2010年5月29日 (土) 掲載

◎イカ釣り準備 6月1日のマイカ漁解禁前に

 道南近海のマイカ(スルメイカ)漁が6月1日に解禁されるのを前に、道南各地の漁港で出漁に向けた準備が行われている。漁師は「今年も、いがつけ(イカ漁)の時期が来た。頑張っておいしいイカをたくさん捕ってくる」と意気込む。

 イカ漁は一昨年が燃油高、昨年は不漁に見舞われ、関係者を取り巻く環境は厳しい。しかし、透明でこりこりとした濃厚な味わいは道南が誇る食文化で、観光客はもちろん市民も「早く朝イカを食べたい」と待ちわびる。

 函館水産試験場の調査船は27日に、秋田県沖へ出港。先の荒天で例年より遅い出港となり「まだ詳細は入っていないが、新潟沖合で揚がり始めた」という。

 市内入舟町の函館漁港で28日早朝、集魚灯の点検をした男性漁師(50)は「大漁が一番だけど、まずは安全操業。これから忙しくなる」と話していた。

 解禁直後は松前沖が好漁場で、秋にかけて北上、太平洋でも最盛期を迎える。(田中陽介)



◎口蹄疫、感染拡大を懸念 どさんこフェスが中止

 宮崎県内で猛威をふるう家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)の拡大を懸念し、7月4日に函館市の緑の島で開催予定だった「第6回どさんこフェスタin函館」が中止されることが28日、分かった。道南では木古内町で6月中旬に開催予定だった、オフロードバイクレース「エンデューロ」も中止を決定している。今後、夏の本格的な観光シーズンを迎える道南にも影響は広がりそうだ。

 市農務課によると、4月に発生した口蹄疫の影響で、函館市内のイベントが中止されるのは初めて。

 同フェスは「道和種馬保存協会道南支部」の主催。本道の開拓に活躍したドサンコ馬(和種馬)の歴史や文化を知ってもらおうと、2005年から毎年7月に多様な催しを実施。目玉イベントの「やぶさめ競技函館大会」は全国から選手が集まり、毎年約3000人が見物に訪れている。

 実行委は27日夜に開いた緊急会議で中止を決定。理由について、@馬は感染しないが同じ家畜という関連があるA畜産業者の心情への配慮B全国から多くの参加者が訪れる―ことなどを挙げた。

 実行委の池田賢治事務局長は「動物がかかわるイベントで畜産業者も出入りする。業者の心情を察すると配慮しなければと考えた。毎年楽しみにしてくれている人も多いので、苦渋の決断だった」と声を落とした。案内状などを送付した参加者には、改めて中止の案内を送り対応する。

 市農務課は「非常に残念。断腸の思いだったのでは」。市観光コンベンション部は「(口蹄疫は)プラスの話ではないが、現在のところ観光客数に影響はない」とする。このほか道南では、七飯町の「城岱スカイライン」や北斗市内でも道路閉鎖措置を取るなど、感染予防に向けた動きが広がっている。(山田孝人)



◎タケノコ園 来月開園へ 2日に北斗市、11日に上ノ国

 道森林管理局函館事務所は6月2日から順次、渡島・桧山・後志管内の4カ所で「タケノコ園」を開園する。今年は雪解けが進まず、例年より10日ほど遅れているというが、「雪解けの遅れや雨が続いた影響で水分は十分。気温さえ高くなればおいしいタケノコが期待できます」と同事務所。入園料は1人1日700円で中学生以下は無料。北斗市中山の上二股園は2日、上ノ国町湯ノ岱の上の沢園は11日(予定)に開園する。

 国有林内で安全にタケノコを採ってもらおうと毎年開園し、多くのファンに喜ばれている。開園期間は6月中旬から下旬までで、タケノコの生育状況によって早期に閉園することもある。林道の状況やヒグマの危険性がある場合は入林を禁止する場合もある。

 同事務所では事故を未然に防ぐために@出かける前に天候確認し、家族に場所を知らせるA笛やラジオ、キャンディーなどを持つB複数で入山し、現在地を確認しながら行動するCゴミはクマの餌になるので持ち帰る―などを挙げる。

 各園には駐車場と簡易トイレを用意。開園時間は午前6時―午後2時(上の沢は午後1時)。(小杉貴洋)

 各園の場所や開園期間、問い合わせは次の通り。

 ◇上二股(北斗市中山、上二股林道、2日―中旬、渡島森林管理署TEL0137・63・2141)

