのを受け、運営スタッフ有志が6月1日から、「新フリスペ」として活動を再開させる。毎週1回、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)を利用し、子どもたちに交流の場を設ける。

 自由高原は不登校の子どもの居場所をつくろうと、1999年に開設し、市内のビルの一室を借りて週2回活動していた。運営費は利用者からの利用料と賛助会員の寄付で賄ってきたが、ここ数年利用者が減少し、ボランティアでの運営継続が困難となった。

 しかし、4月末まで利用していた子どもが数人いることや、ほかにも居場所を求めている子どもたちがいると考え、有志で「新フリスペ」を開設することにした。スタッフの野村俊幸さんは「フリースペースは、子どもたちにとって友人をつくったり、家族以外の人と触れ合う社会体験の場だったりする。子どもたちが元気を取り戻すきっかけづくりになるので、できれば常設化を目指したい」と話す。

 活動は毎週火曜の午前11時から午後2時まで。同センター3階のオープンスペースに集合し、一緒に昼食をとり、その日の活動を話し合って決める。ゲームやおしゃべり、西部地区の散策など気軽な活動を楽しみながら、のんびりと過ごす。参加無料(昼食や活動に必要な経費は実費負担)。事前申し込みは不要。

 問い合わせは野村さんTEL090・6261・6984へ。(宮木佳奈美)