 ◇上ハカイ(今金町住吉、上ハカイ林道沿線、2日―中旬、渡島森林管理署)

 ◇上の沢(上ノ国町湯ノ岱、上の沢流域、11日―下旬、桧山森林管理署TEL0139・64・3201)

 ◇月越(島牧村歌島ほか、4日―中旬、後志森林管理署TEL0136・22・0145)


◎細菌性髄膜炎 予防ワクチンに助成を 函館小児科医会

 乳幼児の細菌性髄膜(ずいまく)炎を予防するワクチン接種費用の公費助成を求め、函館小児科医会(山田豊会長)が中心となって署名活動を行っている。函館、北斗両市で小児科のある総合病院、予防接種を行っている内科や小児科の診療所で6月上旬まで署名を集める。6月中にも両市、市議会に対し、署名とともに陳情書を提出する考え。

 助成を求めるのは、細菌性髄膜炎の主な感染原因となる肺炎球菌とヒブ(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)のワクチン。細菌性髄膜炎は、年間推計で約1000人の乳幼児が発症し、約5%が死亡、20―30%に難聴や脳障害などの後遺症が出るが、これら2つのワクチンで8―9割が防げるという。

 米国など多くの国では10―20年前から無料で受けられる定期接種を実施し、WHO(世界保健機関)も定期接種化を推奨している。しかし日本では、乳幼児用の「肺炎球菌ワクチン」が今年2月、「ヒブワクチン」は2008年12月に発売されたばかりで、いずれも有料の任意接種だ。

 ヒブワクチンは1回7000―8000円、肺炎球菌ワクチンは1回1万円程度。生後2カ月から接種できるが、生後7カ月未満の乳児では、各ワクチンの4回接種が必要なため、両方合わせて7万円かかり経済的負担が大きい。本来は誰もが受けられる定期接種が望ましいが、それまでに何らかの費用負担が必要とされている。全国的にも自治体によって接種費用の全額または一部を助成している。七飯町は昨秋からヒブワクチン、来月から肺炎球菌ワクチンを助成する。

 同会で署名活動の中心を担う、函館五稜郭病院小児科長の岩井崇医師は「髄膜炎は怖い病気だがワクチンで予防できるのに、住む国や地域によって子どもが不幸になるのを防ぎたい。函館、北斗市にも助成してもらえるよう訴えていきたい」と協力を呼び掛けている。問い合わせは同病院小児科TEL0138・51・2295。

 ◆細菌性髄膜炎 普段でも鼻やのどに見られる肺炎球菌やヒブなどの細菌が血液の中に入り込み、脳を包む髄膜(ずいまく)についてしまうことで起こる炎症。最初は風邪と区別がつきにくい。生後半年未満の乳児は診断、治療が難しく、ヒブ、肺炎球菌の2つのワクチン「髄膜炎ワクチンセット」で、早期の予防が望ましいとされている。(宮木佳奈美)


◎大沼観光協会総会、法人化移行を正式決定

 【七飯】大沼観光協会(堀元会長)の本年度通常総会が28日、函館大沼プリンスホテルで開かれ、組織形態を任意団体から一般社団法人に移行することを正式に決めた。法人名を「七飯大沼国際観光コンベンション協会」(仮称)とし、同協会は早期に協会の解散総会と法人の設立総会を開き、9月中にも始動したい考えだ。

 本年度が任期満了に伴う役員改選期だったが、総会では法人化移行に向けた準備をスムーズに進めるため全役員の留任案を承認。堀会長が特別議案として法人設立案を提案し、満場一致で承認した。定款の素案が示され、現在30人いる役員体制を15人以内とし、常勤役員の専務理事を置く方針。堀会長は役員体制について、正副会長と部長、各委員長を充て、ほか数人を会員以外から人選する考えを示した。

 また、財津茂実総務部長は「七飯観光の振興に向け、任意団体では限界がある。町全域の関係者でつくる法人が必要」と法人化の移行を進めた経緯を説明し、「会計年度の終わりは、イベントがひと段落する9月が望ましいのでは」と述べた。

 今後、6月13日まで会員からの意見を集約したうえで、設立総会に向けて素案の成案化や事業計画案などの策定を進める。

 総会では、大沼湖水まつりや大沼函館雪と氷の祭典などのイベント開催を盛り込んだ業催事計画案も承認した。(鈴木 潤)